【実験】 ロード用25Cタイヤについて考える 2017

  • 2017年12月14日
  • 実験
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ちょっと「最近のロード用25Cタイヤ」について色々と調べたので話のタネにでもどうぞ。

物凄く長い上に、MMRのような斜め上の暴走した考察と妄想が入ることもありますが、話半分でお読みください。

ロングライド用の25Cタイヤ探し

最近、ちょっとしたタイヤ沼に陥ってます。ブルべ用ロードバイクに良いタイヤは無いかなーと、最近リリースされたタイヤを色々味見しています。

ブルべ用ロードバイクに付けているホイールは、SHAMAL ULTRAの2016年モデルです。2017年モデルからはリムがワイドリムになって、リム内幅が15mm→17mmに拡張されました。ワイドリムにも「リム剛性が上がる」「空力が良い」などの利点はありますが、「重くなる」という欠点があります。これを嫌い、私はあえてナローリムのSHAMALを購入しました。

ここ最近試したタイヤは以下の通りです。

 ①BRIDGESTONE R1X(25C)
 ②VITTORIA RUBINO PRO SPEED(25C)
 ③VITTORIA RUBINO PRO(23C)
 ④SCHWALBE ONE(23C)
 ⑤PANARACER GRAVELKING(26C)

色々試して思ったのは、「最近の25Cタイヤって、25Cタイヤらしくないな」でした。

私が初めて体験した25Cタイヤは、2011年ごろのGP4000Sです。それまでは4000Sの23Cを使っており、同じモデルの25Cに変更。ロングライドに傾倒し始めていたこともあり、乗り心地が良いと言われる25Cに手を出すのは当然の流れでした。

25Cタイヤは確かに前評判通り乗り心地は良かったです。23Cに比べてタイヤの幅は広がり、タイヤの高さも大きくなります。地面からの距離が増えるので、クッション性が良くなるわけですね。「これがエアボリュームか!」と感激した覚えがあります。

ただ、一漕ぎ一漕ぎが重いのです。当時は「重量が増えたからだな」と思っていたのですが、タイヤの高さが増える=周長が増えることにより、「同じギヤ比で同じケイデンスならば大きなパワーが必要される」というのも要因だったのでしょう。よく「25Cのほうが1回転で進む距離は多い」と言われるんですが、その分乗り手のパワーが必要になります。ケイデンスを落とせばよかったのですが、なんとなくペダリングのリズムが崩れるのが嫌で23Cに戻してしまいました。

最近の25Cタイヤへの違和感

そして今年。最新の25Cタイヤを使って見ると、一漕ぎ一漕ぎの重さが消えていました。カタログ重量を見ると、R1XやRUBINO PRO SPEEDの重量は200gを切っています。一昔前の23Cタイヤよりも軽くなっているわけです。

ただ、乗り心地に関しては昔乗った25Cとは異なっていました。昔の25Cは、それこそ風船に乗っているような、路面からの距離を感じる乗り心地でした。しかし、最近の25Cは、それこそ昔の23Cと似たような乗り心地なんですよね。トレッドが柔らか目になっていることで乗り心地は良くなっているんですが、かつての25Cのタイヤで感じた乗り心地の良さとは別物に感じていました。

その疑問がより鮮明になったのは、久々にGRAVELKINGを使った時でした。26Cとちょっと太くはあるのですが、このタイヤの乗り心地はまさしく「昔の25C」だったのです。

ここで、一つの仮説を考えました。

 「今の25Cタイヤと昔の25Cタイヤでは何か設計に違いがあるのではないか?」

それを確かめるべく、色々と実験をしてみました。

実験①「リムによる周長とタイヤ幅の違い」

実験に用意した機材は以下です。

 ①2種類のホイール
  ・CAMPAGNOLO EURUS (リム内幅 15.5mm)
  ・3T DISCUSS TEAM (リム内幅 23.0mm)
 ②3種類のタイヤ
  ・SCHWALBE ONE (23C)
  ・VITTORIA RUBINO PRO SPEED (25C)
  ・PANARACER GRAVELKING (26C)

