【レビュー】GIANT「ESCAPE RX3(2012)」

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評価:5

GIANTのスポーツライド向けクロスバイク。ESCAPE Rシリーズよりも軽量かつ高剛性なのが特徴です。

キャッチコピーは、「ロード上級者も納得する走行性能と、ビギナーにも優しい素直なハンドリング」

目次

購入動機

2010年に大阪→東京キャノンボール、2011年に東京→大阪キャノンボールを達成。次の目標として「クロスバイクで24時間を切れないか?」と考えたのが購入のきっかけでした。

現在でこそ、ファットバイクやクロスバイクでのキャノボが達成されていますが、当時はロードバイク以外でキャノボを達成されていたのはシクロクロスくらいのもの。フラットバーの自転車で達成された記録はなく、ネタとして挑戦してみたくなったのです。

挑戦に使うクロスバイクは以下の条件で探すことにしました。

① 誰もがクロスバイクのフレームと認めるもの
② Vブレーキ
③ ロード用ホイールが使える(エンド幅130mm)

Vブレーキではなくキャリパーブレーキが付いていると、私の中では「フラットバーロード」。Vブレーキかつ、ロード用ホイールが使えるクロスバイクの中で最も性能が高そうだったのが「ESCAPE RX」でした。2012年4月購入。

製品概要

公称重量は10.6kg。フレーム材料はアルミです。

ESCAPE RXシリーズの中では最安の機種で、定価は税込59850円。クロスバイク向けのSHIMANOの廉価コンポ「ACERA」で組まれています。

ただ、私はかなりの部分をいじってしまったため、完成車付属のパーツで残っているのはフレームとブレーキレバーだけ。このため、レビューは完成車としてではなく、フレーム単体としてレビューします。

使用感

主に街乗り・通勤で使用しています。

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ただ、元々は「クロスバイクでキャノンボール」のために買った一台。ソロのキャノンボールは達成こそしていませんが、2015年のFlecheでは大阪→東京を走って24時間切りを達成しています。

カスタム内容

完成車で買いましたが、その状態から残っている部品はブレーキレバーくらいのもので、ほぼすべてのパーツを交換しています。上の写真の時点でのカスタム内容は以下。

パーツ Before After
フォーク GIANT ESCAPE RX アルミフォーク Kinesis PureCX カーボンフォーク
 BB SHIMANO UN26 SHIMANO DURA-ACE
クランク SHIMANO FC-M361 SHIMANO 105
チェーン SHIMANO HG50 SHIMANO ULTEGRA
FD SHIMANO M191 SHIMANO ULTEGRA
RD SHIMANO ACERA SHIMANO 105
シフター SHIMANO M310 8S SHIMANO SL-R780 10S
ブレーキレバー SHIMANO M310 SHIMANO M310
ブレーキセット AVID SD-3 SHIMANO XT
ハンドル GIANT Aluminum 3T XIDA LTD
グリップ GIANT ERGON GP2
ステム GIANT Aluminum 3T ARX TEAM
サドル GIANT SPORT LITE D2 FIZIK ALIANTE GAMMA
シートポスト GIANT Aluminum FIZIK CYRANO
ペダル Aluminum CAGE LITE SHIMANO ULTEGRA
ホイール GIANT S-R2 MAVIC KSYRIUM ELITE
スプロケ SHIMANO HG41 11-32T SHIMANO 105 12-25T
タイヤ MICHELIN DYNAMIC SPORTS 28C SCHWALBE ONE 25C

この構成で重量は8.2kg。ブレーキはあえてVブレーキのままで、それ以外の部分をSHIMANO 105中心で組んでいます。クロスバイクで24時間で520kmを走るため、最低限クロスバイクの要件(フラットバーでVブレーキ)を残したまま、やれることは大体やりました。

重量

フレームセットの重量は、恐らく2.5kg(Mサイズ)程度。フォークは800gくらいだったので、フレーム単体だと1700g程度でしょうか。クロスバイクにしては中々軽量です。

剛性感

トップチューブ・ダウンチューブはクロスバイクとしては常識外な程に太く、BB周りもマッシブ。剛性は高く設計されています。加速性能もロードと比較して見劣りしません。

ただ、完成車付属のACERAのクランクは完全にフレームの性能に負けていました。105以上のクランクならばフレームの性能に見合うはずです。現在は、ULTEGRA SLの使い古しのクランクを付けて使っています。

