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PBP 2023 ルールの変更点
2019年と2023年のPBPルールの差分を確認する記事です。
まえがき
PBPには、全21条から成るルールが存在します。
PBP Rulesについて
「やってはいけないこと」「しなければならないこと」の記載があり、違反するとペナルティが課されることもあります。
知らず知らずのうちに違反を犯さないように、「PBP Rules」には一度全て目を通しておいたほうが良いでしょう。
PBPのルールは、国内のBRMルールとは内容がだいぶ異なります。
差分の確認
PBPのルールは、大枠では毎回変わりません。
ただ、細かい部分で色々と変更点があります。「前回はOKだったが、今回はダメ」みたいなこともあるので、それを見逃さないために変更点を見ていきます。
・この記事ではあくまで2019年と2023年の差分のみを確認しています。変更のない部分も沢山あります。原文を確認してください。
・記事中のルールの解釈はbaruによるものであり、間違っている場合があります。必ず原文を確認してください。
ルールの変更点
各条項ごとに変更点を見ていきます。
Article 1 (変更なし)
PBPのイベント概要について書かれた条項です。
開催日付の変更があるだけで、特に内容の変更はありません。
Article 2: Entry conditions (変更なし)
エントリー資格について書かれた条項です。
表現の変更はあるものの、特に内容の変更はありません。
Article 3: Rider Restriction (変更あり)
参加者の制限について書かれた条項です。
2019年 | The rider number may be restricted. The rider limit will be published on the official Paris-Brest-Paris Randonneur® 2019 website. (参加人数を制限させていただく場合があります。制限内容は、パリ-ブレスト-パリ ランドヌール® 2019 の公式ウェブサイトで公開されます。) |
2023年 | The number of starters will be limited to 8000. 2500 slots with be reserved for candidates of French nationality. (参加人数は 8000 人に制限されます。2500 人分はフランス国籍の候補者のために予約されています。) |
2019年は、ルールで参加者上限を明示していませんでしたが、2023年は明示されるようになっています。
こちらの記事にも書きましたが、PBPの人気はフランス以外の国で高まる一方、フランス国内からの参加者は毎回減り続けています。前回は1500人しか出場しませんでした。
それに危機感を感じたのか、今回はあらかじめ2500人分のフランス人枠が追加されました。
前回大会の最終的な定員は7600人だったのに対し、今回は8000人とされています。400人分の枠が増えています。
しかし、フランス人の枠が1000人分増えるため、フランス国外からの参加者の枠は都合600人分ほど減っていることになります。
Article 4: Preregistrations (変更あり)
プレレジの方法について書かれた条項です。
2019年 | The preregistration fee is €30, not refundable but deducted from the registration fee. (事前登録料は €30 で、返金はできませんが、登録料から差し引かれます。) |
2023年 | The pre-registration fee is €50. It is non-refundable but deducted from the registration fee. (事前登録料は €50 です。返金はできませんが、登録料から差し引かれます。) |
プレレジのデポジットが30€から50€に増額されています。
その他は、表現の変更はあるものの、特に内容の変更はありません。
Article 5: Registrations (変更あり)
本レジの方法について書かれた条項です。
2019年 | Any registration is definitive and not refundable. (登録は確定的なものであり、返金はできません。) |
2023年 | Any registration is definitive and non-refundable except when asking for a registration cancellation before June 25, 2023. Riders will be reimbursed €50 (standard rate of reimbursement). (2023 年 6 月 25 日より前に登録のキャンセルを要求した場合を除き、登録は最終的なものであり、払い戻しはできません。ライダーには 50 ユーロ (通常の払い戻し率) が払い戻されます。) |
どうやら、6月25日以前に本レジを行った上でキャンセルした参加者には50€が返金されるようになった模様です。6月26日以降にキャンセルした場合には、一切返金されないとのこと。
その他は、表現の変更はあるものの、特に内容の変更はありません。
Article 6: Payment (変更あり)
参加費の支払額と、そこに含まれる提供サービス内容について書かれた条項です。
2019年 | The registration fee will be fixed as soon as all costs are known; it will be between €130 and €150. (登録料は、すべての費用が判明次第決定されます。 130 ユーロから 150 ユーロの間になります。) |
2023年 | The registration fee will be between €175 and €195. (登録料は 175 ~ 195 ユーロです。) |
参加費の総額が変更となっています。45€の増額です。
2019年 | The registration fee includes:
