PBP 2023 参加者向け書類の要点

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PBP参加者向けページに、「Documents(参加者向け書類)」がアップされています。

サイト内の掲載情報よりも新しく、詳しい情報が書かれています。参加者の人は一読したほうが良いでしょう。

この記事では、私が一通り読んで重要そうだと思った部分をピックアップして紹介します。

目次

参加者向け書類の入手

参加者向け書類の入手場所について説明します。

入手条件

PBPの本エントリーが完了していて、かつフレームナンバーが発行されていることが条件です。

フレームナンバーは順次発行されており、ACPからのメールによれば、「6/26から3週間掛けて発行される」とされています。

最遅で7/10までには以下のようなメールが届くはずです。

大体のACPからのメールはフランス語と英語の併記なんですが、フランス語だけです。

入手場所

PBPの参加者向けサイト(プレレジ・本レジを行ったサイト)にログインします。

こちらの「Documents」ボタンを押します。

参加者向け書類一覧にリンクを張ったページが開きます。

エントリーした部門や、サポートカーの使用の有無など、エントリー時の情報によって表示されるファイルが異なります。

一つ一つ右クリックして「名前をつけて保存」しなければならないのがちょっと面倒ですね。ZIPでください。

書類のファイル名と内容

各書類の概要は以下です。例によってリンクテキストはフランス語です。

ピンクの背景のドキュメントについて、後で詳しく解説します。

リンクテキスト ファイル名 説明
Sommaire 2023-GB-0.docx サマリー。
配布書類の一覧。
A – Accusé d’inscription PBP-***.pdf 参加確認書類。
事前受付で提出する。
B1 – Itinéraire aller 2023-GB-B1.xlsx 往路のキューシート。
B2 – Itinéraire retour 2023-GB-B2.xlsx 復路のキューシート。
C – Retrait des docuemnts 2023-GB-C.docx ランブイエでの事前受付の説明。
D – Opérations le jour du départ 2023-GB-D.docx ランブイエでのスタート時の説明。
Ex – Stationnement à Rambouillet 2023-GB-Ex.docx ランブイエでの駐車の説明。
車で来ない人には関係ない。
F – Services provided 2023-GB-F.docx スタート・ゴール・PCで提供されるサービスの説明。
G – Charte de la sécurité du participant 2023-GB-G.docx 参加者の安全に関する注意事項。
H – Conseils & recommandations 2023-GB-H.docx 主催者からのアドバイス&推奨事項。
I – Fléchage – Votre suivi – Renseignements 2023-GB-I.docx 路上のサインと、選手のトラッキングについての説明。
Jx – Horaires de passages dans les contrôles 2023-GB-J1.docx (80時間の部)
2023-GB-J2.docx (90時間の部)
2023-GB-J3.docx (84時間の部)
各PCまでの距離とクローズ時間の説明。
Kx – Information for support vehicles 2023-GB-K1.docx
2023-GB-K2.docx
2023-GB-K3.docx
サポートカーに関する説明。
L – Plan de Rambouillet 2023-GB-L.pdf ランブイエの地図。

2023-GB-C | Check-in

事前受付の案内が書かれているドキュメントです。

前回まではスタート前日のみの受付でしたが、今回はスタート2日前から受付をやっています。

なお、今回は事前受付で車検を行わず、当日のスタート前に車検が行われます

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↑の記事に要点はまとめておいたのでご参照ください。

2023-GB-D | Start

スタート当日の案内が書かれているドキュメントです。

前回は「スタート45分前」集合でしたが、今回は「スタート1時間前」集合に変更となっています。車検が当日になった影響でしょう。

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↑の記事に要点はまとめておいたのでご参照ください。

一応、レギュレーションには車による先導がある(first kilometres=最初の数km)と書かれているので、今回もあると考えたほうが良いと思います。ここでニュートラルカーを追い抜くとペナルティの対象になるので追い抜かないようにしてください。

2023-GB-F | Services Provided at the Host & Control Sites

ホスト(ランブイエ)&コントロールサイト(各PC)内の設備・サービスについて書かれているドキュメントです。

前段

まず、重要なのは以下の記述です。

Cycle parks and control areas are reserved for riders.

