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【レビュー】CATEYE「VOLT800 NEO (HL-EL475RC)」
評価:5
CATEYEのフロントライト。稀代の名作「VOLT800」のバージョンアップ版です。
購入動機
買うまでに至る話は、ファーストインプレッション記事で長々と書かせて頂きました。
購入までの7年間

実にVOLT800発売から7年。待ちに待った後継機の発売でした。
発売が発表された日にはTwitterでまさかのトレンド入り。自転車ライトがトレンドに入ったのは史上初でしょう。それだけ多くの人が待ち望んでいたということです。
開発開始のキッカケは……
購入からしばらく経った後、La routeさんの記事で、CATEYE開発チームの方々に取材する機会を得ました。
そこで明らかになったのは、VOLT800 NEO開発スタートのキッカケとなったのは、私と有志で行った「ひらめきフォーム」への投稿であったという事実でした。
VOLT800の後継機が一向に発売されないことに業を煮やし、「皆で後継機の要望を送りましょう!」とTwitterで呼びかけを実施。私自身はもちろん最初に要望を送ったのですが、その後どれだけの方が賛同してくれたのかは知る由もありませんでした。「私も送りました」と書いてくれる方は数人いたので、何通かは届いているだろうと思っていたのですが……。
しかし、どうやらCATEYE側には同様の要望が50通以上届いていたそうで、「一体何が起きてるんだ!?」と社内を混乱させてしまったようです。その節は申し訳ございませんでした。
とはいえ、これにより「ローモードで長時間点灯して欲しい」というユーザーが国内に多いことを開発側に分かって頂けたようです。
発売日に購入
かくして要望提出から2年ほどで発売となったVOLT800 NEO。要望した内容はほぼ反映されていました。
私は発売日に新橋のワイズロードで購入しました。その前にサイクルキューブで1本予約していましたが、ワイズロードへの入荷が一番早いということで、我慢しきれずに購入。
その後、既に予約していた分も受け取り、計2本のVOLT800 NEOが家にあります。希望した通りの製品が発売されたわけですから、2本くらいは買わないと無礼というものです。
PBPへの投入
そして2023年はPBPイヤー。私にとっては一番大きな舞台です。
2019年のPBP中にVOLT800に不具合が発生したことから、その後の4年間は「ブルベに適したライト探し」に明け暮れました。
ライト探しが高じて「自転車ライト攻略本」なる同人誌まで作ってしまいました。しかし、VOLT800以上に優れたライトはついぞ発見できませんでした。
そんなVOLT800が進化したVOLT800 NEO。
前回の悪いイメージを払拭する意味でも、「このライトを使って完走したい」という思いを持ってフランスへと向かいました。
製品概要
実測重量は175g(ライトのみ)。防水等級はIPX4。
対応するカートリッジバッテリーはBA-4.8。中身は21700バッテリーです。容量は3.6V/4800mAh。
モードとランタイムは以下の通り。
モード | 明るさ | 点灯時間 |
点灯(ハイ) | 800ルーメン | 3時間00分 |
点灯(ミドル) | 400ルーメン | 5時間00分 |
点灯(ロー) | 200ルーメン | 12時間00分 |
ハイパーコンスタント | 800ルーメン | 7時間30分 |
点滅 | 0-800ルーメン | 100時間00分 |
充電端子はついにType-Cになりました。2Aでの高速充電に対応しています。
付属品は以下の通り。
- フレックスタイトブラケット(5338827N)
- Type-Cケーブル
なお、付属するType-Cケーブルは特殊なもので、VOLTシリーズの充電以外には使えないことがあるので注意が必要です。
使用感
主にブルベで使用しています。2023年のPBPでも使用しました。
比較対象は、同時期に発売の弟分「VOLT400 NEO」、前世代の「VOLT800」、21700バッテリー搭載ライトの先駆けであった「RN1500」です。
パッケージ
いつものCATEYEのライトのパッケージです。「対向への眩しさ軽減」「ハンドル下でもインジケータ確認可」であることがアピールされています。
