【調査】続・ロードホイール ワイドリム化の進行状況

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今月号(本日発売)のサイクルスポーツに掲載された「ディスクブレーキホイール総力特集」を受けての、ワイドリムネタ続編です。

目次

前置き

先日、こんな記事を書きました。

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【調査】ロードホイール ワイドリム化の進行状況 ロードホイールのワイドリム化が進んでいます。 「ワイドリム」という言葉に明確な定義はありませんが、クリンチャーホイールにおいては、リムの内側のフックの間の幅が...

サイスポ恒例のホイール特集から、リム内幅の変遷を纏めた記事です。結論としては、「どんどんリムの内幅は広くなっている」でした。

その末尾にこんな一文を書きました。

2020年はサイスポのホイールインプレ特集はまだ行われていませんが、行われたら更にワイドリム化は進行していることが予想されます。

そんなことを書いていた20日後に発売された2020年9月号の特集は「ホイールインプレ」でした。「そろそろかな」とは思っていましたが、予想より早かったです。

驚いたのは、対象のホイールが「ディスクブレーキのみ」だったことです。

前回(2019年2月)の特集では「需要があるか分からないけど、専門誌だからディスクブレーキもインプレするよ」くらいの温度だったのに、今回はついにリムブレーキが0本になりました。ちょっとびっくり。これも時代の流れなのでしょうか。

変化を可視化してみる

今回の2020年のホイール特集を受けて、前回の記事と同様の方法で可視化を試みます。

可視化の方法

可視化の方法は前回と同じです。

・取り上げられているホイールからクリンチャーホイールのみを抽出する。
・ホイールのリム内幅を検索する。
・アルミリムとカーボンリムで分けて、リム内幅の平均値を算出する。
・2014~2020年までのリム内幅の平均値の変化をグラフ化する。

従来、サイスポのホイールインプレで取り上げられていたのは、「チューブラー」「クリンチャー(含チューブレス)」のホイールでした。

しかし、2020年の特集ではチューブラーが姿を消しています。代わりに加わったのが「フックレス」です。ビードを保持するフックのないホイールで、対応するタイヤはチューブレスタイヤです。

フックレスリムは、フックがない分だけリム内幅は当然広くなります。これを集計に加えるかどうか迷ったのですが、通常のクリンチャーリムとは別枠で集計することにしました。

集計結果

2020年分の詳細な集計結果は割愛し、平均値のみを報告します。対象ホイールと、そのスペックはサイスポ本誌で御覧ください。

概要は以下のようになりました(カッコ内の数値は対象ホイール数)。フックレスリムはすべてカーボンリムです。

アルミリム
内幅平均[mm]
カーボンリム
内幅平均[mm]
フックレスリム
内幅平均[mm]
2014年 15.3 (11本) 15.8 (10本)
2015年 15.3 (20本) 17.0 (17本)
2016年 16.3 (4本) 16.8 (5本)
2017年 18.0 (13本) 17.6 (21本)
2019年
(リム)
17.9 (3本) 18.7 (12本)
2019年
(ディスク)
18.2 (4本) 19.6 (13本)
2020年
(ディスク)
19.3 (2本) 19.9 (18本) 21.6 (7本)

結果グラフ

集計結果をグラフ化しました。

アルミリム・カーボンリム、ともに前回から更にリム内幅は太くなったことが分かります。ついにカーボンリムの平均は20mmに届こうとしています。

フックレスリムの平均は驚異の21.6mm。フックがない分、太くなるのは分かりますが、びっくりするような太さです。

今回のサイスポの特集では、今年に入ってから発表された新ホイールが中心。当然トレンドが反映されたものばかりになるので、市場にあるすべての商品の平均を表しているわけではありません。ただ、それは各年度の特集も同じこと。やはりどんどんリム内幅が太くなっているのは間違いないのでしょう。

まとめ

予想通り、2020年のロード用ホイールは更にワイドリム化が進みました。

ディスクブレーキ時代に入り、もはやC17程度ではワイドリムとは呼べず、C19が普通になってきました。個人的にはC15のナローリムの反応性も好きなので残して欲しいところですが、この様子だと残りそうもありませんね……。

サイスポの特集で指摘されていて気になったのは、「ディスク用ホイールは前輪の空力性能が悪いのではないか」という話です。確かにスポーク本数はリムブレーキに比べたら増えるし、クロス組が増えるのでスポーク長も増えるわけで、空力的には悪化することには納得できます。その「スポークに当たる空気を減らすためのワイドリム化の側面もあるのではないか?」という話には考えさせられるものがありました。……そこまでやるならリムブレーキでも良いのでは……

フックレスリムも増えてきましたが、果たして覇権を取るホイールはどれになるのでしょうね。

著者情報

年齢: 35歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

 

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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