【レビュー】GIANT「RWS WHEEL RETENTION」

評価:4.5

GIANTがDT SWISSと共同開発したらしい(by GIANTストア港北の店員さん)スキュワー。ネジで締める六角スキュワーと基本的には同じですが、レバー部分の位置を任意に動かす事が可能となっており、かなりしっかりと固定できるのが特徴です。

今回は買ってすぐのファーストインプレッションをレビューします。

購入動機

ディズナのチタンクイックの所でも書いたのですが、私はクイック/スキュワーの固定力が走行感にかなり影響を及ぼすと思っています。なるべくしっかり固定できるものが欲しいな……と思っていた所、知人から「DT SWISSのRWSは良いよ!!」とオススメされたのでした。

RWS = Ratchet Wheel System。通常、ロードバイクはクイックリリースを使うことが多いですが、RWSはレバーを起こしたり倒したりは出来ません。RWSのレバー部は単純にネジを回すための取っ手の役割を持っており、一言で言ってしまえば、

「六角レンチ不要の六角スキュワー」

です。ちょっと違うのは、レバー部分にラチェット構造(実は厳密にはラチェットではない)を採用しており、レバーを回しやすい位置に移動させて、締める事が可能になっていることです。この構造により、なんと従来のクイックの1.5倍の力で締め付けることが可能なんだとか。

どうやらこのRWSはDTとGIANTの共同開発品らしく、DTとGIANT、両方から発売されています。GIANTの上位ホイールにはクイックではなく、RWSが付属しています。

それぞれのメーカーごとにROAD版とMTB版があり、DTにはチタンシャフトの軽量版も用意されています。GIANTはスチールシャフトのみです。両メーカーのROAD用/スチールシャフトモデルを比較してみると、

・DT版→104g / 10990円(前後セット)
・GIANT版→105g / 6300円(前後セット)

公称重量1gの違いは気になりますが、基本的にはモノは同じっぽい。なのにGIANTの方がほぼ半額。本当に効果があるか分からないものだし、とりあえず安い方で試してみることにしました。

早速、練習コース近くのGIANTストアへGO。幸いにもラスト1の在庫があったので、即購入。さすが公式ストア。ちなみにもう一本買おうと思ったら、取り寄せは最短で4月末らしい。品薄なのね……。

製品概要

重量は実測で106g。公称+1gなので優秀優秀。通常のクイック(100~150g程度)よりは軽く、レバーの分だけ六角スキュワー(大抵100g以下)より重いという感じ。

レバー側は青でGIANTの文字。正直、ここが赤のバージョンも欲しいんですが……DTのを買えってことですね。レバーはアルミ製、シャフトはスチールです。

反レバー側。一箇所だけ爪があり、エンド部分に爪が収まるようになっています。これによって、強く締めても空転しない構造になっています。実はこの反レバー側の構造はDT版には無いもので、GIANT版だけの特徴。GIANT版の方が改良されている気がします。安いのに。

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RWSのラチェット構造の説明です。

購入動機のところでも書きましたが、実は厳密にはラチェット構造ではありません。

このように、単純にレバー部分を外側に出すことで、レバーの位置を回して変えられるだけ。ラチェットでは無いので、レバーの回転方向は時計回り/反時計回りどちらも可能です。

閉め込んでいくと、レバーがフォークに干渉するわけですが、レバー位置を変えることで締めることが可能になるわけですね。

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では何故、「Ratchet Wheel System」なんて名前が付いたのか?

実は現在のRWSは「第二世代」であり、「第一世代」は本当にラチェット構造を採用していたからです。

RIOGRANDE

DT Swissは、メーカー完成車に装着される完組みホィールだけでなく、高品質・高精度なホィール・コンポーネントを供給す…

こちらは、代理店が第一世代を発売した時のプレスリリースです。構造が違うのがお分かりでしょうか。私は第一世代のものを使ったことはありませんが、使った人によると本当にラチェットを採用していたそうです。ただ、ラチェットの爪の幅が広かったらしく、デジタルな調整しか出来なかったとのこと。

