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Taipei International Cycle Show 2017 レポート
毎年3月に台北で開かれている、アジア最大規模の自転車製品展示会。2017年は3/22-25の4日間で行われました。
主に販売店・代理店向けの展示会ですが、一般客も入場可能な日が設けられています。以下は、一般客として参加したレポートです。
2024年、久々に行こうと考えているので、どんなふうに動いていたのかを思い出しがてら記事化しました。
参加動機
以前から台北ショーに興味がありましたが、今年はちょうど休みも取れそうだったので参加を決めました。
目的としては、まだ見ぬパーツの発見です。聞くところによると、日本には入ってきていないパーツが多数出展されているとのこと。
各社の新製品も気になりますが、私としてはポンプやライトマウント等の小物を主目的としていました。特に愛用しているairbone(台湾メーカー)のブースには是非行きたいと思っていました。
イベント概要
台北ショーのイベント概要です。
歴史
1988年にこのイベントが始まったようです。2017年で30回目と言うことになります。
会場
会場は、Taipei Nangang Exhibition Center(南港展覧館)。
台北の郊外に位置する展示会場で、東京ビッグサイトや幕張メッセに近いイメージです。
この会場の1階と4階のホールを貸切って開催されます。5階と6階の一部にも展示があります。屋外には試乗コースも設けられています。
客層
見た目は日本のサイクルモードに似ていますが、メインターゲットはビジネス層。
約4万人の入場者数のうち、一般客は5%程度。95%はビジネスで訪れている人たちです。ブース側も、OEM元を探していたり、代理店を探しているメーカーが大多数を占めています。
一般客の相手をするのが嫌なメーカーもあるようで、後半の日程になると帰ってしまうブースもあるとのこと。
規模
ブース数は公式発表で約1100件。サイクルモードが200件なので、なんと5倍の規模があります。
来場者数もサイクルモードと比較してみます。
- 台北ショー
41000人(うち、ビジネス客39000人)- サイクルモード
28000人(うち、ビジネス客1300人)
台北ショーとサイクルモードでは客層がまるで別だと言うことが分かります。あくまでビジネス向けの展示会なので、ブースの方の対応も商談を前提としたものになっています。
展示面積は58000㎡。サイクルモードが27000㎡なので、約2.15倍の面積があります。
日程
日程は、以下の通り。
- 3/22-23
ビジネス関係者のみ入場可- 3/24-25
一般客も入場可
一般客は200元(約800円)を払って入場券を入手する必要があります。会場1階の受付で当日のみ購入可能です。前売りはありません。
なお、最終日のみ15時で終了となります(他の日は18時まで)。
入場前
当初の予定では3/25の最終日にショーを見て回る予定でしたが、「最終日は帰ってしまうブースが多い」「最終日は終了時間が3時間早い」と聞き、急遽3/24にショーに行く日程に変更しました。
台湾入り
Peach航空の羽田発便に乗り、3/24朝に台湾入り。
桃園国際空港に到着しました。
桃園国際空港から、開通したばかりの空港線に乗って台北駅へ。ここでMRT(地下鉄)の板南線に乗り換え。終点の南港展覧館駅まで向かいました。
入場券の購入
南港展覧館駅から、ショー会場の南港展覧館は直結。ショーの広告看板も増えてきて、会場最寄駅の雰囲気が漂っていました。
会場に到着したら、まずはチケットを購入しようと思ったのですが……ビジネス客の入口の方に行ってしまい、名刺を要求されました(ビジネス入場には名刺が必要)。「自分はcustomerである」ことを告げたところ、一般客向けの入口に案内されました。
一般客向けの入口にはチケット売り場が設けられています。大人は1人200元(約800円)。チケットに日付を記入されたので、当日のみ有効であるようです。各階ごとに受付があり、そこで半券を切り取ってもらう形になります。
ブース紹介
南港展覧館の1Fと4Fのホールに加えて、5Fと6Fの一部(会議室)にブースが出展されています。
それぞれの会場ごとに気になった展示等を紹介します。
入口
入口には、今回のショーの目玉であると思われる製品が展示されています。
