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Panaracer「AGILEST FAST」購入
Panaracerの新タイヤ「AGILEST FAST」を買ってみました。
購入まで
AGILEST FAST購入に至るまでの流れを書いていきます。
AGILEST FAST、発売
2023年7月、Panaracerは新フラグシップタイヤ「AGILEST FAST」を発売しました。

キャッチフレーズは「ROAD、最速解。」。前作の無印AGILESTからたった1年4ヶ月でのフラグシップタイヤのリリースと聞いて少し違和感がありました。
通常、各タイヤメーカーの世代が変わるのは3~4年周期。Continentalあたりは10年周期くらいです。AGILESTの発売は2022年3月。たった1年4ヶ月で新タイヤが出てくるというのは異例中の異例と言えます。

2023年6月のEUROBIKEで「アジリストの上を行くプロトタイプ」として初めてお披露目されたAGILEST FAST。それだけ自信はあるようで気にはなりました。
ただ、時はPBPの1ヶ月前。準備に忙しくて新しいタイヤを試している暇はありませんでした。
ジャパンカップで説明を受ける
PBPも無事に終わり、10月に宇都宮で開催されるジャパンカップを観戦しに行きました。
ジャパンカップ開催時には、オリオン通りが自転車関連ブースで埋まります。ここを見るのはジャパンカップ本戦前日の楽しみの一つ。
その中にPanaracerのブースが。折角の機会なので、気になっていたAGILEST FASTについてスタッフの方に説明を受けました。
そこで気になったのは、「某社外機関による測定では、転がり抵抗が他社有名タイヤよりも良い値が出ていた」という話。