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2023年 | The registration fee includes:
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参加費に含まれるサービスのリストですが、結構内容が変わっています。
- medical evacuation insurance according to the insurance contract
(保険契約に基づく医療避難保険) - results brochure and 19th Paris-Brest-Paris Randonneur® DVD sent to your address in early 2020
(結果のパンフレットと第 19 回 PBPの DVD を 2020 年初頭に住所に送付)
1番目は結構大きな変更です。参加費に含まれていた、緊急時の医療保険が無くなります。
日本で病院にかかっても大した金額にはなりませんが、それは健康保険で3割負担となっているからです。普段から10割負担したら恐ろしい額になるでしょう。
しかし、フランスで病院に掛かるとなれば健康保険は効きません。高額な医療費が掛かることになります。それに備えて、医療費の支払いに対応した保険に各自で加入する必要があります。
これまでも各自での保険加入は推奨されていたはずですが、今回からは必須です。旅行保険に含まれるはずなので、予め加入しておきましょう。
2番目は、開催翌年に送付される結果パンフレットと、大会の様子をまとめたDVDの送付がなくなるということです。
DVDはさておき、結果パンフレットは毎回楽しみだったりするのですが(認定者全員の名前が掲載される)。今後はPDFだけの提供になるということですかね。
- left luggage at the starting line
(スタート地点に荷物を置く) - the PBP movie available on our website
(ウェブサイトに置かれるPBPムービー)
1番目は意味が良く分からなかったので、運営あてにメールで質問してみました。回答は以下です。
At Rambouillet you will be able to leave us a luggage (but not a bicycle) from Saturday, 19 and get it back until Thursday 24.
つまりこれは「スタート地点における荷物預かり」という意味ですね。日本のブルベでもたまにありますが、走行中に必要のない荷物をスタート地点で預かってくれるサービスです。ゴール後に預けた荷物を受け取るイメージ。私はホテルに荷物を置いておく予定なので不要ですが、走行中の荷物置き場に困っていた人には朗報です。
2番目は、送付されなくなったDVDの代わりということだと思います。
Article 7: Cancellation (変更あり)
大会のキャンセルに関する条項です。
2019年 | Initiated by the participant: No refund will be made. (参加者が開始した場合: 払い戻しは行われません。) |
2023年 | Initiated by the participant: No registration reimbursement possible beyond June 25, 2023 for a lump sum of €50 (standard rate of reimbursement). (参加者が開始した場合: 2023 年 6 月 25 日以降、50 ユーロの一括払い (標準的な払い戻し率) の登録払い戻しはできません。) |
Article 5に書かれていた条項が再掲されています。本レジを行った後に個人都合でキャンセルをする場合、6月25日以前であれば50€が返金されます。
2019年 | Initiated by the organizer: if the event has to be canceled by the organizer because of unforeseen circumstances, whether the organizer is responsible or not, only a fixed sum of 50 € will be refunded. No other indemnity will be paid. (主催者により開始された場合: 主催者に責任があるかどうかに関係なく、不測の事態によりイベントが主催者によってキャンセルされなければならない場合、定額の 50 ユーロのみが返金されます。その他の補償は行いません。) |
2023年 | Initiated by the organizer: In the event of the organizer cancelling PBP because of unforeseen circumstances, whether the organizer is responsible or not, you will be refunded of the registration fee less the expenses already incurred. No other indemnity will be paid. (主催者が開始した場合: 主催者が不測の事態により PBP をキャンセルした場合、主催者の責任の有無にかかわらず、登録料から既に発生した費用を差し引いた額が返金されます。その他の補償は行いません。) |
主催者都合によるキャンセルの場合、以前は50€の定額返金でしたが、今回から「すでに発生した費用を引いた額」に変わっています。50€よりは少なくなる可能性が高そうです。
Article 8: Rules for bikes (変更あり)
自転車の機材的な制限について書かれた条項です。
こちらも大きな変更があり、エアロバーが事実上の解禁となっています。
2019年 | Handlebars extensions are allowed only if they do not extend beyond a line created between the front of the brake levers, which must not be pointed forward. (ハンドルバーエクステンションは、ブレーキレバーの前部の間に作られる線を超えない場合にのみ許可され、前方に向けられてはならない。) |