パッケージ裏面。アピールポイントがズラリ。
パッケージの中身はこちら。ケーブルにはCATEYEのロゴ入り。
構造
VOLT800 NEOは珍しい3ピース構造となっています。
左から順にパーツ名称を示します。
- ライト本体
- ブラケットホルダー
- カートリッジバッテリー
何故このような構造を採用しているかと言えば、ライトをハンドルの上側に付けても下側に付けても、スイッチが上方向を向くようにするためです。
「②ブラケットホルダー」の上下を入れ替えることで、常にスイッチが上方向を向きます。CATEYEのライトはスイッチがバッテリー残量を表すインジケーターを兼ねているので、スイッチが上方向を向いていると乗車中にバッテリー残量が判別できるわけですね。
他社でもレンズ部品の上下を入れ替えて対応するケースはありましたが、この上下反転ギミックは「常にスイッチが上を向く」という機能も合わせて達成しています。多少の重量増はありますが、最小限の増量で大きな成果を出していると言えるでしょう。
私はブルベではライトをハンドルの上に付ける(下にフロントバッグを付けるため)のでこのギミックは合っても無くても良いんですが、昨今は吊り下げ派の人もかなり多い様子。そうした時代に合わせた設計だそうです。
各部詳細
各部の詳細を見ていきます。
充電端子
前作VOLT800はmicroUSB端子でしたが、NEOはType-C端子を搭載。
充電端子のフタは「CATEYE Voltシリーズの充電端子のフタの話」の記事でも書いた、防水透湿シート入のもの。
レンズ
これまでのCATEYEとは異なるカットのブロックレンズ(後述)を採用してます。縦スリットは横方向に光を拡大させる役割があります。
レンズの横方向には、光の広がりと側方へのアピールを兼ねた切り欠きが。
レンズ下方向にも切り欠きが入っています。
上下反転ギミックが搭載されたことにより、この切り欠きの部分が必ず地面の方向を向くようになったため、少しでも照射範囲を増やすために切り欠きを設けたそうです。
スイッチ
VOLT800に比べてスイッチが大きくなり、かつクリック感も明確になりました。冬用グローブでも操作しやすくなっています。
VOLT800 NEO特有なのが、スイッチが3色のインジケーターを兼ねていることです。VOLT400 NEOは赤一色だったので、差別化されています。
点灯中のバッテリー残量を下記の様に示してくれます。
残量50%以上 | グリーン |
残量20-50% | オレンジ |
残量20%未満 | レッド |
実際のインジケーターの写真を以下に示します。
写真だと明確にグリーンに見えますが、肉眼だとここまではっきりグリーンとは認識できませんでした。
なお、充電中もインジケーターが点灯します。
充電完了 | グリーン |
充電50%以上 | オレンジ |
残量50%未満 | レッド |
横から見ると、スイッチは少し凹んだ場所に位置しています。これは、カバンなどに入れた時に誤点灯しないようにするため。
スイッチが本体から出っ張っているライトは多いですが、そうしたライトはカバンなどの中に入れると勝手に点灯してあわや火事……という事が起こりえます。
ただ、PBPで飛行機輪行をする際には、念のためVOLT800 NEOのカートリッジバッテリーを少しだけ緩めて手荷物の中に入れました。凹んでいるだけでは誤点灯を完全には防止できない気がしたので。
重量
ライトの単体重量は実測で175g。公称176gなので、ほぼピタリ賞。

前作VOLT800は実測135gだったので、40gの増量ということになります。
増量分のうち27gは、バッテリーによるもの。18650バッテリーよりも大容量な21700バッテリーを採用したことによって重くなっています。残り13gは、バッテリー以外。主に、上下反転ギミックのための仕組みによる増量です。
ライト本体が重くなるとブラケットの耐久性が心配になりますが、1200kmのPBPを走り終えても特に問題はありませんでした。
大きさ
前作VOLT800の全長は116mm、VOLT800 NEOの全長は131.5mm。15.5mmほど長くなっています。
大きさを写真で比べてみます。
ブラケットの保持位置を合わせて撮影しました。ハンドルの前側に7mmほど、後側に9mmほど伸びています。主にバッテリーの分だけ後側に伸びたということです。