cyclowiredの記事にも以下の記述があります。
海外にある外部検査機関に依頼をして客観的な性能評価も実施した。
その結果は、転がり感の高さで人気の高い某海外ブランドを凌駕する数値を記録しており、AGILEST FASTの性能は、まさに世界に誇れるレベルであると言えよう。
AGILESTは体感での転がりは軽いものの、BicycleRollingResistanceによる転がり抵抗の測定ではContinentalやMichelin、Goodyear、Vittoriaのトップグレードに対して後塵を拝していました。
Panaracerが測定を依頼した機関は公開されていませんが、AGILEST FASTは錚々たるメンツに対して機械的な測定でも勝る数字を出した様子。
私が走るのは主にブルベですが、速く走れるタイヤがあるならそれを選びます。低い出力でも同じ速さで走れることになりますし、同じ出力ならばその分途中で休めることにもなります。レーサーでなくても速いタイヤを使うメリットはあるわけです。
タイヤ選びは転がり抵抗だけでは決まりませんが、気になるので購入してみることにしました。
AGILEST FASTは現時点ではクリンチャーモデルのみの展開。25Cと28Cがありましたが、他のタイヤと比較する意味で25Cを2本購入しました。
Panaracer「AGILEST FAST」
AGILEST FAST(25C/クリンチャー)のファーストインプレッションです。
チューブはPanaracer「R’AIR」、取り付けるリムはTOKEN「KONAX PRO(内幅20mm)」。比較対象は、前モデルのPanaracer「AGILEST CL」です。
パッケージ
見る方向によって色の変わる凝ったパッケージを採用しています。
パッケージ裏。注意事項などが書かれていました。
重量
25Cの公称重量が190g(後に200gに修正)だったAGILESTに対し、AGILEST FASTは公称重量が230g。新ETRTOに対応する25Cタイヤとしては重量級に属する重さです。
実測してみると、227g/226gとやや下ブレ。それでも旧ETRTOのGP5000とあまり変わらない数値です。
試しにケーシング幅も計測してみましたが、無印AGILESTの25Cと変わりません。ここが増えていないとすると、サイド・トレッド部分が少し厚くなっているということでしょうか。
ちなみに、現在の各ブランドのフラグシップモデルのクリンチャー25Cの公称重量は以下の通り。
製品名 | 発売年 | 公称重量 |
Continental「GP5000」 | 2018年 | 225g |
Michelin「Power Cup」 | 2022年 | 215g |
Vittoria「Corsa」 | 2021年 | 255g |
iRC「ASPITE PRO RBCC」 | 2022年 | 220g |
BRIDGESTONE「R1X」 | 2023年 | 215g |
PIRELLI「P ZERO RACE(26C)」 | 2022年 | 205g |
GOODYEAR「Eagle F1 R」 | 2023年 | 205g |
こう並べてみると、AGILEST FASTは「やや重め」くらいの位置になりますね。Vittoria Corsaは何でこんなに重いのだろう……?
タイヤ裏側。見た目はAGILESTと一緒ですが、AGILEST FASTは電子線照射なる処理が追加されているそうです。平滑度を高めて、発熱を抑えることで転がり抵抗を低減するんだとか。
組付け
さて、タイヤをホイールに付けるわけですが……今回一番苦戦したのがここです。
タイヤ自体が固かったわけではありません。とにかくカスが出ました。
最初からここまで真っ白だったわけではなく、取り付ける際にこすったことで白くなりました。これがポロポロと床に落ちます。これは離型剤と呼ばれるもので、金属の型からタイヤを外しやすくするために塗られるもの。販売時の劣化防止の意味合いもあると聞いたことがあります。
前作・AGILESTはこの離型剤がベタベタする感じがありましたが、AGILEST FASTはベタベタ感はありません。固形のロウのような感じ。離型剤が変わったんですかね。異物は拾いにくそうでした。
ただ、気持ち悪いのでとりあえずぬるま湯を付けたマイクロファイバータオルで拭き取れるだけ拭き取っています。
取り付け完了。写真では良く分かりませんが、パッケージと同じく角度によって色が変化するロゴになっています。
太さ
内幅20mmのホイールに取り付けて、26.68mmでした。
C19のリムに取り付けた時に25mmになるはずですが、それでも随分太めです。
パターン
表面のパターンは特に無し。スリックタイヤです。
耐パンクベルト
AGILEST FASTはトレッド下に耐パンクベルトが入っています。
AGILESTは「TF Super Belt」という名前の耐パンクベルトでしたが、AGILEST FASTは「AGILE-F BELT」という別の耐パンクベルトに変わっています。
どのあたりが変わったのかイマイチ分かりません。
実走
夜練でいつも使っているコースに行き、それなりに頑張って走ってみました。平坦で信号のない一周4.2kmのコースです。
驚いたことに、今年91回目の同区間のチャレンジでベストタイム。
翌日、エアロヘルメットに変えて93回目のチャレンジでまたもベストタイムを8秒も更新。このコースを走って10年くらいですが、ここ数年切れなかった7分の壁を破りました。
速さは走っていても感じるんですが、その他の特性にクセのようなものは感じなかったです。
Panaracerサイトでは、AGILEST FASTのパラメーターがこのように表されています。無印AGILESTは3項目共に「8」です。
「ツーリングへの適正はAGILESTより劣る」と自己申告しているわけですが、乗り心地も特に悪いとは感じられません。重量増による厚みもあるはずで、耐パンク性能も上がっていそうな気がするんですけどね。この「Touring」の数字が低い根拠が気になります。
なお、20kmほど走ってきたら残っていた離型剤も綺麗に剥がれました。綺麗な路面しか走っていませんが、今のところトレッド面の切り傷などもありません。
価格
税込9900円と、ギリギリ1万円を下回っています。他社は定価1万円オーバーが多いので相対的には安いのですが、Panaracerは元々のタイヤの価格設定が安めなので、ちょっと高くは感じました。
Amazonでの実売は2023/11/28現在で7090円~です。
まとめ
とりあえず「FAST」の冠に偽りはないように感じました。
もう少し話題になっても良い性能だと感じるんですが、周りで使っている人は見かけません。Panaracer側の宣伝攻勢も無印AGILESTのデビューの時よりもトーンダウンしている感じがしますが、「使えば分かる」ということなんですかね。
まだ50kmほどしか乗っていないので耐久性・耐パンク性・ウェット性能については未知数ですが、それは追ってレビューしようと思います。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。