油圧ディスクレバーの異音の話

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油圧ディスクの「INFINITO CV」に乗り出して半年。

ハンドルのレバー付近から発生した気になる異音と、その原因についてメモしておこうと思います。同じような異音が気になっている方もいると思うので、そういった方向けです。

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ちなみに、これとは別件になります。

目次

異音の内容

その異音の内容ですが、以下のようなものです。

荒れた路面を走った際に、ハンドルのブラケット付近からカタカタと何かが震えるような音と感触がある

ハンドルから音と振動がするわけですね。その振動は地面から直接くる振動とは周波数が違う感じで、もっと細かいもの。操作を誤らせるほどの影響はないものの、なにか気持ち悪いという印象は拭えません。

異音原因

こういった症状は、同じ場所をリムブレーキのロードで走っても起こりませんでした。

ただ、前に乗っていた油圧ディスクの「SCOTT SOLACE」でも同じ異音が発生した記憶があります。どうやら、油圧ディスクでのみ起こる現象のようです。

私の考察

「地面からの衝撃が、ハンドルやSTIの共振周波数とたまたま一致したのでは?」

と私は考えました。モノには特定の共振周波数というものがあり、それと一致する周波数の振動が加わると、振動が増幅する特性があります。自転車界隈で共振周波数に関する問題と言えば、「シミー現象」というものがあります。自転車でダウンヒル時にフレームやホイールが共振してしまい、制御不能に陥るという危険な現象です。

ただ、以前この異音が発生した際のSOLACEのハンドルと、INFINITO CVに付けていたハンドルは別の製品です。共振周波数がたまたま一致することはちょっと考えにくいのではないかと考えました。

となると、犯人は共振ではなく別にいるのではないかと考えました。

Twitterで聞いてみる

そこで、こんな質問を投げてみました。それに対して反応があった中に、気になる投稿がありました。

「レバーが戻る」という現象がどういうものか想像が出来ませんでしたが、その後について別の返信で意味を理解しました。

動画を見ていただくと分かりますが、ブレーキレバーが、本来動く方向とは逆方向に動く機構になっていることが分かります。この機構が地面からの振動で異音を発生させていたわけですね。

確かにこの部分を抑えてレバーが動かないようにしたところ、異音が発生しなくなりました。

原因と発生条件

どのグレードからこの機構があるのかは知らないのですが、少なくともSHIMANOの上位グレードには「ストローク調整機能」というものが搭載されており、レバーの初期位置をある程度調整可能になっています。

この異音は、レバーのストローク調整を行った場合に、レバーをハンドル側に近づけていると起こる現象のようです。

リムブレーキのSTIにもこの機構はあるのですが、リムブレーキの場合はワイヤーでテンションが掛けられており、このように簡単に動くことはありません。

ということで、この現象は「油圧ディスクのSTIを使っており、かつストローク調整でレバーをハンドル側に近づけたときに起こる」現象のようです。

SHIMANOだけ?

この現象はSHIMANOに特有のものなのか、近所のショップで確かめさせてもらいました。

どうやらSHIMANO以外でも起こりうる問題のよう。どうも油圧だと、この「レバーが逆に動く」ようにわざと作られているようにも見え、何らか理由があって設けられている機構なのかもしれません。

異音の防止方法

「レバーをハンドル側に近づけた時」に起こる異音なので、それを防ぐには「レバーをハンドルに近づけない」対策をすればよいわけです。

SHIMANOの油圧STIの場合、ストローク調整用のネジがこの部分にあります。ここを調整して一番レバーをハンドルから遠い状態にしてしまえば、今回の異音が起こることはないはずです。

ただし、レバーが遠くなるため、特に下ハンを握った際にブレーキを掛けるのが難しくなる可能性があります。 調整は慎重に行ってください。

まとめ

油圧ディスクでの異音ネタ、第二弾でした。

初めてディスクを買った時から気になっていた異音の正体が明らかになってよかったです。ただ、「電動にしたら異音が無くなるのではないか」と想定していた私の思惑は見事に外されてしまったわけですが……。

しかし、優秀なSHIMANOの技術者がこうした異音が発生する可能性を考慮していないとは思えません。やはりこの「ストロークの遊び」は何らかの理由があって設けているか、制限事項によって設けざるを得なかった類のものではないかと推測します。今後、解消されると良いのですけど。

SHIMANOのグラベル用コンポーネントであるGRXは、一応「ストロークの遊び」自体は存在するものの、バネがかなり固く、段差程度ではカタカタ鳴らないようになっていました。このコトを考えても、SHIMANOも一応問題として認識しており、少しずつ改善されているのではないかと思います。

次期Dura9200やUltegra8100では、この異音問題が解消されていることを願います。

著者情報

年齢: 35歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

 

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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