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【レビュー】GARMIN「EDGE 840 Solar」
評価:4
GarminのGPSサイクルコンピューター。
タッチパネル・ソーラー充電機能を搭載したコンパクトサイズのモデルです。
購入動機
こちらの記事に書いた理由で購入しました。
かいつまんで言うと、下記の理由です。
- PBP用のサブサイコンとして、「パワー表示が可能」「GPSログが取れる」「長時間利用可能」なモデルが欲しかった。
- ソーラー充電機能を試してみたかった。
PBPではパワーメーターでペース管理をしようと考えていました。eTrexにパワーメーター接続機能があればよかったんですが、それが無いのでEDGEシリーズをサブとして使う想定でした。
まずは国内の600kmブルベでテスト導入。特に問題はなさそうだったのでPBP本番にも投入しました。
製品概要
実測重量は89g(本体のみ)。
パッケージ内容は以下の通り。
- EDGE 840 Solar本体
- ハンドルステムマウント
- フラッシュアウトフロントマウント
- ストラップ
- USBケーブル Type-A to Type-C
- クイックスタートマニュアル
- アーレンキー2本
- 謎のステッカー
公称スペックについては、同時に発売した3機種と比較した表を作ったので掲載します。
540 | 540 Solar | 840 | 840 Solar | |
重量 | 80.3g | 84.9g | 84.8g | 88.9g |
本体サイズ | 横:57.8mm 縦:85.1mm 厚:19.6 mm |
|||
画面サイズ | 2.6インチ カラー |
|||
解像度 | 横:246 縦:322 |
|||
防水等級 | IPX7 | |||
充電端子 | Type-C | |||
稼働時間 | 26時間 | 26時間 +6時間 |
26時間 | 26時間 +6時間 |
内蔵ストレージ | 16GB | 32GB | ||
タッチパネル | × | ○ | ||
物理ボタン | ○ | |||
ソーラー充電 | × | ○ | × | ○ |
Climb pro機能 | ○ | |||
パワーガイド機能 | ○ | |||
リアルタイムスタミナ | ○ | |||
GNSSマルチバンド | ○ |
EDGE 840 Solarはミドルグレードながら、新機能を一通り網羅した上でソーラー充電にも対応した機種ということになります。
充電端子は、念願のType-Cとなりました。
使用感
普段のライドとブルベで使用。発売と同時に購入し、総使用距離は4000km程度。
2023年PBPでは、メインサイコンをeTrex32xとし、サブサイコンをEDGE 840 Solarとして1200kmを走行しました。
比較対象は、Garminの自転車用GPSである「EDGE530」、Garminの山岳用GPSである「eTrex32x」です。iGPSPORTのフラグシップモデル「iGS630」とも比較していきます。
パッケージ
Garminのいつものダンボール製パッケージです。
開封図。ソーラー充電画面のスクリーン保護シートが貼られています。
重量
実測89g。公称88.9gなので正確です。
EDGE530は77gだったので、それよりも少し重くなっています。
iGS630は保護シート付きで95.4gでした。
ハードウェア
ハードウェアのスペックを見ていきます。
解像度
液晶の解像度は246 x 322px。
EDGE530も全く同一の値で変化はありません。EDGE540/840もソーラー含めて全て解像度は同じです。
バックライト
EDGEシリーズは10%単位でバックライトの明るさを設定可能です。
私は普段、最低限の明るさである10%で固定していますが、EDGE530の10%よりもEDGE840の10%は明らかに暗いです。
EDGE840 Solarを20%にしてみると、肉眼では同じくらいの明るさに見えるようになりました。
というか、EDGE530のほうが白と黒がハッキリしていてコントラストが強い気がします。
更に、EDGE540(非Solar)を購入した、はやとさんにご協力をいただいて比較を実施したのが↓の写真です。
正直、肉眼でも写真でも明るさの差を見出すことが出来ませんでした。
530→840 Solarで画面が暗くなったのは「ソーラー充電仕様の液晶であることが原因ではないか」と思ったんですが、単にx40世代のバックライトが暗くなっただけのようです。
以上から考えられる結論は以下のとおりです。
- EDGE x40世代では、Solarモデルと非Solarモデルで、画面の明るさに大きな違いはない。
- 明るさを同一パーセンテージにした時に、EDGE x40世代はEDGE x30世代よりも暗い。
「EDGE530では10%で問題なく夜間走行が出来た」人も、EDGE x40世代では20%以上にしないと、夜間走行では見えにくく感じるはずです。あと、GARMINも「昼間」と「夜間」でバックライト設定を自動切り替えする仕組みを導入してほしいですね。昼間はバックライト0%に設定したいけれど、毎回手動で設定するのは面倒なので。
