Di2を導入して3週間の雑感

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シマノの電動変速システム「Di2」が誕生したのは2009年。私がロードバイクを始めたのも2009年ですが、ずっと機械式変速に拘ってきました。

2021年、ようやく重い腰を上げてDi2を導入。使い始めて3週間の率直な感想を書き残しておきます。

 

目次

これまでDi2を避けていた理由

私が1000km以上のブルベやロングライドを毎年のように走るスタイルであることから、これまで12年間Di2を使うことはありませんでした。

Di2は一度の充電で1000km程度(もちろん変速の頻度による)は使えるとされています。言い換えれば、1000km以上を走る際には充電が必要になるということです。

持ち運ぶ荷物の増加

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Di2の充電には専用のケーブルと充電装置が必要です。大した重量ではありませんが(実測96g)、持ち物が増えるとサドルバッグの大きさを1ランク上げなければならないこともあり、結果的に結構な重量増加を招きます。

あと充電器、1万円くらいします……高い……。

充電すべき機器が増える

私はロングライドでは充電する機器の個数を最小限にすることにしています。理由は、個々の機器の充電サイクルの把握が困難になること、バッテリーが切れた時に即時復帰できないことです。

「このライトはXX時間使ったからそろそろ充電が必要」と言った充電サイクルの把握は個数が増えると指数関数的に複雑になります。

また、電池式ならば予備電池があれば即時復帰出来ますが、充電機器は充電しながらでは使えないことが多いもの。コンセントの数も限られるため、あまり多くの充電機器は持ちたくありません。

バッテリーが外せる位置に付いていれば外してホテルの部屋に持ち込んで充電が可能ですが、最近はシートポスト内にバッテリーを内蔵するケースがほとんど。となると、自転車本体をコンセントの近くに持っていく必要がありますが、ホテルの部屋に自転車を持ち込めないケースも考えられます。

現在、ロングライド中の充電機器はスマホとフロントライトだけに絞っています。そこにDi2という充電機器が増えるのは不安の種でした。

 

今回、Di2を導入した理由

そんな私ですが、3/8に納車となった「OLTRE XR4」に初めてDi2を導入しました。

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ロングライド用ではないロードだから

理由は単純で、「このロードバイクでは(数日間掛けた)ロングライドをするつもりがないから」です。

近距離専用、シンプルに走行性能だけを考えた構成にしています。これまで導入してこなかった(または一度導入して使わなくなった)、下記の新機軸を導入しました。

・Di2
・ステム一体型ハンドル
・チューブレスタイヤ
「走り続ける」ことを重視するロングライド用のロードには、なかなか導入しにくい要素でした。

一度体験してみたかった

もう一つの理由は、「そろそろ一度、Di2を体験してみたかった」ことです。

Di2登場から12年も経つのに一度もDi2搭載車を所有したことがないのは、レビューブログを運営している身としても宜しくないのでは……と常々考えていたこともありまして。

食わず嫌いは良くありません。OLTRE XR4はDi2専用フレームではありませんが、Di2だとケーブルの取り回しがシンプルになります。見た目がスッキリするならそれもありかなと思い、今回導入を決めました。

Di2セットが安売りされていた

何気に高いDi2。導入の障壁として価格は正直あると思います。

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今回はOLTRE XR4をワイズロードで組んだのですが、そちらでDi2のコンポセットが3割引で売っていたのも導入を後押ししました。それでも機械式よりは5万円くらい高くなりましたね……。

 

ファーストインプレッション

3/8から使い始めて、300kmくらいDi2(R8050 Ultegra/リムブレーキ)を使ってみた感想です。まだ一度も充電はしていません。

 

一度に乗った最長距離は100km程度。ほぼ夜練のみでの使用です。シンクロシフトは使っていません。

良かった所

Di2を使ってみて良いなと思ったところを挙げます。

変速性能の高さ

何と言っても、確実かつ素早い変速が印象的でした。

機械式にある「変速フィール」みたいなものは消え失せていますが、どんな状況でも確実に変速するのは信頼できます。

変速の速度は良く調整されたDuraAceには劣る気がしますが、Ultegra Di2でも十分な素早さです。

シフトケーブルが無い

機械式変速でシフトケーブルを変えて100-200kmほど走ると起こる初期伸び。シフトケーブルのないDi2ではこれの調整が要りません。

私は初期伸びの調整がどうも苦手で毎回ショップにお世話になっていましたが、Di2ならばもそれも必要なし。結構これは大きい。

 

ディレイラーから生えているのもシフトケーブルではなく、電気信号を伝達するためのケーブルです。

シフトケーブルがないということは、摩擦によってシフトケーブルが切れることもありません。落車等で切れる可能性はありますが、基本的にはバッテリー切れ以外で変速不能になることはないのは大きいです。バッテリー残量はサイクルコンピューターと連携することで画面上から確認できるので、視覚的に判断しにくいシフトケーブルよりは気付きやすいでしょう。

 

ケーブルも変速用が2本から1本に統合され、見た目もスッキリしました。

現在のギヤ比を確認できる

EDGE530等のサイクルコンピューターと接続することにより、現在のギヤ比を確認することが出来ます。

 