2023年 | For safety reasons, the use of extenders is strongly disadvised in peloton. (安全上の理由から、集団内ではエクステンダーを使用することは極めて非推奨である。) |
ここでいう「ハンドルバーエクステンション/エクステンダー」とは、エアロバーのことです。
前回大会では「バー先端が正面を向かず、バー先端がブレーキレバーよりも手前にある場合」のみを許可とする方針が書かれていました。
今回の大会では「集団内では使わないように」とのお達しがありますが、それ以外には禁止めいたことは書かれていません。単独走行の場合は特に禁じないということですので、事実上のエアロバー解禁と考えられます。私は多分使いませんが(ライトの取り付け位置が無くなるので)。
PBPのFAQページにも「エアロバーを許可するが、集団の中では握らないように」と書かれています。
2019年 | Bikes must possess a lighting system powerful enough to be seen at a distance of 100 m from the front and 150 m from the rear. (自転車には、前から 100 m、後ろから 150 m 離れた場所からでも視認できる強力な照明システムが必要です。) |
2023年 | Bikes must be in compliance with French regulations. Bikes must possess a lighting system powerful enough to be seen at a distance of 100 m from the front and 150 m from the rear. (自転車はフランスの規制に準拠している必要があります。自転車には、前から 100 m、後ろから 150 m 離れた場所からでも視認できる強力な照明システムが必要です。) |
「自転車はフランスの規制に準拠している必要があります」という文章が追加されました。
これが何を意味するのか分かりませんが、私個人の推測としては以下の2点が守られていないケースが多かったことを指しているのかなと。
- 反射ベストがフランス国内の基準(EN1150)を満たしていない
- ベルが付いていない
反射ベストの条項で詳しく書きますが、フランス国内では夜間の路上作業でEN1150以上の規格を満たした反射ベストの着用が法律で義務付けられています。ブルベのルールではなく、法律による義務なのです。
しかし、前回の大会を見ても反射材の面積がEN1150の基準に達していない参加者が多く見受けられました。これに対する牽制かもしれません。
また、フランスでも道路交通法で自転車へのベルの装備は義務となっています(参考URL)。
なぜか車検ではチェックされませんでしたし、実際に付けていない参加者の方が多かったように記憶していますが、今回のPBPではベルの有無をチェックされるかもしれません。
なお、「後方に向けたライトの点滅は禁止」です。
日本国内のブルベではヘルメット尾灯に限って点滅を認めている団体も多いですが、フランスではヘルメット尾灯を含めて点滅は禁止です。ご注意ください。
Article 9: Equipment (変更あり)
走者の装備品に関する条項です。
主に反射ベストについての規定が書かれています。
2019年 | According to French traffic law, a high visibility vest MUST be worn when riding at night (EN 1150 or EN ISO 20471 certified to meet international safety standards). (フランスの交通法により、夜間走行時には視認性の高いベストを着用する必要があります (国際安全基準を満たすために認定された EN 1150 または EN ISO 20471)。) |
2023年 | According to French traffic law, a high visibility vest MUST be worn when riding at night (safety standard number EN 1150 or EN ISO 20471). (フランスの交通法により、夜間走行時には視認性の高いベストを着用する必要があります (安全基準番号 EN 1150 または EN ISO 20471)。) The vest handed to all participants before the starting line is conform to French regulations and it is highly recommended you wear it during PBP Randonneur. (スタート ライン前にすべての参加者に渡されるベストは、フランスの規則に準拠しており、PBP ランドヌール中に着用することを強くお勧めします。) |
「EN1150またはEN20471を満たす反射ベストを着る」という部分には変化がありません。
残念ながら日本国内で市販されている反射ベストのほとんどはPBPで使うことは出来ません。EN1150に適合していないからです。参加費に含まれている、PBPのオフィシャルベストで参加するのが一番確実です。
今回は、「夜間以外も反射ベストの着用を推奨する」との文言が追加されました。
フランスの道路交通法では、夜間または視界が悪い(霧や雨など)場合のみ、反射ベストの着用を義務付けています。晴れた昼間には着用の義務は無いですが、被視認性の確保のために推奨しているということだと思われます。
夜間または視界が悪い状況で反射ベストを着用していない場合はペナルティがありますが、晴れた昼間に反射ベストを着ていなくてもペナルティは無いはずです。
Article 10: Route and checkpoints (変更あり)
ルートとチェックポイントに関する条項です。
余談ですが、前回まではフランス語のチェックポイントを意味する「Route and controls」という表記でしたが、今回から「Route and checkpoints」に変わりました。
