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トンネル多めのルートを走った時にEdge530で起こる問題
Garmin Edge530を付けて奥多摩方面を走りに行った所、記録された走行距離が随分短くなってしまった問題について調べた記録です。
経緯
昨日は晴れてツーリング日和。久々に奥多摩~松姫トンネルを走りに行きました。
奥多摩方面はまだ桜が散っておらず、風景は最高。春気分を十分に味わえるツーリングとなりました。
問題発生
150kmほど走行した所で妻から意外な一言が出ました。
「あと40kmくらいだね。」
今回私が組んだルートは200kmちょうど。私のEdge530が示している距離はまだ154km。あと47kmあります。これを「あと40km」と表現するのはさすがに変。
そこで妻にeTrex30に表示されている走行距離を聞いてみると「今160km」との回答。なんと私のEdge530の走行距離と6kmの差があります。

Edge530

eTrex30
結局、最後まで走った所でEdge530は191km、eTrex30は197km。距離差は6kmに落ち着きました。
本来は合計で200kmになる想定でしたが、途中に工事中で迂回しなければならないところがあり、3kmほどショートカット。合計197kmになるはずなので、妻のeTrex30の値のほうが正しいことになります。
1kmくらいならまだ分かるんですが、6kmというのは大差です。今回は単なるツーリングだから良いのですが、これがブルベだとキューシートとの距離がズレてしまうので大問題。そこで原因を考えてみることにしました。
原因(仮説)
原因は恐らく「トンネル」だろうなと当たりを付けました。
今回のルートはトンネルがとにかく多いのです。トンネルはGPSが電波を拾えなくなるので、その間は計測が行われません。
私は現在、自転車にはスピードセンサーを付けていません。恐らくはスピードセンサーがついていれば、トンネルを抜けている間も計測は行われるはずです。
特に今回は全長3kmと非常に長い「松姫トンネル」が途中にあります。6kmのズレのうち3kmは恐らくこれでしょう。
そう言えば、同じくトンネルの多い三浦半島を走った時も、私のEdge530は妻のeTrex30よりも1kmほど短い値を示していました。
昔使っていたEdge800はトンネルでは特に距離がズレなかった気もするんですが。
eTrex30の距離がズレない理由
では、なぜ妻のeTrex30は正しい値を表示できたのか?
eTrex30は、GPSの電波をロストした所から再発見した所までを直線と見なして補完してくれる機能があります。トンネルが曲がっていると距離に誤差が出ますが、途中で曲がるトンネルはあまり存在しないので、この補正でもかなり正解に近い値を出してくれます。
eTrex30はスピード/ケイデンス一体型センサーと接続はできますが、値を拾うのはケイデンスのみ。つまりスピードはGPSからしか拾ってくれないのでこんな仕様になっているようです。
私は7年ほどロングライド中のサイクルコンピューターとしてeTrex30を使ってきましたが、距離がそこまで変になったことはありません。600kmブルベで1kmズレるかどうかといった所です。
おそらくは、このトンネル補完機能がEdge530には搭載されていません。
検証
果たして原因はトンネルだったのかを検証してみます。
トンネルの総距離
今回のルートで通ったトンネルの数と距離を検証します。
# | トンネル名 | 長さ[m] |
1 | 旧満地トンネル | 150 |
2 | 御岳トンネル | 89 |
3 | 払沢トンネル | 25 |
4 | 鳩ノ巣トンネル | 78 |
5 | 花折トンネル | 108 |
6 | 白丸トンネル | 126 |
7 | 新氷川トンネル | 605 |
8 | 橋詰トンネル | 238 |
9 | 白鬚トンネル | 359 |
10 | 惣岳トンネル | 149 |
11 | 板小屋トンネル | 115 |
12 | 桃ヶ沢トンネル | 275 |
13 | 中山トンネル | 39 |
14 | 大麦代トンネル | 538 |
15 | 熱海トンネル | 61 |
16 | 室沢トンネル | 215 |
17 | 鶴の湯トンネル | 157 |
18 | 女の湯トンネル | 124 |
19 | あづまいトンネル | 96 |