これまでは感覚に頼って「今**枚目くらいかな?」と判断していましたが、視覚的に判断できるのは良いですね。ただ、接続することで電池の減りが早くなるんじゃないかという点はちょっと心配ですが。

なお、一番軽いギヤ・重いギヤになると、「もうコレ以上変速できないよ」アラーム音が鳴ります。

長押し多段変速

信号で停止する時に何も考えずにシフトダウンのスイッチを押しっぱなしにすれば一番軽いところに持っていけます。連打しなくて良いので便利。

隠しスイッチ

あまり知られていませんが(私は知らなかった)、ブラケットの頭の部分に隠しスイッチがあります。

 

このスイッチに任意の動作を割り当てることが出来ます。変速動作も可能です。

私はEDGE530のページ切り替え動作を割り当てています。瞬時に反応するわけではなくワンテンポ遅れますが、ブラケットから手を離さずにページを切り替えられるのは便利ですね。

期待ほどでは無かった所

Di2に期待していたけど、それほどでも無かった所もありました。

ハンドリング

知人のGUTTIさんが、Di2について書いた記事でこんなことを言っていました。

ハンドルとフレームを繋ぐワイヤーがブレーキケーブル1本のみとなるため(ワイヤー変速式の場合、シフトケーブルが更に2本追加)、ダウンヒルの際のコーナリングでも狙ったラインをトレースしやすくなった(というより、これが本来意図されたフレームの性能なのであろう)。

理屈の上ではケーブルが減る分、ハンドリングは軽くなるはず……なのですが。

 

今回採用したMetronハンドルのヘッドパーツがかなり調整がシビアで、少しでもトップキャップのネジを締めすぎると動きが渋くなるし、少しでも緩いとガタが出ます。

ガタは嫌なので少しキツめに締めていますが、その影響でハンドルの動きは渋いです。せっかくのハンドリングの軽さが実感できなくて残念。

振りの軽さ

これも上記の記事でGUTTIさんが書いていたことですが。

約130gハンドル周りから重量が削減されることとなった。流石にこれだけの重量差があるとダンシングでハンドルを振る際の挙動が大きく変わることになる。

これも私には感じられず。

といってもそれもまたMetronのせい。Metronは剛性重視のハンドルなので、重量は軽量ステム+カーボンハンドルの組み合わせよりも重くなります。400-90mmのMetronを今回入れてますが、公称365gです。

実測はなんと386gと大分上振れしてます。400mmのカーボンハンドルなら200g、90mmの軽量ステムなら110gくらいが相場なので、これだけで76gほど重いです。

更にジャンクションもハンドル内蔵にしたので、恐らくDi2化によるハンドル周りの軽量化は完全に帳消しになっています。ディスクブレーキだと顕著に軽くなるはずなんですけどね。

迷った所

初めてのDi2で戸惑ったこともいくつかありました。

冬グローブでのミスタッチ

まだ指先が慣れていないからなのか、冬用グローブだとシフトアップとシフトダウンを間違えることが結構ありました。

 

機械式だとシフトダウンのほうがストロークが大きいのでほぼ間違えないのですが、Di2はどちらのストロークもほぼ同じ。シフトダウンのほうだけ滑り止めのイボが付いていて差別化されていますが、冬用グローブだとそれもよく分かりませんでした。まぁ、慣れが解決してくれるでしょうし、これからの季節は間違えないはず。

機械式レバーで起こる空打ち(長いレバーと短いレバーを同時押しすることで変速が空振りするアレ)は構造上起こりません。

変速調整モード

納車2日目に変速が狂ってしまったことがありました。

原因はこれ。バーエンドのジャンクションのボタンを押すことで変速モードをシンクロシフトに切り替え出来たりするんですが。

このボタンを長押しした状態で、シフト操作を行ってしまいました。ボタン長押しは「変速調整モード」に入るためのコマンドで、その状態でシフト操作を行うと変速設定がズレます。結果として変速がおかしくなったわけですね。

ショップで話を聞くと、ステム下のジャンクションだと持ち運び時に長押ししてしまうことが多く、私と同じように変速設定がおかしくなる人が多いんだとか。

マニュアルを読んで再調整したところ、変速は正常に戻りました。シフトケーブルを変えないので基本的に変速が狂うことはないはずですが、ホイールを交換した際の微妙な調整も自分で出来るようになったのは嬉しいです(これまで出来なかった)。

まとめ

Di2使用開始から3週間の雑感でした。

色々文句も書きましたが、基本的には満足しています。シフトケーブルが無くなることのメリットが思ったよりも大きかったなと。

機械式のフィーリングも好きではあるのですが、いつも心のどこかにあった「シフトケーブルそろそろ切れるんじゃないか」という恐怖があったのも事実。代わりに「充電がそろそろ切れるんじゃないか」という懸念事項は増えますが、そこは画面上からも確認できるのでこれまでよりはマシでしょう。

ロングライド用ロードへの導入についてはまだ及び腰ですが、バッテリーの持ち次第では今後考慮に入れるかもしれません。雨天での使用など、もう少し使い込んでみないとイマイチ信頼はできませんが、プロレースの現場で10年以上も使われているわけで、そこは杞憂なのでしょうね。

5月開催予定の「糸魚川」で300km連続使用のチャンスがあるので、ロングライドでの真価を確かめたいと思っています。

 

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著者情報

年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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