OLIGHT RN1200の点灯実験

OLIGHTの新作ライト「RN1200」の点灯時間・照度を実測しました。本記事では、その結果を示します。

実験の経緯

本記事では、「RN1200」に関して行った、点灯時間および照度の実験結果を纏めています。まずは実験の経緯から。

RN1200について

RN1200は、OLIGHTが2021年6月に新発売したフロントライトです。

 

筐体の形状は、同社の「RN1500」「RN800」と共通です。RN3兄弟の次男坊といった所でしょうか。

ロック機能を搭載

他のRNシリーズに無い特徴として、「スイッチロック機能」を備えています。

RNシリーズはモバイルバッテリーとしても使える機能があります。そういった用途で使うためにカバンに入れた時にスイッチが誤って押されてしまい、ハイモードで点灯した結果、カバンの中から煙が上がる事故の事例がありました。

これは私も危険だと思っていて、メーカー宛に「ロック機能を付けるか、温度上昇を検知したら電流を絞る機能をつけて欲しい」と要望を出していました。しっかり次回作で反映してくるのはさすがです。

モード/ランタイム

公称の明るさ・ランタイム・バッテリー容量を、他のRNシリーズとの比較で示します。

RN1500 RN1200
(今回のテスト対象)
RN800
ハイモード 1500ルーメン 1200ルーメン 800ルーメン
1時間40分 1時間30分 2時間00分
ミドルモード 750ルーメン 600ルーメン 450ルーメン
4時間 3時間00分 4時間00分
ハイモード 300ルーメン 300ルーメン 200ルーメン
12時間30分 6時間30分 8時間00分
バッテリー容量 5000mAh 4000mAh 4000mAh

モニターを辞退

今回実験を行ったRN1200は、OLIGHTよりモニター用にご提供頂いたものです。

実は発売直後に一度モニターとしてレビュー依頼を頂いていたのですが、お断りしました。理由としては、「私のライドスタイルでは使い所が無さそうだから」です。

私がブルベでもっとも使うのは300ルーメン周辺の明るさのモードです。つまり、RN1200ならばローモード。しかし、RN1200のローモードは6.5時間しか持ちません。兄貴分のRN1500が300ルーメンで12.5時間持つことを考えると、ほぼ半分の時間。

わざわざ同じ明るさで半分の時間しか持たないライトを使う理由はありません。RN1200はRN1500より1100円安いですが、1100円足すだけで点灯時間が倍になるわけです。

RN1200は試すまでもない。最初はそう思っていたのですが……。

一転、モニターを承諾

RN1200について、2点ほど「気になること」が出てきたタイミングで再度モニターの打診を受けまして、今度はお受けすることにしました。

スイッチロック機能

「気になること」一点目は、先述の「スイッチロック機能」です。

私と同じくモニターを打診されたS.K.さんがアップしていたこちらの動画を見て、ロック機能の存在を知りました。モニターを依頼された段階ではこの新機能について特に言及がなかったのです。「どのような操作でどのような挙動をするのか」に興味を持ちました。

ランタイムへの違和感

「気になること」二点目は、スペックの公称ランタイムに違和感を感じたことです。

RN1200のローモードの「300ルーメン/6時間半」というスペック値を見て私は「試すまでもない」と思ったのですが。改めて考えてみると、この数値はちょっとおかしいんです。

少し前に出したスペックの比較結果を纏めると、RN1500とRN1200のローモードは以下のように比較できます。

RN1500: 5000mAhのバッテリーで、300ルーメンを12.5時間
RN1200: 4000mAhのバッテリーで、300ルーメンを6.5時間
RN1200のバッテリー容量はRN1500の80%あるのに、点灯時間は52%しかないんですよね。もちろん、LEDや回路の差があるかもしれませんが、それにしてもここまで差が出るか?という疑問が湧いてきました。
仮に、電池容量通りの点灯時間が出るとすれば、12.5時間×80%=10時間は点灯するはずです。
それを確かめるには、実際に触ってみるしかありません。

RN1200、入手

数日後、OLIGHTからRN1200が届きました。早速、実験を行います。

スイッチロック機能の実験は、先程貼り付けたツイートの中の動画で行っているので、この記事では割愛します。ユーザビリティを高める良い機能だと思いました。

実験①: ランタイム実験

まずは、「気になること」でも書いた、ローモードの点灯時間を実験しました。

実験目的

RN1200のローモードの実際の点灯時間を確かめること。

実験方法

ローモードで連続点灯し、消灯するまでの時間を計測しました。

 

