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【レビュー】Continental「GP5000 CL 25C」
評価:4.5
Continentalのレーシングタイヤ。今回レビューするのは、クリンチャーの25Cです。
購入動機
ロード乗りの定番タイヤとして長らく君臨したGP4000シリーズ。マイナーチェンジを繰り返しながら実に14年も「4000」のままでしたが、先ごろ「5000」に進化。
しばらくPanaracer/SCHWALBE/Vittoriaと色々タイヤを試していた私ですが、かつては数年間GP4000Sばかりを使っていた身。東京大阪キャノンボールを達成したときも、タイヤはGP4000Sでした。その後継の実力はいかなるものか。気になったので25Cを2本購入してみました。
なお、前作「GP4000S2」、前々作「GP4000S」の私のレビューは↓です。
製品概要
実測重量は、217g/219g(25C)。カラーは今の所、ブラックのみ。
コンパウンドはContinentalの代名詞でもあるブラックチリコンパウンド、耐パンクベルトはベクトランブレイカー。
太さのバリエーションは、23/25/28/32Cの4種類です。
使用感
ブルベ・ロングファストランで使用。合わせたホイールは、Fulcrum Racing 3 C17と、Fulcrum Racing Zero Carbonです。前後7気圧で運用。
前作との違い
やはり不朽の名作たるGP4000Sとの差は気になるところ。
その差分はCyclowiredの記事に詳しく書かれているので詳細はそちらを見てください。個人的に気になったのは、乗り心地と耐パンク性の部分。やはりロングライドではそちらが重要なので。
乗り心地については、「アクティブコンフォートテクノロジー」なる新技術で向上を図ったとのこと。残念ながら調べても詳細情報は出て来ませんが、ケーシングの製法を見直して振動減衰性がアップしている様子。
耐パンク性については、ベクトランブレイカーのカバー範囲を広げたようです。こちらは分かりやすい。
重量・幅
2本を実測し、217g/219g(25C)でした。日本国内での公称重量は215g、本国での公称重量は220gと何故かズレているんですが、大体公称値通りと見て良さそうです。
やはりこのタイヤもワイドリムに最適化されたようで、タイヤを広げた際の幅が65mmと狭くなっています(4000S2の初期モデルは70mmあった)。耐パンクベルトのカバー範囲が広がったにも関わらず、前作から比べて10gの軽量化している理由は、恐らくこのワイドリム対応が大きいでしょう。
リムに取り付けて7気圧入れたときの幅もキッチリ25Cになっており、以前のように「25Cが28C並に太い」という事態は無くなっています。
漕ぎ出し・巡航
4000S2までの25Cは漕ぎ出しがかなりモッサリしていたんですが、5000になって漕ぎ出しはかなり軽くなっています。
単純に重量が減ったことに加えて、ワイドリム対応でタイヤの高さが減ったことが影響しているのではないかと推測。35km/hから更にスピードを上げる場合でもスムーズに加速できます。
巡航については前作比でそこまで違いは感じず。ただ、ライバル比で高いレベルにあるのは間違いないです。
タイヤの抵抗を測定しているこちらのサイトでも、発売から二年経っても未だにクリンチャーでは2番目の低抵抗に位置取っています(2020年2月現在)。
グリップ
GP4000S2に比べて、よりグリップするようになっています。
ロングライドなのでそこまで攻めたダウンヒルはしませんが、非常にコーナーで安心感があります。以前、ミズタニの人にサイクルモードで聞いた話だと「表面のパターンは飾りです」とのことだったので、パターンの影響よりもコンパウンドの変更の影響が大きいのでしょう。
乗り心地
GP4000S2に比べて、振動が伝わりにくくなったと感じます。新技術のアクティブコンフォートテクノロジーの詳細は分かりませんが、きっと効いているのでしょう。
ただ、タイヤの幅が細くなっていてエアボリュームが減ったせいか、段差などでの衝撃吸収性はやや弱くなっている印象でした。
サイドがよりしなやかになった影響か、上り坂でのダンシングでは若干の潰れ感もあります。
耐パンク性
4000kmほど走行して、パンクは1回。前輪のパンクでした。
異物が刺さった形跡は特になく、チューブ自体も2年ほど使っているものだったので、経年劣化によるパンクだったのだろうと思います。タイヤが原因と思われるパンクは一度も無し。
舗装路ながら、直江津へと降りるガタガタの道も2度通りましたが、リム打ちパンクを起こしませんでした。前作同様の高い耐パンク性は健在のようです。
サイド部は相変わらずペラペラなので、そちらには注意が必要でしょう。
耐久性
2000km走行で後輪がやや台形化してきたので、前後のローテーションを実施しました。4000kmほど使いましたが、まだ使えています。
そういえば4000S2時代までは特徴の一つとされていたヒゲ(サイド部のほつれ)は今の所ありません。やっぱり苦情が多かったんでしょうか? クイックの軸に絡まって大変でしたし……。
見た目
ロゴがステルスカラーになり、主張が減っています。色々なホイールに合わせやすくはなりましたが、もう少し目立っても良いかも。
なお、パッケージに書かれていた通称「continentalおばちゃん」は姿を消しています。GP4000では5人、GP4000S2では3人になり、GP5000ではついに0人。おばちゃんは元気でやっているでしょうか?
