PBP 2019 参加者向け書類の要点

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PBP公式サイトに、Dossier participant(参加者向け書類)がアップされています。サイト内の掲載情報よりも新しく、詳しい情報が書かれています。参加者の人は一読したほうが良いでしょう。

この記事では、私が一通り読んで重要そうだと思った部分をピックアップして紹介します。

目次

参加者向け書類に書いてあること

ダウンロードしてきたZIPファイルを解凍すると、複数のドキュメントが展開されます。ドキュメントの主なトピックは以下です。

  • キューシート
  • スタート前日の案内(車検&参加者向けアイテムの配布)
  • スタート当日の案内
  • PCで提供されるサービス内容の説明
  • 安全憲章(心がけるべきこと)
  • アドバイスと推奨事項(走行中の注意)
  • 道路案内について(ルート上の矢印マーク)
  • タイムテーブル(各PCのクローズ時間)
  • 各種マップ
    – スタート前日
    – スタート当日
    – ゴール日
  • 保険内容の案内

他にもサポートカーに関する書類もありますが、日本人で使う人は三船さんくらいしかいなそうなので省略します。

2019 GB C – Check-in.doc

スタート前日の案内が書かれているドキュメントです。前日の動き方はこれを見れば分かります。

会場はランブイエのBergerie Nationale。直訳すると「国立牧場」のようですが、農業高校の研修場として使われている場所とのこと。その入口近くの大きなテントで前日受付を行うと書かれています。

以下の順番で動くことになるようです。

  1. 車検
  2. 参加者向けアイテムの配布
  3. 不足品を買う
  4. 会場から出る

各工程について重要そうな部分を解説します。

車検

ライトがちゃんと付いているか、ブレーキは効くかなどをチェックされます。各パーツがきちんと車体に固定されているかも確認されるようです。

以下のものを持参せよと書かれています。

  • 登録書類 (PBPの運営から送られてきたPDF)
  • 自転車

PDFは印刷したものでも、画面で見せても良いようです。一応、私は印刷したものを持って行きます。

車検が問題ない場合について、以下のように書かれています。

if everything is OK, the controller will paste a sticker with your frame badge number on your bike and will give you a ticket with your frame badge number that will enable you to obtain your ride items.

前回は持参した登録書類にハンコを貰う運用でしたが、今回は「自転車にステッカーを貼る」と書かれていますね。同時に、参加者向けアイテムと引き換えるためのチケットを貰うようです。

その後、自転車を駐輪場に置いて、参加者向けアイテムの受け取りに向かいます。駐輪場は参加者以外は入れなくなっているはずなので、盗難は心配ないでしょう。

参加者向けアイテムの配布

ブルベカードや、反射ベスト、記念ジャージなどをここで受け取ることになります。

言語別に受付が別れています。前回は国旗が掲げられており、英語での受付を希望する場合にはイギリス国旗の受付に行きます。日本人が多いので日本語受付があったら良いんですが、まぁ無いでしょう。

受付では以下のものを提示します。

  • 身分証明書(パスポート)
  • 車検通過時に貰ったチケット

チケットと引き換えに、以下のものがバッグに入れた状態でもらえると書かれています。

  • 識別用リストバンド
  • ブルベカード
  • フレームナンバー(ハンドル用・フレーム用)
  • 反射ベスト
  • 記念ジャージ

リストバンドは前回無かったアイテムです。参加者とそれ以外の人を判別するためのものですかね。

受付でもらえるものは、受付時に申し込んだものによって違います。

内容にクレームがある場合は、クレーム受付に行くように書かれています。実際、反射ベストは作りが雑なものが多く、その場で問題がないか確認したほうが良いでしょう。

不足品を買う

受付会場には色々な店が出ると書かれています。ここで走行に必要な大抵のものは揃うはずです。何か忘れ物があれば買っておきましょう。

会場から出る

駐輪場に行き、自転車を持って会場を出ます。その際にはボランティアの方が車検済のステッカーとリストバンドを確認するようです。

そして、気になる記述があります。

You can drop a bag (now or before the start) and get it back upon arrival.