iGPSPORTのサイコンは昼間と夜間でバックライトの明るさを個別に設定できて便利でした。
ストレージ
本体のストレージは32GB。十分な容量だと思います。
処理能力
タッチパネルでの操作時や地図の表示もサクサク動きます。中々良いCPUを搭載しているように思えます。
ただ、難があるのは走行ログを保存する時です。
100km以上の走行ログを保存する際には数十秒フリーズしたような状態になってしまいます。
PBPでは400kmごとにログを保存しましたが、保存に1分近く掛かった気がします。
ストレージの書き込み速度に問題があるのか、書き込みの処理ロジックに問題があるのか分かりませんが、旧世代のEDGEシリーズや他社のサイコンと比べても明らかに遅い。
今のところ、最終的にはちゃんと保存に成功していますが、毎回「保存に失敗するのではないか」と不安になるのでなんとかして欲しい所です。
GPS捕捉の速度
起動するとGPSを探し始めます。野外だと捕捉は早く、10秒しないうちに捕捉しました。
操作性
EDGE840 Solarは、物理ボタンとタッチパネルを兼ね備えており、どちらの方法でも全ての操作が可能になっています。
基本的にはタッチパネルでの操作のほうが便利かつ、目的の操作を行うまでの時間が短いと思います。
冬場はタッチパネルでの操作がしにくいことも多いので、物理ボタンがあるというのも嬉しくはあります。
ただし、タッチパネルは雨などに反応してしまう場合があります。意図しない動作を防止するため、本製品にはタッチパネルを一時的に止める「スクリーンロック」機能があります。
うーん、タッチパネルをロックしてもトレーニングページのスクロールが出来てしまう。一番タッチパネルで切りたいの、ここなんだけども…。 pic.twitter.com/4BAWFdWMfS
— ばる (@barubaru24) April 20, 2023
発売当初はこの機能が不完全で、スクリーンロックをしてもトレーニングページのスクロールのみ可能となっていました。これを防ぎたいからタッチパネルを無効化しているのに……。
さすがにそういった声が多かったのか、2023年8月のアップデートでスクリーンロックの改良が行われました。
EDGE840、確かにファームアップでタッチスクリーンロックが完璧になった様子。
これまではスクリーンロック掛けても左右の画面送りだけは例外的にタッチで動くようになってましたが、ついに動かなくなりました。 pic.twitter.com/2lU81n7zRj
— ばる (@barubaru24) September 2, 2023
ちゃんと、トレーニングページのロックも動作しています。使いやすくなりました。
ソーラー充電
EDGE840 Solarの大きなトピックが「ソーラー充電」への対応です。
液晶全体が少し赤みがかった色をしており、この部分が全てソーラー発電用の素子を兼ねているようです。
ソーラー充電の仕様
EDGE 840 Solarのマニュアルには以下の記述があります。
ソーラー充電は、電源をオフにしている時でも常に行われているようです。
逆に言えば、ソーラー充電をストップすることは出来ません。本稿を書いている時点で、ソーラー充電をストップする設定はありません。
画面表示
ソーラー充電の状況を表す画面の表示が以下です。
画面上段の円グラフが太陽光の強度。この画像だと30%になります。この数値が大きいほどソーラー充電の速度が早くなります。
画面中段のグラフが過去の太陽光強度の時間推移です。
その下に表示されるのが平均強度と、ソーラー発電によって伸びた稼働時間となっています。
ソーラー充電の効率
公称値では、「屋外にて75,000ルクスの条件下で使用した場合、稼働時間が26時間→32時間に伸びる」とされています。
75000ルクスは正午ごろの晴天時の直射日光くらいの明るさであり、恐らくこれが「太陽光の強度: 100%」の基準だと思われます。
真っ昼間はちゃんと充電されますが、夕方になるとほぼ充電されません。雨の日であればソーラー充電はほぼ期待できないでしょう。
また、充電の具合はサイコンの設置角度にも影響されると思います。充電効率を追求するならば、地面に水平になるように設置したほうが良いでしょう。人間からは画面が見づらくなりますが……。
参考までに、PBPでは1日中晴れという条件で14時間ほど走行し、約2時間ほど稼働時間が延長されました。
地図
EDGE840 Solarは地図を表示し、あらかじめ設定したルートを重ねて表示可能です。
日本の地図表示
日本で販売されているEDGE840には、「日本詳細道路地図(CityNavigator Plus)」が搭載されています。
カラー表示かつ、日本語で通りの名前も表示されるなど、非常にわかりやすい地図です。
海外の地図表示
PBPで使う場合には、フランスの地図をインストールする必要があります。こちらの記事の方法で作成した地図をインストールしました。
綺麗にフランスの地図が表示されました。
(追記)
Nishioka007さんからお聞きした情報ですが、Garmin Expressから世界中の地図が無料でインストールできるようです。
