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【レビュー】CATEYE「AMPP300 (HL-EL083RC)」
評価:4
CATEYEのフロントライト。バッテリー内蔵型のAMPPシリーズでは最も廉価なモデルとして発売されました(その後、AMPP130が発売)。
購入動機
本製品は実店舗限定のモデルです(2022年2月現在)。通販で買うことは出来ません。
正直このAMPPシリーズには良い印象を持っていませんでした。全体的に点灯時間が短く、バッテリーも内蔵型で交換できないことが理由です。点灯時間が長く、バッテリーも交換可能だったVoltシリーズに比べるとあまりにも対照的。
ライトをロングライド用に使う人間とすると、CATEYEがこのように最大ルーメン数だけを稼いで点灯時間を短くした製品を出すのは時代を逆行しているように思えました。
そんな風に思っていたのですが、ワイズロード横浜店で一番安い「AMPP300」を手にとって見ると、「100ルーメン/8時間」というモードが有ることに気づきました。
今や100ルーメンといえば「大して明るくない」と認識される方が多いと思いますが、2015年のPBPにおける私のメインライトはVolt700。このライトには「100ルーメン/10時間」というモードが有り、私はもっぱらこのモードでフランスの夜を走っていました。
その明るさで8時間持つライトが税込3850円。なかなかこれは実用的。ちなみに、Voltシリーズの末弟である「Volt200」は税込4950円です。
ちょうどクロスバイクに付けていたVolt300のバッテリーがヘタってきていたこともあり、とりあえず買ってみることにしました。
製品概要
実測重量は104g(本体のみ)。
3.6V/2200mAhのバッテリー(恐らく18650バッテリー)を内蔵。取り外し不可です。
点灯モードは以下の通り。
モード | 明るさ | 点灯時間 |
点灯(ハイ) | 300ルーメン | 3時間 |
点灯(ロー) | 100ルーメン | 8時間 |
デイタイムハイパーコンスタント | 300/70ルーメン | 10時間 |
点滅 | 60ルーメン | 100時間 |
防水性能はIPX4とされています。
使用感
クロスバイクに取り付けて使っています。主な用途は駅までの通勤や、近所の移動です。ロングライドには投入していません。
重量
本体のみ実測で104gと中々軽いです。
スペック的に近いVolt300は本体のみ118g。カートリッジバッテリーである分、重くなっていると考えられます。あとあちらはボディもアルミを使ってますしね。
取付
ブラケットはCATEYE安定のフレックスタイトブラケットに対応。
ブラケットスペーサーも一体成型ではなく交換可能なタイプになっています。Volt200などは一体成型なので、ここが折れると終わりなんですよね。
ブラケットスペーサーはVolt800などとは微妙に形状の違う新タイプが採用されています。
点灯モード
点灯が100ルーメンと300ルーメンの2モード。それに加えて、ハイパーコンスタントと点滅のモードがあります。
2200mAhのバッテリーで上限300ルーメンというのは「丁度いい」スペックかと思います。兄貴分のライトたちはバッテリー容量に比して最大ルーメン数が大きすぎるために、点灯時間が著しく短いんですよね。
AMPP300 | AMPP500 | AMPP800 | AMPP1100 | |
Highモード | 300lm 3時間 |
500lm 1.5時間 |
800lm 1.5時間 |
1100lm 1.5時間 |
Middleモード | – | – | 400lm 2時間 |
800lm 2時間 |
Lowモード | 100lm 8時間 |
250lm 3時間 |
200lm 4時間 |
400lm 4.5時間 |
バッテリー容量 | 3.6V/2200mAh | 3.6v/2200mAh | 3.7V/2500mAh | 7.4V/2500mAh |
公称重量 | 117g | 117g | 136g | 200g |
防水規格 | IPX4 | IPX4 | IPX4 | IPX4 |
価格 | 3850円 | 5500円 | 7700円 | 12100円 |
他のAMPPシリーズを見てみると、ローモードでも最大4時間しか点灯できないライトばかり。通勤で使うようなケースとしても、週に1度は充電が必要になるでしょう。
