【レビュー】CATEYE 「Volt400 (HL-EL461RC)」

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評価:3

CATEYEのフロントライト。世代としては、Voltシリーズとして3代目となります。最大400ルーメンの明るさを持ちます。

型番から見ると、Volt300の後継製品となります。

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目次

購入動機

CATEYEのサイトで配光を見て良さそうだと思ったので。手前側を広く明るく照らす配光は、これまでのVoltシリーズにはないものでした。Volt700は遠距離を広く照らすものの、近距離はあまり明るくなかったのです。Volt700と併用すれば、遠近両方をカバーできるのでは?という目論見がありました。

加えて、Volt400のミドルモード(100ルーメン)が8時間のランタイムがあることも購入の理由です。私は夜間は大体100~150ルーメンのモードで走るわけですが、その明るさで一晩走れることを一つの基準にしています。Volt400に付属の電池はBA2.2(容量2200mAh)というものですが、これをVolt700用のBA3.1(容量3100mAh)に変更すれば計算上は動作時間が1.4倍になります。つまり、100ルーメンで11時間程度のランタイムが見込めるわけです。

値段も7000円前後とお手ごろ価格。早速Amazonで購入しました。

製品概要

ブラケットなしの実測重量は120g。バッテリーは容量2200mAhのBA2.2です。

付属するのは、いつものフレックスタイトブラケット。

モードとラインタイムは以下の通り。

・点灯(ハイ): 400ルーメン / 3h
・点灯(ミドル): 100ルーメン / 8h
・点灯(ロー): 50ルーメン / 18h
・ハイパーコンスタント: 11h
・点滅:60h

「ハイパーコンスタント」は、常に点灯しつつ、点滅と同じように明るさが変わるモードです。

使用感

普段の夜練で使った印象を書きます。まだブルベやロングライドには未投入。手持ちのVolt300及びVolt700との比較でレビューします。

明るさ

例によって、照度計で試験。1m離れた壁の中心照度は以下でした。

・ハイ: 3700ルクス
・ミドル: 1150ルクス
・ロー: 650ルクス

参考までに、Volt300の照度は以下です。

・ハイ: 2700ルクス
・ノーマル: 900ルクス
・ロー: 400ルクス

順当にパワーアップしているのが分かります。電池の容量は変わってないので、素子とレンズが進歩したものと思われます。

しかし、ランタイムと明るさについてはちょっと残念な点が。それは後述します。

配光

公式サイトにあるサンプル画像と同じく、手前が広く、奥側は狭い配光になっています。

以下に、Volt300とVolt700を含めた比較画像を示します。全て、明るさは100ルーメンのモードを使用し、カメラのISO感度・露出・シャッタースピードは揃えてあります。

上から、Volt400・Volt300・Volt700。Volt300はスポット配光。Volt700は手前が狭く、奥が広め。Volt400は手前が広く、奥が狭め。はっきりと特色のある配光になっています。

Volt400とVolt700を併用してみた図。思惑通り、手前から奥までワイドに見えるようになりました。これは良い組み合わせ。

持続時間

Volt400にVolt700の電池(BA3.1)を取り付けてランタイムを実験してみました。電池の容量が1.4倍になるので、公称よりも1.4倍の時間は持つはずです。ミドルモードのランタイムは8時間のはずなので、11.2時間は持つ計算になります。

実際にミドルモードでひたすら点灯し続けるテストをした所、15時間経っても点灯していました。最初は直視できないほど明るかったのに、最終的には1秒以下なら直視出来る程度に。ここで違和感を持ちました。

少なくともVolt700は最後まで光量を保って消えるタイプだったはず。姉妹モデルであるVolt400も当然そうであろうと思っていましたが、もしかして照度が落ち続ける「ダラ落ち型」ではないのかという疑念が湧いてきました。

ダラ落ち型のライトは、気が付かないうちに実用照度を下回っている場合があります。街中であればさして問題ないのですが、夜に山を走ることもあるロングライドにおいては、ダラ落ち型のライトは好ましくありません。

CATEYEの、EL-540以降の上位モデルの解説を見ると「一定光量」であることをアピールする記述がありました。以下に例を示します。

・EL-540: 定電圧回路を内蔵し、インジケータの点灯間際まで明るさがほとんど変わらない一定光量ライト
・HL-EL625RC: 明るさが変わらない一定光量ライト

しかし、Voltシリーズになったとたん、その記載は無くなっています。もしかして、一定光量を保たなくなってしまったのでは?

そこでテストしてみました。Volt400をミドルモード、ローモードで点灯し、一定時間ごとに照度を計測しました。

・開始時→1150ルクス
・1.0時間後→940ルクス
・2.0時間後→880ルクス
・開始時→650ルクス
・1.0時間後→650ルクス
・2.0時間後→610ルクス

これ以上は実験していないので、どこかで下げ止まるかもしれませんが、少なくとも最初の光量は維持されていないことがわかります。結論としては、「Volt400は、光量がダラ落ちする」となりました。ついでに実験したVolt300も同様です。しかし、Volt700は数値上も一定光量を保ちました(開始時:2300ルクス、2時間後:2300ルクス)。つまり、上位機種は定電圧回路を内蔵、下位機種はなしという推測が成り立ちます。機会があればVolt800や1200も実験してみたいと思っています。

防水性

Volt300、Volt700と構造に違いがあるようには見えません。同程度の防水性だと思います。

充電時間

急速充電クレードルを使えば、3時間で満充電が可能です。本体側にもUSB端子が付いており、充電が可能ですがあまりオススメできません。充電速度はクレードルで行った場合の倍で6時間掛かるからです。

メーカーの人の話によると、Volt700や800には搭載されている急速充電回路は入っていないとのこと。バッテリーを充電する際には、充電用クレードルを使ったほうが良いでしょう。

なお、本体で充電した場合、充電中の点灯は不可能です。

まとめ

配光、明るさは順当にVolt300から進化しています。現状、この値段でこれより実用的なライトを探すのは難しいでしょう。

それだけに、「一定光量を保つ」という性能を捨ててしまったのが惜しい。

高速充電回路の有無と同様、Volt700や800と言った上位機種との差別化のためなのかもしれませんが、これは非常に残念な差別化です。「夜は走っても数時間」という人には最適な商品かもしれませんが、ロングライドを趣味にする人たちへの訴求力は落ちると思います。少なくとも私は、Volt400の本格的ロングライドへの投入を再考する必要があると感じています。

出来れば、製品のマイナーチェンジで、一定光量を保つ機能を復活して欲しいものですが……もし復活したら、私はもう一個買います。

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追記(2021/12/29)

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計測対象は、Midモード(100ルーメン)です。バッテリーは、BA-2.2を使用しました。

グラフからは以下のことが読み取れます。

・完全なるダラ落ちタイプ
・公称点灯時間よりは持つ
レビューに記載した通り、やはりダラ落ち型のライトであったことが確かめられました。

評価

対象モデル:  CATEYE「Volt400 (HL-EL461RC)」
年式: 2015年
定価: 11550円
購入価格: 7020円(税込)
公称重量: 120g
実測重量: 120g

価格への満足度

10/10

この品質のライトがこの値段で手に入るのは凄い。

総合評価

6/10

世代を重ねるごとに良くなっているが、ダラ落ちだけが残念。

レビュアー情報

年齢: 31歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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