ホイールは、昔ながらのナローリムのEURUSと、やたらワイドな3TのDISCUSSを用意。ホイールとタイヤを全ての組合せで取り付けて、以下の計測を行いました。

 ①7気圧に達するまでのポンピング回数
 ②タイヤの最大幅
 ③タイヤの周長
 ④タイヤの外径(周長/3.14)

結果は以下の表のようになりました。

25Cタイヤ2

特徴的なのは、ナローリムのEURUSに取り付けたときの周長です。RUBINO PRO SPEEDの25Cと、ONEの23Cの周長は同じだったのです。それに比べて、GRAVELKING 26Cは16mmほど周長が大きくなっています。もちろん実走行では乗り手の体重が掛かるしトレッドの柔らかさも異なるので、潰れ方は違うはず。それなのに23Cと25Cの周長が一致してしまうのは何かがおかしい。

ただ、実感とは合っています。RUBINO PRO SPEEDは25Cらしい乗り心地ではなかったのは、この周長の短さ=タイヤの高さが昔の25Cよりも小さいのが原因なのではないかと。

「なんらかの設計変更によって、最近の25Cタイヤは昔の25Cタイヤより高さが小さくなっているのではないか?」と新たな仮説を立てました。

実験②「タイヤを広げたときの幅」

この話をFacebookに書いたところ、とある方から「タイヤを広げたときの幅も測ってみたら?」とのご指摘を頂きました。彼は以下の記事を見て、最近の25Cタイヤの設計の変更はタイヤの幅にも関係するのではないかと考えたようです。

 パナレーサーのジラーを3か月履いてみた。
 http://blog.worldcycle.co.jp/20171110/27879/

この記事によると、つい最近リリースされたPanaracerの超軽量タイヤ「GILLAR」は25Cタイヤにもかかわらず幅が64.5mm。同社の従来タイヤであるRACE Aの25Cが70mmで、その差は5.5mmです。この記事では、その原因を

 「ワイドリムに取り付けることが前提だから」

としています。正直、なんでリムがワイドになるとタイヤの幅が減るのか分かりませんでしたが、知人による以下の指摘で一旦納得しました。

 「(リム内幅)+(タイヤを広げたときの幅)が、ナローリムの時と一致するようにしているのでは?
  そうすればタイヤの断面積は一緒になって、エアボリュームもナローリムの時と一致するはず。
  リム内幅が増えれば、その分タイヤの幅を減らす必要があるんじゃないかと。」

そこで家にあったタイヤを片っ端から幅を図ってみると以下のようになっていました。発表時期の順に並べています。

25Cタイヤ1

この表から読み取れることとしては、

 ・昔の25Cタイヤは幅70mm以上
 ・最近の25Cタイヤは幅65mm前後

と言うことです。最近の25Cタイヤは、昔の23Cタイヤ並みに幅が狭いのです。GRAVELKING(26C)が例外ですが、元々このタイヤは「tourer plus ブルベエディション」が名前を変えたもの。このタイヤは2013年発売なので、設計としては結構古いものと言えます。

タイヤの幅が減れば、もちろん材料を減らすことが出来、軽量化にも繋がります。最近のタイヤが25Cでも200gを切っているのは薄くなっているからだと思っていましたが、幅が減っていることも理由だと考えられます。

クリンチャーにおけるワイドリム

ここでさらなる仮説。「ある年代からタイヤの設計がワイドリムを基準としているのでは?」と。

2017年現在、ロードバイク用のホイールはほとんどがリム内幅17mm以上のワイドリムになりました。ほんの数年前まではナローリムが普通だったのに、今では数えるほどしかありません。

サイスポが毎年やっているホイール特集を2014年から見てクリンチャーリムの傾向を読み取ってみました。

 2014年: 各社のカーボンリムが一通り出そろう。半分くらいがワイドリム。
 2015年: カーボンリムのほとんどがワイドリムに。アルミリムはまだほとんどナローリム。
 2016年: カンパ、フルクラム、マビックが一部のアルミリムをワイドに。
 2017年: 各社がアルミリムのワイド化を完了。シマノも9100からワイドリムに。

