大阪→東京キャノンボール ⑤清水→箱根湯本

最難関のバイパス区間へ

ガンダム(注: 当時は静岡のバンダイに設置されていた)を右手に見ながら東静岡駅前を通過し、清水の駅前を通過する。江尻大和交差点は大阪→東京の方向だと右折になるため、走りにくかった。

清水を過ぎると、静岡で一番ややこしいバイパス多発区間に突入。富士由比バイパスはお決まりの歩道を使って回避。寺尾の交差点から、旧東海道へ。蒲原を通って、新富士川橋を渡る。新富士川橋は向かって右側(下流)の歩道を走ったほうがいい。こちらの方が幅が広いから。そして、相変わらずこの橋からの富士山の眺望は素晴らしい。

富士川越え

新富士川橋を越えて1kmほどの宮島東交差点で北へと進路変更。潤井川を越える陸橋は自転車通行が不可のため。後で知ったが、ここは抜け道があるらしく、わざわざ北へと行く必要はなかったようだ。

交差点を曲がってすぐのサークルKで休憩。ここに来て筋肉痛だけではなく、体にダルさが出始めた。「しっかり食べておかないと」と思い、サンドイッチを買ったが……上手く口に入ってくれない。出発から17時間、ついに胃が参ってきたらしい。そして、豊橋で30分あったはずの貯金を見事に使いきったことに気づく。元々、余裕を持って計画は立てていたが、一度予定から遅れればそのままズルズルとペースが落ちるのは目に見えている。何としても予定に遅れないよう、踏ん張らなければならない。

K380は微妙に向かい風だったが、下ハンを持ってダッシュ! なんとかオンスケジュールのまま沼津~三島を通過し、箱根入り口のセブンイレブンに滑りこむ。時刻は15:40。本来ならこの時間には箱根を登り始めていたかった。しかし、ボトルは既に空だし、補給も尽きている。箱根前の借金発生は避けたかったが、仕方ない。

天下の険

さて、ここを出ればR1最強の山・箱根である。

ここを越えても残りの距離は100kmあるが、事実上のラスボスと言って良い。距離15km、標高差800m、海外レースの基準で言えば1級山岳に分類される天下の険。400kmを走ってきた脚にはあまりにも高い壁と言える。予定から遅れているため気持ちは焦るが、全く脚がついてこない。たかだか7~8%の坂がこんなにキツいなんて。「休むダンシング」を使って、時速10km以下の時間が続く。何度も脚を攣りそうになりながら、だましだまし登っていった。

この時、頭に流れていたのは「ヒメッ!」というワード。ご存知、「弱虫ペダル」ネタ。尻は痛いし、筋肉痛は酷いし、胃は固形物を受け付けなくなっている。そんな状況で自分を奮い立たせる手段はこれくらいしか思いつかなかった。我ながら滑稽である。

箱根の神奈川側は何度となく登っているが、静岡側を登るのはこれが2度目。遡ること3年前、まだMTBでダイエットに励んでいた頃のこと。体重を130kg→108kgまで減らした自分は

「20kgも落としたんだし、そろそろ行けるだろ!」

と壮大な勘違いをしつつ、輪行で沼津から箱根アタックを敢行。案の定、すぐにラストギアを使い切り、死にそうになりながら1時間45分を掛けて昇りきった。まぁ100kgを超えてるにしては頑張ったと思う。


あれから体重は更に30kg減り、幾多の山を登ってきた。しかし、この日のタイムは……1時間15分。激遅。サラ脚で登れば、50分は切れるだろう。しかし、400kmの距離が脚に与えたダメージは想像以上に大きかった。初めての箱根よりもキツい……いや、それまでの自転車人生で一番辛いヒルクライムであったと思う。

でも、足をつくことはなく登り切った!この時の充実感は苦しかった分だけ格別。

「神奈川県」

の文字を見て、同時に安心感もこみ上げる。ここから先は勝手知ったる地元・神奈川。残り時間は5時間半、距離は100km。この先、山岳はない!あとは事故に気をつければ達成はほぼ確実。改めて気を引き締めた。

箱根ダウンヒル

芦ノ湖の自動販売機で飲み物を購入。時刻は17時を過ぎ、辺りは暗くなってきている。本来はこの場所を16時半に通過するはずだったが、スタート時間を40分遅らせたために、日没を迎えてしまった。下りが苦手な自分としては、箱根の下りを何とか明るいうちにこなしたかったが……。

箱根から小田原へ下るルートは、R1と箱根旧道の2通りがある。暗くなってきているため、路面も悪く勾配も急な箱根旧道は避けたかったが、この日は3連休の最終日。R1は恐らく大渋滞だろう。折角稼いだ位置エネルギーを無駄に消費するのは勿体無い。怖くはあるが、当初の予定通り箱根旧道で下ることを決めた。

「畑宿入口」交差点を右に入り、お玉ヶ池のあたりに差し掛かった辺りで目を疑った。

……渋滞してる……

普段は箱根旧道が渋滞するなんてありえない。しかし、今日は3連休の最終日。しかも秋の箱根である。まさかここまでとは。

ただでさえ下り難い箱根旧道だが、車がいると輪をかけて下り難い。ブレーキを消耗しつつ下って行くが、悪い路面にハンドルが取られる。そしてEdge705が落下。早く下まで下りたいが、全然高度が下がってくれない。箱根は登りも辛いが、下りも地獄だ。

命からがら、箱根旧道入口の三枚橋交差点に到着。ここから先は何度となく走った見知った道。地元の安心感からか、心細さと眠気が一気に吹き飛んだ。

残るは平坦85km。リベンジ達成まであと少し!

次のエピソード

渋滞峠 命からがら箱根を抜けると、そこは地元・神奈川県。これまでの心細さと疲労はどこへやら。走行時間も19時間を過ぎて本来なら眠くて仕方ないはずが、地元の安心感で力がみなぎる。 「平塚過ぎてあと65くらいです。行きます! (10/11 […]

IMG