「駐輪場は参加者しか使えないようにされている」ということです。

盗難のリスクは比較的低いと思いますが、参加者の中にも良からぬことを考える人がいないとも限りません。高価なパーツ(フロントライトやGPSなど)は外した上で離れたほうが良いでしょう。

Services at the event village before the start

スタート当日のランブイエで提供されるサービスについての説明が書かれています。

今回はスタート待機場所の周辺に「イベントヴィレッジ」なるものが開設されるようです。

「エントリー時にウェルカムミールを申し込んだ人は、そのヴィレッジ内のケータリングテントにて食事が取れる」と書いてあります。食事が可能な時間は、11:30-19:30です。

想像ですが、ヴィレッジには下記のような施設が他にも含まれるんじゃないかと思われます。

  • 物販
  • トイレ
  • 給水所
  • 飲食ブース

Services in the host & control sites

各PCで提供荒れるサービスについての説明が書かれています。

提供されるサービスは以下の通り。

  • ドリンクスタンド (水、ビール、オレンジジュース、コーラ、コーヒー、紅茶、ホットチョコレート …)
  • サンドウィッチ
  • セルフサービスの食事
  • シャワー (参加者のみ利用可能)
  • 200~300人規模の仮眠所 (参加者のみ利用可能)
  • メカニカルサポート

前回は参加案内に目安の金額が書かれていましたが、今回は特に記載がありません。

また、支払い方法については下記の記述があります。

You can pay cash, or in some sites, by credit card.

「基本は現金、クレジットカードが使えることもある」という記載です。前回の案内にはクレジットカードが使えるPCの記載がありましたが、今回は特に記載なし。

2019年段階でほとんどの施設でクレジットカードが使えた(タッチ決済含め)認識ですが、念のためある程度の現金は持ち歩いたほうが良いでしょう。200ユーロもあれば事足りると思いますが。

Services at the event village after the ride

ゴール後のランブイエで提供されるサービスについての説明が書かれています。

以下のサービスが提供されるようです。

  • 火曜日の正午から木曜日の夕方まで、ケータリング テントで完走者に食事が提供されます。
  • 参加者は到着エリア近くでシャワーを利用できます。
  • 参加者は約200の仮眠場所を無料で利用できます。
  • 8月24日木曜日19:00頃、乗車後のビュッフェが出席者全員に提供されます。

最後の一文は、いわゆる後夜祭的なものです。大抵の参加者は疲れてホテルに戻るか、身内での打ち上げに行ってしまいますが、こういった公式の「打ち上げ」もあります。

2019年の後夜祭の様子(d@さん提供)

食事はビュッフェ形式だそうです。日本人は少ないようですが、イベントを終えた各国の参加者たちと交流ができるとのこと。

後段

最後に、このように書かれています。

PLEASE RESPECT THE PEOPLE AND THE ENVIRONMENT OF THE HOST SITES.

PCが設けられている街の方と、ボランティアの方、そして環境への感謝を忘れないようにとのことです。

2023-GB-G | Rider safety charter

安全に走るために参加者が心がけること、主催者が講じていることが書かれています。

書いてあることは概ねランドヌールにとっては当たり前の事が多いのですが、一応目を通しておいてください。

2019年の文章と特に差分がありませんでした(車検の日付が当日に変わったことくらい)。

2023-GB-H | Advice and Recommendations

主催からのアドバイスと推奨事項が書かれたドキュメントです。

こちらも割と当たり前のことが書かれていますが、仮眠所での振る舞いなどについては目を通しておいたほうが良いと思います。

注目すべきは、「aware of the following particularly hazardous spots」の項目です。

  • crossroads in Le Ribay (km 221 on the way out; km 999 on the way back):
    You cross the busy road N12.
  • stop sign in Bécherel (km 858 on the way back):
    You must stop in a downhill, before crossing the busy road D27 (which connects Rennes to Dinan).

基本的にはPBPでは田舎道をひたすら走りますが、たまに幹線道路と交差します。そうした危険な箇所を提示してくれています。確認しておきましょう。

2023-GB-I | Road signage – Rider tracking – Information

コース上に設置される矢印型の案内看板と、参加者のトラッキングページについて書かれたドキュメントです。

ROAD SIGNAGE

以下の写真のような案内看板が路上に数百箇所設置されています。

この矢印を辿って走れば、GPSは要らないとも言われるほどです。実際には結構見逃してミスコースするのでGPSは必須だと思いますが。

このドキュメントによると、3種類の看板があるそうです。

  • 往路向け看板(BRESTと記載)
    黄色背景に、ピンクと灰色の矢印が書かれています。
  • 復路向け看板(PARISと記載)
    オレンジ背景に、青と灰色の矢印が書かれています。
  • エラーサイン
    緑の背景に赤い色の×が書かれます。間違えやすい場所に置かれるようです。

そして、前回は無かった以下の注意書きが追加されています。

参加者全員に記念品の矢印看板を差し上げます。
これらをルートから削除すると、後続の参加者を迷わせることになるため、勝手に持ち去った参加者には1 時間のペナルティが課されます。

