【レビュー】CATEYE「GVolt70 (HL-EL551RC)」

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評価:3.5

CATEYEのフロントライト。ドイツ用に作られた「GVolt70」を下敷きにした日本バージョンです。ドイツ版GVolt70とは仕様が異なります。

目次

購入動機

PBPの割と直前に発売されたこのライト。気にはなっていましたが、大一番の直前に装備を変えるのは良くないので購入は控えました。

PBPも終わり、次の装備研究の一環として購入。ディスクロードのハンドル周りをスッキリさせるために、ハンドルから吊り下げるタイプのライトが欲しくなりました。その用途にはGVolt70はピッタリ。値段も安いので、Amazonでポチりました。

製品概要

ブラケットなしの実測重量は99g。

吊り下げた状態で、スイッチが上に来るような設計となっています。このスイッチはバッテリーインジケーターも兼ねており、電池が減ると赤く光ります。

バッテリーは取り外し不可の一体型。スペックはLi-ion 3.6V-3400mAhで、恐らくVolt800に付属するバッテリーと同様のものが内蔵されていると思われます。

モードとランタイムは以下。

・点灯(ハイ):約7時間(260ルーメン)
・点灯(ミドル):約9.5時間(200ルーメン)
・点灯(ロー):約40時間(50ルーメン)
・ハイパーコンスタント:約25時間 (260ルーメン/50ルーメン)
・点滅:約210時間

使用感

普段の夜練で使用。購入後、ブルベが開催されていないので未使用ですが、再開されたら投入するつもりで購入しました。

比較対象は、同社のVolt800です。

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取付

BontragerのBlendrシステムを使って、Garminマウントの下にライトを吊り下げています。

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こちらのアダプタを使うと、GOPRO用のマウントから吊り下げることが出来ます。他社からもこの手のアダプタは出ていますが、CATEYE純正の安定感は素晴らしいです。

重量

Volt800が実測134gに対し、GVolt70は実測99gと。3割ほど軽くなっています。

Volt800を2本ハンドルから下げている私の場合、GVoltに乗り換えれば68gもハンドル周りを軽量化出来るわけです。が、それには不都合がありまして……詳細は後述します。

明るさ

実際に使ってみると、ハイモード(260ルーメン)は、Volt800のローモード(200ルーメン)よりも少し明るい感じはあります。ただ、ミドルモード(200ルーメン)は、Volt800のローモードと数値的には一致するのですが、若干暗い印象を受けました。配光の問題なのでしょう。
(2020/11/25追記)
後から考え直したのですが、暗く感じるのは配光の問題ではなく、「光を拡散しているから」が理由だと思います。レンズの上部と下部に拡散用の仕掛けが入っているため、この部分から出ていく光が散乱され、暗くなるわけです。
また、GVolt70は、ダラ落ちタイプではなく、一定光量タイプ。バッテリーインジケーターが点灯するまでは明るさを保ちます。
(2021/12/28追記)
照度計で測定した所、ダラ落ちタイプであることが判明しました。詳しくは「追記」欄を御覧ください。

配光

⬆型の特徴的な配光をしています。

こちらは多摩川サイクリングロードの真っ暗な区間での撮影写真です。上の写真がGVolt70(ハイモード: 260ルーメン)、下がVolt800(ローモード: 200ルーメン)です。

参考用として、CATEYEサイト上で公開されている「ビームチャート」の比較画像も貼っておきます。

GVolt70の配光には、以下の傾向があることが読み取れると思います。

・手前(0~2m): 中心部は明るいが、サイドは暗い(ほぼ照らされない)
・中間(2~5m): 中心部・サイドともに明るい
・奥(5m~): ほぼ照らされない
私が使いづらいと感じたのは、画面奥側、つまり自転車から遠い場所がほとんど照らされないことです。街乗りだとあまり気になりませんが、このような数m先の見えない真っ暗な場所だと、せめてもう少し遠くまで照らせないと恐怖感があります。ライトの照射角を少し上に上げれば多少は遠くまで照らせるようになりますが、そうすると全体的に暗くなってしまうのが難しいところ。
その点、Volt800はより遠くまで照らすことが出来ています。路面の明るさは全体的に控えめですが、より広範囲を照らす配光です。
こうなるのは、GVolt70が上側の配光を意図的にカットしているからです。
こちらがレンズ形状。レンズの上側の形状を変え、あえて拡散しているのが分かります。なぜかレンズの下側も拡散させているようですが、理由は不明。「対向車への眩惑を防ぐ」という意味でこうした配光にされているはずですが、遠くを照らすにはLEDが暗いのではないかと感じます。個人的には、眩惑を防ぎたいなら、まず真っ先に点滅モードを無くすべきではないかと思いますが……。
私がしばらく使っての感想は、「街灯のない道を走り続けるようなシーンには適さない配光」だということでした。ただ、それはGVolt70単体で使った場合の話。より遠くを照らせる他のライトと併用すれば手前も奥も明るく照らせるはず。例えばVolt800との組み合わせは中々良かったです。写真を撮影した多摩川サイクリングロードで、両方とも点灯して走ってみましたが、どちらか単体の時よりも走りやすくなりました。
あともう一つ、GVolt70を単体で使うには大きな問題があります。それは、「青看板が照らされないこと」です。青看板はブルベでは大切な情報源。見逃すと迷ってしまうこともあるのですが、上側の配光をカットしているGVolt70では青看板が照らされません。青看板用のライトが別途必要になると思います。

