【レビュー】CATEYE「ECONOM FORCE (HL-EL540)」

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評価:4

CATEYEの電池式フロントライト。一時期はブルベの定番品でした。

目次

購入動機

2015年のPBPの時に、ドロップバッグに入れる目的で購入しました。

2011年の秋に発売されたエコノムフォース。ブルベ界隈では2014年頃までメインストリームとなった製品です。時代的にはDOSUNのAシリーズに対抗したものだったのでしょうか。

ただ、私はLEDライト→中華ライト→VOLTシリーズ(2013年発売)という遍歴だったので、エコノムフォースは通りませんでした。

2015年のPBPはVOLT700+中華ライトの2本体制で参加。しかし、PBP直前になって、「電池式ライトも一応保険として持っておこう」というつもりで遅ればせながらエコノムフォースを購入したのです。この年のPBPは電池運用が上手く行って特に出番はありませんでした。

その後、たまに引っ張り出しては夜練や週末のロングライドで使っています。

製品概要

実測重量は207g(アルカリ単三電池4本込)。

ROL(Reverse Offset Lens)テクノロジーと呼ばれる独自の仕組みを採用しており、上方向への光を低減(完全にカットはせず弱めている)しています。

モードとランタイムは以下(アルカリ電池使用時)。

・点灯 (ハイ):2時間(170ルーメン)
・点灯 (ロー):9時間
・点滅:30時間

使用感

夜練やロングライドでたまに使用しています。ブルベで使用したことはありません(PBPには持っていっただけで出番無し)。

取付

上下方向の指定があるため、逆さ吊りは不可です。

単三電池を4本で駆動ということもあり、横幅もそれなりにあります。VOLT800比で体感2倍ほどの存在感。VOLT1700等とは良い勝負だと思います。
これだけ太いとハンドル上でも幅を取るので、サイクルコンピュータとの共存は結構悩ましいです。
縦にも大きい。ROLレンズの仕組み上、これは仕方ないのですが。

重量

実測200g超の重量級ライトです。

と言っても、重量の大半は電池で、およそ110g程度が電池になると思います。

明るさ

ハイモードは170ルーメンで4000カンデラです。単三電池駆動ではかなり頑張ってます。

一定光量を謳っており、インジケーター点灯までは明るさを保ちます。これも単三電池駆動ではかなり珍しいこと。

配光

170ルーメンで4000カンデラという値から、光をかなり狭い範囲に集中させていることが予想できますが、実際にそうなっています。

とはいえ、ROLテクノロジーのおかげで不要な部分への光は最小限に減らし、その分を路面に回しているので体感的にかなり路面を視認しやすくなっています。

横方向の照射範囲が狭いのは弱点ですが、ブルベで本製品が流行っていたことはハンドルの左右にこのライトを付けている人を多く見かけました。横方向の狭さを本数でカバーする作戦ですね。重くはなりますが、配光としてはかなり良くなるはずです。

側方からの被視認性のためにライトの左右に切り欠きがあり、そこから少し光が漏れます。

モード

細かい点ですが、点灯から点滅への切替がダブルクリックになっており、意図しないと点滅になることはありません。

このライトを使う層は点滅モードは恐らくほとんど使うことはないので、嬉しい配慮です。

ランタイム

公式にはハイモードで2時間と書かれていますが、ノーマルのエネループで約5時間、エネループプロなら6時間近く持ちます。

今は販売されていませんが、かつては充電電池とセットで売られた「エコノムフォース リチャージャブル」なるモデルがあり、そちらの公称点灯時間は5時間とされていました。

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やったことはありませんが、リチウム乾電池なら更に持つはず。知人の実験ではハイモード8時間でインジケーターが点灯しなかったとか。800円ほど電池代は掛かりますが。