こちらを使っても良いでしょう。
夜間の地図の見づらさ
一点気になっているのが「夜間に地図が見づらい」ことです。
Garmin側に問い合わせた所、これは「仕様」だそうで。個人的には夜間は地図が黒背景のほうが見やすいと思うのですが……。eTrexは未だに夜間は地図が黒背景になりますしね。
要望としてGarminには提出していますが、本記事を書いている現在もEDGEシリーズの地図の夜間背景は白基調のままです。
(追記)
バージョン20.19のファームウェアで、本事象は解消されました。
稼働時間
ブルベユーザー的に一番大事なのが稼働時間です。
EDGE840 Solarの公称稼働時間は「26時間+6時間(ソーラー充電分)」とされていますが、EDGE840は設定次第で稼働時間が大幅に変わります。
設定による稼働時間
EDGE840は、「推定バッテリー残量」の表示ができるようになりました。
そこで、バッテリー残量に最も影響が大きそうな「バックライトレベル」と「衛星システム(捕捉するGPS衛星の数)」設定を色々変えながら、「バッテリー残量」の変化を測定してみました。
全パターンを測定すると大変なので、一部のみの測定です。
衛星システム/ バックライト |
マルチGNSS マルチバンド |
マルチGNSS | GPS | オフ |
0% | 41 | 51 | 58 | 58 |
10% | 32 | 38 | 41 | 41 |
20% | 未測定 | 未測定 | 37 | 未測定 |
30% | 未測定 | 未測定 | 32 | 未測定 |
40% | 未測定 | 未測定 | 27 | 未測定 |
50% | 未測定 | 未測定 | 22 | 未測定 |
60% | 未測定 | 未測定 | 17 | 未測定 |
70% | 未測定 | 未測定 | 13 | 未測定 |
80% | 未測定 | 未測定 | 10 | 未測定 |
90% | 未測定 | 未測定 | 7 | 未測定 |
100% | 未測定 | 未測定 | 5 | 未測定 |
なんと、驚いたことに「バックライト: 0%」「衛星システム: GPS」にしたときの推定ランタイムは58時間となりました。
そして、恐らくこのバッテリー残量にはソーラー充電分を考慮していません。実際には、これにソーラー充電分のバッテリー残量が追加されることになります。
PBPでの実測稼働時間
PBPでは、下記の設定で使用しました。
- バックライトレベル: 10% (昼夜ともに)
- 衛星システム: GPS
- ルートナビゲーション: OFF
- クライムプロ: OFF
- 接続センサー: パワーメーター
この設定では、推定の稼働時間は41時間となります。
あくまでサブとしてパワーデータの表示・取得をすることが目的なので、稼働時間重視の設定です。ルートナビはメインのサイコンであるeTrex32x側で行っています。
PBPでは寝ている間にサイコンの電源をオフにしていたので、90時間のうち実際に使用していたのは60時間程度です。
折返しのブレスト手前で電池残量が少なくなり、モバイルバッテリー(5000mAh)を接続しました。道中、充電をしたのはここだけ。
また、道中の天気はかなり良く、1日あたり2時間分のソーラー充電が出来ました。こちらで合計+6時間程度は充電できているはずです。
最終的にゴールした時の電池残量は53%でした。
このことから考えると、「バックライト: 10%」「衛星システム: GPS」で運用した場合には推定値の41時間は正しいと言えそうです。かなり長持ちですね。600kmブルベならば充電なしで最後まで持つということになります。
バッテリーは使うにつれて劣化していくはずですが、ブルベでも十分使えそうな感触は得られました。
充電速度
Type-C端子になったということで、気になるのが充電速度です。
一度、完全に放電させてから充電してみました。
結果はこちら。最大で1A程度で充電され、1時間36分で満充電となりました。
Type-Cとしてはそこまで早くはないですが、恐らくはバッテリーの劣化を考慮して充電時の電流を抑えているのだろうと推測します。
とはいえ、これくらいの速度で充電できれば、ブルベ中のホテルでの充電でもたやすく満充電まで持っていけそうです。
システム安定性
PBPでは60時間程度使用しましたが、フリーズは0回でした。
これは、各種の割り込み機能をオフにしていたことが大きいと思っています。
EDGEシリーズにはフリーズしやすいシチュエーションがあり、よくあるのが「割り込み」発生の瞬間だと考えています。
ここでいう割り込みとは以下のようなケースです。
- クライムプロの区間開始時
- ルートナビ中の曲がり角案内時
- リアビューレーダーの車捕捉時
いわゆる、「画面が急に切り替わる」ような動作ですね。こういう時にフリーズしやすいです。
私はこれらの割り込みが起こらないように「クライムプロをOFF」「ルートナビをしない」「リアビューレーダーを接続しない」という設定にしていましたが、この状態だと動作がかなり安定していました。
ちなみに、過去にはリアビューレーダー使用時にフリーズした経験があります。
