この記事は約 10分で読めます。
PBP 2023 コースプレビュー
2023年のPBPのコースを確認します。
スタート/ゴール地点の変更こそありませんが、今回も結構コースが変わっています。
本記事の情報は、2023年2月4日時点の公式データを元にしています(大抵は大会直前に変更が入ります)。
2023年コース概要
2023年のコース概要について説明します。
キューシート
PBP公式サイトで公開されているパンフレットの42~43ページにキューシートが掲載されています。
コースデータ
2023年のルートは「The Road」というページで公開されています。
区間ごとに分割されてOpenRunnerというサービスにリンクされています。GPSサイコン用のGPXデータも、OpenRunnerからダウンロード可能です。
GoogleMap上にデータをプロットしました。
コースプロファイル
キューシートに掲載されている値は以下の通り。
距離: 1219.0km
獲得標高: 11750m
OpenRunner(フランスのルートラボみたいなサイト)で公開されているコースデータから距離と獲得標高を集計すると以下の通り。
距離: 1218.2km
獲得標高: 11892m
同じ方法で2019年のコースデータから距離と獲得標高を集計すると以下の通り。
距離: 1217.9km
獲得標高: 11856m
距離も獲得標高もほぼ変化がありません。
コースの特徴
1200kmで獲得標高が約12000m、つまり100kmで1000m登るペースを12回繰り返すわけです。
日本国内の1200kmの場合、獲得標高は8000m前後が多いんじゃないかと思います。PBPのコースは信号がほとんどないとは言え、1200kmで12000mを登るのはかなりタフなコースです。
「となると、PBPにはそんな凄い山があるのか!」と思われるかもしれませんが、PBPの最高標高は350mしかありません(Roc’h Trevezel)。高尾山の大垂水峠が394mなので、あれより低いのです。
では何故それだけ獲得標高があるのかと言えば、無数の小さい丘超えを繰り返すからです。ひたすらアップダウンを1200km繰り返す。そんなコース設定になっています。
なお、防衛上の理由から、街は基本的に丘の上にあります。チェックポイント前にはヒルクライムが必ず入ると思ってください。
スタート/ゴール
前回と同じくスタート/ゴールは、パリから西に50kmほどの場所にある「ランブイエ」という街です。
ランブイエは、パリの中心駅であるモンパルナスから電車で乗換なしの40分。距離にして50km。東京駅から見た高尾山口駅に相当する場所にあります。
スタートする街は変わっていませんが、スタート地点が微妙に変わっています。
2019年 | Bergerie Nationale (国立羊牧場) |
2023年 | Parc du Château (ランブイエ城公園) |
PC/WP配置
PC(ブルベカードにチェックを受ける必要のあるポイント)は変わっていません。
ただし、TINTENIACに関しては、2019年まで使っていた施設が工事中ということで、別の施設に変更となっています。
WP(チェックを受ける必要のない休憩ポイント)は復路で1箇所だけ別の場所に変更(SAINT-NICOLAS-du-PELEM → GOUAREC)となっています。
往路の配置
ポイント区分 | 2019年 | 2023年 |
START | RAMBOUILLET (0.0km) |
RAMBOUILLET (0.0km) |
WP1 | Mortagne-au-Perche (118.0km) |
Mortagne-au-Perche (119.0km) |
PC1 | VILLAINES-la-JUHEL
(217.0km) |
VILLAINES-la-JUHEL (203.0km) |
PC2 | FOUGERES (306.0km) |
FOUGERES (292.5km) |
PC3 | TINTENIAC (360.0km) |
TINTENIAC (353.5km) |
WP2 | QUEDILLAC (386.0km) |
QUEDILLAC (378.5km) |
PC4 | LOUDEAC (445.0km) |
LOUDEAC (435.3km) |
WP3 | SAINT-NICOLAS-du-PELEM (488.5km) |
SAINT-NICOLAS-du-PELEM (482.5km) |
PC5 | CARHAIX-PLOUGUER (521.0km) |
CARHAIX-PLOUGUER (521.0km) |
PC6 | BREST (610.0km) |
BREST (604.3km) |
往路のポイント配置は特に変更がありません。
復路の配置
ポイント区分 | 2019年 | 2023年 |
PC7 | CARHAIX-PLOUGUER (693.5km) |
CARHAIX-PLOUGUER (697.1km) |
WP4 | SAINT-NICOLAS-du-PELEM (738.5km) |
GOUAREC (731.6km) |
PC8 | LOUDEAC (783.0km) |
LOUDEAC (782.2km) |
WP5 | QUEDILLAC (843.0km) |
QUEDILLAC (842.3km) |
PC9 | TINTENIAC (869.5km) |
TINTENIAC (867.3km) |
PC10 | FOUGERES (923.5km) |
FOUGERES (928.2km) |
PC11 | VILLAINES-la-JUHEL (1012.5km) |
VILLAINES-la-JUHEL (1017.7km) |
PC12 | MORTAGNE-au-PERCHE (1097.0km) |
MORTAGNE-au-PERCHE (1099.0km) |
PC13 | DREUX (1174.5km) |
DREUX (1176.9km) |
GOAL | RAMBOUILLET (1219.0km) |
RAMBOUILLET (1219.0km) |
復路のポイント配置は、WP4のみ変更されています。
前回までは往復ともに「SAINT-NICOLAS-du-PELEM」という街を通っていました。ここは高確率でシークレットPCに指定される場所でもあり、前回は往復ともにシークレットPCに指定。
