TPUチューブを開きにして継ぎ目周辺の構造をチェック

この記事は約 4分で読めます。

パンクして使用不可能になったTPUチューブが溜まってきたので、切り開いて継ぎ目周辺の構造をチェックしてみました。

目次

調査の動機

↓の記事の続きになります。

この時は空気圧低下の調査のためにバルブ周辺の構造を見ました。樹脂バルブを採用することが多いTPUチューブは、バルブとチューブの接着のアプローチが各社で異なっており、色々と興味深い発見がありました。

TPUチューブにはもう一つ特徴的な部分があります。それは、「継ぎ目」です。

ブチルチューブには継ぎ目らしい継ぎ目はありませんが、TPUチューブの場合は製造上の理由で必ず継ぎ目が必要となります。

当初はバルブ周辺だけを調べて終わるつもりでしたが、「バルブ周辺と同様、この部分にも各社の特徴が出るのではないか?」と思い、継ぎ目の部分も切り取って観察してみることにしました。

調査対象チューブ

前回の記事と同じ4種類のTPUチューブです。いずれもパンク済みのものです。

製品名バルブ素材価格
CYCLAMI「TPUチューブ」金属1780円
CYDY「超軽量TPUチューブ ロード用」樹脂990円
Revoloop「RACE チューブ」樹脂3080円
Eclipse「ROAD ENDURANCE TUBE」金属3410円

それぞれの継ぎ目周辺を切り取り、チューブを開いて表面・裏面から確認します。

各TPUチューブの確認結果

各TPUチューブの確認結果を見ていきます。

CYCLAMI「TPUチューブ」

Amazonで売っているTPUチューブ。実売価格は1500円前後。

ちょっと空気圧低下のペースが早く、この調査のきっかけとなったチューブです。

チューブ同士を重ね合わせて接着しています。継ぎ目の大きさは表から見ると7mm程度ですが、裏から見ると10mmほど。3mmほどは接着されていません。これは後から剥がれたのではなく、最初から7mm分しか接着していなそうに見えます。

内側にはグリスのようなベトベトしたものが塗られている

特徴的だったのは、継ぎ目部分の裏面がベトベトしていたことです。時間が経ってもベトベト感が変わらなかったので、接着剤ではなくグリスのようなものだと思われます。

ブチルチューブだとチューブ内での固着防止のためにタルク(白い粉)がチューブ内に入っています。それと同じく、固着防止のためのグリスなんでしょうか? ただ、チューブの全体の裏側がベトベトしているのではなく、継ぎ目周辺のところだけベトベトしているのが不思議でした。

CYDY「超軽量TPUチューブ ロード用」

こちらもAmazonで売っているTPUチューブ。

「安いTPUチューブ」というと、国内では1500円前後のものが主流。CYDYのチューブは1本あたり990円と、更に安い価格で販売されています。

継ぎ目の幅は7mm程度。ただ、CYCLAMIとは違って「接着されていない3mm」の余白はありません。

CYCLAMIほどではないがベタベタしている

こちらも裏側の継ぎ目周辺は少しベトベトしています。CYDYのチューブも、ベトベトしているのは継ぎ目周辺だけで、バルブ周辺は特にベトベトしていません。

Revoloop「RACE チューブ」

ドイツのRevoloop。個人的には品質が最も安定しているTPUチューブだと思っていますが、この個体は低圧運用時に段差でリム打ちパンクをしたものです。

Revoloopは継ぎ目が細めで5mm程度。

貼り付け面が少し剥がれている

裏面は少しだけ剥がれが見られました。Revoloopを使った人で「継ぎ目からパンクした」という人の話を聞いたことがありますが、ここを見るとそれもありそうです(私は継ぎ目からのパンク経験はなし)。バルブ周辺は堅実だったので、継ぎ目部分も頑張ってほしい所。

これまでの2本にあったベトベトさはRevoloopにはありません。元々細かい梨地の質感であるRevoloopは固着を気にする必要がないのかも。

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Eclipse「ROAD ENDURANCE TUBE」

Revoloopと同じくドイツのブランド、「Eclipse」のTPUチューブです。金属バルブ採用。

EclipseはTPUチューブに関する製造特許を色々持っているようで、バルブ周辺の構造も他社とは一味違いました。

継ぎ目の構造も他社とは一味違います。なんと、継ぎ目の幅は2mmほどしかありません

構造を見ると、こんな感じで重ね合わせて溶着し、余分な部分はカットしている(点線部分)ように見えます。カット時のバリが少しだけ残っているのが分かります。これも特許技術なのかもしれません。

ただ、私はこれまでEclipseのチューブを3本使いましたが、1本はここの継ぎ目でパンクしています。さすがにちょっと幅が細すぎる気はします。

なお、継ぎ目周辺の裏側のベトベトはEclipseにもありませんでした。

まとめ

「TPUチューブを開きにして継ぎ目周辺の構造を確認してみた」記事でした。

接着方法はEclipse以外は似た感じでしたが、Eclipseはやっぱり変わった構造ですね。

そして気になる謎の「ベトベト」。CYCLAMIに関しては私以外にも開きにして裏側を観察した人がいましたが、やはりベトベトしていたそうです。ということは何らかの意味があって塗られているということになりますが……一体どんな意味があるんでしょうね。気になります。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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