防水性
防水等級はIPX7。毎度思いますが、数値が大きいほど防水性能が強い訳では無いです。
ただ、大雨に見舞われた「いわき600」でも特に問題がなかったので、充電端子カバーさえしっかり閉まっていれば実用上は問題ないと思います。
充電端子カバーにはモデル名が刻印されています。ここに刻印することで、ガワは他の機種と使い回せるというわけですね。
新機能
EDGE840には新機能が色々追加されました。が、個人的にはほとんど使っていません。
Climb Pro 2.0
従来はコースナビゲーションを動かしている時に限り、そのコース上にある登り区間でのみClimbPro機能が発動していました。
EDGE 540/840シリーズでは、地図側に登り区間の情報を持たせているようで、コースナビゲーションをしていなくてもClimbProが発動するようになっています。
地図に表示されているこの山マークが登り区間。
発動してしまえば、コースナビゲーション中のClimbPro機能と同じです。
「おっ近くに坂があるな!」と唐突に登りに行くタイプの人には有用な機能かもしれませんが、私は割りと事前に計画したルートを走ることが多いのであまり魅力的な機能だとは思いませんでした。
この機能をonにしておくと割り込みが頻繁に発生するので、最近はoffにしています。
Climb Explore機能
近くにある登りセクションを検索する新機能が付いていました。
意外と距離のある登りコースって自分で見つけるのは大変なので、ヒルクラ練習を近所でしたい人には便利な機能ですね。
リアルタイムスタミナ機能
過去のライドデータに基づいて、「今のペースだとあとどれくらいの距離を走れるか」を表示してくれる機能です。
この機能を使うには、パワーメーターと心拍計の接続が必要となります。
購入当初は、体力100%の状態で「推定距離」が200km前後と表示されていました。
過去のデータがどの程度の範囲で解析対象になっているのかは分かりませんが「あなたは200kmしか走れませんよ」と言われるとロングライダー的にはちょっと悔しいですね。
その後、600kmブルベを完走すると、推定距離が323kmまで伸びていました。
一応、過去のデータを見て判断していることはわかったんですが、この「推定距離」が体感と全く合わないのです。まだまだ全然走れるのに「推定距離: <1km」と表示されることが結構ありました。
「データの蓄積量が増えるほど精度は高まる」と説明されていますが、使用開始から半年経っても全く体感と合いません。
体感的にはまだ走れるのに、サイコンに「あなたはもう限界ですよ」と言われるのも調子が狂うので、今ではこの機能はオフにしています。
パワーガイド機能
指定コースを走り切る為のパワー配分をガイドしてくれる機能です。
この機能は未使用なので、今後使った際にでも追記します。
既存機能
過去のEDGEシリーズにも存在した機能についての感想です。
バーチャルパートナー機能
バーチャルパートナーとは、ナビを発動するとマップ上に現れるゴースト(©マリオカート)のようなもの。
この機能自体はEDGE530の世代から存在しており、当初は「指定した速度でナビゲーション中のルートを矢印が動く」というだけのものでした。
例えばブルベのルートをナビゲーションさせているときに、バーチャルパートナーの速度を15.0km/hに設定すれば、「タイムアウトのラインがどこまで迫っているか」を可視化出来ました。足切りペーサーとして使える機能だったのですが……ある時のファームウェア更新で仕様が変わりました。
トンネルなどに入ってGPSの電波が途切れた際に、何故か「バーチャルパートナーの位置が現在地に補正される」という仕様になってしまったのです。
日本のようにトンネルが多い土地柄では、しょっちゅうバーチャルパートナーの位置が現在地に補正されてしまいます。結果として、ペーサーとしては使えなくなってしまいました。
こうなると、バーチャルパートナーを画面に表示させる意味はありません。ただ鬱陶しいだけの存在となりました。
自分よりもバーチャルパートナーが先にルートを走り切ると「バーチャルパートナー完走」と画面に表示されて、「残念だったねー」という感じのBGMが流れます。実に鬱陶しい。
しかし、EDGEシリーズには「バーチャルパートナーを消す」という設定は何故か存在しません。
EDGE530では、「バーチャルパートナースピード」を「0.0km」に設定すれば、バーチャルパートナーはスタート地点から動かなくなりました。これで機能を実質OFFに出来たのです。
しかし、EDGE 840 Solarにはバーチャルパートナーの速度を設定するメニューがどうしても見つかりませんでした。
「これはもしかしてバーチャルパートナーという機能自体がなくなったのでは…?」と思っていたのですが。
……奴は消えていませんでした。ルートナビゲーションを使うと、自動的に発生します。
青矢印が自分の現在地、灰色矢印がバーチャルパートナーです。どうやって消せば良いんだコイツ。
設定を探していくと、ナビ起動中にしか現れないメニューの中に「Virtual Partner」の項目を発見。ここで設定すればいいのか!