持続時間

正確には測定していませんが、ハイモード(260ルーメン)で7時間持つのは嘘ではないはず。1日1時間の夜練で7日は持ちました。

ミドルモードでは200ルーメンで9時間と、Volt800と同じルーメン値で2時間半長く動くことになっています。ただ、前述の通り、GVolt70の200ルーメンは、Volt800の200ルーメンより暗く感じるのです。割と明るい所を走る普段の夜練でもミドルモードでは不安があり、ハイモードで使っています。

防水性

まだ雨では使っていないので未知数です。USB充電端子を覆うパッキンは分厚いので信頼できそうですが。

充電時間

Volt800が5時間の充電時間だったのに対し、GVolt70は4.5時間と、微妙に短くなっています。高速充電回路が入っているようですね。

ただ、カートリッジバッテリーのVolt800はバッテリーを入れ替えれば即満充電となりますが、電池内蔵型のGVolt70は都度充電しないとライトを復活できません。

価格

ここがGVolt70の凄いところ。定価が6000円と、性能から見ると抜群の安さ。定価16000円のVolt800より60%安いわけです。

ただ、ここまで述べてきたように、配光とバッテリーの交換等を考えると、まだまだVolt800の代わりとして使うのは厳しいと感じました。その安さからサブライトとして使うにはかなり優秀だとは思います。

ドイツ版との違い

ドイツの道路交通法であるStVZOでは、自転車用ライトの配光について厳しく定められています。そのため、各ライトメーカーもドイツ専用にローカライズされた製品を出しています。

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ドイツでもGVolt70という名前の製品は売られていますが、型番と仕様は違っており、別物のライトになっています。ドイツ版の型番は「HL-EL551G-RC」となっており、GermanyのGが型番に含まれるのが特徴。

リリース時期で言えば、ドイツ版のGVolt70の方が先であり、日本で販売されているGVolt70は日本向けに仕様を変更されたバージョンであると言えます。仕様の比較表を以下に示します。

GVolt70(ドイツ版) GVolt70(日本版)
ハイモード 70lux/2時間 260lm/7時間
ミドルモード 50lux/3時間 200lm/9.5時間
ローモード 10lux/15時間 50lm/40時間

ドイツはルーメンではなく、照度を表すルクス表記です。これは、StVZOの基準がルクス(10m先の照らされた地面壁の明るさ)で定められているからです。ドイツ版のほうがランタイムが短く、恐らくは明るいのでしょう。日本版の方はどうやっても10m先の地面壁の照度が70ルクスあるとは思えません。

ちなみに、GVolt70の70は「70ルクス」の70から来ているはずですが、上記の通りで日本版は70ルクスは無さそう。単に筐体を利用しているだけかもしれません。

更に、ドイツ版ではGVolt70の改良版である「GVolt70.1」なんてものが販売されているそうです。ちょっと欲しい。

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まとめ

大容量のバッテリーを持ち、長時間使用可能で軽量なライト。しかも一定光量で値段も安価です。

ただ、配光にクセがあり、ロングライド時に単独で使うには厳しい印象。他のより強力なライトとセットとし、GVolt70はサブライトで使う運用が良いのではないかと思います。街乗りならばコレ単体でも大丈夫かもしれません。

しかし、この性能のライトを6000円で出してくるとは、CATEYEも思い切ったなーと。使われているバッテリーがVolt800と同じものだとしたら、単体で買っても3000円程度はするものです。それをライト全体で6000円で売るわけですからね。ユーザーからすると非常にコストパフォーマンスは高いです。

追記(2021/12/28)

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計測対象は、Midモード(200ルーメン)です。

残念ながらダラ落ちタイプでした。ドイツ向けは一定光量なのに、日本向けはダラ落ちなのは腑に落ちませんが……。不正確な記述をしてしまい、申し訳ありませんでした。
今後はこのような不正確な記述をしないよう、ライトを購入した際には条件を揃えて照度計測をしていこうと思っています。

評価

対象モデル:  CATEYE「GVolt70 (HL-EL551RC)」
年式: 2019年
定価: 6600円(税込)
購入価格: 5400円(税込)
公称重量: 96.5g
実測重量: 99g

価格への満足度

10/10

このスペックでこの安さはスゴい。

総合評価

7/10

単体で使うには力不足。補助用としてはかなり優秀。

レビュアー情報

年齢: 35歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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