どうも、ランブイエで荷物を預かってくれるようですね。料金が書かれていないので無料なのかもしれません。

私はホテルの1室を期間中ずっと抑えてそこに荷物を置きますが、そうでない方はこのサービスを使うのも良いでしょう。

2019 GB D – Start.doc

スタート当日の案内が書かれているドキュメントです。当日の動き方はこれを見れば分かります。

集合時間は、スタート時間の45分前と書かれています。私は17:45スタートなので、17:00に会場へ向かいます。

実際にはスタート前の食事券を買ったので、もう少し早く着いて食事をしているはず。ただ、前回は早々に食事がなくなっていたので、今回も何もないかも知れません。

注意したいのは、スタート会場は受付会場とはまた違う場所であるということ。1kmほど北東にスタート待機エリアがあります。


せっかくなので位置関係を纏めてみました。前日受付とゴール地点は同じ場所スタート地点だけ違う場所です。

注意書きとして、強調されてこう書かれています。

You must have your frame badge and your brevet card.

ブルベカードの持参は当然として、前日貰ったフレームナンバーをちゃんと自転車に付けてくる必要があります。スタートエリアに入ったところで、ボランティアの人がブルベカードにチェックを入れてくれるようです。このスタートのチェックがないと認定されない可能性があると書かれています。

フレームナンバーを強調する理由も書かれていました。

the chip on your frame badge positioned vertically will be automatically detected at the crossing of the line to register your precise start time

なんと、フレームナンバーに計測チップが入ると書かれています。

計測装置はスタートだけではなく各PCの入り口に置かれており、PCに入る時点で読み取られます。読み取った結果は即座にシステムに反映され、こちらのトラッキングページからリアルタイムでどこにいるかを確認出来るわけです。

前回はマトリックスパワータグのようなアンクルバンドを足首に巻きましたが、今回は自転車にチップが取り付けられるわけですね。

スタート15分前には、待機エリアからスタートエリアに移動。スタート時刻になったらスタートします。

前回と同じなら、フランス語による10秒前からのコールが入ります。1ウェーブの人数は約300人。さながらツール・ド・フランスのTTステージのスタートのような雰囲気を味わえるはず。

従来であればスタートからしばらくはニュートラルカーの先導があったのですが、その辺りの話は明記されていません。

一応レギュレーションには車による先導がある(first kilometres=最初の数km)と書かれているので、今回もあると考えたほうが良いと思います。ここでニュートラルカーを追い抜くとペナルティの対象になるので追い抜かないようにしてください。

2019 GB F – Services provided.doc

PCの設備について書かれているドキュメントです。

まず、重要なのは以下の記述です。

Cycle parks and control areas are reserved for riders.

「駐輪場は参加者しか使えないようにされている」ということです。

当ブログへのコメントで盗難についての質問をいただきましたが、これがあるのでリスクは比較的低いと思います。ただ、参加者の中にも良からぬことを考える人がいないとも限らないので、高価なパーツ(フロントライトやGPSなど)は外した上で離れたほうが良いでしょう。

PC内の設備については、こちらの記事に書いたとおりのことが書かれています。

一つ付加情報として、以下のことが書かれていました。

You can pay cash, or in some sites, by credit card (Dreux caterer, self Mortagne, Quédillac, self Loudéac, Carhaix, Brest).

ドルー、モルターニュ・オ・ペルシュ、ケディアック、ルデアック、カレー、ブレストではクレジットカードが使えるとのことです。

わざわざこのように書くということは、他のPCではクレジットカードは使用できないのかも知れません。なお、フランスでは一般の商店でクレジットカードは大抵の場合使用可能です。

そして、前回のPBPでは無かった話が書かれています。ゴールに設けられた設備の話です。

① From Tuesday noon to Thursday evening, a meal will be offered to the finishers in the big tent.
Showers will be available to the participants for free at Racinay gymnasium (at 3.4 km, free shuttle service).
③ About 200 sleeping places will be available to the participants for free.
④ A post-ride buffet will be offered to all present Thursday, August 22 around 18:30.

  1. 火曜日(8/20)の昼から、木曜日(8/22)の夜まで完走者向けの食事が提供される。
    → これは前回もありました。前回は弁当が用意されていた気がします。
  2. 参加者は無料のシャワーをラシネイ体育館にて無料で利用可能である(ゴールから3.4km、シャトルバスあり)。
    → これは今回初。ゴール後にシャワーを浴びられるのは嬉しい!
  3. 参加者は仮眠スペース(200人分)を無料で利用可能である。
    → これも今回初。夜中にゴールしてもホテルの心配がありません。
  4. ゴール後のビュッフェが木曜(8/22)の18:30から開かれる。
    → これは前回あったかは不明。多分私はホテルに帰って寝てます。

前回までのゴールであったサンカンタンはパリからも近く、割とホテルも多かったですが、今回のランブイエは宿泊場所がほとんどありません。それゆえ、主催からのサービスが充実したのでしょう。

最後に、このように書かれています。

PLEASE RESPECT THE PEOPLE AND THE ENVIRONMENT OF THE HOST SITES.

