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【レビュー】CATEYE「URBAN2 (HL-EL160)」
評価:4
CATEYEの街乗りライト。約15年に渡ってほぼ同じ形のままLEDとレンズだけが進化してきましたが、今作では大幅にリニューアルされました。
購入動機
下記の記事に詳しく購入動機を書いています。
CATEYEのラインナップを見ていた所、本製品を発見。いつもどおりのマイナーチェンジかと思いきや、大幅にリニューアルされていたので購入に走った……という感じです。
・明るさが800カンデラから1700カンデラに増加。光束は50ルーメンと前作から変わらず。
・電池残量インジケータが追加。
製品概要
実測重量は83g(付属のアルカリ電池込)。単三電池2本駆動です。
今作から防水性能が大幅にアップし、IPX7(一時的に一定水深に水没しても浸水しない)に対応しました。
点灯モードは以下の通り。
点滅:約250時間
・ホワイト
・シルバー
・レッド
・ブルー
・チェレステグリーン
使用感
夜練でサブライトとして使用。
リニューアル前の前作「URBAN」と比較してレビューします。
重量
電池・ブラケットなしの状態で35g。
後述しますが、かなり凝った構造となった結果、前作比で9g重量化しました。ただ、増量分を納得するだけの進化はしています。
取付
自転車への取り付けはフレックスタイトブラケットを使って行います。
写真左が前作の「URBAN」、写真右が今作「URBAN2」です。
前作では一体成型だったブラケットへの取り付け部分。これが折れるという報告がよくあったためか(私は経験がありませんが)、今作では別体(ブラケットスペーサー(5340920))となりました。
明るさ
公称で50ルーメン・1700カンデラとなっています。
カンデラ・ルーメンの意味はCATEYEのサイトに詳しく書かれています。
前作URBANは前々作のEL140に比べて、カンデラ値が400→800の2倍に増えていました。今作URBAN2のカンデラ値は更に2倍となり、1700カンデラまで増えています。
電池は単3電池×2本で全く変わっていないのに、こんなにカンデラ値だけが上がっているのは何故か? もちろんそれには理由があります。
左がURBAN、右がURBAN2です。
URBANは中心から外周に行くに従って少しずつ暗くなっていますが、URBAN2は中心に光を集中して外周部は急に暗くなっています。その外に行くと少しだけ明るさが上がりますが、中心にかなり集中した配光だと言えましょう。
ルーメン(Lm)とは、光源から放たれたすべての光「光束」の量を表す単位です。
ルーメンは「光の束の本数」です。光の束の密度が高ければ高いほど、その場所は明るくなります。光の束を狭い範囲に集中させることで明るくしているわけですね。水鉄砲の出口を小さくすると水の勢いが増すのと似たようなものだと思って下さい。
カンデラ(cd)とは、光源から出る光の強さ「光度」を表す単位です。照らす範囲の一番明るい箇所の数値です。
そして、カンデラ値は一番明るい部分の数字を採用します。これで、「ルーメン値は変わっていないのにカンデラ値が倍になる」という結果になるわけですね。
数値だけ見ると「前作に比べて2倍の明るさ」と思ってしまいがちですが、明るくなったのは中心だけで、周囲は少し暗くなっています。
ライトの種別
本製品は「ダラ落ち」型のライトです。時間が経つにつれて、徐々に暗くなります。
点灯モードに「※400カンデラまでの時間:約10時間)」と書いてあるのはこれが理由。1700カンデラから徐々に暗くなり、10時間後には400カンデラになるということです。
400カンデラというのは、JIS規格やBAAで前照灯と認められる最低限の明るさです。つまりこれは、「前照灯として使えるけど、使えるのは10時間だよ」ということになります。点灯時間は30時間とされていますが、残りの20時間はあくまで補助灯としてしか使えないということです(あくまでJIS規格の話で法律でカンデラ値が決まっているわけではないんですが)。
今作の新機能、バッテリーインジケーターがスイッチ部分に搭載されています。
ここが赤く点灯すると、「あと30分で前照灯としての明るさ以下になります」の合図。つまり9時間半でここが赤く点灯するはず。
配光
壁に照射した時と同じイメージで、「中心はかなり明るい」「外周に行くと一旦暗くなる」「更に外に行くと少し明るくなり、足元を照らす」と言った配光になっていました。
50ルーメンという数字から受けるイメージよりも明るく感じました。街乗りなら十分な明るさだと思います。
ただ、これ一本でブルベ等の本格的なナイトライドは無理ですね(そういう用途の製品ではありませんが、念のため)。光の幅も明るさも、それなりのスピード域で走るには足りません。
あくまでもサブライトという扱いになると思います。そしてサブライトとしてはすこぶる優秀です。
防水性能
今作、大幅に製品構造がリニューアルされ、防水性能が向上しました。
前作までは単にスライドさせて電池を入れるだけの形式でした。パッキンなども入っておらず、雨が降れば容易に浸水します。段差などでフタが飛んでしまうこともありました。
これに対し、URBAN2ではカバーが筒状に変わりました。そして、フレックスタイト用のダイヤルでロックする形式に変更されています。
この構造は同社のテールライト「TIGHT」の方式をそのまま取り入れていますね。段差などでも吹っ飛びにくくなっており、防水性能も向上します。
パッキンもしっかり入るようになりました。IPX7相当は嘘ではなさそうです。
当サイトではおなじみの水攻めも実施しましたが、浸水は無し。
シャワーで水を掛ける試験も実施していますが(IPX6想定)、こちらも問題はありませんでした。自転車の走行時でも浸水の心配はないと思います。
携行性
前作「URBAN」は、ブルベ中にライトが不調を起こした時の保険のために、サドルバッグに忍ばせていました。小さく軽量、かつ電池を格納しておけるので、「予備ライト」兼「単3電池ケース」として使えます。
私は単3電池で駆動するGPSを使っているため、我が家ではこのURBANシリーズを「光る電池ボックス」と呼んでいます。
今後のブルベではURBAN2をサドルバッグに忍ばせる予定です。
イマイチな点
何故か顔側に光の漏れがあります。乗車中に何故か顔が照らされる不思議。眩しいので何とかしてほしいです。私はビニールテープを貼っています。
まとめ
「光る電池ボックス」が進化し、「光る防水電池ボックス」になりました。
その分だけ少し重くなりましたが、これだけの進化ならば納得して受け入れられます。登場から約15年目にして大幅な進化を遂げたと評価します。
ロングライドでメインライトとして使うだけの明るさはありませんが、サブライトやデイライトとして使うのであれば非常に適した製品でしょう。
なお、このライトはしばらく実店舗限定で、通販では扱われないそうです。私は「あさひ」で買いました。ガチのスポーツ自転車店よりも、街乗りの店でよく見かけます。
追記(2021/12/29)
ロガー付き照度計を購入したので、照度の時間変化の計測を実施しました。
計測対象は、点灯(50ルーメン)です。
グラフからは以下のことが読み取れます。
・最初の2時間の照度の落ち幅が大きく、その後はゆるやかに暗くなる
JIS、BAAのライト準拠:約10時間(4ルクス・400カンデラまでの時間)
評価
対象モデル: CATEYE「URBAN2 (HL-EL160)」
年式: 2021年
定価: 2420円(税込)
購入価格: 2310円(税込)
公称重量: 83g
実測重量: 83g
価格への満足度
性能はアップしたが、お値段はほぼ据え置き。
総合評価
大幅にリニューアルし、正当進化。メインライトにはなりえないが、サブライトや予備ライトとして優秀。
著者情報
年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。