目立っていたのはE-Bike。要は電動アシスト自転車です。
日本ではアシスト出力に大きく制限が掛けられており、対象もいわゆるママチャリが中心。しかし、海外ではスポーツ自転車へのアシスト機能の取り付けが一般化しており、例えばMTBの登りセクションをアシストでクリアし、下りを楽しむような使い方をされているようです。
1Fの展示
1Fは中小企業が中心です。全く名前を聞いたことが無いメーカーばかり。
それもそのはず、ほとんどは大企業のOEM生産を手掛けるメーカーばかりであるとのこと。これらのメーカーは日本はもちろん、台湾のショップでも扱いが無いメーカーばかりです。
その分、色々と攻めた製品が多いフロアであると言えます。
KMC
そうは言っても入口近くの一等地には有名なブランドが軒を連ねています。まずはチェーンで有名なKMC。
カラフルなDMCチェーンを展示。
SR SUNTOUR
続いて、現在は台湾資本となっているサンツアー。
バイクパッキング系のブース
最近、アメリカを中心に流行のバイクパッキンググッズも豊富に出品されていました。
ただ、どこも作りは似たり寄ったりで、アイデア作は見かけませんでした。
スチールフレームを展示するブース
フレームビルダーが台湾には一人しかいないらしく、割りと下火と思われるスチールフレーム。ただ、出品しているメーカーは気合が入っています。
Forever Machine
スチールフレーム界隈で一番気合が入ってたのがこのラグ。
ラインストーンを埋め込める窪みが設けられています。
Forever Machineというメーカーの製品です。
Ebon
小物メーカーで異彩を放っていたのは「Ebon」。
今時珍しい柄物のバーテープに、ツールボックス。
そして、どこかで見たパターンの反射ベスト……。
ボルトメーカーのブース
意外と多かったのがボルトメーカー。
陽極酸化処理やアルマイト処理で綺麗に色付けされたボルトたち。綺麗。
microshift
microshiftの11段変速。
デモがあったので使ってみましたが、変速速度がゆっくり。自分はやっぱりSHIMANOかな。
Vivimax
なかなか良さそうなヘルメットを多数出品していたVivimax。
他にサドルやバーテープなど、ブランド名通りVividなアイテムが多数です。
Control Tech
日本では小物パーツで知られるCONTROL TECH。実は色々作っています。
フレームも作ってたんですね。しかもディスクブレーキ。
飲食ブース
また、このフロアにはモスバーガーやバーガーキング、ケンタッキーと言ったファストフード店が出店しています。空腹時はここで食べ物を買いましょう。
4Fの展示
4Fは大手企業が中心です。
SHIMANOやSRAMといったメーカーはもちろん、日本でも馴染のあるブランドが多く出展しています。
SHIMANO
とりあえず、SHIMANOブース。
「新型アルテグラ8000が出ているのではないか」との噂がありましたが、見当たらず。普通に9100が展示されていました。
airbone
私の一番の目当て、airbone。入口近くの良い場所に出展されていました。
日本ではsupernovaポンプの一番小さいものしか見ませんが、他にも色々なモデルが有るのです。
「日本でもこれらのモデルを売ってください!」と言う思いはちゃんと伝えることが出来ました……。本来は代理店に言うべきことだったかもしれませんが。
ATECH
ATECHという、日本では聞き慣れないモデルのサイクルコンピューター。
Bluetooth対応。Garminに対抗しうるのでしょうか?
KEITH
ビビッドなピンクに彩られた一台。同行者がいたく反応していました。
TITANOS
私が反応したのはこちらのフレーム。
このカラー、欲しい。
日本館
「日本館」なる、日本のメーカーが集まった一角もありました。
出展していたのは、NITTOやカペルミュール、BOMA、GENTOSなど。
GENTOSは元々は自転車メーカーではないのに、こうやって台湾に進出するほど自転車に本気になっているのですね。
一方、日本のフレームメーカーで出ていたのはBOMAと5LINKSくらい。ちょっと寂しい。
WOHO
カラフルなサドルバッグやフロントバッグでおなじみの台湾メーカー「WOHO」。
バイクパッキングを始めたようですが、出展されていたのはモノクロカラーのみ。ピンクがコーポレートカラーだったはずでは……?
