この記事は約 7分で読めます。
PBP 2023 ドロップバッグについて
PBPの準備の一つ、「ドロップバッグ」について解説します。
ドロップバッグとは
「荷物を入れたバッグを、道中のPC(チェックポイント)で受け取れる」サービスを指します。
走行中に必要となる荷物
PBPの距離は1200km。日付にすると四日間。あらゆるトラブルを対策出来るだけの装備を持って走る必要があります。
例えば、ウェアの替えや、予備の電池などが代表的な荷物となるでしょう。
しかし、全ての荷物を持って走るとバッグを相当大きくしなくてはなりませんし、かなり重くなります。
日本国内なら24時間営業のコンビニで大抵の問題は解決しますが、フランスにはそんな便利なものはありません。
サービスで解決
そこで登場するのがドロップバッグサービスです。
サービス提供業者が道中のPCまでバッグを運んでくれるので、必要な荷物をそこで取り出せば、余分な荷物を持って走らなくても済むわけです。
更に、業者はPCからスタート地点までも荷物を運んでくれるので、不要となった荷物をバッグに入れてしまえば、更に軽量化も可能です。
サービスの流れ
ドロップバッグサービスの流れは以下となります。
- 出国前に、業者に対してサービス申し込みを行う。
- フランス入国後、スタート前に業者にバッグを預ける。
- ~業者によるバッグ輸送(スタート地点→PC)~
- PCで業者からバッグを受け取る。
- バッグから必要なものを取出し、不要なものをバッグに入れる。
- 業者にバッグを預ける。
- ~業者によるバッグ輸送(PC→スタート地点)~
- ゴール後、業者からバッグを受け取る。
PBPは往復コースなので、往路と復路の2回、バッグを受け取る機会があります。
上記の流れで言うと、④~⑥は往路と復路の2回行われることになります。
日本の業者によるサービス
ドロップバッグサービスは、各国の業者が実施しています。
日本で実施している業者は「グッディースポーツ」です。前回に引き続きサービスは提供されます。
グッディースポーツはPBPパックツアーを提供している業者ですが、ツアーに参加しなくてもドロップバッグサービスのみの利用が可能です。
サービス内容
サービスの内容は以下となります。
料金 | 8000円/1バッグ |
預入場所 | 8/20 (スタート当日) ・サンカンタン周辺(2箇所) ・ランブイエ周辺(2箇所) |
受領可能PC | ルデアック (往路449km/復路782km) |
返却場所 | 8/24 (ゴール当日) ・サンカンタン周辺(2箇所) ・ランブイエ周辺(2箇所) |
前回から1バッグあたり3000円の値上げとなっています。世界情勢を考えれば仕方ないですね。
申込期限
2023年6月30日(金) 17:00で締め切りです。
もう日がないので、申し込む予定のある方は速攻で申し込んでください。
預けられるバッグ
前回までは、料金の中に業者指定のバッグが含まれていました。
こんな感じのペラペラのボストンバッグ。サイズから計算した容量は34リットルなので、結構な量の荷物が入ります。
今回はこちらのバッグの配布はありません。自分でバッグを持参する必要があります。
要件は以下の通り。
- 1個あたり50×30×30センチ(収納時)
- 番号の識別を容易にするため、「黒」または「濃紺」で単色のものをご利用ください。
- 以前ご参加時のPBPバッグも使用可能です。
色指定があるのがポイントですね。PBPバッグは青ですが、それは例外のようです。
私は前回と前々回に配布されたPBPバッグがあるので、そちらを持参する予定です。なんだかんだでこのバッグ、軽いので。
預入時の様子
預入時の様子。スタート当日に、業者指定場所に回収用の車が来るので、そちらにバッグを預けます。
PCでの様子
LoudeacのPCの様子。預け入れたバッグが整然と並べられます。
バッグにはナンバーシールが貼られているので、それで自分のバッグを特定します。必要な荷物を取出し、不要な荷物を入れて、再度バッグを預けます。
返却時の様子
返却時の様子。
ゴール当日に、業者指定場所でバッグを回収します。指定時間内に回収しないと処分されてしまうので注意。
海外の業者によるサービス
日本の業者だけでなく、海外の業者もドロップバッグサービスを実施しています。
やはりPBPパックツアーの一環としてやっている所が多いようなので、ドロップバッグサービスだけ利用可能かは不明です。
一例としては、JFTcyclingという業者は日本人でも申し込みが可能のようです。バッグの送り先は、Loudeac・Tanteniac・Fougeresから選べます。
詳しく探してはいませんが、探せば他の国のサービスも見つけることが出来るでしょう。日本人が利用可能かどうかは、直接問い合わせてみてください。
ドロップバッグの使用例
前回2019年にグッディースポーツのドロップバッグサービスを利用しました。
私がドロップバッグに入れた荷物の一覧を以下に示します。
- 持ち物一覧(+ボタンで展開)
-
