PBP 2023 シークレットPCの傾向と対策

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PBPの往路と復路に設定される「シークレットPC」の傾向と対策の解説記事です。

目次

シークレットPCとは

シークレットPCとは、「スタート時点で明らかにされていないチェックポイント」を指します。

シークレットPCの取り扱い

最近、私が出るブルベではあまりシークレットPC自体を見かけなくなったので、体験したことがない方も多いと思います。

日本国内ではショートカット防止や、補給所のない区間でのオアシス的に置かれることがあります。たいていはスタッフの方が駐在してチェックを行います。

例えば迂回路のある峠の頂上はシークレットPCにされることが多いです。正規のルートを外れて峠を避けた参加者は失格になるわけです。

PBPにおけるシークレットPC

シークレットと言えどPCなので、不通過の場合は認定されません

PBPのルールにも以下の記載があります。

Loss of the brevet card and loss of the tracking device, missing or incomplete validation, whether from an official or a secret checkpoint, will result in disqualification.
(ブルベカードの紛失、トラッキングデバイスの紛失、公式チェックポイントまたはシークレットチェックポイントによるチェックが欠如または不完全な場合、認定されません。)

つまり必ず通過する必要があります。見逃してはいけません。

2015年大会 シークレットPCの様子

PBPの場合、シークレットと言いつつも割りと分かりやすい傾向があります

以降で、その傾向を解説していきます。

PBPにおける傾向

PBPにおけるシークレットPCの傾向を説明します。

ただし、過去の結果からの分析なので今回から大きく変わる可能性もありますのでご了承ください。

設定の有無

国内ブルベでは、ほとんどシークレットPCが設定されることはありません。

シークレットPCは有人となることが普通であり、スタッフ側の負担が大きいことや、コンビニが全国的に多く普及しているのが理由だと思います。

一方、PBPはレギュレーションに以下の文言があります。

There may also be secret controls on both ways.

mayなので断言はしていませんが、「往復で設定されているかもよ」と書かれているわけです。これは「シークレットPCがある」と判断すべきでしょう。

事実、少なくとも過去5回は往復ともにシークレットPCが設定されています。

箇所数

過去5回は、往路と復路、それぞれに1箇所ずつシークレットPCが設定されました。全2箇所と言うことになります。今回もおそらく同じになるでしょう。

こちらは2015年大会のブルベカードです。

IMAG0366.jpg
IMAG0365.jpg

過去5回のブルベカードを見ると、シークレットPCのチェック欄が3箇所あります

最大3回は現れることを覚悟しておきましょう。

過去の大会の結果

私は2015年&2019の大会しか参加していませんが、2003年から参加している知人のブルベカードを見せてもらいました。

過去5大会について、シークレットPCの設置された街を以下に示します。

開催年 往路 復路
2019年 St.NICOLAS-DU-PELEM(WP/488km) St.NICOLAS-DU-PELEM(WP/843km)
2015年 St.NICOLAS-DU-PELEM(WP/494km) Maël-Carhaix(710km)
2011年 Quedillac(WP/389km) Illifaut(820km)
2007年 Corlay(488km) Illifaut(820km)
2003年 Saint-Martin-des-Pres(478km) Illifaut(820km)
この表に出てくる「WP」は、「Welcome Point」の略です
WPは、「ブルベカードにチェックをする必要はないが、仮眠所や売店などの機能を備えた、主催者が用意したポイント」となっています。

これまでの傾向

上記のポイントと、2023年のルートを地図上にプロットしたのが下記のマップになります。

2003年から2011年までは、3回連続で「Illifaut(イフォー)」という街がシークレットPCになりました。

完全な法則性はありませんが、大体以下の傾向があります。

 往路&復路: ルデアックの前後60kmの範囲内

ルデアックは、往路の435km地点、復路の782km地点にあります。

シークレットPCかと思ったら私設エイドだった場所

やはりPBPにおける一大ターミナルだからなのか、この前後にシークレットPCがあることが多そうです。そして、直近3回は、往路のWPがシークレットPCに設定されています