チェックポイントの配置は前回と同じで変わっていません。ただし、食べ物と仮眠所が提供される「ウェルカムポイント」の配置に変更があります。
2019年 | A food stop is provided on the way out at MORTAGNE-AU-PERCHE. (往路ではモルターニュ・オ・ペルシュで食事休憩が提供されます。) A sleep and food stop is provided at QUEDILLAC and SAINT-NICOLAS-DU-PELEM on both ways. (往路と復路の両方で、ケディヤック とサンニコラ・デュ・ペルム において仮眠所と食事休憩が提供されます。) |
2023年 | A food stop is provided on the way out at MORTAGNE-AU-PERCHE. (往路ではモルターニュ・オ・ペルシュで食事休憩が提供されます。) Sleep and food stops are provided at QUÉDILLAC on both ways, SAINT-NICOLAS-DU-PÉLEM on the way out and GOUAREC on the way back. (仮眠所と食事休憩については、ケディヤックでは往復ともに提供があります。サンニコラ・デュ・ペルムは往路のみ、グアレックは復路のみ提供されます。) |
今回はチェックポイントには変更がないものの、その間のルートは変更になっている箇所が多いです。
最大の違いが、従来は往復ともに通過していたサンニコラ・デュ・ペルムを復路では通過しなくなったことです。代わりに、復路ではグアレックという街にウェルカムポイントが設置されます。
2019年 | All riders and all support crews must everywhere and at all times act correctly towards the control personnel. (すべてのライダーとすべてのサポートクルーは、いつでもどこでも、チェックポイントのスタッフに対して正しく行動する必要があります。) |
2023年 | All riders and all support crews must everywhere and at any time act correctly towards the control personnel or be subjected to penalties. (すべてのライダーとすべてのサポートクルーは、いつでもどこでも、チェックポイントのスタッフに対して正しく行動する必要があります。さもなければペナルティを受ける必要があります。) |
以前は無かった「従わない場合にはペナルティを課す」という文章が追加されました。
割と気が大きくなっていて、スタッフの注意にも耳を貸さない参加者も過去見受けられました。そういった参加者が多かったため、このような文章が追加されたものと思われます。
Article 11: Responsibilities and insurance (変更あり)
事故などがあった場合の責任と保証範囲に関する条項です。
こちらは今回大幅に変わっています。
2019年 | It is especially to be noted that cyclists participating in Paris-Brest-Paris Randonneur® ride at their own risk and that riders are not covered unless they have taken out an individual insurance. (特に、パリ – ブレスト – パリ ランドヌール® に参加するサイクリストは自己責任で走行し、個人保険に加入していないライダーは補償されないことに注意してください。) The participant asserts under the honor principle to be covered by insurance when registering. (参加者は、登録時に保険に加入することを名誉原則に基づいて主張します。) |
2023年 | It is expressly stated that cyclists participate in Paris-Brest-Paris Randonneur® ride at their own risk and that riders are not covered unless they have taken out an individual insurance. (サイクリストは自己責任でパリ – ブレスト – パリ ランドヌール® ライドに参加し、ライダーは個人保険に加入していない限り補償されないことが明示されています。) The participant commit to being covered by insurance, including repatriation medical assistance, when registering. (参加者は、登録時に本国送還医療援助を含む保険に加入する必要があります。) |
2019年はあくまで「保険加入を強く推奨」という言い方でしたが、今回は「保険に加入する必要がある」と明言されています。参加費に保険が含まれなくなったことが理由でしょう。
参加者は海外における事故でも十分な金額を保証される医療保険をスポットで掛けておく必要があるはずです。
2019年 | A «Responsabilité Civile – Défense & Recours» policy has been taken out by the organizers for the duration of the event, for all material or corporal damage caused to a third party by a participant. (主催者は、イベント期間中、参加者が第三者に与えた物的・人的損害を補償する「Responsabilité Civile – Défense & Recours」(市民的責任と補償)方針をとっています。) This policy includes additional coverage for medical assistance and repatriation for all participants. (このポリシーには、すべての参加者の医療支援と本国送還の追加補償が含まれています。) |