ハンドルの下にフレックスタイトブラケットで付けた場合には立ち漕ぎ時に膝がライトのバッテリー部分に当たるかもしれません。たった9mmですが、この差が結構大きい。
CATEYEのフレックスタイトブラケットはハンドルの上側に取り付けた時にブラケットの保持位置が少しだけ前にシフトするように設計されています。ハンドルの下側に吊り下げると逆に保持位置が後ろにズレるわけですね。なので膝に当たりやすくなります。
VOLT800 NEOをハンドルに吊り下げて使う場合には、サイコンマウントの下に取り付ける↑のようなマウントと一緒に使うほうが良いかもしれません。
点灯モード
各モードの明るさ(ルーメン値)はVOLT800と全く同じ。バッテリーが大きくなった分だけ、点灯時間が1.5倍に伸びています。
VOLT800 | VOLT800 NEO | |
High | 800lm / 2時間00分 | 800lm / 3時間00分 |
Mid | 400lm / 3時間30分 | 400lm / 5時間00分 |
Low | 200lm / 8時間00分 | 200lm / 12時間00分 |
カンデラ値は、Highモードで6500カンデラから6000カンデラに減っています。
後述しますが、VOLT800 NEOは従来よりも横方向にワイドな配光に変化しました。
カンデラ値は一番明るい部分の明るさを表すので、ルーメンが同じで配光がワイドになるとカンデラ値は小さくなります。
操作方法
スイッチ長押しで点灯、以後はシングルクリックでモードが切り替わるCATEYEのいつものサイクルです。
どのモードからでもスイッチをダブルクリックでハイモードに入ります。その状態でシングルクリックすると、ハイモードにする前のモードに戻ります。
配光
VOLT800 NEOは、光を縦方向に潰したような光の形状になるように設計されています。
VOLT800 NEOの光の形状
左がVOLT800 NEO、右がVOLT800。NEOは光が横長になっていることが分かります。
その秘密は、この複雑に加工されたレンズ。
大抵のライトは「レンズ+反射鏡」で光を整形しているんですが、CATEYEの上位モデルは「ブロックレンズ」というレンズと反射鏡が一体化したようなレンズで光を整形しています。より複雑な光の整形に対応できるんだとか。
これにより、「上方向への光を低減」しつつ「ワイドな配光」を実現しています。より道路の端まで照らせるようになりました。
主観での配光
いつもの場所で撮影してきたVOLT800 NEOの主観照射図を↓に示します(< > ボタンでモード切替可能)。
比較対象として、VOLT800の主観照射図も示します(< > ボタンでモード切替可能)。
5mごとにパイロンを並べていますが、10m先の地点ではNEOのほうが左右方向の照射範囲が広いことが分かると思います。
画面上部の高架側面はVOLT800ではそれなりに照らされている一方、NEOではあまり照らされていない(上方向の光が軽減されている)ことも分かります。
「遮断」ではなく「軽減」

対向車への配慮を打ち出したフロントライトはドイツのStVZO(ドイツの道路交通法でライトに関する規定が厳しい)対応を謳うものが多いですが、VOLT800 NEOはStVZO対応ではありません。
StVZO対応のフロントライトは、ライトの水平より上の光を「完全に」遮断することが求められます。そうすると、少なくとも日本国内で走る場合には不都合が出てきます。
水平より上の光を完全に遮断した場合の代表的な不都合が、「標識や青看板が照らせない」こと。
StVZO対応のライトは水平より上の光を遮断してしまうため、高めに取り付けられた標識や青看板を照らすことが出来ません。標識は法律上遵守する必要がありますし、ブルベでは青看板で行き先を把握することも多いものです。信号の下に付いている交差点銘板も照らしたい。
「対向への配慮」と「標識・青看板を見る」という2つの課題を両立させるためのCATEYEの答えが、「水平より上の光を”軽減”する」方式でした。

CATEYEにはStVZOに適合した配光を持つ「GVOLT70」がありますが、こちらの製品に対して「対向車への配慮はできているが、青看板や標識が見えにくい」という意見が寄せられたそうで、VOLT800 NEOでは「軽減」方式に落ち着いたとのことです。