WPは寄らなくても良いポイントなのでスルーしてしまいそうになるのですが、念のため立ち寄ったほうが無難です。

シークレットPCの見分け方

2019年のシークレットPCを例に説明します。

往路

2019年の往路のシークレットPCは、St.NICOLAS-DU-PELEMでした。

2019年 往路のシークレットPCの様子

2019年大会においては、St.NICOLAS-DU-PELEMは往復ともにWPに指定されていました。

ポイントの入口に着くと、スタッフの方が

「Secret Controle!!」

と、大きな声で呼びかけていました。

私は「WPはシークレットPCに指定されやすい」ということを知っていたので「来た来た」という感じで立ち止まりました。

一方で、完全にその呼びかけをスルーして走り去っていってしまう参加者も結構いました。恐らく、彼らは完走しても認定はされなかったはずです。

復路

2019年の復路のシークレットPCは、St.NICOLAS-DU-PELEMでした。

2019年 復路のシークレットPCの様子

往路と同じポイントです。これは2015年以前にはなかった新傾向でした。それまで往路と復路で別のポイントになっていたんですよね。

「復路でもう一箇所くらいシークレットPCがあるのでは?」と思っていましたが、最後までありませんでした。

気をつけるべき点

以上より、気をつけるべきは以下の点です。

  • WPはシークレットPCとなる確率が高い。
  • スタッフの言っていることは注意深く聞き取ること。大抵の場合、「Controle!」と呼びかけています。

WPは必ず立ち寄るようにしましょう。あと、スタッフの言うことは注意深く聞きましょう。

2023年大会の予想

2023年のシークレットPCはどこになるのか? 予想をしてみます。

あくまで予想なので、外れても責任は持てません。

往路の予想

往路は今回もSt.NICOLAS-DU-PELEMじゃないかと思います。

特に根拠はありませんが、二度あることは三度あるということで。

復路の予想

復路はGOUARECじゃないかと思います。

GOUARECは今回新設されたWPです。復路では従来St.NICOLAS-DU-PELEMを通っていましたが、今回からルートを変えて、GOUARECを通過するようになりました。

これは一応根拠があります。

Cyclotourisme Mag
Paris-Brest-Paris Randonneur® 2023 - Un parcours modifié - Cyclotourisme Mag Le PBP comme l’appellent les passionnés de la longue distance à vélo est de retour en 2023. Quelles sont les nouveautés ?

こちらはPBPの運営に協賛する「FFVelo」の運営する自転車関連のニュースサイトに今年1月に掲載された記事です。この記事の中に以下の記述があります。

Tout en conservant les sites contrôles habituels, mais en déployant de nouveaux points dédiés aux contrôles secrets, le parcours permettra d’accroître la sécurité en évitant le croisement des groupes de cyclos entre Tinténiac et Brest.
(通常のチェックポイントを維持しながら、シークレットコントロール専用の新しいポイントを配備することで、このルートは、タンテニアックとブレストの間のサイクリストのグループの交錯を回避することでセキュリティを強化します。)

ここで出てくる「タンテニアックとブレストの間」に新設された新しいポイントはGOUARECしかありません。これを「シークレットコントロール専用」と言ってしまってるわけですね。

ほぼ答えが出てしまってるようなものの気がしますが、これもブラフかもしれません。走行中は常に「シークレットPCがあるかも」と、注意しておきましょう。

まとめ

PBPにおけるシークレットPCについて説明しました。

知らないと通り過ぎてしまう人もいますが、あると分かっていれば気付けるものです。

往復最低1箇所ずつ、最大で3箇所のシークレットPCがある可能性を頭に入れて走ってください。シークレットPC不通過で認定されないのは悲しいですからね。

著者情報

年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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