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PBP 2019 ドロップバッグについて
PBPの準備の一つ、「ドロップバッグ」について解説します。
ドロップバッグとは
「バッグを道中のPC(チェックポイント)で受け取れる」サービスを指します。
走行中に必要となる荷物
PBPの距離は1200km。日付にすると四日間。あらゆるトラブルを対策出来るだけの装備を持って走る必要があります。
例えば、ウェアの替えや、予備の電池などが代表的な荷物となるでしょう。
しかし、全ての荷物を持って走るとサドルバッグを相当大きくしなくてはなりませんし、相当重くなります。
日本国内ならコンビニで大抵の問題は解決しますが、フランスにはそんな便利なものはありません。
サービスで解決
そこで登場するのがドロップバッグサービスです。
サービス提供業者が道中のPCまでバッグを運んでくれるので、必要な荷物をそこで取り出せば、余分な荷物を持って走らなくても済むわけです。
更に、業者はPCからスタート地点までも荷物を運んでくれるので、不要となった荷物をバッグに入れてしまえば、更に軽量化も可能です。
サービスの流れ
一般的なサービスの流れは以下となります。
- 出国前に、業者に対してサービス申し込みを行う。
- フランス入国後、スタート前に業者にバッグを預ける。
- ~業者によるバッグ輸送(スタート地点→PC)~
- PCで業者からバッグを受け取る。
- バッグから必要なものを取出し、不要なものをバッグに入れる。
- 業者にバッグを預ける。
- ~業者によるバッグ輸送(PC→スタート地点)~
- ゴール後、業者からバッグを受け取る。
PBPは往復コースなので、往路と復路の2回、バッグを受け取る機会があります。
上記の流れで言うと、④~⑥は往路と復路の2回行われることになります。
日本の業者によるサービス
ドロップバッグサービスは、各国の業者が実施しています。
日本で実施している業者は「グッディースポーツ」です。
グッディースポーツはPBPパックツアーを提供している業者ですが、ツアーに参加しなくてもドロップバッグのみのサービス利用が可能です。
サービス内容
グッディースポーツの場合、サービスの内容は以下となります。
・料金: 5000円/1バッグあたり
・預入場所: 8/18(スタート当日) サンカンタン周辺(3か所)
・受領可能PC: Loudeac(445km、779km地点)
・返却場所: 8/22(ゴール当日) サンカンタン周辺(1か所)
バッグは、業者指定のバッグのみ受け付けてもらえます。折りたたみ式のボストンバッグです。サイズから計算した容量は34リットルなので、結構な量の荷物が入ります。
預入時の様子。スタート前日に、業者指定場所に回収用の車が来るので、そちらにバッグを預けます。
LoudeacのPCの様子。預け入れたバッグが整然と並べられます。バッグにはナンバーシールが貼られているので、それで自分のバッグを特定します。必要な荷物を取出し、不要な荷物を入れて、業者に再度バッグを預けます。
受取時の様子。ゴール当日に、業者指定場所でバッグを回収します。指定時間内に回収しないと処分されてしまうので注意。
海外の業者によるサービス
日本の業者だけでなく、海外の業者もドロップバッグサービスを実施しています。
やはりPBPパックツアーの一環としてやっている所が多いようなので、ドロップバッグサービスだけ利用可能かは不明です。
一例として、アメリカの「TravelHaus」という旅行会社がドロップバッグサービスを受け付けているようです。
バッグの受け取り場所をLoudeacだけではなく、217km地点と1009km地点に位置する「Villaines-la-Juhel」というPCを受取地点に選ぶことが可能になっています。
ただ、開始200㎞と残り200㎞の段階で追加装備が欲しくなるかと言えば少々疑問ではありますが……。
詳しく探してはいませんが、探せば他の国のサービスも見つけることが出来るでしょう。日本人が利用可能かどうかは、直接問い合わせてみてください。
ドロップバッグの使用例
前回2015年にグッディースポーツのドロップバッグサービスを利用しました。
私がドロップバッグに入れた荷物は以下のようなものです。