例えばこれくらい前下がりにVOLT800 NEOを設置した場合の青看板の見え方を示します。
青看板の100m手前から点灯した場合、目線より上方向の青看板も照らせていることが分かります。青看板や標識は表面に反射材が使われているので、少量の光でも十分明るく見えるのです。
上方向の光は軽減されており、一番眩しい中心光もやや下方向を向いて照射されているので、対向から見ても眩しくないように調整されています。実に絶妙な配光です。
点灯時間・照度変化
ブルベでは主に200ルーメンのローモードで使用します。その際の明るさと点灯時間を照度計で測定しました。
初期値が14200ルクス、公称点灯時間である12時間経過時点が13190ルクスでした。7%程度の低下であれば、一定光量と言っても差し支えないと考えます。
なお、消灯までの点灯時間は15時間02分でした。公称12時間の所、3時間もの逆サバです。
ただ、計算してみると当然のようにも思えます。
容量3400mAhの18650バッテリーを積んだVOLT800は、ローモードで10時間程度は使えました。ならば、容量4800mAhの21700バッテリーを採用したVOLT800 NEOであれば1.4倍ほどの時間は使えるはず。「12時間と書いてあるが、14時間程度は使えるだろう」とテストする前から思っていました。
東京の冬至(夜が一番長い日)でも、日の入りから日の出までが14時間15分なので、VOLT800 NEOのローモードはまさに「一晩中使える」ライトということになります。キャノボならコレ一本で良いかもしれません。
光の色
VOLT800 NEOで唯一不満な点が光の色です。
写真でも分かりますが、VOLT800 NEOの光は黄色がかっています。暖色気味といいますか。VOLT800はどちらかといえば白寄りの光でした。
暖色の光は目が疲れにくいと言われている一方、私は白色光の方が道路の凹凸がよく見える気がして好みではあります。
ただ、PBP直前に予備のVOLT800を追加購入した所、こちらもVOLT800 NEOと同じような黄色い光に変わっていました。CATEYEの方にインタビューしたときにこの辺りの話も聞きましたが、最近のLEDは黄色寄りの光のものが多いそうです。
充電性能
VOLT800 NEOは、2Aでの高速充電に対応しています。VOLT400 NEOは1Aだったので、上位機種として差別化されています。
充電グラフ
実際に充電時の電流を計測してみたところ、このようなグラフになりました。
温度による充電制御がされているようで、十分に低温な時しか2Aは出ないようです。
ただ、公称充電時間の4時間に対して、実測は3時間19分で満充電となりました。ブルベ中の短い仮眠時間でも満充電まで持っていくことが可能ということですね。素晴らしい。
充電しながらの点灯
CATEYEのライトに共通の仕様ではありますが、VOLT800 NEOも充電しながらの点灯は出来ません。
この理由についてCATEYE開発陣のインタビューで聞きましたが、下記の理由があるとのことでした。
- 充電しながらの点灯はバッテリーに過度の負担が掛かる。
- 充電中に雨が降ると、端子から浸水してしまう。
- 充電端子が差さった状態で走行すると端子が破損する可能性がある。
このような理由があって、点灯中充電端子が差し込まれると消灯する仕様にしているそうです。
同梱ケーブルの注意点
1点注意が必要なのは、付属するType-Cケーブルです。
CATEYEロゴが入っていて格好いいのでブルベに持参しましたが、私のスマホ(Pixel 6a)の充電用としては使えないことが判明。結局道中でスマホ用のType-Cケーブルを追加購入することになりました。
ただ、説明書を読むとVOLT800 NEOの充電にはこの付属ケーブルを使うことが推奨されています。Type-Cケーブルは規格が色々滅茶苦茶なので、世に出回っている全てのケーブルとの相性を保証できないためだと思われます。
出先でVOLT800 NEO以外のType-C機器を充電する可能性があるならば、別途Type-Cケーブルを用意することをオススメします。
防水性能
当サイト恒例の「水攻め」も実施しました。
1分程度のシャワーでは特に問題なし。各部のパッキンも確認しましたが、水の侵入は許していませんでした。
公称の防水性能はIPX4となっていますが、雨天走行には十分なスペックを持っていそうです。

