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【レビュー】CATEYE「URBAN (HL-EL145)」
評価:3.5
CATEYEの街乗りライト。多くの人がスポーツ自転車の入門用ライトとして購入してきたシリーズの一作です。
購入動機
元々、私がスポーツ自転車を始めた2008年に購入したのがURBANの前身である「EL-135」でした。
多分、店員さんに聞いて勧められたのがこれだったと思います。
今はその地位が充電式の「VOLT200」に取って代わられているようですが、電池式ライトがメインだった時代にこのライトを最初に買ったという人は多かったんじゃないでしょうか。実はJIS規格における前照灯の定義をこのライトは満たしてなかったりするのですが。
その後、クロスバイク用に後継機であるEL140を買ったりはしました。ただ、既に時代はすっかり充電式ライトに移行しており、ロングライドで使うのはVOLT700や800と言ったライト。もうこの手の電池式ライトを買うこともないかなーと思っていたのですが。
2019年になって必要性を感じて、更に後継機であるURBAN(EL-145)を購入しました。
PBPのラスト100kmでVOLT800と予備バッテリーが同時にLOWバッテリーに。何故こんなことになったのか未だに分かっていません。冬並の寒さが原因だったのか、フランスのコンセントで充電したことが問題だったのか。
この時強烈に感じたのが「ライトの方式は1つに頼るのは危険」ということです。
一つの方式にだけ頼っていると、何かあった時にそこでおしまいです。私の場合はVOLT800だけで装備を固めていましたが、それらが同時に死亡し、あわや立ち往生という事態に陥りました。
ハブダイナモで走っている知人も似たようなことを言っていました。ハブダイナモを積んでいればライトの給電という意味では何も持たなくて良くなるのですが、いざ回路に断線などが起こるとその時点で詰みます。だから、予備のライトを必ず持ち歩いているそうです。
ということで、私も充電式のライトとは別に電池式のライトを予備機として持ち歩くことを決めました。電池式ならば、最悪電池に異常があっても替えの電池を買えば良いのです。乾電池は世界中どこでも手に入るのが強みですからね。
急場は電池式ライトでしのぎ、その間に本命の充電式ライトが復活できれば問題ありません。あくまで緊急用の電池式ライトが欲しい。
とはいえ、レアケースのためにエコノムフォース並の大型ライトを持ち歩くのも考えものです。
そんなシチュエーションにぴったりなライトがCATEYE URBANでした。大きさは非常にコンパクト。電池を除いた重量はわずか26gです。
前モデルのEL140よりも中心照度が倍になり、JIS規格上の前照灯の基準値400カンデラの倍の800カンデラに。それでも本格的なロングライドには暗すぎるのですが、緊急用としては十分な性能に達していると言えるでしょう。要は次の街かコンビニまで点灯してくれば良いわけですから。
また、単三電池を使用するeTrex30をブルベ時のサイクルコンピューターとして使用している私にとっては、予備電池を入れておくためのボックスにもなります。要は「光る電池ボックス(妻命名)」。
フランスから帰国して即注文。実に6年ぶりにこのタイプのライトを購入しました。
製品概要
実測重量は74g(アルカリ乾電池2本込)。単3電池×2本駆動です。
1LEDで、特に防水ではありません。
モードは以下の通り。
※400カンデラまでの時間:約10時間
点滅:約250時間
使用感
ブルベ時に予備ライト兼電池ボックスとしてサドルバッグまたはフロントバッグの中に入れて携行しています。
一応、どのくらいの明るさか分かっていないと使う時に辛いので、何度か走ってテストはしています。点滅モードは一切使っておらず、点灯モードのみを使っています。
重量
電池・ブラケット無しの状態で26gという軽さです。
普段からCATEYEのライトを使っているのであればブラケットを共用出来るので、予備として持ち歩くなら単体でサドルバッグに放り込んでおけば良いわけです。
実際に電池ボックスとして持ち歩く時は、非常に軽量かつ大容量なリチウム乾電池(2本で30g)を入れておくので、56gの重量増加しかありません。
取り付け
自転車への取り付けはフレックスタイトブラケットを使って行います。
写真左が今回レビューしているURBANですが、ブラケットへの取り付け部分は一体成型されています。
この部分が折れやすいという話もあり(私は一度も折れたことはない)、後継のURBAN2は取り付け部分が別体に変更されました。
明るさ・配光
公称で50ルーメン・800カンデラとなっています。前作のEL140が15ルーメン・400カンデラなのでLEDは進化しているようです。
カンデラの値だけ見ると、VOLT800のローモード(200ルーメン)が1600カンデラ程度なので、その半分の明るさということになります。
しかし、URBANは50ルーメンです。なぜルーメンの値が1/4になっているのに、カンデラの値は1/2で済むのでしょうか?
