【レビュー】GARMIN「Edge 530」

評価:4.5

Garminが2019年に発売した、GPSサイクリングコンピューター。画面タッチで操作するEdge830に対し、Edge530は物理ボタンで操作します。

購入動機

PBPも終わった2019年の9月に購入しました。

Edge530は7月に発売されて気になっていましたが、直前に買ったものをPBPに投入するのも不安があったので見送り。それまでメインで使っていたGarmin eTrex30には大きな不満も無かったので。

しかし、PBPが終われば次の装備研究が始まります。周囲で買った人からも好評の声が多かったので、購入を決めました。eTrex30の唯一の不満であった、「パワーメーターとの連携が出来る」ことに加えて、稼働時間が従来のEdgeシリーズに比べると格段に伸びたことが購入の決め手でした。拡張バッテリーを使えば、なんと40時間の公称稼働時間を誇ります。

同時発売のEdge830ではなく530を買ったのは以下が理由です。

① 価格
→ Edge830は単体販売が無く、セット販売のみで57800円。
→ Edge530は単体販売があり、37800円。
② 物理ボタン操作
→ 雨の中でも走るブルベでは、静電式のEdge830は操作しにくいと予想。
→ 物理ボタンで操作できる530を選択。
530と830には機能的には大きく差はありません。地図の操作(ナビゲーション・目的地検索・拡大縮小など)をする場合には、タッチパネル搭載の830の方が便利ではあります。
ただ、ブルベが主な使用目的である私の場合、あらかじめ作っておいたGPXデータで軌跡を表示させるような使い方が多く、出先でナビゲーションを使うことはあまりありません。地図の縮尺の変更は割と行うのでその点だけは530に不満がありましたが、20000円の値段差には勝てませんでした。

製品概要

実測重量は77g(本体のみ)。充電式で、microUSBによって充電します。タッチパネルは搭載していません。

稼働時間は公称20時間。IPX7(1mの水位で30分間水没させることが出来る)の防水仕様です。

GPSは、みちびき・GLONASS・Galileoに対応。

通信インターフェースは、Wi-FI・Bluetooth・ANT+のメジャー形式に対応。

「本体のみ」を購入した場合の付属品は以下です。

  • microUSBケーブル
  • ストラップ
  • ハンドルステムマウント
  • アウトフロントマウント(拡張バッテリー対応)
  • クイックスタートマニュアル

使用感

BontragerのBlendrシステムのマウントにEdge530を付けて使っています。

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主に普段の練習ライドで使用しています。ただ、ロングライドでの使用感を確かめるため、山岳ブルベの「SR600福島」でも使用しました。

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比較対象は、Garminの山岳用GPSである「eTrex30」、同じくGarminの自転車用GPSである「Edge800」です。

重量

電池込みで77gと、GPSサイコンとしてはかなり軽めです。参考までに、Edge800が98g、eTrex30は150g(単三電池2本込)。

ハードウェア

液晶は、解像度が246×322。Edge800に比べると2倍ほどになっており、解像感は上がっています。私は保護シートなしで使用していますが、晴天の屋外でも見やすい液晶です。

CPUの処理能力もかなり高いです。Edge800やeTrex30は操作時にちょっとラグが感じられるのですが、Edge530ではそういったことはありません。ヌルヌル動きます。他社のGPSサイコンだと、機能は豊富だけど動作がカクカク……ということがよくあるので、その点はライバルをよく研究しているな、と思います。さすが業界の覇者。

バックライトも優秀。夜目の弱い私でも、夜間走行中に20%の設定で十分に表示項目を視認可能です。10%だとちょっと厳しいですね。

本体のストレージ容量は恐らく16GB。Edge520のストレージ容量はたった100MBだったようなので、なんと160倍に拡張されています。Edge520でも頑張れば地図を入れることは出来ていましたが、相当機能が制限されていました。その点、Edge530のストレージ容量なら地図データを入れても余裕があります。

地図

Edge500シリーズといえば、「地図はオマケ」くらいのイメージだったのですが、530はちゃんと「使える地図」が入っています。

昔はGarminのGPSの地図データは別売りでした。しかしEdge530は地図が予めインストールされており、しかも日本語地図です。表示される店や路線などのデータもなかなか詳細。2019年10月版の昭文社全国詳細道路地図が入っており、向こう数年はコンビニやランドマークの地図の陳腐化は無さそうです。