2023年 | A « Responsabilité Civile – Défense & Recours » policy has been taken out by the organizers for the duration of the event, for all material or corporal damage caused to a third party by a participant. (主催者は、イベント期間中、参加者が第三者に与えた物的・人的損害を補償する「Responsabilité Civile – Défense & Recours」(市民的責任と補償)方針をとっています。) |
従来は参加費に含まれていた「すべての参加者の医療支援と本国送還の追加補償」が除外されたため、その文言が削除されています。「参加者自らが保険でカバーしてくれ」ということですね。
Article 12: Rider tracking (変更なし)
ライダートラッキングに関する条項です。
PBPでは、自転車に電子的なタグを取り付け、チェックポイント入口にある読み取り機で読み取った時間が記録されます。認定時間もセンサーで計測された時間が基準となります。
2015年大会では、足首に巻くタグ(マトリックスのパワータグのようなもの)が渡されました。
2019年大会では、フレームに取り付けるバッジに計測用のタグが取り付けられていました。「B-TAG」と書かれているのがそれですね。
表現の変更はあるものの、特に内容の変更はありません。
Article 13: Sign-in (変更あり)
参加受付と車検に関する条項です。
今回、こちらの内容が結構変更されています。
2019年 | You must go to the bike check at the time which has been assigned by the ACP according to your request: (あなたの要求に従ってACPによって割り当てられた時間に車検に行かなければなりません)Saturday, Aug 17 from 08h00 a.m. to 07:00 p.m. for riders starting on Sunday, Aug 18. (8月18日(日)にスタートするライダーの車検は、8月17日土曜日 午前8時から午後7時までです。) Sunday, Aug 18 from 08:00 to 13:00 a.m. for riders starting on Monday, Aug 19. (8月19日(月)にスタートするライダーの車検は、8月18日土曜日 午前8時から午後1時までです。)Once your bike has been checked, go to the control hall. Show your official picture ID and you will receive your brevet card, tracking device, frame badge and other items. Then sign the start sheet. (自転車のチェックが終わったら、コントロールホールに行きます。公式写真付き身分証明書を提示すると、ブルベカード、トラッキングデバイス、フレームバッジなどのアイテムを受け取ることができます。その後、スタートシートにサインします。) |
2023年 | You will receive your brevet card, tracking device, frame badge and other items on the eve of the brevet’s start. (ブルベのスタート前日に、ブルベカード、トラッキングデバイス、フレームバッジ、その他のアイテムを受け取ります。) An additional distribution will be made on Friday afternoon for the Sunday starters. (日曜日にスタートするライダーには、金曜日の午後に追加の配布が行われます。) |
2019年大会では、スタート前日にランブイエの受付に赴いて、車検を受けた後に必要なものを受け取りました。その際に、スタートのサインも行っています。
これに対し、2023年大会ではスタート前日にやるのは「必要なものの受け取り」のみ。車検とスタートサインはスタート当日に行われるようです。
……当日に車検をやっている時間があるのか、ちょっと怖いですね。スタート時間にスタートできないかもしれませんが、実は認定に使われるのはスタートゲートのセンサーをタグが通過した時刻なので、あまり関係はありません。事前に建てた時間計画が少しズレる可能性はありますが。
「日曜日にスタートするライダー」というのは、80時間部門と90時間部門の人を指していると思います。84時間部門の人のスタートは月曜日です。日曜日にスタートするライダーが全体の8割を占めるので、金曜の午後から必要なものの配布を行うということでしょう。
2019年 | Start control: Start control will take place outside the Bergerie nationale of Rambouillet, from 15 to 45 minutes before each official start. (スタート コントロール: スタート コントロールは、各スタート時間の 15 ~ 45 分前に、ランブイエの国立牧場の外で行われます。) To avoid the crowds, please do go to the start place earlier. (混雑を避けるため、スタート地点には早めにお越しください。) |
2023年 | Start control: It will take place in Rambouillet, from 30 to 60 minutes before each official start. (スタート コントロール: 各公式スタートの 30 ~ 60 分前にランブイエで行われます。) To avoid the crowd, please don’t go to the start place earlier. (混雑を避けるため、集合時間よりも早くスタート地点に行かないでください。) Lighting and reflective vests will be checked at the start control. (ライトと反射ベストは、スタート コントロールでチェックされます。) |