電池交換は少々面倒な構造なのですが、この明るさで普通に5-6時間持つというのは、VOLT以前のブルベで一斉を風靡したのも納得できます。

防眩機能

前述の通り、ROLテクノロジーという独自技術で、対向車や歩行者への眩惑を防ぐ仕組みが備わっています。

サイクリングの楽しみ方を発信する...
*明るければ良いだけのライトではなく、対向車にもやさしいライトを | サイクリングパーツ・ウェアーのワー... 光の明るさを表す単位は3つあります。 自転車用のライトにおいても、その3つの規格が乱立しており、「結局どれが明

この仕組についてはワールドサイクルさんのブログに詳しく載っています。かいつまんで言うと、「LEDを後ろ向きに照射し、鏡に当てて最適な方向に反射させて前方を照らす」という手の込んだ仕組みです。

これ、わざわざ内部に支柱を設けて、そこにLEDを取り付けて後ろにあるリフレクターに光を当てるようにしているんです。

光源が正面にそもそも向かない上に、光の方向をリフレクターで制御しているので、本当に照らしたい方向に光を集めることに成功しています。ただ、この仕組はライト全体が大きくなるという弱点もあるのですが……。

実際、点灯状態で正面に立ってみましたが、ライトを直視しても眩しくないです。ただ、しゃがんで下から覗き込むと眩しいので、逆さ吊りに付けることは止めましょう。

ちょっと驚いたのは、意外と標識や青看板をちゃんと照らしてくれること。上方向の光を弱めてはいるものの、完全にカットしているわけではないので見えるのでしょう。最近のGVOLTシリーズはレンズで無理やり上方向の光を「拡散」しているので、光が標識や青看板まで飛ばないのですが。

エコノムフォースの「眩しくない上に、青看板を照らす」という煮詰められた配光バランスに驚きました。

防水性

説明書には「雨中の使用に耐えれる程度の防水能力です」との記載があります。

筒状のカバーを被せる方式で防水性は高そうですが、パッキンの類いは入っていません(充電端子の部分のみパッキンあり)。あくまで簡易的な防水ということだと思います。

まとめ

電池式の自転車用ライトの最高峰だと思います。まさに名品。ロングライドにも十分使えるライトです。

これを10年前に発売していたCATEYEは凄いですね。相当こだわって設計されたと見えます。大きさと重さ以外には弱点らしい弱点がありません。

2018年くらいまでは現役製品としてラインナップされていたエコノムフォースですが、2021年現在は生産終了となっています。

このROLという仕組みは配光の点では大変優秀なのですが、レンズ部分が大きくなるという弱点があります。結局、後から出てきたVOLTシリーズに押されてすっかり隅においやられてしまいました。

更に後から出てきたGVOLT70は大きさと上側カットを両立させるために「拡散」という手段を取りましたが、正直あまりこれは良いとは思えませんでした。

あえて今、レンズ部分の大きさは許容して電池だけ充電式にしたモデルを出してくれると欲しい人はいるかもしれませんね。幅で言えばVOLT1700などもエコノムフォースとさほど変わらないはずなので。GVOLT100がそこを狙った製品なのかもしれませんが、光学的な設計はエコノムフォースの方が良いと思うのですが。

CATEYEさんには、このエコノムフォース並にロングライド的に実用性の高いライトをもう一度本気で開発してほしいものです。

追記(2021/12/29)

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計測対象は、Highモード(170ルーメン)です。

グラフからは以下のことが読み取れます。

・最初に少し照度が落ちるが、その後は一定光量を保つ
・公称2時間に対し、実測では5時間ほど照度を維持
序盤だけ少し明るさが落ちますが、その後は見事に一定光量を保ちます。
電池式でここまで綺麗な一定光量ライトは珍しく、当時のCATEYEの意気込みが伺えますね。ブルベで一世を風靡しただけのことはあります。
改めて名品だと思いました。

評価

対象モデル:  CATEYE「ECONOM FORCE (HL-EL540)」
年式: 2015年
定価: 6930円(税込)
購入価格: 4572円(税込)
公称重量: 227g
実測重量: 207g

価格への満足度

8/10

旬を過ぎてからの購入で安く買えた。

総合評価

8/10

電池式ライトの最高峰。左右は狭いが配光に非常に拘っている。

レビュアー情報

年齢: 36歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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