【レビュー】ALTURA「Vortex2 Waterproof Seatpack」

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評価:3.5

イギリスのALTURAによる大型サドルバッグ。100%防水を謳っています。

目次

購入動機

Chain Reaction Cyclesを眺めていたら、赤い大型サドルバッグを発見。しかも防水。しかも6000円。

ALTURAは以前から結構気になるバッグを出していたんですが、買ったことはありませんでした。なんとなく見た目からイマイチ感があったからなのですが。

今回の「VORTEX2」は見た目も洗練された感じがあります。大型サドルバッグは別に今必要ないのですが、買ってみることにしました。

製品概要

実測重量は375g。最大容量は12Lです。

IPX6水準の完全防水を謳っています。

素材は、オルトリーブのサドルバッグに使われるような防水生地をメインに使用し、ベルト部分はハイパロン(クロロスルホン化ポリエチレン)を使用しています。

カラーは、ブラックとレッドの2種類。

使用感

家で自転車に取り付けた後、近所を20kmほど走行テストしました。

重量

公称350gで実測375g。25gオーバーです。

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APIDURAのコンパクト(容量11L)が公称350gなので似たような感じ。あちらは実測が310gでしたが。

ただ、価格でいうと3倍近くの差があるので、たった6000円でこれだけの軽量性を実現しているのは評価できます。

内部構造

上下、そして両側面に補強のプラスチック板が入っています。

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↑のレビューで詳しく書きましたが、側面にプラスチック板が入ることで、バッグが横方向に膨らむことを防げます。重量は増えますが、バッグが太ももに触れることを防ぐための工夫ということでこれも評価できます。

取付

一般的な大型サドルバッグの構造なので、いつも通りに取り付けました。

要求シートポスト長が結構長いです。シートポストは15cmほど出ているのですが、それでもギリギリ。それなりに身長がある人でないと付けられない可能性が高いです。

少しクセがあるなーと感じたのは、このサイドリリースのバックルです。これだと張力に少し負ける気がするので、あまり良いチョイスではないですね。通常の差し込むタイプのバックルのほうがバッグが安定しやすいはずです。

底面から伸びるベルトの幅がALTURAは狭いのも気になります。

ここの幅が狭いと、バッグの底が綺麗に持ち上がってくれません。そうなるとバッグがサドルの裏に密着しないので安定度が落ちます。

ちなみにベルトの素材はハイパロンとなっていて、これはAPIDURAと同じ素材です。

シートポストベルトは短め。

丸形シートポストなら問題ありませんが、エアロシートポストには取り付けが出来ませんでした。シートポストベルトの端にマジックテープが付いていないのもマイナス。持ち手として使うためなのでしょうけど、そこだけ風を受けてピラピラするのであまり良くありません。

安定性

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こちらの記事に書いている「揺らさない取り付け方」を実践して取り付けを実施しました。

がっちり安定!とは行きませんでしたが(前述のバックルのサイドリリースと、ベルトの幅の狭さが原因と思われる)、実用上問題ない程度の安定性は出ました。

もう少し構造に改善の余地はあると感じます。

防水性

「IPX6水準の防水性」と製品ページに書いてありますが……IPX6って電子機器用の防水等級なんですけどね。バッグ用ではない。

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まぁ、言いたいことは「あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない」ということなんだろうと思います。

お決まりの水攻めテストを実施しましたが、あらゆる方向から1分間シャワーを噴射しても内部への浸水はありませんでした。防水性はしっかりしてそうです。生地の重なる部分は溶着されています。オルトリーブと同じ製法ですね。

ただ、防水性が高すぎてパッキング時に風船のようになってしまいます。中の空気が抜けないんです。

こうしたロールアップ式のサドルバッグの場合、中の空気をしっかり抜いてパッキングすることが安定性のためには大事なのですが、それが難しいわけです。

オルトリーブのシートパックは空気を抜くための穴がわざわざ取り付けられています。APIDURAの防水バッグも、雨で浸水しない位置に空気抜き穴が用意されています。

説明書

なかなか丁寧な取り付け方の説明書が付属します。

容量

公称12リットルとされていますが、どうも実際に使えるのは9リットル程度のようです。

Chain Reaction Cyclesのレビューに以下のような記載がありました。

私はこれをテストして、1リットルの水差しで満たすことにしました。
2回ロールアップした時には、最大で9リットルしか入れることができませんでした。
開口部を完全に開いた状態で12リットルの水を入れることは出来ますが、それでどうやって走るのでしょう?

説明書には「クロージャーを3回ロールアップしろ」とあるので、それより1回少ないロールアップでも9リットルしか入らなかったということです。

普通はロールアップ後の容量を書くはずなので、ちょっと詐欺的には感じますね。

被視認性

ブランドロゴと、バッグ上部のバンジーコードは反射素材が使われています。

他の大型サドルバッグのレビューでも書きましたが、この部分は上を向いている部分なので、反射しても何の意味もないんですよね。反射素材を付けるならばむしろ底に付けるべきなんです。

何故大型サドルバッグメーカーは意味のない位置に反射素材を使って、意味のある部分に付けないのか……謎です。

一応、底部分にもバンジーコードが付いています。恐らくコップか何かをぶら下げるためのループでしょう。

見た目

ちょっと黒の入ったダークなレッドです。

前作

今回レビューするのは「VORTEX2」ですが、「VORTEX1」の画像がこちら。2もAPIDURAの影響を感じますが、1はAPIDURAそのまんまと言った見た目。

1の重量は260gで、2よりも90g軽量な仕様となっています。恐らくですが、両側面にプラスチック板が入っていないはず。これだと少し安定性に問題があったのではないかと推察され、そのために2では両側面にプラスチック板が入ったのではないかな?と。

結果として90g重くなったわけですが、使い勝手の意味では進化していると思います。

まとめ

コストパフォーマンスの高い、防水大型サドルバッグ。

防水性はしっかりしていますし、縫製や左右の対称性も悪くありません。基本的な作りは良いと思います。

ただ、空気抜き穴が無かったり、シートポスト用ベルトが短かったり、サドルレール用のベルトがサイドリリースだったりと、細かい部分が惜しい。すでに先人が乗り越えてきた問題を、後発の製品(2019年発売)が未だに抱えているのはちょっと残念。

とはいえ、比較対象の大型サドルバッグは概ね3倍前後のプライスタグを付けているわけで、本製品は6000円という値段を考えればかなりよく出来ています。

入門用の大型サドルバッグとしては中々良い製品ではないでしょうか。

評価

対象モデル:  ALTURA「Vortex2 Waterproof Seatpack」
年式: 2021年
定価: 10607円 (税込)
購入価格: 6600円 (税込)
公称重量: 350g
実測重量: 375g

価格への満足度

10/10

この品質をこの低価格で出してきたのは凄い。

総合評価

7/10

値段の割にはよく出来ているが、細かい点で惜しい部分が残っている。

著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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