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mont-bellのフロントバッグ(三代目)購入
mont-bellの「サイクルフロントバッグ」を買ってきました。なんと3代目です。
まえがき
ここ最近は「フロントバッグ探し」の沼にハマっていました。
フロントバッグ導入のきっかけ
私がフロントバッグを使い始めたのは2015年の9月から。2015年のPBPが終わった直後のことです。
きっかけとなったのは、Björn Lenhardさん。2015年のPBPで一番早くゴールした人です。
三船さんたちが集団で協調しながら一番時計を狙う中、一人でフロントバッグに食べ物を満載し、なるべく停止せずに最速タイムでゴール。1200kmを、なんと42時間26分で完走しています。
言うまでもなく、フロントバッグは空気抵抗が非常に大きいアイテムです。制限時間のあるライドでは不利に働くはずで、それまで私はフロントバッグを使おうと思ったことはありませんでした。
しかし、Lenhardさんは「ブルベの速度域であれば空気抵抗に勝るメリットがフロントバッグにはある」ということを証明してくれました。そのメリットを上げるとすれば以下になるでしょう。
- フロントバッグに食べ物を満載することで、補給食を入手するための時間を減らすことが出来る。
- アクセスしやすい場所に食べ物が置けることで、常にエネルギーを絶やさず走り続けられる。
早速、フロントバッグを買って試してみることにしました。
mont-bellのフロントバッグを購入
購入したのは、mont-bell「サイクルフロントバッグ」。
「これがいい!」と思って選んだわけではなく、「入手性が高い」「安い(当時3400円)」ということで、とりあえず購入したフロントバッグでした。
早速、PBPの1ヶ月後に開催された「東北1000」にフロントバッグを実戦投入。
補給場所の少ない東北のコースでは「常に補給し続けられる」メリットをかなり感じました。道中10時間以上寝た割にはタイムも上々。やはりブルベの速度域だと、フロントバッグは短所より長所のほうが多いことが分かりました。
特に不満を感じなかったのでmont-bellのフロントバッグは以後も続投。400km以上のブルベではほぼ必ずフロントバッグを付けていました。
初代のmont-bellフロントバッグは2019年のPBPまで使用。4年間の使用でくたびれてしまったので、帰国後に2代目のmont-bellフロントバッグを購入しました。
2代目のフロントバッグも四年間使用し、2023年のPBPでも使用。時間内の完走に貢献してくれました。
別のフロントバッグを試してみる
2024年になって再度フロントバッグ探しを始めました。きっかけは、ディスクロード「GE-110」の購入です。
こちらの記事の前段でも書きましたが、GE-110はステムの下を通ってヘッドパーツからケーブルをフレーム内に引き込む内装方式(正確にはセミ内装)を採用しています。
この方式の場合、「ハンドルの真下」に付けるタイプのフロントバッグが使用可能になります。
……ということで、フロントバッグを片っ端から色々と試してみたのですが、結局「全てにおいてしっくり来る」というものがありませんでした。
ある点ではmont-bellのフロントバッグより勝る点はあるものの、イマイチな点も残念ながらあるんですよね。
mont-bellのフロントバッグはなんだかんだで10年近く使っていて、これといった不満はなかったのです。強いて言うなら「見た目がちょっと古くさい」くらいでしょうか。
三代目のmont-bellフロントバッグを購入
……ということで、三代目のmont-bell「サイクルフロントバッグ」を買ってきました。
さんざん他のバッグを試したものの、結局私にとってはこれが一番良かったみたいです。
Twitterでその話を書いたら「幼馴染系フロントバッグですね」というコメントを頂きましたが、まさにそれですね。最初から答えは近くにあったのです。
なお、リムブレーキ時代はバッグのつっかえ棒代わりになっていたケーブルがなくなってしまったので、わざわざバッグを支えるための棒を追加しています(実使用時は棒とラダーロックを紐で固定する予定)。これがないとブラブラしてしまうので。
mont-bell「サイクルフロントバッグ」の良いところ
普段ならここでファーストインプレッションを書いていきますが、10年近く使ったアイテムなので今更それを書いても仕方ありません。
今回は、他のフロントバッグを色々試した中で気付いたmont-bell「サイクルフロントバッグ」の良いところ・気に入ってるところを書いていきます。