予想を超えて長く点灯したので、途中からはビデオ録画に任せました。

実験結果

以下のような結果になりました。

 

・13時間39分
 →インジケータが赤に(残20%)。
・14時間36分
 →インジケータが赤点滅に(残10%)。
・14時間46分
 →消灯。

なんと、公称スペック6時間30分のはずが、14時間46分も点灯しました。倍以上の長さです。まさかの大幅な逆サバとなりました。

私の個体のみの特性である可能性も考え、S.K.さんにも依頼して実験をして頂きました。こちらの結果も16時間と大幅に公称スペックより長い結果となりました。どうやら私のものだけではなく、RN1200に共通の挙動のようです。

考察

10時間の点灯までは予想していましたが、そこから更に4時間以上も伸びました。これはさすがに予想外です。

RN1500のランタイム実験も行いましたが、こちらはスペックと実験結果に大きな差はありませんでした。

ただ、どうもRN1200の点灯実験の後半、光が暗くなっているように感じました

 

こちら、互いに満充電のRN1500(左)と、RN1200(右)の写真です。同じくらいの明るさに見えます。300ルーメンは納得です。

 

こちらはRN1500(左)と、9時間経過時点のRN1200(右)の比較です。明らかにRN1200のほうが暗いことが分かります。

照度計で一番明るい場所の照度を測ってみましたが、RN1200はRN1500の52%程度の照度しか出ていませんでした。RN1500とRN1200はレンズの設計が一緒なので、最大照度が半分であればルーメン値も半分程度になるはずです。すなわち、150ルーメン程度しか出ていないと推測されます。

LEDは流れる電流量によって明るさが決まります。暗くなるということは、その分電流量が減っているということ。

このことから、「RN1200は少しずつ暗くなる(=電流量が減る)ことによって、点灯時間が長引いたのでは?」という仮設を立てました。

実験②: 照度時間変化実験

「RN1200のローモードは少しずつ暗くなっているのではないか」という仮説を確かめるため、第二の実験を行うことにしました。照度の時間変化を計測する実験です。

実験目的

RN1200の明るさ(照度)が、点灯時間と共にどのような変化となるかを確かめること。

実験方法

段ボール箱の中に照度計の受光部と、ライトを設置。ライトをローモードで点灯し、密閉状態に。外にある照度計の表示部の値の時間変化を測定します。

私の持っている照度計にはロガー機能が無いので、照度計の表示部を動画で撮影して後からグラフに起こすことにしました。

なお、ローモードではほとんどライトは発熱せず、発火の危険性は無いことを確認して実施しています。たぶんハイモードでやると危険です。

実験結果

横軸に時間、縦軸に照度を取ったグラフが以下となります。

 

点灯直後の照度は9000ルクスありましたが、30分ほど掛けて4700ルクスまで低下。

 

そして、以降は消灯寸前まで4700ルクスを保ちました。ルーメン値の測定機器はないので想像にはなりますが、恐らく150ルーメン程度だと思われます。

結果を一言でまとめると、以下のようになります。

「点灯直後は300ルーメンだが、そこから徐々に暗くなり150ルーメンで下げ止まる。以降、14時間は150ルーメンで点灯する」

また、Twitterでのご指摘もあって「一旦消灯してから点灯すると照度はどうなるか」も実験しました。

すると、再点灯時にはまた9000ルクスで点灯し、やはり30分程度を掛けて4700ルクスまで低下することが分かりました。電池の残量は関係ないようです。

考察

電池の残量に反比例して暗くなる(=ダラ落ち)を予想していましたが、実際には30分ほど掛けて暗くなり、最初の半分程度の暗さになった所で下げ止まるという結果。

明るさを維持していることから電流の制御回路が働いているのは間違いありませんが、果たしてこれが意図した動作なのかが気になる所です。

「目が明るさに慣れた所で少しずつ暗くして見せかけのランタイムを伸ばす」という意図だと邪推する事もできます。ただ、スペック表には実際の半分程度のランタイムしか書かれていないという。ランタイムを長く見せたいのか、短く見せたいのか。さっぱり訳が分かりません。

