ロードバイクの「太タイヤ」化の進行状況

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アンケートを取ってみたら太タイヤ化が思いのほか進んでいたので記事にしてみました。

目次

太タイヤ化の歴史

近年、ロードバイクの太タイヤ化が進んでいます。

まずは、ここ10年ほどの「ロードバイク界隈のタイヤ幅の歴史」を振り返ってみます。

23Cタイヤの時代

私がロードバイクを始めた2010年前後は、ロードバイクのタイヤと言えば「23C」でした。空気を入れた時のタイヤ幅が23mmになるタイヤを指します。

「ヒルクライムでは20Cのチューブラー」という人も珍しくなかった時代。私も特に疑いもなく23Cタイヤを使っていました。

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当時はとりあえず「GP4000Sの23Cを買っておけば良い」という時代でした。

25Cタイヤの時代

2013-4年頃から、25Cタイヤが流行り始めます。

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雑誌などでも「タイヤが太いほうが転がり抵抗が低い」ということで、25Cを推奨するような空気が出来上がり始めました。

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時を同じくしてタイヤを取り付けるリム側も太くなっていきます。リムの内幅はかつて13-15mmが普通でしたが、17mm以上の内幅を採用するリムが徐々に増え始めます。いわゆる「ワイドリム」化です。

ワイドリムが普通になり、タイヤブランドのラインナップも25Cが中心になりました。

ディスクブレーキ化

25Cで一段落するかと思いましたが、次にやってきたのは「ロードバイクのディスクブレーキ化」です。

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リムブレーキではブレーキキャリパーの設計上、最大で28Cまでのタイヤしか使うことが出来ませんでした。ディスクブレーキにするとキャリパーがなくなり、その制限がなくなりました(フォークの太さによる制限はある)。

リムブレーキ時代は多くのフレームが最大28C(場合によっては25C)まででしたが、ディスクブレーキ時代になってからは最大32Cが普通になっています。場合によっては40Cまで履けるロードフレームというのも最近はありますね。シクロクロスより太い。

新ETRTOの制定

2020年には欧州のタイヤ規格にして、実質的なタイヤの国際規格である「ETRTO」が改定されます。いわゆる「新ETRTO」です。

それまでのロードタイヤは「25Cの場合、リム内幅15mmを基準に作るように」とされていましたが、「25Cの場合、リム内幅19mmを基準に作るように」といった具合に、設計前提のリム内幅が広がりました。

こちらは2022年に発売されたPanaracer「AGILEST」のパッケージです。

赤字で示されているのが最適なリム内幅とタイヤ幅の組み合わせです。23Cならば内幅17mm(C17)のリムに付けるのが最適であり、25Cならば内幅19mm(C19)のリムに付けるのが最適な性能が出るということになります。

最近のホイールはリム内幅19mmが普通になってきており、内幅21mmやそれ以上のリムも登場してきています。

SHIMANO (シマノ) ULTEGRA アルテグラ WH-R8170-C50-TL チューブレス ディスク リア ホイール

例えばSHIMANOのアルテホイールは内幅21mmです。このリムに新ETRTO対応の25Cタイヤを付けるとタイヤ幅は約26mmになります。設計前提の内幅より大きいリムに取り付けるとタイヤ幅は太くなるわけですね。リム内幅21mmのホイールに最適なタイヤは30C以上になります。

「それならば28Cや30Cでもいいんじゃないか」ということで、昨今ではレース系の人でも28C以上のタイヤを使う人が増えてきました。ブルベやロングライド界隈では28Cユーザーは結構前から多かった気はしますが、最近は更に割合が増えたように思います。

こうなるとメーカー側も「30Cを超えるロード用クリンチャータイヤ」という、一昔前だったら考えつかないような製品を売り始めます。

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私も最近、34Cのロード用クリンチャータイヤ「CORSA N.EXT」を買ってディスクロードに付けてみたりしました。

ちなみに、ママチャリのタイヤ幅が大体34mmです。今やママチャリタイヤ並みの太さのロードタイヤが出てきているわけですね。

アンケートを実施

2023年11月に、タイヤ幅に関するアンケートを実施しました。

2022年2月にも全く同じ選択肢でアンケートを実施したので、その結果と比較して「太タイヤ化」の進行度を見てみます。

質問内容

設問は「ロードバイクのタイヤ、メインで使っている太さは何Cですか?」でした。対象は「ロードバイク」に限定しています。

回答1: 23C以下
回答2: 24~26C
回答3: 27~29C
回答4: 30C以上

選択肢は4つあり、その中から1つを選んで回答してもらう方式です。

ロードバイクのタイヤの場合、一般的な幅の刻みは「23, 25, 28, 30, 32, 34…」といった具合ですが、一部メーカーはそれとは別に「26C」だったり「24C」という幅を出しているので、こういった範囲を持たせた選択肢としています。

結果

まずは前回(2022/02)の結果から。投票数は1508票。

既に23C勢は少なく、25Cを含む「24~26C」が6割を占めていました。

次に、今回(2023/11)の結果です。投票数は1917票。

たった1年半で、「24~26C」は8%ダウン。代わりに「27~29C」タイヤが12%アップしています。27Cや29Cのタイヤというのは見たことがないので、実質この選択肢は28Cタイヤの選択者ということになります。

23Cタイヤは更に減り、一方で30C以上を使っている人も増えていることが分かりました。

考察

あくまでもTwitterにおける私のフォロワーさん中心の方の回答ということで偏りはありそうではありますが、結果を見て考えてみます。

私のフォロワーさんにはロングライド関係の方が多いので、多分世間一般のロード乗りの相場よりは太いタイヤのほうに偏る傾向はあると思います。

それを考慮しても、28Cタイヤが12%増加というのは見逃せない変化ですね。1年半前と今ではロードタイヤに関する意識がかなり変わってきているようです。ディスクロードに軸足を移した人が多いということかもしれません。

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私はディスクロードでもまだ26Cをメインで使ってますが。

ちなみに今年のPBPでは悩んだ末にGP5000の25Cを使いました。タイヤの信頼性からGP5000を選んだものの、28Cはモッサリしすぎて使いたくなかったのが理由です。

GP5000は未だに旧ETRTOに則って作られているようで、ちょっと設計が古いんですよね。今回はホイールのリム内幅が17mmということもあり、25Cのほうが適切であったということです。

まとめ

「ロードバイクの太タイヤ化は確実に進んでいる」ということが分かりました。

各タイヤメーカーも新ETRTOに対応したニュータイヤをこの2年の間に次々とリリースしています。私の認識では、ContinentalとMichelinという2大巨頭だけが何故か旧ETRTOのままです。Michelinはわざとやっている気がしますが、GP6000(仮称)は新ETRTO対応のタイヤになるでしょう。

しかし、10年でロードバイクのタイヤが5mm太くなったと考えると、次の10年はどうなるんでしょうね。

2033年には33C、2043年には38C、2053年には43C……どこかで頭打ちにはなるでしょうが、ツール・ド・フランスを30Cタイヤが当たり前のように走る日は遠くないかもしれません。

ちなみにファットバイクのタイヤは4インチなので約100mm幅です。さすがにここまでは行かないとは思いますが、果たして。

おまけ。生成AIに「タイヤ幅10cmの極太タイヤで行われるツール・ド・フランスの様子」というお題を与えて出力された絵です。こうはならないとは思いますけどもね……。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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