大分類 小分類 メーカー 製品名 個数 着替え 2日目分/3日目分 - バンダナ 2 (圧縮袋に入れる) - インナーウェア(長袖夏用) 2 - ジャージ(長袖夏用) 2 - レーパン(タイツ) 2 - インナーグローブ 2 - グローブ 2 - ソックス 2 電源 電池 CATEYE BA-3.4 (Volt800用) 2 CATEYE Volt用充電アダプタ 1 Panasonic リチウム乾電池(単3) 4 Amazon アルカリ乾電池(単4) 4 モバイルバッテリー ANKER PowerCore(13000mAh) 1 ANKER Astro E1 1 ケーブル Owltech microUSB(充電専用) 2 レインウェア ジャケット mont-bell サイクルドライシェル 1 パンツ mont-bell サイクルレインパンツ 1 シューズ アゼアス AZ+CLEAN 2 グローブ ショーワ テムレス 1 - 軍手 2 補給食 一口羊羹 井村屋 練羊羹・チョコ羊羹 6 干し梅 - - 4 チョコレート ユーラク ブラックサンダー 6 サプリメント BCAA 味の素 アミノバイタルプロ 6 粉飴+BCAA - - 6 薬 痛み止め 第一三共 ロキソニンS 4 胃腸薬 第一三共 ガスター10 4 眠気覚まし エスエス製薬 エスタロンモカ 4 睡眠導入 エスエス製薬 ドリエル 6 足攣り防止 ツムラ 芍薬甘草湯 4 トイレ用具 ペーパー ネピア おしりセレブ 12枚入 2 風呂用具 ボディスポンジ - - 2 全身シャンプー ラックス アスレジャー 1 バスタオル - - 1 フェイスタオル - - 2 睡眠用具 アイマスク - - 1 イヤホン(耳栓兼用) - - 1 予備アイテム フロントライト CATEYE VOLT400 1 テールライト CATEYE OMNI5 1 反射ベスト L2S PBP公式ベスト 1 チューブ MAXXIS Ultralight 1 タイヤ Panaracer GRAVELKING 26C 1
大まかにまとめると、「着替え」「レインウェア」「補給食」「電源」を入れました。
着替え
PBPは約4日間に渡って走り続けます。
8月後半の開催ですが、日本と違って湿度が低いので、真夏とは言えそこまで汗はかきません。
ただ、さすがに4日間同じ服なのは衛生的にも不味いですし、それによって股ズレを誘発することもあります。
コインランドリーがあれば最高ですが、コース上で見た覚えはありません(都市部は”lavarie“というキーワードで探せば出てくるかも)。
着替えは往復で1回ずつ着替える分があればよいでしょう。1日分ずつセットにして圧縮袋に分別しておくと分かりやすいと思います。
レインウェア
ほとんど雨がふらない予報であれば、本格的なレインウェアはドロップバッグに入れておき、簡易なレインウェアのみで走るのも手です。
ただ、フランスの天気予報は日本ほどは当てになりません。
補給食
PC内には、レストランやバーなど補給食を調達できる場所は沢山あります。
PC外でも、パン屋やケバブ屋などはたくさんあるので、そちらを利用しても良いでしょう。
ただ、現地の食べ物が体に合わなかったり、日本の食べ物が懐かしくなった時のために、いつも食べている補給食を入れておくことをオススメします。結構な気分転換になります。
電源
最近の自転車は電源が必要な機器も増えたので、それらへの給電をスタートからゴールまで出来るだけの設備を揃えておく必要があります。
電源が必要な機器の例を以下に示します。
- フロントライト
- テールライト
- サイクルコンピュータ
- スマートフォン
- 電動変速装置(Di2など)
2019年のPBPでは参加者が使える充電ブースが設置されているPCも存在しましたが、割とどこも埋まっていた印象です。
そうなると、手持ちのモバイルバッテリーと、ドロップバッグに入れたモバイルバッテリーでやりくりする必要が出てきます。
私はスマートフォンくらいしか充電するものを持っていなかったので、13000mAhあれは十分でした。Loudeacでの仮眠中にスマートフォンを充電し、起床後にバッグに戻すという運用にしました。
電池の入れ替えが必要な機器は、対応する電池を用意しておきましょう。フランスに行ってからでは中々手に入らない電池もあるので、日本から持って行くことをオススメします。
注意点
ドロップバッグサービスには引き上げ時間があります。
バッグを回収して、スタート地点に戻す必要があるからです。
具体的な運用マニュアルは分かりませんが、普通に考えれば復路のPCクローズ時間には引き上げが始まるはずです。具体的には、90時間組の21時スタート(最終ウェーブ)のクローズ時間となるでしょう。
引き上げ時間までにPCに到着しないと、当てにしていたバッグが受け取れないという事態が発生します。
PCクローズ時間に間に合っていないので認定されないことは既に確定しているわけですが、「認定外でも完走したい」という場合にバッグが受け取れないというのは精神的ダメージが大きいはずです。
このため、最低限走るのに必要なものはバッグに入れず、持って走るようにした方が良いでしょう。
また、バッグが置かれるPCに復路でタイムアウトになりそうな場合、既にバッグが引き上げられていることを覚悟しておく必要があります。
まとめ
ドロップバッグサービスの概要と注意点について解説しました。
必ずしもドロップバッグサービスを使う必要は無いのですが、使うことで完走が近づくサービスだと思います。
確かに全ての荷物を持って走るのは安心感が大きいのですが、荷物が多すぎるとスピードの低下を招きます。
うまくサービスを活用して、完走の足掛かりとしてください。
著者情報
年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。