実際に雨ブルベでも使用しましたが、特に問題は出ませんでした。
走行終了後に防水パッキンを開けて端子を確認しましたが、水やサビは認められませんでした。
また、上下反転ギミックを搭載したことにより、充電端子が常に下方向を向くようになりました。その意味でも防水性能が上がっていると思います。
ブルベで使用した感想
実際にブルベで使用してみた感想です。
ブルベでは、国内・海外どちらでもハンドル上にVOLT800 NEOとVOLT800を1個ずつ付けています。これは、全てを同じライトで固めると、同一の条件で同時に故障する可能性があるからです。
PBPでは、ブレーキに共付け可能なブラケットを使い、3個目のライトを追加しています。
国内ブルベ
国内ブルベでは600kmまでのカテゴリで使用しました。この距離であれば予備バッテリーは必要ないので、充電器とケーブルを持参しての走行です。
600kmブルベでは、1日目にホテルでの宿泊時間を除いた8時間程度、2日目に夕方からゴールまでの4時間程度の夜間走行があります。12時間の夜間走行であればVOLT800 NEOでは充電なしで済むはずですが、ホテルで充電を実施しました。
ホテルには7時間半滞在。余裕で満充電の状態で再出発となりました。
その後もバッテリー残量はまるで問題なく、最後まで走行することが出来ました。
日本のブルベでは青看板や信号銘板を見ながら走るわけですが、それらもしっかりと照らしてくれるので走りやすかったです。
PBP
PBPは1200km。1日目が夜スタートであるため4泊5日の旅で、夜間走行時間が30-35時間程度あります。
基本的にはVOLT800 NEOをローモードで使用。もう少し明るさが欲しい場合は、追加でVOLT800をローモード点灯する運用です。
VOLT800 NEOがいかに点灯時間が長いと言っても、2回のバッテリー交換が必要になる計算です。このため、PBPではルデアック(430km地点/780km地点)に置かれたドロップバッグに予備バッテリー(BA-4.8)2本を入れ、往路と復路でバッテリー交換を実施しています。念のため、フロントバッグにも常にVOLT800用のカートリッジバッテリー(BA-3.4)を忍ばせていました。
結果として、往路と復路の1回ずつのバッテリー交換で最後まで問題なくVOLT800 NEOを使用することが出来ました。VOLT800であれば、往路のドロップバッグと復路のドロップバッグの間でバッテリー交換が1回必要になるんですが、VOLT800 NEOであれば交換が発生しません。地味に嬉しい点です。
PBPでは路肩が芝生になっていることが多いんですが、実は窪みになっている場所も多く、夜間に不用意に芝生に突っ込むとそのまま転倒する危険性があります。このため、路肩までしっかりライトで照らすことが重要になります。VOLT800 NEOは照射範囲が左右に広く、この点でも十分な視界を確保できました。
PBPでは青看板を見ることはほとんどないのですが(見ても読めないし地名が分からない)、VOLT800 NEOは標識をしっかりと照らしてくれました。
最終的に、故障やトラブルは起こらずにゴールすることが出来ました。私の他にもPBPではVOLT800 NEOユーザーが多かったです。多分こういう場で一番活躍するので。
価格
VOLT800 NEOの定価は17000円+税です。
これに「高い!」という反応をしている方は結構多いのですが、実はVOLT800から定価は据え置きです。
この通り、どちらも定価は同じ。かなり製品としては進化しているのに、定価据え置きというのは驚きです。

正確には、2015年の発売時のVOLT800の定価は16000円+消費税8%で、税込17280円でした。その後、2021年に定価が1000円値上げされています。
VOLT800は発売当初から通販での割引額が大きく、その意味で多くの人は「12000円くらい」とイメージされるのではないかと思います。実は17000円くらいしたんですよね。
入手性
VOLTのNEOシリーズは日本国内の実店舗販売限定で、通販では売られていません。せめてCATEYE DIRECTで売ってくれても良い気はするんですが……。
そういえば、本ブログのコメント欄に、下記のコメントをもらったことがありました。
Kiitos hyvästä testistä.
