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【レビュー】CATEYE 「Volt700 (HL-EL470RC)」
評価:4.5
CATEYEのフロントライト。電池はカートリッジ式の専用電池を採用しており、最大700lmの明るさを誇ります。
購入動機
最大10時間の「オールナイト」モードに惹かれて。ブルベ等のロングライドでは日没から日の出まで走ることもあります。夏ならば大体10時間、冬ならば13時間程度は夜。仮眠する時間を3時間程度引いても、7~10時間は点灯するライトが必要になります。
しかし、これまで実用に足る明るさを7~10時間保てるライトはほとんど存在しませんでした。バッテリー別体のMOON X-POWER1000などは175lmで20時間以上持ちますが、バッテリーとケーブルの取り回しに苦労すると言う弱点があります。
そんな所に登場したVolt700。スリムで、オールナイトモードは140lm(推定)で10時間持つスペックは非常に魅力的でした。そんなこんなで購入に至ったのでした。
製品概要
ブラケットなしの実測重量は134g(公称140g)。Volt300より16g重いです。なお、カートリッジ式のバッテリーの重量は73g。
バッテリーはVolt300と互換性がありますが、Volt700に付属のバッテリーの方が容量が多くなっています。
Volt700: 3100mAh (製品名: BA-3.1)
使用モードと持続時間は以下の通り。明るさは、持続時間からの計算で推測値です。
・点灯(ノーマル): 300lm / 3.5h
・点灯(オールナイト): 100lm / 10h
・ハイパーコンスタント: 7h
・点滅:50h
「ハイパーコンスタント」は、常に点灯しつつ、点滅と同じように明るさが変わるモードです。
使用感
普段の夜練、ブルベで使った結果のレビューを書きます。
明るさ
ダイナミックモードは強烈で、真っ暗闇の山に於いても問題のない明るさです(ただし、カーブの連続するダウンヒルでは、ライトが向く方向とコーナーの出口の方向が一致しないので、ヘルメットライトとの併用を推奨)。
オールナイトモードは、街灯のある街中では問題ありませんが、街灯の無い道を走るときには暗すぎると感じました。
ノーマルモードは街灯の無い道でも怖さを感じない程度に明るいのですが、持続時間は3.5時間。もう少し持って欲しいですね。
持続時間
先日のブルベでは、ノーマルモードで使用して、以下の持続時間でした。
21:54 電池切れ
途中、コンビ二休憩で10分、食事休憩で30分、合計で約40分消灯していました。動作時間は3時間44分ということになります。大体公称通り。200kmブルベでは十分でも、300kmブルベではちょっと足りないですね。明るさが徐々に落ちる「ダラ落ち」はなく、明るい状態から一気にストンと消えました。
実は、ノーマルモードの持続時間をこの時点で把握していなく、「5時間くらいは持つだろう」という判断の元でノーマルモードを使用していました。そのため、予想より早く電池が切れてしまったので少々驚いたことを書き添えておきます。以降は予備に持っていたVolt300を使用して走行しました。
個人的には、オールナイトとノーマルモードの中間で、200lm / 5h のモードがあるとありがたいですね。
配光
円配光(四角っぽい?)で、照射範囲は狭めです。ダイナミックモードでは光源の明るさでそれなりに広範囲を照らしてくれますが、ノーマルモード以下ではやはり狭いなと。
ただ、円配光なので、ハンドル下にライトを吊るす、いわゆる「吊り下げ」運用が出来るのがこの製品の良い所でもあります。EL-540のように上下の指定がある配光だと、ハンドル下にライトを吊るすと、ちぐはぐな照らし方になってしまいますので。
防水性
構造はVolt300と同様。マニュアルには「雨の中を走れる程度の防水能力」との記載。充電端子のパッキンを締めておけば安心だと思います。ただ、以前Volt300を付けて大雨の中を走ったときには、カートリッジ式のバッテリーと、ライトの接点に水が入り込んでいました。動作には問題は無かったのですが、あまりにも強い雨だと内部に水が入り込むことはあるようです。構造は全く同じなのでVolt700でも起こりうる話だと思います。
ちゃんとOリング入ってるんですけどね……。
充電時間
専用の充電器を使って5時間(BA-3.1)とのこと。
寝る前に充電しておくと、朝には充電が終わっているので、5時間は確からしい数字だと思います。ツーリングでホテルに泊まった際に充電するならば問題ないですが、ブルベの仮眠中に満充電は難しいですね。
まとめ
恐らく街乗りメインで使う人や、日帰りサイクリングが主な人には全く文句が出ない製品だと思います。
ただ、夜通し走るちょっと特殊な使い方の人から見ると「惜しい」感もあります。暗い場所でも安心して走れるノーマルモードで使うと、3時間半のランタイム。単体でメインライトとして使うには心もとないですね。
ただ、それに対する回避策を用意しているのがCATEYEの素晴らしいところ。明るい状態で使い続けたいならば、予備のカートリッジ式バッテリーを幾つも持ち歩けばよいのです。
バッテリーは1個3500円(!)と良いお値段はしますが、予備バッテリー1本あれば一晩をノーマルモードのみで過ごすことも可能だと思います。あとは距離に応じてバッテリーを追加していけばOKと。600kmブルベまでなら予備バッテリーを3本も持ち歩ければ十分なはず。問題は、バッテリーだけで1万円を超えてしまうことですが、ライト沼に浸かっていくつもライトを買うよりは安いかもしれません。
CATEYEが満を持してリリースしただけあって、非常によく出来た製品だと思います。とりあえず予備バッテリーを買ってこようかな……。
追記(2021/12/29)
ロガー付き照度計を購入したので、照度の時間変化の計測を実施しました。
計測対象は、オールナイトモード(100ルーメン)です。バッテリーは、BA-3.1を使用しました。
グラフからは以下のことが読み取れます。
・公称10時間点灯だが、実は13時間以上持つ
一定光量であると思いこんでいましたが、完全な一定光量ではありませんでした。後継モデルであるVolt800とほぼ同じ形状のグラフになります。
定電圧回路が入っているはずで、非常に実用的なライトでした。
評価
対象モデル: CATEYE「Volt700 (HL-EL470RC)」
年式: 2014年
定価: 16200円
購入価格: 12000円(税込)
公称重量: 140g
実測重量: 134g
価格への満足度
高いけれども競合製品の値段を考えると妥当か。
総合評価
よく考えられた秀作ライト。オーバーナイトでも頼れる存在。
レビュアー情報
年齢: 30歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。