この矢印看板をお土産だと思って持って帰ってしまう参加者が毎回一定数いて、これが結構な問題になっていたのです。

ゴールでスタッフの人に頼めば、使わなかった予備の看板を貰えたんですけどね。

今回からは「全員にお土産の矢印看板を用意したから勝手に持って帰るな!」と明文化されたというわけです。

RIDER TRACKING

ライダー追跡システムについての説明が書かれています。

今回もフレームバッジに計測チップが入ります。

計測装置はスタートだけではなく各PCの入り口に置かれており、PCに入る時点で読み取られます。

読み取った結果は即座にシステムに反映され、公式サイトのトラッキングページからリアルタイムでどこにいるかを確認出来るわけです。

2023-GB-J | Control Timetables

PBPのタイムテーブル(各PCまでの距離・クローズ時刻)と、リタイヤしたときにやることが書かれています。

今回紹介するのは90時間の部向けのドキュメントですが、もちろん80時間用・84時間用のドキュメントも存在します。

タイムテーブル

17:30スタートを基準とした、90時間部門の各チェックポイントにおけるクローズ時刻(制限時間)が記載されています。

今回、気をつけなければならないのは、「600kmまでの制限時間が厳しくなっている」点です。逆に、600km以降の制限時間は従来より緩くなっています。

以下に示すのは、2019年と2023年の距離ごとのクローズ時刻から、要求される累計時速をグラフ化したものです。

2019年(赤線)は300kmまでは普通のブルベと同じく時速15km計算でクローズ時刻が設定されていますが、そこから徐々に要求される時速が下がっていきます。電池の残量に応じて暗くなる自転車ライトのようなグラフですね。

これに対し、2023年(紫色)は、600kmまで時速15kmで計算でクローズ時刻が設定されています。折り返しのブレストをすぎると、一気に要求される速度が緩くなるのが特徴です。

折り返し地点であるブレストまでの距離と、クローズ時刻を比べてみましょう。

  • 2019年
    610km / 42時間06分
  • 2023年
    604km / 40時間17分

距離は6km短くなっていますが、クローズ時刻が1時間49分も前倒しになっています

早まったと言っても、通常のBRM600kmと制限時間は同等です。PBPに参加している人はBRM600kmを半年以内に完走しているはずなので、全員このハードルはクリアできるはず……なのですが。PBPはスタートが夕方なので、一般的な朝スタートのBRM600kmよりも夜が1回多い(仮眠で停止時間が増える)という点に注意が必要です。正直、厳しい変更ですね。

過去の傾向を見ると、ブレストの折り返し到着タイムが42時間を超えると完走率が大幅に低下するというデータもあります。40時間で往路を走り切るつもりで計画を立てる必要があるでしょう。

「これくらいのタイムでブレストに到着しないと90時間は厳しいぜ?」っていう愛のムチなのかもしれません。

Exceptional derogations are granted

PCのクローズ時刻を超過が許容されるアクシデントの説明です。

  • 重大なメカトラブルの場合
  • 事故に遭った場合、または警察に報告が必要な事故を目撃した場合
  • 病気や事故に遭った人を助け、救急隊員または管制官が到着するまで待った場合

こうしたケースでは、2つ または 3つ先のPCのクローズ時刻に間に合えばタイムアウトが不問になります。

逆に言えば、ただ遅れただけではタイムアウトは不問にならないということにはなるのですが……。

PBPは裏ルール(?)的なものが従来ありまして、途中のPCのクローズ時刻を超過しても、ゴールのクローズ時刻に間に合えば認定を貰えていました。少なくとも前回まではそうだったんですが、今回もそうである保証はありません。しっかりクローズ時刻に間に合うように計画を立てましょう。

そして、超過してしまっても最後まで走りきれば、もしかしたら救済があるかもしれません。もしかしたら、ですが。

If you abandon

DNF(リタイヤ)したときにやることが書かれています。

  • フレームバッジを取り外します。
  • 最寄りのPCまたは次に遭遇した巡回車にリタイヤすることを知らせます。管理者がそれを主催者に報告します。
  • 家族や友人にリタイヤを知らせることを忘れないでください。
  • 電車でお帰りの場合は輪行袋が必須となります。

フランスでは自転車をそのまま乗せられる電車が多いですが、フランスの新幹線にあたるTGVでは輪行袋が必須となります。

現地の駅でも輪行袋は買えるらしいですが、物凄く重くて大きいものだと聞いたことがあります。いざと言う時のために、軽量な輪行袋は持ち歩いたほうが良いでしょう。

2023-GB-L | Map of Rambouillet

ランブイエの地図です。

本当に汎用の地図が掲載されているだけで、「どこに何の施設が設置されるか」についての記載がありません。前回はあったんですが。

後から追加の地図が配布されるかもしれませんね。

まとめ

参加者向け書類の要点について説明しました。

だいたいこの記事で要約をしたつもりですが、私の判断で必要ないと思うものは省いています。一度は全てのドキュメントに目を通しておくことをオススメします。

なお、前回の大会では「事故に遭った際の保険金請求の方法」というドキュメントがあったのですが、今回はありません。

今回からは主催者による保険がなくなり、参加者が自分の保険で対処する必要があります。保証内容がしっかりした保険に加入しましょう。海外で病院に掛かると怖いですよ。

著者情報

年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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