Tortola
「Tortola」というメーカー?のフレーム。
カーボン技術をアピールするかのようなフレーム造形。なんでも、衝撃吸収性を求めてこの形になったとか。
Pacific Cycles
Birdy(BD-1)やCarryMe等の小径車で有名な「Pacific」。
大きなブースで派手に飾られていました。
SIGMA
サイクルコンピューターの「SIGMA」ブース。
なんと2000ルーメンの超明るいライトが展示されていました。直接見ないように下に向いていましたが、それでも反射光だけで十分明るかったです。
SAPIM
高級ホイールのスポークでおなじみのSAPIM。
自慢のCX-RAYなどが展示されていました。
メーカー名失念
どこのブースだったかは忘れましたが、某弐号機プラグスーツ柄のジャージ。
これ、日本でも売られるんでしょうかね?
チンアナゴをイメージした?ドロッパーポストの展示。
XPEDO
最後に立ち寄ったのは、個人的に注目している「XPEDO」というペダルメーカー。
SPD互換で超軽量なペダルを出しています。日本に入ってきてるのはフラットペダルだけなのですが。実際、手にとって見ると軽いですね。回転も悪くない。
5F・6Fの展示
5F・6Fは1F・4Fとは趣が違い、会議室とその廊下にブースが出展されています。
ブース数は少なく、そこまで注目すべきものはありませんでした。
撤収済みブース
一般客が入れる日だからなのか、既にってしまっているブースもありました。
こういうのが本当にあるのを見ると、一日前倒しで来て良かったと思います。
海峡両岸自転車展
「海峡両岸自転車展」……と書いてあるのでしょうか。
調べてみると、この両岸は「中華人民共和国」と「台湾」を意味するそうです。歴史的には色々ある両国ですが、自転車産業では無くてはならない二国です。
見学終了
これにて見学終了。13時から18時まで会場にいたので、およそ5時間いた事になります。
これだけ居ても、多分見られたブースはせいぜい半分です。一つ一つを細かく見ていって、更に試乗も行った場合、2~3日はフルに必要になると思います。
おまけ。帰り道に食べた、日本式のラーメン屋「かいりきし」。怪しい日本語ですが、味はなかなか良いです。台湾らしく塩味は薄めですが、スープは豚骨の味が出ています。
まとめ
非常に刺激的な展示会でした。
ブース側も生活が懸かっているためか気合が半端じゃなく、かなり気圧されてしまいましたが、モノを作る側の情熱を感じられてよかったです。
見たことのないパーツやフレームも多く、わざわざ日本から行く価値があったと感じました。是非また参加したいと思っています。残念ながら自転車関係でビジネスをする予定はないので、恐らく次回も一般客としての参加ですが。
あと、折角行ったのに、実は見逃していたブースが多かったことが悔しかったです。ホイールを組み立てる機械とか、ペダルを作る機械とか是非見てみたかった……。
次回参加に向けて
次回の参加に向けて、反省点もいくつか。将来の自分へのメモも兼ねて書き残しておきます。
語学的な問題
私は日本の展示会では担当者の方にいろいろ質問をするのですが、今回は質問できるだけの会話能力が無く、気になった製品があっても何も聞くことが出来ませんでした。
英語が出来ればどうにかなりそうだったので、次回までに簡単なビジネス英会話が出来るレベルになっておきたいと思っています。
日程的な問題
今回は日程の都合上、1日しか会場を見て回る時間が取れませんでした。
ただ、サイクルモードの5倍のブース数があるので、1日で気になるブースを全て回ることは不可能。残念ながら一般客は2日間しか入ることが出来ないため、その2日間をフルに使って見て回りたいと思っています。今回出来なかった試乗も是非やりたいですし。
荷物の問題
今回は空港から会場に直行したため、旅行の荷物を全て持ってブースを見て回ることになりました。
これだけブース数が多いと歩く距離も半端じゃなく、かなり体力を使います。せっかく行ったのに後半は体力切れでゾンビのようになっていました。
次回は、台北駅にあるコインロッカーに荷物を預け、身軽な状態で会場に向かおうと思っています。今回コインロッカーの使い方も覚えましたので。
余談
余談。各ブースには、ほぼ必ずと言ってよいほど「展出成功」と書かれた生花が飾られていました。
「出展のご成功を祈ります」的な意味で、取引先や顧客から企業に向けて贈られるそうです。会場内は花の香りが漂っていて、ちょっと不思議な感じでした。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。