長年変わらなかったリム内幅が、ここ3年くらいで一気に変わってしまったと言うことになります。

ここから「タイヤメーカー各社のここ3年でリリースされたタイヤは、ワイドリムを基準とした設計ではないのか?」という推測が生まれました。前述の通り、GILLARはまさにそういったタイヤなわけですが、実は移行自体は数年前から始まっていたのではないかと。

これが正しいとすれば、ワイドリム前提のRUBINO PRO SPEEDの25CをナローリムのSHAMALに付けて使っていた私は、設計者の意図とは異なる状況でタイヤを使用していたことになります。実際、取り付けたときの幅は25mmあるものの、タイヤの高さは従来の25Cから比べると低くなっていましたので。更に、ワイドリムに取り付けて25mm幅になるように最適化されているとすれば、ナローリムに付けた時には25mmより細くなってしまうわけです。

よく「ワイドリムに23Cタイヤはダメだよ。引っ張りタイヤになるから」と言うのは良く聞く話なのですが、「ナローリムに25Cタイヤ(最近のもの)を付けてはダメ」とも言えることが今回の考察で分かりました。

まとめ

今回の考察のまとめです。所々妄想が入っていますが、一応まとめます。

 ・最近の25Cと昔の25Cは設計が異なる可能性が高い
  →前提の設計がワイドリムであるかナローリムであるかの違いが原因と推測

 ・ナローリムに最近の25Cタイヤを付けると、本来あるべき性能を発揮しない
  →ワイドリム前提の設計のため、ナローリムに付けるとタイヤの高さが低くなる
  →ワイドリムに付けて25Cになる設計なので、ナローリムに付けると25Cよりも細くなる

一言で言うと、「タイヤが前提としているリムを使え」ってことになるでしょうか。そうしないと、本来設計者が意図した性能が出ないと思います。ただ、今は過渡期で、ナローリム/ワイドリム、古い設計の25C/新しい設計の25Cが混在しているのがややこしい所です。

世間がワイドリムに移行していく中で、売れ残りのナローリムSHAMALを買ってしまったのは、今にして思うと愚策でしたね。俺はとんでもない勘違いをしていたのかもしれない……。

恐らくですが、各メーカーの今後出るタイヤは全てワイドリムを前提としたものになるはずです。過去の25Cの感触を求めて最新の25Cを買っても、過去の23Cと大して変わらない感触しか得られないことになります。最新の28Cタイヤを使えば昔の25Cタイヤの感触を得られるかもしれませんが……。

しばらくは、ナローリムのSHAMALに合わせて、古い設計と思われるGRAVELKING 26Cを使っていく予定です。ただ、同社のGILLARがワイドリム前提となったことを考えると、GRAVELKINGもそのうちワイドリム前提に設計変更されるかもしれません。不自然に軽量化したら、その時が怪しいですね。私はホイールをワイドリムに変えるか、昔のタイヤを探して奔走することになりそうです。

10速→11速の時も思いましたが、メーカー主導の規格変更は出費が増えてユーザにはあまり嬉しくないですね……。ギヤ数より面倒なのは、タイヤを見ても

 「**mmのリム内幅を前提で設計しています」

とは書かれていないことです。同じブランドの同じタイヤでも、ある時を境に中身が変わっているということも有り得るかもしれません。

ロード用ディスクブレーキと併せて、しばらくは過渡期が続きそうです。

追記(2020/1/24)

実験②と同じ方法で、その後発売されたタイヤを広げたときの幅の計測結果を示します。

 ・Panaracer RACE C EVO3(26C): 68.5mm (2018年発表)
 ・Continental GP5000(23C): 62.0mm (2018年発表)
 ・Continental GP5000(25C): 65.0mm (2018年発表)

やはり、ワイドリムが前提の設計になってきているようですね。

レビュアー情報

年齢: 33歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。