これが不評だったのか? 第二世代からはラチェット構造を撤廃し、レバーの位置を変えられるだけの構造に変化しています。推測ですが、GIANTが共同開発に入ったことによる影響かもしれません。ラチェットを撤廃したことでアナログな締め付け具合の調整が可能となっています。

使用感

LAPIERREに取り付けて見た図。折角、赤黒で統一してきたのに青が入ってしまう……が、これで性能が上がるなら目をつぶりましょう。

実験内容

折角なので、持っているクイック/スキュワーを比較するための実験を行いました。

・重量級クイック代表: カンパクイック
・軽量級クイック代表: ディズナクイック
・六角スキュワー代表: TRANZ X スキュワー
・RWSスキュワー代表: GIANT RWS ROAD

これに対し、以下の条件で計測結果を比較してみる実験です。

・それぞれのクイック/スキュワーはなるべく固く締める
・500mの坂を4種類のクイック/スキュワーで2本ずつ登る
・ギヤはインナーロー固定
・ケイデンスは平均75rpmを目標
・パワー・心拍数・スピードを比較する

実験結果

結果がコレです。

正直、有意な差は読み取れませんでした。サンプル数も少ないし、計測もたった500m。解っていたことですが、ブレが大きすぎて意味のある計測になりませんでした。

剛性感(低負荷)

ただ、乗り味の差は明確でした。あくまで主観的な剛性「感」の話ですが、印象は以下の様な感じです。

RWSスキュワー >> 重量級クイック ≧ 六角スキュワー >> 軽量級クイック

重量級クイックと六角スキュワーはブラインドテストだったら解らない程度の差でしたが、RWSは明らかに他のものとは違う剛性感がありました。ただ、データ上は特に差は無かったのでした。

剛性感(高負荷)

先ほどの実験は200W前後という低負荷の領域でした。今度は高負荷練習でRWSを試してみることにしました。普段は重量級クイックを使っていますが、それと比較した印象となります。

……違う。全然違う。

特に急加速や大トルクで踏み込んだ時の反応が明らかに従来より早くなりました。「フレームの剛性が上がった」と勘違いするほど。もしかしたら、本来のフレームの性能がコレなのかもしれませんが。

踏み込んだ力が余さずホイールに伝わる感じ。いつもなら千切れてしまう坂でも付いていけるし、スプリントでのトップスピードまでの到達時間も速い印象でした。

低負荷では特に踏み込みに対する反応は気になりませんでしたが、高負荷ではパワー入力→推進力になるまでが短くなる印象です。

まとめ

個人的には、初めてビンディングを使った以来の衝撃でした。それくらい走りに影響があると感じました。「感じた」だけで、数値的な検証はまだ行えていません。この辺りは使い込んだ後でじっくりと再レビューしたいと思います。

もちろん、強い力で締め付けを行うことによるデメリットもあると思います。ざっと考えられるデメリットとしては以下でしょうか。

・ホイールの玉当たりへの影響
 →強く両側から締めることで回転負荷が増える可能性。
・フレーム/ホイール寿命への影響
 →これまで逃げていた力がホイール/フレームへの負荷となるため、寿命が短くなる可能性。

そしてRWSには、クイックと比べて「外しにくい」という最大のデメリットがあります。六角スキュワーよりも外しにくいです。ホイールを素早く交換することが求められるシーンには適さないでしょう。ただ、「ホイール交換する=リタイヤ」に等しいヒルクライムレースや、短距離で出力の上げ下げの激しいクリテリウムなどではRWSのメリットが活かせると思います。

整理すると、以下の様な感じ。

・ヒルクライムレース
・クリテリウム
・チームエンデューロ
・時間制限のないロングライド
・長距離ロードレース
・個人エンデューロ
・時間制限のあるロングライド(ブルベ、キャノンボールなど)

とりあえず今後、実戦投入してみて追加レビュー予定です。

評価

対象モデル:  GIANT「RWS WHEEL RETENTION」
年式: 2014年
定価: 6300円(税込)
購入価格: 6300円(税込)
公称重量: 105g
実測重量: 106g

価格への満足度

10/10

DT版と比べて高機能で安い。

総合評価

9/10

たかがスキュワーでここまで変わるものかと、しかし使えるシーンは限られる。

レビュアー情報

年齢: 29歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。