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【レビュー】FUCHS Silkolene「Wet Lube」
評価:1.5
ドイツのブランド「フックスシルコリン」の自転車用チェーンオイル。最も持ちの良いウェットタイプです。
購入動機
2019年の埼玉サイクルエキスポで見慣れないオイルを置いているブースがあったので、話を聞いてみました。
「ドイツのオイルです」
「日本でもテストしていて、沖縄で雨を含む1000kmを走っても油膜が切れませんでした」
「ただ、すごく汚れます」
そのオイルのメーカー名はフックス・シルコリン。元々イギリスのメーカーであるシルコリンを、ドイツのメーカーであるフックスが買収したものだそうで。モータースポーツ界では有名のようですが、自転車業界ではほとんど名を聞かないオイルです。とはいえ、雨のブルベをよく走る身としては、「1000km持つ」というのは耳に残る情報でした。
それから数ヶ月。サイスポでとあるショップのメカニックがこのオイルを推しているのを見て、更に興味を惹かれました。仕事が早く終わった日にそのショップに行き、オイルを購入。店員さんは熱心にオイルについて解説してくれました。
製品概要
内容量は60ml。
水置換性があります。PTFE配合。
ルブは以下の3タイプ。
・ウェット
・エブリデイ
単体でも使えますが、混ぜて使うことも出来るとか。今回レビューするのはウェットタイプです。
使用感
ロングライド用として雨天走行を含む150kmほどをテスト使用しました。
塗布
色は赤紫色。手で触ってみると粘性はさほど高くありません。
実は購入する前に、このオイルを使った知人から、
「このオイル、部屋が臭くなるんですよね……」
と聞いていたので不安でしたが、塗布段階では特に気になる臭いはなし。
水置換性があり浸透性も高い印象です。水置換性があるオイルはスプレー式ばかりで、ボトルに入ってるタイプはなかなか珍しいですね。
走行
漕ぎ出しも軽く、音も静かです。150km程度しか使っていませんが、その印象は一貫していました。
汚れについては皆無とは言えませんが、ウェットオイルとしては標準的かなと思います。
臭い
最大の問題は「臭い」です。
ライドから帰宅後、自転車を自室にIN。その後、食事をとって自室に戻ると……あれ、なんか臭いぞ?
ここで知人の「部屋が臭くなるんですよね……」という言葉が脳裏を過ぎりました。スプロケに顔を近づけてみると、臭いの元はやはりここでした。酸化した鉄のような臭いと表現すればよいのでしょうか。エステル系というよりは金属っぽい香り。少し我慢すれば臭いも収まるかと思ったのですが。翌朝になったら台所まで臭いが拡大していました。
こりゃアカンと判断。150kmで使用を中止し、チェーンとスプロケを洗浄しました。部屋からはすっかり異臭は消えました。
塗布直後ではなく走行後に臭いが出るというのは、何らかの変性が起きてるということなのか……詳細は不明ですが、未走行なら特に臭いはしませんでした。
まとめ
150kmから先の耐久性は不明ですが、第一印象は決して悪くないオイルでした。しかし、部屋に充満する異臭がキツすぎました。まさか性能以外の理由でチェーンオイルの使用をやめることになるとは……。
チェーンオイルの臭いを意識したのは今回が初めてのことです。様々なオイルを使ってきましたが、臭いが印象に残ったのはクレのドライチェーンルブくらい。ドライオイルは塗布時と塗布後しばらくは溶剤が揮発するため臭いを感じるのは仕方がありません。しかし今回はウェットオイル。なぜここまで臭いがするのか不思議です。何か揮発してるんでしょうか?
ドイツでは問題にならなかったのだろうか……とも思いましたけど、生活空間に自転車を置かなければならない家が少ないのかも知れませんね。ガレージとかに置くのだったら多分気にはならないでしょうし。せっかく買って使わないのも勿体無いので、残りのオイルは室外保管の自転車用に使う予定です。
Muc-Offからは良い香りの付いたオイルが出ているそうですが、シルコリンも同じような仕掛けをしたほうが良いかも知れませんね。
評価
対象モデル: FUCHS Silkolene「Wet Lube」
年式: 2019年
定価: 1296円(税込)
購入価格: 1296円(税込)
価格への満足度
容量的にも適価。
総合評価
性能は問題ないが室内保管では使えない。
著者情報
年齢: 34歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。