答えは、「URBANの方が照らす範囲が狭いから」です。ルーメン値が低いのにカンデラ値が高いライトは、照射範囲(具体的には左右の照らされる幅)が狭くなります。
こちらはURBANを実際に路面に照射した時のものです。
カンデラというのは「照らす範囲のうち一番明るい場所」の数字を採用します(CATEYEのサイトにも解説があります)。
中央に明るい□があり、その周りはうっすら光る程度だということがわかります。この明るい□部分に光を集中させていることで、800カンデラという値を実現しています。いわゆる「スポット配光」ですが、レーザーポインタのように完全に一点集中ではなく、周辺も少しだけ照らすようにはなっています。
この明るさ・配光では真っ暗な夜道を走るには力不足です。やはりURBANはその名の通り街乗り用途を想定しているので、街灯である程度路面が照らされていることを前提にしているのでしょう。
とはいえ、他のライトが全滅した時に、スピードを少し落として走るのであればこの程度の明るさでも何とかなりそうではあります。
点灯時間
スペック上の点灯時間は30時間とされていますが、下記の一文に注目する必要があります。
※400カンデラまでの時間:約10時間
この400カンデラは、前述の「JIS規格」で自転車用ライトとして認められる明るさを指しています。要は「実用点灯時間は10時間ですよ」ということです。
URBANはいわゆる「ダラ落ち」タイプのライトで、電池の残量と明るさが比例します。電池が減るほど暗くなるということです。そして、このスペック表記によれば、10時間を超えると前照灯としての定義を満たさない程度まで暗くなるということが分かります。
とは言え、街乗り用途で言えば10時間使えれば多くの人にとっては十分ではないでしょうか。1日30分でも2週間は使える計算になりますから。
私の想定している「緊急」用途においても、「次の街に到着する」「モバイルバッテリーでライトを充電する」までの時間が稼げれば良いので、これだけ持てば十分です。
防水性能
全く防水ではありません。パッキンなどはどこにも入っておらず、裏面には回路に繋がる部分に穴が開いています。
順方向への取り付けならば小雨程度は防げそうですが、逆付けは恐らくすぐに使えなくなるはずです。
イマイチな点
写真を見てもらうと分かりますが、若干上方向への光の漏れがあります。乗車時に眩しいです。
後継版のURBAN2も同様に顔方向への光が漏れています。このタイプのレンズの宿命なのでしょうか?
まとめ
緊急用に携行する予備ライトとして優秀なライト。ロングライド時にサドルバッグの奥にでも入れておくと、いざという時に安心です。
ロングライド用としては明るさ・防水性ともに足りませんが、街乗りならば十分な実力があります。通勤用としても、真っ暗なサイクリングロードや山道を通らない人ならこれで十分かもしれません。
あと、周囲ではこれをデイライト(昼間の安全のために点灯する用途)として使う人もいるようです。ランタイムも長いですし、その用途も良いかもしれませんね。
2021年1月には後継の「URBAN2」がリリース。性能をアップしたと共に、待望の防水性を獲得しています。
評価
対象モデル: CATEYE「URBAN (HL-EL145)」
年式: 2019年
定価: 2200円(税込)
購入価格: 1488円(税込)
公称重量: 78g(バッテリー込)
実測重量: 74g(バッテリー込)
価格への満足度
実売1500円と恐ろしく安い。
総合評価
予備用ライトとしての評価。ロングライドでメインを張るにはスペックが足りない。
レビュアー情報
年齢: 36歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。