20 | 坂本トンネル | 260 |
21 | 川野トンネル | 140 |
22 | 小永田トンネル | 95 |
23 | 松姫トンネル | 3066 |
24 | 深城トンネル | 289 |
25 | 唐沢トンネル | 100 |
26 | 嵐山洞門 | 290 |
27 | 小山長池トンネル | 129 |
合計 | 7916 |
トンネル(洞門含む)がなんと27本。そして総距離は7916mと、ほぼ8kmになりました。
Edge530はGPS電波をロストすると警告が表示されます。走っていた際に100m以下の短いトンネルではGPS電波をロストしていなかったので、GPSをロストした距離はこの距離よりは短くなるはず。6kmの差は実に「ありそう」な数字です。
聞き取り調査
TwitterでもEdge530を使っている人を対象に聞き取り調査をしてみましたが、やはりトンネルの多いコースを走った際には走行距離が短くなる事象が起きていることが分かりました。
説明書の確認
Edge530の説明書を確認してみたところ、以下の記述がありました。
スピードセンサーがデバイスにペアリングされていない場合、スピードと距離はGPSデータを基に算出されます。
最近はこちらのようなハブ軸に巻きつけるセンサーが主流ですね。
こちらのセンサーを付ければ、とりあえず「トンネルの多いコースで走行距離が短くなってしまう問題」は解決できそうです。
スピードセンサーを使う場合の問題
気になるのが、説明書の文章の書き方だと「GPSよりもスピードセンサーのほうが優先して速度&距離測定には利用される」ということ。
個人的にはスピードセンサーよりもGPSの距離測定のほうが信頼度が高いと思っています。出来ればGPSを優先してもらって、電波をロストしたときだけスピードセンサーの測定値を使ってほしい。
スピードセンサーが測定する速度・距離は設定したタイヤの周長を元に算出されます。と言うことは周長設定が間違っていれば結果はズレますし、周長は空気圧によっても微妙に変わります。Edge530はGPSでの測定値からのフィードバックを受けて自動的に周長設定する機能があるので、そこまで気にする必要はなさそうです。
ただ、私みたいに3台のロードバイクを使っていたりするとそれぞれにスピードセンサーを取り付ける必要があるわけです。このセンサーは2000-5000円するので結構な出費となります。
設定画面を確認してみましたが、GPSよりスピードセンサーが優先されるのは変えられない様子。自動周長設定を信じるしかないですね。
手持ちのスピードセンサー
一応、我が家にもスピードセンサーはあるにはあります。XOSSという、いわゆる中華メーカーのものです。
ボントレガーのサイコンがGPSを搭載していなかったのでこちらを買いましたが、どうも毎回距離がズレます。具体的には走った距離よりも短くなります。
周長設定の間違いを疑いましたが、それならば走る距離とズレの大きさは比例するはず。しかし、ズレが距離と比例しないんですよね。恐らくタイヤの回転数がうまく拾えてないのだと思います。
これを使うのはまた走行距離が不正確になりそうなので、もう少し信頼できるメーカーのものを買おうか検討中です。やはりガーミンですかね。
まとめ
Edge530はスピードセンサーを付けていない状態でトンネルなどのGPSからの電波をロストする場所を通ると、走行距離が短く表示されるようです。恐らく同世代のEdge830/Edge1030も同様だと推測されます。
ブルベに参加しているでEdge530を使う人は、必ずスピードセンサーを併用しましょう。でないと、距離表示がキューシートとズレて迷うことになります。月間の走行距離を細かく記録している人も、正確な距離を記録するためにはスピードセンサーを付けたほうが良いと思います。
私はというと、しばらくはまだブルベではeTrex30をメインで使用しようかなと思い始めています。重いけれど特段の問題が起こらないというのはロングライドではメリットですからね。
ただ、並行してEdge530+スピードセンサーのテストも行っていく予定です。それで問題がなければブルベにもEdge530+スピードセンサーを取り入れようとは思っています。
個人的には、スピード計測におけるGPSとスピードセンサーの優先度を選べるようにしてくれるとありがたいんですけどね……。
著者情報
年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。