考えられる可能性としては、「内部温度の上昇を制御した結果、こうなっている」というのも有り得ます。発火防止のためにスイッチロック機能を入れたのと同時に、温度制御の機能を入れた可能性もゼロではありませんし(実際、一定以上の温度になると明るさを下げるライトは存在する)。そこは設計書を見ないと分からなそうです。

少なくとも、スペック表にある「300ルーメン/6.5時間」という内容は間違っています。30分ごとに消灯と再点灯を行ったらこれに近づく可能性はありますが、6.5時間よりは長く使えるはずです。

今後の展開

RN1200の公称スペックと実際がかなり異なることが分かりましたが、今後の展開について。

OLIGHT側に連絡

さすがに公称と実際のスペックの乖離が大きすぎたので、OLIGHT側にも実験をしてもらうように依頼しました。今のままではスペックを見て購入するユーザーに不親切すぎますから。

公称スペックが間違っているとなれば修正されるかもしれません。また、製造上のミスということであれば、スペックに合うように次のロットから製品側が修正される可能性もあります。

どちらになるかは分かりませんが、連絡があり次第、続報は書こうと思っています。

スペック表記に関する補足

「最初だけ300ルーメンで後から150ルーメンになるライトを300ルーメンと表記してもよいのか?」という点について、ちょっと補足。

実はこの表記は問題ありません。

ライトのスペック表記でもっとも一般的なのは「ANSI FL1 Standard」という規格です。↓の記事で詳しく解説されています。

ヒカリのカケラ

フラッシュライトの基本性能規格であるANSI FL1に関する説明 (ANSI/NEMA FL 1-2009および、ANS…

ここで、ライトのランタイムについては、以下のように記載があります。

(ランタイムの測定)
照射開始30秒後の出力を100%とし、出力が10%に到達するまでの時間。

(最大光度の測定)
照度測定器を用いて、最大値を記録する。
測定は、点灯30秒後から2分経過するまで行われる。

 

つまり、最初の2分間だけでも300ルーメンを維持していれば、そのライトは「300ルーメンのライト」と名乗れます。そして、300ルーメンの10%の明るさになるまでの時間を点灯時間と名乗れるわけです。ほとんどトンチの世界ですけども。

今回のRN1200の例で行けば、最初の2分間はほぼ照度が変わりません。そして、50%の照度のまま14時間持ちます。

ANSI FL1の表記に従うならばこのライトのスペックは、

「300ルーメン/点灯14時間」

という事になります。90%以上の時間は150ルーメンなのに。ユーザーとしては、このスペックを見たら「300ルーメンが14時間続く」と誤認しかねないので、誠実な表記ではないですね。

まとめ

RN1200のローモードの公称スペックは間違っていることが分かりました。

RN1200は「300ルーメンで6.5時間」ではなく、正しくは「150ルーメンで14~5時間」持つライトだと思います(少なくとも現在販売されているロットにおいては)。

ロングライダー視点では「150ルーメンで14~5時間」のほうが魅力的ではあります。せめて200ルーメンは欲しいのが本音ですが、150ルーメンでも走れる人はそれなりにいるでしょう。また、サブライトと考えれば15時間持つというのは優秀であると言えます。

その性能を目当てに購入するのもアリかもしれませんが、どこかで急に公称スペック通りの製品に切り替わることも有り得るので、購入の際はご注意ください。


ちょっとした検証で終わるはずが、メーカー側に調査をお願いする事態になってしまいました。手間は掛かりましたが、これはこれで意味があったかなと。

私は、ユーザー目線で「おかしな部分はないか」「使いやすいか」を検証するのがモニター・レビュアーの役割だと思っています。今回はご提供頂いた立場ではあるのですが、メーカー側に不利となるであろう話も全て書かせて頂きました。

製品レビューをやるようになってからというもの「公称スペックが当てにならない」というのは常々感じていますが、今回もそうでした。やはり現物の実測は必要です。

RN1200の公称スペックとのズレが、単なる書き間違いなのか、設計・製造のミスによるものかは現段階では分かりません。ただ、スペックを信じて購入したユーザーに不利益がないように、OLIGHTさんには対応頂きたいと思っています。

また何か分かり次第、続報を書きます。

 

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著者情報

年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

 


この記事を書いた人
ばる
ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019年の2回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間13分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)