PCが設けられている街の方と、ボランティアの方、そして環境への感謝を忘れないようにとのことです。

2019 GB G – Rider safety charter.doc

参加者が安全に走るために心がけることが書かれています。

書いてあることは概ねランドヌールにとっては当たり前の事が多いのですが、一点これまでに無かったことが書かれています。

An identification wristband for riders and volunteers

前述のリストバンドの話です。「identification」とあるので、恐らくはフレームナンバーと同じ数字が刻まれるのでしょう。何かしらトラブルが合った場合の個人識別に使われるということかもしれません。

2019 GB H – Advice and recommandations.doc

主催からのアドバイスと推奨事項が書かれたドキュメントです。

こちらも割と当たり前のことが書かれていますが、仮眠所での振る舞いなどについては目を通しておいたほうが良いと思います。

注目すべきは、「aware of the following particularly hazardous spots」の項目です。

. crossroads in La Hutte (km 1044 on the way back): You cross the busy road N138 (which connects Le Mans to Alençon)
. crossroads in Le Ribay (km 235 on the way out; km 994 on the way back): You cross the busy road N12
. stop sign in Bécherel on the way back (km 859): You must stop in a downhill, before crossing the busy road D27 (which connects Rennes to Dinan).

基本的にはPBPでは田舎道をひたすら走りますが、たまに幹線道路と交差します。そうした危険な箇所を提示してくれています。確認しておきましょう。

2019 GB I – Road signage – Rider tracking – Information.doc

コース上に設置される矢印型の看板のことと、参加者のトラッキングページについて書かれたドキュメントです。

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このような看板が路上に数百箇所設置されています。これを余さず辿って走れば、GPSは要らないとも言われるほどです。実際には結構見逃してミスコースするのでGPSは必須だと思いますが。

このドキュメントによると、3種類の看板があるそうです。

  • 往路向看板(BRESTと記載): 黄色背景に、ピンクと灰色の矢印が書かれています。
  • 復路向看板(PARISと記載): オレンジ背景に、青と灰色の矢印が書かれています。
  • エラーサイン: 緑の背景に赤い色の×が書かれます。間違えやすい場所に置かれるようです。

トラッキングページについては、前述のとおりです。

2019 GB J2 – Control timetable (90h).doc

PBPのタイムテーブル(各PCまでの距離・クローズ時刻)と、リタイヤしたときにやることが書かれています。今回紹介するのは90時間の部向けのドキュメントですが、もちろん80時間用・84時間用のドキュメントも存在します。

普通の1200kmブルベの場合、

  • 600kmまでのPCクローズ時刻計算: 15km/h
  • 600-1000kmまでのPCクローズ時刻計算: 11.4km/h
  • 1000-1200kmまでのPCクローズ時刻計算: 13.3km/h

と変化します。実は1000km以降はちょっと求められる平均速度が上がります。

しかし、PBPは独自ルールなのか、クローズ時刻の設定に法則性がありません

要求区間時速

グラフで表すと上記のようになる(青線: PBP, 赤線: 通常の1200kmブルベ)ので、概ね距離と比例して求められる平均速度は落ちていきます。とはいえ、ここに書かれたものは正式なクローズ時刻なので、このタイムテーブルをもとに計画を立てるようにしましょう。

2019 GB L1~L4 *.doc

受付・スタート・ゴール地点となる街・ランブイエの地図です。Googlemapと見比べながら動き方をイメージしておきましょう。

2019 GB M – Information about riders’ insurance.pdf

PBP参加者に掛けられている保険内容について書かれたドキュメントです。不幸にも事故に遭ってしまった場合、これを読む必要があります。

なお、こういった保険は最低限のものと考えたほうが良いです。海外では健康保険が効きませんので、病院では全て実費が請求されます。数百万円掛かることも珍しくありません。自分で海外旅行保険には入っておくようにしましょう。

まとめ

参加者向けドキュメントで、重要そうな点をピックアップしました。

だいたいこの記事で要約をしたつもりですが、私の判断で必要ないと思うものは省いています。一度は全てのドキュメントに目を通しておくことをオススメします。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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