既にレビュー記事はあるんですが、この記事を書いたのは2015年11月。まだまだ付き合いの浅い頃です。
それから8年半を愛用する中で気付いたことを書きたいと思っていたので、この機会に書いていこうと思います。
結構軽い
mont-bell「サイクルフロントバッグ」の公称重量は211gです。ただ、このバッグはそれなりに軽量化の余地があります。
具体的な方法はこちらに書いていますが、形状を保つために入っているプラ板を薄いものに交換することで155gくらいまでには持っていけます。
ただ、3室あるうちの真ん中(一番大きいスペース)は薄いプラ板に交換しないほうが良いです。割れてしまうので。ここの強度が弱いとバッグ全体が垂れ下がりがちになり、底をタイヤに擦ってしまうこともありました。
そんな理由から、真ん中のスペースには最初から付いていた1mm厚のプラ板をそのまま使うのがベストだという結論に至りました。サイドの2室は0.5mm厚のプラ板に交換します。
ハンドルに巻きつけるストラップも軽量な着脱可能タイラップに変更しています。
付属のストラップは幅が太くてライトと場所の取り合いになってしまいますが、タイラップだと細くてそこまで邪魔になりません。
割とストラップがバッグに縫い付けられている製品も多いのですが、mont-bellのフロントバッグは好きなストラップが使えるようになっているのが良いですね。
その状態での実測重量は180g。容量と使い勝手から見るとかなり軽量です。
フロントバッグを探す中で、(機能的な面で言えば)理想的だったのはルートワークスのフロントバッグでした。
しかし、重量は650gとmont-bell「フロントバッグ(軽量化前)」の3倍。さすがにちょっと重すぎるので選択肢から消えてしまいました。
安定性と機能性を実現するためにはこれくらいの重量が必要だと思うのですが、ハンドル周りの重量は操作性に影響があるので私には妥協できない部分でした。
ライトと(ギリギリ)共存できる
フロントバッグは、「ハンドルの前」に付くタイプと、「ハンドルの下」に付くタイプがあります。
ハンドルの前に付くタイプの場合、ハンドルよりも上側にバッグの上端が来てしまい、フロントライトが取り付けられない or 取り付けてもバッグが光を遮ってしまう……ということが起こりがち。
ブルベのようなロングライドでは夜間走行は付き物で、ライトとの共存は無視できない要素です。
mont-bellのフロントバッグはハンドルの上へのはみ出しが少なく、一応ライトとも共存は可能です。
ただ、ライトから出る光のうち、ハンドルの真下を照らす光は遮られてしまいます。自転車から近い距離をメインで照らすライト(OLIGHT「RN1500」、LUMINTOP「B01」など)との相性は良くありません。
このため、遠距離を照らすことが得意なライト(CATEYE「VOLT800」など)と組み合わせるのが良いと思います。
H-34N フレックスタイトブラケット用スペーサー完成。
— てつやん (@tetsu_yan) June 11, 2024
写真は25mmで高過ぎたので20mmに変更する。
フロントバックとの干渉を避けたり、色々と使えます。
軽量化と空力のために開けたエアーインテークがカッコいい~w
本当はやっちゃばに間に合わせたかったけど、テストが終わらなかった。 pic.twitter.com/TYaOGpCxtL
「ゆるふわーくす」さんが新作として出すスペーサーを使うと照射範囲を広げられそうなので期待しています。
3室あって荷物を分類できる
mont-bell「サイクルフロントバッグ」は、中央の大きな1室と、両サイドの小さな2室、計3室を備えています。
これの何が良いかと言うと、荷物をカテゴリごとに分類できることです。
ロングライドの後半になると「あれどこに入れたっけ?」となりがちですが、場所を決めておくことでそれを防ぐことが出来ます。
私の場合はこんな感じで入れるものを分けています。
中央は食べ物をひたすら入れる場所。これによって、PC間の距離が100km以上あったとしても食べ物に困ることはありません。
右サイドは、サプリ・塗り薬・ケミカルなど。それぞれを小さなジップロックに入れてさらに分類しています。
左サイドは、電子機器とケーブル。モバイルバッテリーや予備電池をジップロックに入れています。
このフロントバッグは防水性がないので、濡れて困るものは基本的にジップロックの中へ。補給食は濡れてもあまり困らないのでそのままです(一度、紙包みの飴が雨で溶けた時は大惨事になりましたが)。