充電式バッテリーというのは、寿命が充電回数で決まります。リチウムイオンバッテリーだと大体300回。仮に毎日充電するようなケースだと1年も持たないわけですね。
点灯時間が短いモードしかないライトというのは、すなわち寿命も短いライトであるということです。最近そういうライトが増えてるんですけども。最大ルーメンも良いですが、点灯時間も重視してライトを購入すべきだと私は考えています。
その点、AMPP300は最長8時間の点灯モードを備えています。100ルーメンという(真っ暗な道を走るのでなければ)実用的な明るさで8時間持つというのは素晴らしいです。
配光
配光はVolt800に良く似ています。
レンズ・リフレクター形状も良く似ています。
水平よりやや下を向けた状態で取り付けると、ライトから7~8m付近が一番明るくなります。25km/h前後のスピードで走りやすい配光と言えるでしょう。
サイドに切り欠きもあり、側方からの被視認性も考慮されています。
詳しい配光比較は、「自転車ライト配光比較ツール」からどうぞ。
照度変化
照度計を使って、明るさの時間変化を計測しました。
驚くことに、ほぼ一定光量で、公称の点灯時間を守りました。こんなに綺麗なグラフになることってなかなか無いんですよ。大抵は右側に行くにつれて落ちていくものなので。
強調したいのは、たった税込3850円のライトが一定光量を保つという点です。
一定光量を実現するには定電圧回路が必要であり、コストは高くなります。従来のCATEYEのライトで言えば、一定光量という機能は1万円以上のハイエンドにしか搭載されていませんでした。それを3850円のライトに搭載してくるとは驚きです。
充電
満充電までの時間を計測した所、3時間50分でした。
同じ容量のバッテリーを持つVolt300の公称充電時間が6時間だったことを考えると早くなっています。恐らく急速充電回路(1A充電)も入ってます。これもかつてはハイエンド製品の機能だったはずなのですが……。
ただ、あくまで「他のVoltシリーズと比べて充電が早い」というだけで、現代のライトとしては充電速度は遅い部類だと思います。
充電端子はmicroUSB。そろそろTypeCに対応してほしいですね。
防水性
公称の防水性能はIPX4(防沫系)。「あらゆる方向からの飛沫の影響を受けない」とされており、ちょっと自転車用ライトの防水等級としては低めです。
充電端子を守るパッキンの見た目もチープ。
ただ、パッキンは見た目よりも分厚くてしっかりしています。
ブルベで使う予定もないので、そこまで防水性は重視していませんが、一応恒例の「水攻め」を実施。1分間のシャワーでは浸水しませんでした。
見た目
プラスチッキーで安っぽい質感ではあります。良く言えば無骨。
その他
どうやらAMPP300は日本限定商品らしく、海外向けサイトには掲載がありません。代わりにAMPP400という製品がラインナップされています。
ただスペックを見ると、ローモードが「200ルーメン/4時間」というがっかりスペック。海外ではルーメン数が高いほうが受けが良いんでしょうかね。
まとめ
安価ながら、非常に真面目に作られたライト。
「スポーツ自転車を始めて最初の1本を購入する」という人がいたら、私はAMPP300を薦めます。入手性・値段・性能ともに申し分ないです。AMPP500でもAMPP800でもなく、AMPP300がオススメです。CATEYEの入門用ライトといえば「URBAN2」ですが、それに1500円プラスするだけで買えるというのは凄い。
ブルベ等の本格的なナイトライドに使うにはちょっと心もとないですが、それなりに街灯のある夜道を走るのであれば十分な性能を備えています。このライトに不満を感じたら、Volt800にステップアップするのがオススメでしょう。配光はほぼ同じで明るさと点灯時間が向上します。
最初にも書きましたが、このライトは通販では買えません。実店舗限定販売なので、お近くのショップへどうぞ。
評価
対象モデル: CATEYE「AMPP300 (HL-EL083RC)」
年式: 2020年
定価: 3850円 (税込)
購入価格: 3850円 (税込)
公称重量: 117g
実測重量: 104g
価格への満足度
文句なしの満点。素晴らしいコストパフォーマンス。
総合評価
明るさが落ちず、実用的な照度を持つ。本格的なナイトライドでなければ十分実用的なライト。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。