地図上に表示されるランドマークの描写も豪華になってます。写真は横浜スタジアム。

ただ、タッチパネルを搭載していないため、地図の操作自体は結構面倒。汗や雨で誤動作をしない点は良いのですが、eTrex30のようなスティックコントローラーも無しで地図の操作をするのは中々キツイものがあります。

縮尺の調整はショートカットがあり、地図を表示した状態で右上の「決定」ボタンを長押しすることで画面上に「+-」ボタンが出現。この状態で「ページスクロール」ボタンを押すことで縮尺を変更可能です。

一応、地図の現在地点を移動することも可能といえば可能なのですが、めちゃくちゃ操作しにくいです(上下・左右・縮尺の変更を切り替える必要あり)。この点は、スティックコントローラーを持つeTrex30や、タッチパネルのEdge800の方が上ですね。

ちなみに私はノースアップ派。設定画面がメニューのかなり奥の方にあるので探すのに苦労しました。

設定→アクティビティプロフィール→ロード→ナビゲーション→地図→地図表示
ここだけ見ても分かるんですが、メニューの深さと複雑さは本製品最大の弱点だと思います。それは多機能なことの裏返しなのですが。正直ググらないと目的のメニューにたどり着けません。

稼働時間

ここに惹かれて購入しました。公称ランタイムは単体で20時間とされていますが、バッテリー節約の設定次第では明らかにそれ以上に持ちます。
SR600福島では、1日目に以下の条件で走行しました。
・朝6~21時までの15時間走行(うち夜間走行4時間)
・バックライトは、昼0%、夜20%
・バッテリーセーブモードは不使用
・センサーは、心拍計・パワーメーターを接続(スピードセンサーは不使用)
・ほぼずっと地図ページを表示
15時間走行は、Edge800ならば電池切れになっているところ。しかし、Edge530はまだ38%バッテリーが残っていました。杓子定規に計算すれば、24時間は普通に持ちそうです。キャノボにも十分使えますね。
バッテリーセーブモードを使えば、更に稼働時間は伸びるでしょう。といっても、バッテリーセーブモードって、画面表示が数秒でオフになったりするので、常時サイコンの画面が表示されていて欲しい私は使っていないんですけども。単純に走行ログを取ることに特化させれば、600kmブルベでも最後まで充電無しで行けそうです。eTrex30とバッテリーの持ちで勝負できる自転車用サイコンがようやく出てきました
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そして、更に拡張バッテリーという手段まで残っているわけですからね。バッテリーのお値段が高すぎて購入していませんが、そのうち買うかもしれません。
なお、本体に付属するアウトフロントマウントは、この拡張バッテリーの増設に対応しています。新たに買い足さなくて良いのはありがたいです。拡張バッテリーの重さに耐えないとならない分、このマウントはちょっと重いのですが(43g)。
本体の充電時間はかなり早いです。電源とケーブルにもよりますが、2時間前後でフル充電可能。ブルベでの仮眠中に充電をすることも十分に可能です。

ネットワーク

Bluetoothによるスマホとのペアリングや、Wi-Fi接続に対応しています。Wi-Fiの設定さえしておけば、家に帰ってくるだけで走行データがクラウドにアップロードされます。これはかなり便利。ロングライド等の出先でライドが終了する場合も、スマホとペアリングすればそちらから走行データをアップロード可能です。

最近体重計もWi-Fi接続のものにしましたが、勝手にアップロードされるのってホント便利。わざわざPCに接続してデータ転送をする形式だと、いつの間にかアップロードしなくなっちゃうんですよね。

クラウドサービスであるGARMIN CONNECTも以前に比べるとかなりリッチになりました。

防水性

まだ雨の中ではほとんど使っていません。SR600福島の最終日に1時間ほど降られましたが、もちろん不具合が出るようなことはありませんでした。

安定性

システムの安定性は、Edge800以上でeTrex30未満と言った所。そうそうフリーズしないeTrex30よりは高頻度で再起動やフリーズを起こします。といっても9ヶ月で再起動は2回、フリーズは1回ですが。