今回、復路ではSAINT-NICOLAS-du-PELEMを通らず、「GOUAREC」という街を通ります。前回も復路で通過だけはしている街です。今回はここがシークレットPCに指定されるかもしれませんね。
コース(往路)
2019年は往路が610kmでしたが、2023年は7km減って603kmとなっています。折り返しまでの距離が短くなりました。
また、往路の象徴とも言える「プルガステル橋」を通らなくなっています。
以後、ルートデータの画像を出す場合、青が2019年のルート、赤が2023年のルートです。
START:RAMBOUILLET – PC1:VILLAINES-la-JUHEL(203km)
スタートからPC1の区間です。前回は217kmあった区間が14kmも短くなっています。
132km~180km地点のルートが大きく変わりました。
以前はMamers(マメール)という街を通過していましたが、今回は通りません。また、結構遠回りになっていた部分なので、少しショートカットした形になっています。14kmの差分はここです。
PC1:VILLAINES-la-JUHEL – PC2:FOUGERES(292.5km)
PC1~PC2の区間です。
細かい部分で差はありますが、ほぼ変わっていません。
PC2:FOUGERES – PC3:TINTENIAC(353.5km)
PC2~PC3の区間です。
こちらは全体的に大きく変わりました。
南部に遠回りするようになり、距離が7kmほど増えています。こういうショートカット可能なポイントはシークレットPCが設定される可能性がありますね。
また、TINTENIACのPCは従来使用していた施設が工事中のため、別の施設に移動しています。
新しいPCはここになりそうです。中学校ですね。
PC3:TINTENIAC – PC4:LOUDEAC(435.3km)
PC3~PC4の区間です。
WPであるQUEDILLAC(ケディヤック)より先で大きくルートが変わっています。
従来よりも北側の道を通るようになっています。区間距離は3km短くなりました。
PC4:LOUDEAC – PC5:CARHAIX-PLOUGUER(521.0km)
PC4~PC5の区間です。
あまり変化していませんが、WPであるSAINT-NICOLAS-du-PELEMの手前で少し北側に逸れています。この影響で、距離が3km増えました。
PC5:CARHAIX-PLOUGUER – PC6:DREUX(604.3km)
PC5~PC6の区間です。往路ラスト。
この区間は終盤が大きく変わっています。
PBPの一つのシンボルとも言える、地中海の上に掛かったプルガステル橋。2023年のコースでは、往路でここを通らなくなりました。
代わりに復路で通過するようになったのですが(従来は復路では通らなかった)、折り返しであるBRESTでリタイヤするとこの風景が見られなくなったということでもあります。
コース(復路)
2019年は復路が608kmでしたが、2023年は7km増えて615kmとなっています。往路よりも復路のほうが長くなったわけです
往路の象徴だったプルガステル橋は復路で通過します。
以後、ルートデータの画像を出す場合、青が2019年のルート、赤が2023年のルートです。
PC6:DREUX – PC7:CARHAIX-PLOUGUER(697.1km)
PC6~PC7の区間です。
この区間が一番大きく変わりました。2019年と2023年でルートが全く被っていません。
距離も9km、獲得標高も230m増えています。ただ、PBPの最高標高地点であるRoc’h Trevezelを通過しなくなりました。
PC7:CARHAIX-PLOUGUER – PC8:LOUDEAC(782.2km)
PC7~PC8の区間です。
こちらの区間も大きく変わりました。全体的に南側を通るルートに変化しています。距離は4km減りました。
一番大きな変化は、往路のWPであったSAINT-NICOLAS-du-PELEMを通らず、GOUARECという街がWPに指定されたことです。どの施設がWPに指定されるのかは現時点で不明です。
PC8:LOUDEAC – PC9:TINTENIAC(867.3km)
PC8~PC9の区間です。
TINTENIACのPCの施設が変わった程度で、ルートはほぼ変更なしです。
PC9:TINTENIAC – PC10:FOUGERES(928.2km)
PC9~PC10の区間です。
こちらの区間は大きく変わりました。距離は7km増えています。
この区間もシークレットPCの香りがしますね。
PC10:FOUGERES – PC11:VILLAINES-la-JUHEL(1017.7km)
PC10~PC11の区間です。
フジェールの街中で少し変化がありますが、ほぼ変わっていません。
PC11:VILLAINES-la-JUHEL – PC12:MORTAGNE-au-PERCHE(1099.0km)
PC11~PC12の区間です。
大きく変わっています。距離3km減り、獲得標高が190m減りました。若干平坦に近づいたことになります。
PC12:MORTAGNE-au-PERCHE – PC13:DREUX(1176.9km)
PC12~PC13の区間です。
DREUXの街への入り方が変わりましたが、他は変化なしです。
PC13:DREUX – GOAL:RAMBOUILLET(1219.0km)
PC13~GOALの区間です。最終区間。
前回はフランスに渡航した後に最終区間のルート変更がありました。
確か工事か何かがあったのだと思いますが、今回の大会はその変更後ルートがそのまま定着しています。
まとめ
全体的には「いつものルート」ですが、細かく見ると結構変更されています。
重要な変更をまとめると以下の通り。
- 往路が短くなり、復路が長くなった。
- START-PC1の区間が14km短くなった。
- PC2-PC3の区間が7km長くなった。
- TINTENIACのPCとなる施設が変更となった。
- 往路でプルガステル橋を通らなくなり、復路で通るようになった。
- 復路で SAINT-NICOLAS-du-PELEMを通らなくなり、GOUARECを通るようになった。
- PC9-PC10が7km長くなった。
距離が長くなった場所はショートカット防止のためにシークレットPCが設定される可能性があります。
追加のWPとなったGOUARECがどのような雰囲気か気になりますね。
著者情報
年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。