(良いテストをありがとうございました。)
Haluaisin kysyä ,mistä voin tilata Cateye 800neo valaisimen.
(Cateye VOLT800 Neoをどこで注文できるか教えてください。)
Asun siis Suomessa jajarrastan Brevettejä.
(私はフィンランドに住んでいてブルベをやっています。)
なんとフィンランドからの書き込みでした。残念ながらVOLT800 NEOは日本のみでの販売で、海外からは購入することが出来ません。
海外ではある程度以上のロングライダーはハブダイナモに行ってしまう人が多いんですが、バッテリー式ライトを好む層もいます。そういった人向けに海外の人が入手する手段があると良いなと思います。私が海外に住んでいたら何としても手に入れたいと思うので。
その他
VOLT800 NEOは、ブラケットスペーサー着脱ボルトのネジ山が強化されています。
ブラケットスペーサーとはこのパーツのことです。フレックスタイトブラケットに差し込む部分で交換可能になっています。抜き差しする度に少しずつ削れていくので、定期的に交換しないとガタつきの原因となります。
ただ、前世代のVOLT800はブラケットスペーサーを固定する六角穴付ボルトの六角穴が非常になめやすく、穴を潰してしまう事例が多くありました。
そういった声がメーカー側にも届いていたようで、六角穴周辺を強化したボルトに変更されていました。地味ですが嬉しいバージョンアップです。
まとめ
ようやく現れた「真打」ライトです。7年待った甲斐がありました。現時点における最高のロングライド用ライトだと思います。
明るさ・配光・点灯時間、どれも申し分なし。光の色だけもう少し白くなれば完璧……。
この7年の間に「充電端子のType-C採用による充電の高速化」「21700バッテリー採用によるロングライフ化」「防眩加工の配光」といったトレンドがありましたが、それらを全部取り込んだ上で上下反転ギミックという独自性を加えてのリリース。一度立ち止まっていたCATEYEが最後尾から全自転車ライトをゴボウ抜きしたような印象があります。本気になったCATEYEは凄い。
開発者の方々に話を聞くと、相当入念に市場調査を行ったようです。上辺だけのスペックにこだわらず、ロングライドの現場における使いやすさを徹底的に追求した出来と言えましょう。開発段階で三船雅彦さんの協力もあったようで、それも大きいですね。ロングライドの現場を分かっている方が開発側にいるのは強いです。
2019年のPBPにおける「VOLT800の故障」から始まったブルベ向けライト探しの旅。「VOLT800 NEOの発売」によって、ようやく旅を終えることが出来ました。PBPの現場で問題が起きなければ、大抵のロングライドの現場で問題が起きることもないはずですし。
スペック的にも現状の最先端になっていると思います。よほどLEDやバッテリーに大きなブレイクスルーが無い限りは、向こう5年はVOLT800 NEOで戦えるでしょう。
あとはもう少し、本体とバッテリーの入手性を良くしてもらえると更にありがたいと思います。世界のロングライダーの中にも欲しがっている人はいるはずです。
評価
対象モデル: CATEYE「VOLT800 NEO (HL-EL475RC)」
年式: 2023年
定価: 18700円(税込)
購入価格: 18700円 (税込)
公称重量: 176g
実測重量: 175g
価格への満足度
ライトとしては高額だが、進化山盛り+価格据え置きということで。
総合評価
現状最高のロングライド向けライト。現場からの要望をすべて受け止めた上で追加要素まで加えている。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。