フリーズを起こした時の図。この時は、Garminのサイトに書かれていた以下の方法で再起動することが出来ました。

デバイスがユーザーの入力に応答せず、電源がオフになっているように見える場合は、デバイスを外部電源に差し込み、約10秒間電源ボタンを長押しして電源が入るかどうか試してみてください。

ただ、外部電源が無い時にどうすればよいのかは不明です。

表示項目

画面に表示可能なデータ項目の種類もかなり増えました。特にパワーメーター関連の項目はEdge800に比べると激増しています。

距離は最大で10m単位まで表示可能になっていますが、勾配表示が何故か整数表示(小数点以下四捨五入)になっているのが個人的には不満です。斜度9.5%と10.4%じゃだいぶ違うと思うんですけどね。後述するクライムプロでも、「残り平均勾配」は整数表示です。

ナビゲーション

Googlemapのように、「目的地を指定してそこまでのルートを自動的に引く(目的地検索)」という使い方はEdge530では出来ません。830は可能です。そのあたりが差別化されている部分ですね。

私はあらかじめ、ルート作成サイト(RWGPSなど)で作成しておいたルートをインポートしてナビゲーションさせる使い方しかしないので、特に問題は感じていません。出先でどうしても行きたい箇所があれば、スマホのGooglemapで探せば良いことです。

また、Garmin Connectアプリを使って、スマホでルートを作成→Edge530に転送することも可能です。

トレーニング

あまりトレーニング機能は使っていません。

ただ、eTrex30には無い「パワーメーターが接続可能」「同一コースの周回時に自動でラップを切ることが可能」なのは重宝しています。

折角パワーメーターがあるので、トレーニングにも活用したいですね。

機能 – クライムプロ機能

Edge530&830から導入された注目の新機能が「クライムプロ」機能です。

Garminサイトより引用

ルートデータをインポートすると、自動的にルート中のヒルクライム区間が認識されます。上記写真には「クライム 2/7」とありますが、これはルート中に7つのヒルクライム区間があり、その2本目を走っていることを表しています。ヒルクライム区間に差し掛かると上記の画面に切り替わり、この先の勾配変化の様子を色分けして表示してくれます。

用例

SR600福島では、この機能が非常に役立ちました。ひたすら登って下ってを繰り返すのがSR600。私は1日毎にルートを分割してインポートしていましたが、「今日走らなければならないヒルクライムがあと何本あるのか」が一目瞭然なんですよね。どれくらいの負荷で登れば最後まで持つのかを把握できて便利でした。

区間検出

ヒルクライム区間は、てっきりStravaあたりのセグメントと連携しているのかと思っていました。実際は、「上り勾配のある一定距離の区間」を機械的に認識しているようです。

例えば、東京の和田峠は「陣馬亭~峠の碑」までの区間がタイムトライアル区間とされていますが、クライムプロは違う区間を検出する可能性があります。また、現状ではクライムプロの対象とする区間を手動で設定することは出来ません。あくまで自動認識。

Garminのフォーラムに投稿された情報によると、以下の条件を満たす区間がヒルクライム区間と認識されるようです。

・距離: 500メートル以上
・平均勾配: 3%以上
・上昇スコア(距離×平均勾配): 3500ポイント以上
いかに激坂でも、距離が500mなければ認識されないということですね。
標高の基準

クライムプロ画面で表示される「残り総上昇」「残り平均勾配」「斜度グラフ」ですが、これはインポートしたルートデータ内の標高を基準に計算されるようです。Edge内蔵の地図データの標高ではありません。すなわち、ルートをRWGPSで引くか、Stravaで引くか、他のサービスで引くかによって表示される値が変わります

これについては、「宮ヶ瀬湖一周」の区間を対象にして実験を行いました。「RWGPS」と、今は亡き「ルートラボ」で引いた同一区間のデータをEdge530に読み込ませています。

まずはRWGPSで作ったデータから。

全部で5箇所のヒルクライム区間が認識されています。

これに対し、ルートラボで作ったデータでは、2箇所しかヒルクライム区間が認識されていません。

どちらが正解かと言えば、ルートラボの方です

宮ヶ瀬湖一周のコースにはトンネルが5箇所くらいあり、RWGPSはトンネルの区間をヒルクライム区間だと誤認識していますね。トンネルは山を貫いて作るものです。杓子定規に標高を取れば、トンネルに入った瞬間にトンネルの上の山の標高が取得されてしまうわけです。結果、いきなり壁のような斜度が出現したように見えてしまうと。実際、このデータで走ると、20~30%の斜度の坂が頻繁に表示されます。