大まかにまとめると、「着替え」「レインウェア」「補給食」「電源」を入れました。
着替え
PBPは約4日間に渡って走り続けます。
8月半ばの開催ですが、日本と違って湿度が低いので、真夏とは言えそこまで汗はかきません。
ただ、さすがに4日間同じ服なのは衛生的にも不味いですし、それによって股ズレを誘発することもあります。コインランドリーがあれば最高ですが、コース上で見た覚えはありません(都市部にはあるようですが)。
着替えは往復で1回ずつ着替える分があればよいでしょう。1日分ずつセットにして袋に分別しておくと分かりやすいと思います。
レインウェア
2015年は道中ほとんど雨が降らない予報だったので、レインウェアは最低限のものだけ持って走りました。
夜は一桁気温になるので、レインウェアは防寒着にもなるんですよね。ただ、本格的なレインウェアは割と重いので、ドロップバッグに入れることに。
ゴール直前の30㎞くらいは小雨に降られましたが、結局本格的なレインウェアは使わないままゴールしました。なお、ゴール直後に大雨になったので、濡れながらホテルへと帰りました……。
補給食
PC内には、レストランやバーなど補給食を調達できる場所は沢山あります。
ただ、現地の食べ物が体に合わなかったり、日本の食べ物が懐かしくなった時のために、いつも食べている補給食を入れておくことをオススメします。結構な気分転換になります。
電源
PC内では食べ物は手に入りますが、充電を公式にさせてくれる場所はありません。
最近の自転車は電源が必要な機器も増えたので、それらへの給電をスタートからゴールまで出来るだけの設備を揃えておく必要があります。
電源が必要な機器の例を以下に示します。
- フロントライト
- テールライト
- サイクルコンピュータ
- スマートフォン
- WiFiルータ
- 電動変速装置(Di2など)
充電が必要な機器は、それを充電できるだけのモバイルバッテリーが必要です。
私はスマートフォンくらいしか充電するものを持っていなかったので、10000mAhあれは十分でした。Loudeacでの仮眠中にスマートフォンを充電し、起床後にバッグに戻すという運用にしました。
電池の入れ替えが必要な機器は、対応する電池を用意しておきましょう。フランスに行ってからでは中々手に入らない電池もあるので、日本から持って行くことをオススメします。
なお、電源が必要な機器(なかでも充電系のもの)は最小限にしておいた方が良いです。なかなか充電している時間も取れませんので。
例えば、Wi-Fiルータの持参はオススメできません。充電が必要だからです。SIMフリーのスマートフォンに現地SIMを使えば、電源の必要な機器は減らせます。
サイクルコンピュータも、電池式のeTrex30を使い、充電する時間を省略しています。
ハブダイナモを使っている方は、電源が必要な機器が一気に減る(ライト類の充電・電池交換が不要)なので、理想的であると言えます。ただ、私は走行時の負荷が気になるので使っていません。
注意点
ドロップバッグサービスには引き上げ時間があります。バッグを回収して、スタート地点に運ぶ必要があるからです。
具体的な運用マニュアルは分かりませんが、普通に考えれば復路のPCクローズ時間には引き上げが始まるはずです。具体的には、90時間組の21時スタート(最終ウェーブ)のクローズ時間となるでしょう。
引き上げ時間までにPCに到着しないと、当てにしていたバッグが受け取れないという事態が発生します。
PCクローズ時間に間に合っていないので認定されないことは既に確定しているわけですが、「認定外でも完走したい」という場合にバッグが受け取れないというのは精神的ダメージが大きいはずです。
このため、最低限走るのに必要なものはバッグに入れず、持って走るようにした方が良いでしょう。
また、バッグが置かれるPCに復路でタイムアウトになりそうな場合、既にバッグが引き上げられていることを覚悟しておく必要があります。
まとめ
ドロップバッグサービスの概要と注意点について解説しました。
必ずしもドロップバッグサービスを使う必要は無いのですが、使うことで完走が近づくサービスだと思います。確かに全ての荷物を持って走るのは安心感が大きいのですが、荷物が多すぎるとスピードの低下を招きます。
うまくサービスを活用して、完走の足掛かりとしてください。