スピードの設定ができるのかと思いきや、パーセント表記。まぁ、これを0%にすればバーチャルパートナーは動かなくなるはず……と思ったんですが。
なんと下限が10%で、それ以上は下げられませんでした。しかも、このエフォートの設定はルートナビゲーションを新規に行うたびに「100%」にリセットされます。設定を保存してくれない。
おのれ、バーチャルパートナー……。一旦は消すことを諦めることにしました。
なぜそこまでしてGarminはバーチャルパートナーを使わせようとするのか。バーチャルパートナーを消せないままにするなら、過去の仕様に戻してほしいですね。
クライムプロ機能
EDGE 530にもあったクライムプロ機能も微妙にリニューアルされています。
勾配グラフに現在の斜度が出るようになりました。
そういえば、斜度は相変わらず整数値でしたね。小数第一位まで出して欲しいという要望、多いと思うのに頑なに実装されないのはなぜ?
クライムが完了するとサマリが表示されます。派手なファンファーレ音も流れます(2023年10月、ファームウェア更新で簡素な音に変更になったとのことです)。
個人的にはクライムプロ機能が発動すると画面が勝手に普段の仕様と変わってしまうことが嫌で、最近はこの機能もOFFにしています。
私はブルベ中はマップ画面を表示させていますが、クライムプロ画面になると地図が見えなくなってしまいます。仮にヒルクライム中にルート分岐があっても地図が見えないんですよね。
個人的にはeTrexのように、ルート上の山と谷をマップ上で表示してくれれば十分。この機能はなぜかEDGEシリーズにはありません。
シリコンケース
純正のシリコン保護ケースが用意されています。
たまに落としてしまった時に、こうしたケースがあると傷を防げたりするので、別途購入して使っています。2750円とそれなりに高かったですが……
まとめ
設定次第では連続で40時間以上使用可能となり、ブルベでも不便を感じないサイコンとなりました。
GarminはEDGE530あたりから稼働時間を重視し始めたように思いますが、その方向性は今作で更に強化されました。ロングライドがメイン用途である私のようなユーザーには嬉しい変化です。いくら便利でも10時間しか使えないのでは困りますので。
Type-C端子を搭載し、充電の面でも便利になりました。ようやくmicroUSBケーブルを持ち歩かなくて済みます。
バックライトが暗くなってしまったのは残念な点。後継機種での改善に期待します。
割り込みが発生する機能をOFFにしてしまえば、システムの安定性も高いです。PBPの道中でもフリーズは無く、全工程のGPSログを余さず取得することが出来ました。
ログ保存時にフリーズしたような挙動になるのは何とかして欲しいです。ファームウェア更新で改善されればよいのですが。
一方、色々と導入された新機能(Climb Pro 2.0/リアルタイムスタミナ機能/パワーガイド機能)は個人的には使い所がありませんでした。
機能が増えるとシステム的には不安定になりがちです。個人的にはもっと機能を絞って安定性を高めてほしくはありますが、セールスの面を考えると目新しい機能が必要なのでしょう。競合他社も一斉にクライムプロ的な機能を導入してきましたし。仕方ないと考えるようになりました。
バーチャルパートナーの挙動や、地図の夜間表示での背景色など細かい不満はありますが、さすがに良く出来ているサイコンだと感じました。
価格は安くありませんが、買って良かったとは思っています。今後のファームウェアによるアップデートに期待しています。
評価
対象モデル: GARMIN「EDGE 840 Solar」
年式: 2023年
定価: 74800円 (税込)
購入価格: 74800円 (税込)
公称重量: 88.9g
実測重量: 89g
価格への満足度
安くはないが、ハードの良さと機能の豊富さを見ると納得感はある。
総合評価
細かい不満はあるものの、安定して長時間使用可能なGPSサイコン。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。