一方、ルートラボはトンネルを認識して、入口と出口の標高を一定にする機能があるので、ルートラボはトンネルをヒルクライム区間としては認識しないわけです。このため、本来のヒルクライム区間を正しく認識できています。

このことから何が言えるか? ルートを作成する際のサービスによって、クライムプロで表示される情報の精度が変わるということです。ルートラボ時代はかなり正確な標高が表示されていましたが、RWGPSに移行してからは「こんな所にこんな斜度の坂があるわけ無いでしょ」という情報が出るようになりました。それだけルートラボの標高補正機能が優秀だったんですよね。

クライムプロ機能を有効活用するために、標高補正がしっかりしたルート作成サービスの登場が期待されます。

機能 – 急カーブ警告

進行方向に急カーブがあると、ビープ音とともに画面に警告が出る機能です。

カーブまでの距離と、おおまかな道路形状が表示されます。SR600では峠道の下りが多いので、覚悟ができて助かりました。

詳細な発動条件は不明ですが、カーブの角度が90度以上ある場合には出ている気がします。上り区間でも表示されないので、スピードが一定以上出ている場合か、下り勾配を検出しているのでしょう。

あと、この急カーブ警告はルートデータをインポートしていなくても発動します。Edge530はある程度、ルートを先読みしているみたいですね。そのせいで、急に方向転換をすると何故かそのまま地図上の自分の位置が直進してたりするのですが……。

機能 – ConnectIQ

いわゆるアプリ機能です。ConnectIQ Store(iPhoneで言うAppStore的なところ)から、サードパーティー製のアプリをEdge530内で実行することが出来ます。

有名なのは、表示をタコメーター風にするアプリ。これは「My Edge2」というアプリです。この手のアプリはたくさんありますが、電池の消耗が早くなるので私は使っていません。

私が重宝しているのは、斜度を小数点以下一桁まで表示してくれるデータ項目アプリ「Climb Gauge」。これもConnectIQにあります。

他にも色々なアプリがありますが、まだ私は活用しきれていません。

保護ケース

Garmin純正の保護ケースを付けて使用しています。うっかり落とした時に、多少は被害が少なくて済むかもしれないので。

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お値段は互換品よりも高いですが、サイズはピッタリ、変にベタついたりもせず、操作性も損なわれません。

Varia

ミリ波レーダーにより後方から接近する車両を検知する「VARIA」にもEdge530は対応しています。

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試してみたいとは思っているのですが、あまり電池が持たないので導入には至っていません。北海道とか、SR600とかであったら便利なので、チャンスが有れば買います。

まとめ

ハード性能が大幅に向上し、電池の持ちも良くなった自転車用GPSサイコンです。基本機能はしっかり従来の機種を受け継ぎつつ、追加機能も魅力的。足りない機能は、究極的にはConnectIQで作ってしまうことも可能です。

今、GPSサイコンを買うなら、これを選んで後悔することは無いでしょう。ライバルになりそうなのは、兄弟機種であるEdge830くらいでしょうか。それくらいGarminのサイコンは先頭を走っています。というか、このEdge530/830で後続を一気に突き放した感があります。

唯一残念なのは、メニューの辿りにくさ。あまりに多機能であるため、どこに何の設定があるか未だに全容を把握出来ていません。メニューのチャート図みたいなのが用意されていれば良いんですが、そういったものも見つからず。結局、「あの設定どこでやるんだっけ?」と思った時には「ググる」のが最善手となります。

長らくブルベ用にはeTrex30を使ってきました。今はeTrex30とEdge530を併用していますが、Edge530オンリーで走る日も遠くは無さそうです。

評価

対象モデル:  GARMIN「Edge 530」
年式: 2019年
定価: 41580円(税込)
購入価格: 37500円(税込)
公称重量: 75.8g
実測重量: 77g

価格への満足度

8/10

値段として安くはないが、これだけの機能を詰め込んでこの値段は素晴らしい。

総合評価

9/10

メニューが煩雑。それ以外は今の所、かなり満足。

レビュアー情報

年齢: 35歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。