巡航

巡航性能に関しても、ロードと大きく差があるとは思えません。同速度での心拍はロードより高めになりますが、これはロードバイクに比べてヘッドチューブが長め(Mサイズで170mm)のジオメトリ&フラットバーハンドルということで、上半身の空気抵抗が大きいためだと思われます。

ほぼステムをベタ付けにした上で、17度ステムを使ってハンドルを下げていますが、まだまだハンドル位置が高いです。ヘッドチューブが普段乗っているロードより3cmも長い上に、太いタイヤが付くようにフォークが長めに作られているので仕方ないですね。

Flecheでは少しでも空気抵抗を減らすため、バーエンドバーを持ったポジションを多用していました。

快適性

完成車状態では乗り心地は非常に悪かったです。カーボンフレームから乗り始めた身としては、「アルミフレームはこんなに乗り心地が悪いのか!」とびっくりしました。

ただ、後から購入したKinesisのカーボンフォークで印象がガラリと変化。かなり乗り心地が良くなっています。フレーム後方の突き上げは相変わらずキツめですが、前方の突き上げはかなり緩和されました。乗り心地だけでなく、加速性能も向上しました。ESCAPE RXのアルミフォークはフレーム側の性能には見合ってないですね。

Flecheでは520kmを走行。ポジションをあまり変えられないフラットバーのため、一週間ほどは痺れが残りましたが、被害は比較的少なく済みました。

パーツ互換性

リヤエンドの幅は130mmのため、ロード用のホイールがそのまま使えます。最初から付いているACERAのコンポーネントは8速なので、Tiagraの8速用スプロケを買ってくれば使えるはずです。

なお、キャリア用のダボ穴も付属。現在は街乗り用に使っているため、キャリアを取り付けています。

見た目

2012年のRX3は赤×黒。非常に格好良いと思っています。太いチューブと相まって、かなり強そうです。

その他

このクロスバイクは、漫画「ろんぐらいだぁす!」のキャラクター・葵の愛車のモデルとなっています。

この表紙に登場している自転車ですね。私の名前が巻末のSPECIAL THANKSに含まれているのはこれが理由です。2013年頃に取材を受けたので、現在の仕様とはかなり違ってますが。

2016年の「ろんぐらいだぁす!」のアニメ化にあたり、今度はアニメスタッフの方に取材を受けました(多分モデリング素材として)。これは2015年のFlecheの後の話であるため、上の写真の仕様とほぼ同じ仕様になっているはずです。

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アニメの第2話には浦賀駅前で輪行を解いて組み立てるシーンがありますが、ここでのパッキングシーンは私の動きを撮ったビデオを参考に作画されています。スタッフの方がかなり熱心で、「本格的な輪行シーンを描きたい」と言われ、何度もパッキングと組み立てをして実演しました。

縦型の輪行袋には普通、ショルダーベルトを通す穴が開いていて、そこを通すのが正しいやり方です。ただ、これだとチェーンリングと袋が干渉して破れることがあるので、私はこの穴を通さずにパッキングします。よく見て頂けると、葵の輪行袋のパッキングも私と同じ流儀になっています。描写が細かい……!

そんなわけで、アニメ「ろんぐらいだぁす!」のエンドロールにも実は私の名前が入っています。

まとめ

「ロード上級者も納得する走行性能」という売り文句に嘘はないと思います(私が上級者かは置いておく)。5万円の完成車に付いてくるフレームとしては破格の性能ではないかと。さすがコストパフォーマンスのGIANTです。

ただ、完成車の状態では、フレームのポテンシャルに対してパーツが負けている印象です。クランクとホイールを変えると本来の性能を引き出せるとは思いますが……クランクを変えたら多分、変速系のコンポーネントを総入れ替えしなければならないのでハードルは高いですね。

徹底的なカスタムを行った結果、チームによる「大阪→東京」を24時間以内に走り切るチャレンジは成功。ロードバイクに負けないポテンシャルのあるフレームであるということが証明出来ました。

使い始めて8年、結構くたびれてきていますが、まだまだ頑張ってもらうつもりです。

評価

対象モデル:  GIANT「ESCAPE RX3(2012)」
年式: 2012年
定価: 59850円(税込)
購入価格: 59850円(税込) + カスタム費用 10万円程度
公称重量: 10.6kg
実測重量: 8.2kg(カスタム後)

価格への満足度

10/10

非常にコスパの高いフレーム。

総合評価

10/10

クロスバイクとしては最高の運動性能を持つ。ただ、フォークとコンポはフレーム性能に見合っていない。

レビュアー情報

年齢: 35歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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