まとめ
ワイドリム対応による軽量化・乗り心地とグリップの向上・耐パンク性の強化と、堅実に性能を伸ばした定番タイヤ。
グラフェンを導入したVittoriaのような飛躍は無いものの、パラメータのグラフを一回り大きくしてきた印象です。
PBPではパンクのリスクを下げるためにPanaracer GRAVELKINGを使いましたが、フランスの路面の綺麗さを考えるとこちらでも良かったかもしれません。登りが多い道では、このタイヤの低抵抗は効果的でしょうし。
まだまだ値段は高いですが、耐久性の高さと、走行性能を考えると、今後も定番タイヤの位置に君臨し続けると思います。
追記(2020年7月28日)
前回のレビューから半年。GP5000が寿命を迎えたので、使い終わり時点での感想を追記します。
このように後輪のトレッドが剥がれてしまいました。GP4000S時代にはこういう剥がれ方をした経験はなかったんですが……。周りでも同様の剥がれ方をした人が結構いるようです。
寿命
5000kmくらいは持ったかな?と思っていたのですが。今年2月時点のレビューで4000kmと書いているので、もう少し持ったようです。6000km程度でしょうか。
前後ローテーションはしているものの、これだけ持てばレーシングタイヤとしては御の字です。
耐パンク性
結局、今年2月のレビュー以来パンクは0回。前回書いたレビュー時の1回がパンクの全てです。
レーシングタイヤとしては標準的な耐パンク性能だと思います。
耐久性
今年の2月時点では「ヒゲは出ていない」と書きましたが、今日タイヤを外したらヒゲが発生していました。
屋内使用とはいえ、それなりに長期間使うとほつれてくるものみたいです。GP4000Sほど派手にはほつれていませんが。
解剖
ただ捨てるのも勿体ないので、切断して構造を見てみることにしました。
トレッドが剥がれた場所で切断。どうやら、剥がれた部分に見えていた繊維は耐パンクベルトであるベクトランブレイカーだったようです。
ベクトランブレイカーは接地面の下にしか入っていないようですね。GP4000S→GP5000で「ベクトランブレイカーのカバー範囲を広げた」という改善点があったはずですが、以前はもっと狭かったんでしょうか。
ベクトランブレイカーをカッターで突き刺してみましたが、一度目は耐えました。二度目は貫通しました。サイドはやはり弱く、一発で貫通しました。なるべく、トレッド以外は障害物に触れないように気をつけるべきだと思います(当たり前ですが)。
まとめ
特に不満のないタイヤでした。パンクも少なかったですし、乗り心地や転がりも良かったです。
やはり定番となるだけの良さがあるタイヤだと思います。
評価
対象モデル: Continental「GP5000 25C」
年式: 2018年
定価: 7560円(定価)
購入価格: 10580円(税込) ※2本セット価格
公称重量: 215g
実測重量: 217g
価格への満足度
高価だが値段なりの性能はある。
総合評価
正常進化の定番タイヤ。
レビュアー情報
年齢: 35歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。