中身を視認しやすい
このバッグ、割と中身を視認して取り出しやすいです。
布製のフロントバッグの場合、たいていはこうした横一文字のファスナーで開閉します。
ただ、これって「中に何が入っているか」が結構見づらい。手をこじ入れないと口が開かないので中が見えないのです。
一方、mont-bell「サイクルフロントバッグ」の中央の1室はU字型のファスナーとなっており、ガバッと開きます。サドルに座った状態の視点だと、それなりにバッグ内が確認可能なのです。夜は無理ですが。
バッグ内を見てモノを取り出せるので、欲しい食べ物を見分けやすいのはメリットです。
スペーサーなしで上ハンドルを握れる
案外見逃されがちなのがこの項目です。
この手のフロントバッグはハンドルに密着して取り付けられるため、上ハンドルを握ることができなくなります。
レバーしか握らず上ハンドルを使わない人ならば問題がないのですが、私は割と頻繁に上ハンドルを使うのでコレには困っていました。
こういったスペーサーを入れれば、ハンドルとバッグの距離を増やし、上ハンドルを握れるようにはなります。昨今のフロントバッグにスペーサーが付属するようになったのはこれが主な理由でしょう。
ただ、こうしたスペーサーは割と潰れやすく、5mmタイプならば4-5枚は挟まないとハンドルを握れるほどの距離が稼げません。それだけ挟むと、ちょっと見た目が不格好になるように思えます。
ルートワークスやオルトリーブなど、硬質なフロントバッグはハンドルにアタッチメントを取り付けます。このアタッチメントでハンドルとバッグの間の距離を稼ぎ、上ハンドルを握れるようにしています。
しかし、前述の通りこの手のバッグは非常に重い。最軽量でも500gスタートです。
その点、mont-bell「サイクルフロントバッグ」はバッグの左右のポケットが少しだけ前に逃げる構造になっているため、上ハンドルを握ることは可能です。3室構造になっているメリットがこんなところにも。
指に擦るのでちゃんとグローブをしていないと手の甲側の皮が剥けてしまうことがありますが、グローブをしていれば特に問題はありません(グローブの生地は傷むかもしれない)。
膝に当たらない
この8年間で色々なバッグを試しました。
フレームバッグはどんなに細いものを選んでも、太ももへの擦れが気になる。特にトップチューブに巻かれたストラップと内ももの擦れが気になりました。
トップチューブバッグはボルトオンタイプになったことでストラップがなくなり、太ももとの擦れは無くなりました。ただ、トップチューブバッグは容量が小さすぎて欲しいだけの補給食が入りません。
その点、当たり前ですがフロントバッグは膝や太ももとの干渉を気にする必要はありません。容量もたっぷり。
その分だけ空気抵抗が増えて、ハンドル周りが物理的に重くはなりますが……その辺りはトレードオフですね。
ゼッケンプレートを貼りやすい
これはPBP参加時に限ったメリットです。
PBPでは車体に2箇所のゼッケンプレートを付けることが義務付けられています。うち、1枚は自転車の正面から見える場所に貼らなければなりません。
しかし、自転車の正面側にゼッケンプレートを付ける場所って意外に無いのです。ハンドルからタイラップでぶら下げても良いんですが、走行風でブラブラしてしまいます。2015年のPBPはそれで結構気が散りました。
そこで、フロントバッグに直接貼り付けてしまうという方法を取るわけです。
ゼッケンプレートの裏とバッグにマジックテープを貼る方法で、2019年と2023年のPBPは最後まで走り切りました。
まとめ
三代目のmont-bell「サイクルフロントバッグ」を買った報告でした。
元々そこまでこだわらずに買ったフロントバッグを約10年も使い続けることになるとは思っていませんでした。なんだかんだでこのフロントバッグはブルベ界隈での使用率が高いですが、この記事を書いてみると改めてその理由が分かった気がしました。色々な意味で「丁度良い」んだと思います。
mont-bellのフロントバッグは恐らく2013年頃にモデルチェンジしました(型番: #1130385)。
モデルチェンジ前はこちらの写真のようなデザインだったようです(型番: #1130110)。900デニールのポリエステルから、330デニールのナイロンに素材が変更されて、軽量化しました。
以来10年以上に渡って、大きな変更なくラインナップされ続けています。出来ることならば、今後とも末永くラインナップされ続けて欲しいものですね。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。