当日車検となったため、集合時間が15分早まっています。ライトと反射ベストをチェックすると書かれていますが、ベルのチェックもあるかもしれません。
ただし、2019年は「スタート地点に早めに来てください」と書いていたのに、2023年は「早く来すぎないように」と真逆の表現になっています。確かに前回はこのように書かれた結果、スタートの随分前から会場に来ている参加者が多く、かなり混雑しましたからね。その対策でしょう。
Article 14: Opening and closing time of the checkpoints (変更なし)
チェックポイントのオープンとクローズ時間に関する条項です。
表現の変更はあるものの、特に内容の変更はありません。
Article 15: Homologation, DNFs and Failure to Comply with the Time Limits (変更なし)
認定とDNFに関する条項です。
コース全長が変化したので最短ゴール時間の変更はありますが、それ以外の内容の変更はありません。
Article 16: Medical Test (変更なし)
ドーピングテストに関する条項です。
実はPBPにはドーピングテストがあることになっています(実際に行われているかは不明)。何が禁止薬物にあたるのかは明示されていませんが、ドーピングに当たりそうなものは避けましょう。
……もしかしたら文字通りの「薬物」の検査かもしれませんね。
Article 17: Support vehicles (変更あり)
サポートカーに関する条項です。
日本人でサポートカーを使うとしたら三船さんくらいでしょうが、一応確認します。
2019年 | Riders can meet their support vehicle only at the checkpoints and within 5 km from the checkpoints. (ライダーは、チェックポイントおよびチェックポイントから 5 km 以内でのみサポートカーに会うことができます。) |
2023年 | Riders can meet their support vehicle only at the checkpoints and within 5 km from the checkpoints. (ライダーは、チェックポイントおよびチェックポイントから 5 km 以内でのみサポートカーに会うことができます。) Places with no checkpoint (Quédillac, Saint-Nicolas-du-Pélem and Gouarec) don’t welcome support vehicles. (チェックポイントではない場所 (ケディヤック、サンニコラ・デュ・ペルム、グアレック) はサポートカーを歓迎しません。) |
いわゆるウェルカムポイントではサポートカーを使えない、ということですね。
Article 18: Penalties and appeals (変更あり)
ルール違反に対するペナルティの条項です。
PBPの場合、ペナルティは基本的に「完走時間の追加」という方式が取られます。ズルして早く走ろうとすると、逆に遅くなるということです。
「1h」と書いてあった場合、完走時間に1時間がプラスされます。その結果、制限時間をオーバーすれば認定は受けられません。
2019年 |
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2023年 |
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2023年に新たに追加されたペナルティが、「路上に設置されたPBPのルート案内標識を持ち帰った場合」です。
要はコレですね。参加者が迷わないように設置されている道標なのですが、お土産として持って帰ってしまう不届き者が毎回います。これは勝手に持ち帰ってはいけません。
これがどうしても欲しい人は、ゴール受付でスタッフに頼みましょう。予備分や、余った案内看板をもらえます。
ペナルティ内容が強化されたのが「夜間、または視界の悪い状況で、ライトを点灯していない場合」です。前回までは1時間のペナルティでしたが、今回からは2時間となっています。
恐らく、前回大会で夜間にライトを点灯していない参加者が多かったのでしょう。
Article 19: Environment (変更なし)
環境に関する条項です。
特に内容の変更はありません。
Article 20: Image rights and liberties (変更なし)
肖像権に関する条項です。
PBPではオフィシャルサービスによる写真撮影があります。イベント中に撮影された写真がパンフレットなどに掲載されることがありますが、参加者はそれについて了承する必要があります。
特に内容の変更はありません。
Article 21: Updating (変更なし)
ルールの更新に関する条項です。
特に内容の変更はありません。
まとめ
PBPルールの変更点を各条項ごとに確認しました。
主な変更点をまとめると以下のようになります。
- フランス人以外の枠は600人減った。
- デポジットが30→50€に値上がり。
- 参加費に含まれていた保険がなくなり、自分での保険契約が必須になった。
- 単独走行時のエアロバーが事実上の解禁。
- 昼間も反射ベストの着用が推奨となった。
- 復路のウェルカムポイントとして、グアレックが追加された。
- 車検がスタート当日に行われるように変更された。
- 夜間のライト不点灯のペナルティが強化された。
全21条のうち、12条に変更があります。前回参加した方も、念のためルールは細かく確認しておいたほうが良いでしょう。
特に保険に関しては大きな変更が入っています。出国する前に、フランス滞在中の事故などをカバーする保険に入っておいてください。
著者情報
年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。