【レビュー】GOODYEAR「EAGLE F1R CL 28C」

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評価:4

グッドイヤーのレーシングタイヤ。

チューブレスコンプリート(チューブレスレディ)とクリンチャーのモデルがありますが、今回はクリンチャーの28Cをレビューします。

目次

購入動機

本製品はグッドイヤーの国内代理店であるフカヤからの提供品となります。レビュー内容については指示・改変依頼を受けておらず、通常購入品と同様の観点でレビューします。

レビューの依頼を頂く

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こちらの試乗会に行った際に「使ってみて感想を教えて欲しい」ということでレビューのご依頼を頂きました。

「Eagle F1R」と「Eagle F1R SuperSport R」のどちらかを選ぶことが出来ましたが、後者は耐パンクベルトなしの決戦モデルということで、耐パンクベルト入りの前者を希望しました。

グッドイヤーと自転車タイヤ

グッドイヤーと言えば世界第三位のシェアを誇る自動車用タイヤメーカーです(1位はミシュラン・2位はブリヂストン)。

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そんなグッドイヤーが2018年に自転車業界に参入。2020年に日本上陸を果たしました。この時の代理店は塩野自転車です。

最初に発売されたロード用タイヤは「Eagle F1」。自動車用タイヤにもある製品名のようで、検索するとまず最初に自動車向けタイヤのサイトが引っかかります。

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2023年になり、グッドイヤーの自転車用タイヤはラインナップを一新。代理店もフカヤに変わりました。

「Eagle F1」の改良版である「Eagle F1R」と、軽量な決戦モデル「Eagle F1 SuperSport R」を頂点としたラインナップに再編されました。今回レビューするのは、その頂点の片方です。

旧Eagle F1に比べて転がり抵抗は13%減少し、ウェットグリップは19%向上しているとのこと。

グッドイヤーのタイヤラインナップ

グッドイヤーのロード用タイヤのラインナップと位置付けは以下の通り。

「チューブレスコンプリート」と「チューブレスレディ」の種別が分かれていますが、どちらもシーラントは必要なようです。コンプリートは「通常のチューブレスレディに追加の空気圧保持対策を施したもの」とのこと。

私の使い方(ブルベ・ロングライド)であれば、耐久性の高い「VECTOR 4SEASONS」のほうが合いそうに思われるかもしれませんが、普段から私がブルベに使うのはクリンチャーのレースタイヤであることが多いです。

元々レースタイヤはヨーロッパの道を「数百キロに渡って」「出来る限り早く」走ることを目的に作られています。グラベルに突っ込むような用途を想定しなければ、少ない力で走れるレースタイヤの方が体力の温存という面では有利です。

フランス生まれのブルベというスタイルは基本的にオンロードしか走らないので(例外はある)、私はレースタイヤを使います。Continentalなら「GP4Season」ではなく「GP5000」、Panaracerなら「AGILEST Duro」ではなく「AGILEST(無印)」を選ぶ、と言うことですね。

グッドイヤーでそのポジションに当たるのは「Eagle F1R」。今回はクリンチャーの28Cを希望しました。

なお、私がグッドイヤーのタイヤを使うのは今回が初めてです。過去に購入歴はありません。

タンカラーが届く

ご依頼を頂いて数日後、Eagle F1Rが自宅宛に届きました。

……が、届いたのはタンカラー。ブラックカラーが届くと思っていて特にカラーの指定はしなかったのですが。

個人的にはタイヤはブラックで性能を見たい派です。メーカーは「カラーが違っても性能は一緒」とは言うのですが、個人的には微妙に異なる気がしています。ブラックが一番オーソドックスな性能なので、まずはそちらを試して印象が良ければタンカラー……ということはあるんですが、最初からタンカラーというパターンは初めてでした。

ブラックカラーと交換して頂けないかフカヤに問い合わせましたが、「ブラックの在庫が現在ありません」とのお返事を頂いたため、タンカラーでレビューを行うことになりました。

製品概要

実測重量は221g/221g(28C・タンカラー)。28Cサイズは内幅19mmのリムに取り付けることを前提に設計されています。ETRTO2020対応。

Eagle F1Rはクリンチャータイプとチューブレスコンプリートタイプの2種類を販売。

ラインナップと重量は以下の通り。

Eagle F1Rのラインナップ
タイヤ幅 チューブレスコンプリート クリンチャー
25C 280g
(ブラック/タン)
205g
(ブラック/タン)
28C 310g
(ブラック/タン)
230g
(ブラック/タン)
30C 330g
(ブラック/タン)
245g
(ブラック)
32C 345g
(ブラック/タン)
255g
(ブラック)
34C 375g
(ブラック/タン)
なし

120TPIで、トレッド下には耐パンクベルト「SHIELD:R」が配置されています。

使用感

週末のライドとブルベで使用しています。レース的な用途には使っていないので、ロングライド用途での評価となります。

取り付けたホイールは、Fulcrum「Racing3 C17(内幅17mm)」。と、「Maverismoホイール(内幅19mm)」。チューブはRevoloopをメインで使用。空気圧は前6.0気圧、後6.5気圧。

2023年7月、9~11月の期間で使用。走行距離は1500km程度です。

パッケージ

パッケージには、GOODYEARのオフィシャルライセンス製品であることを示すシールが。

実際に製造しているのはラバーキネティックスという会社です。

当初はOEM生産だったようですが、現在はラバーキネティックスが自社工場を台湾に新設。そこで作られたタイヤが今回のEagle F1Rということになります。

重量

公称230gで、実測は221gでした。

公称重量よりかなり軽く仕上がっています。タンカラーは軽量であることが多いので、ブラックは公称重量くらいの重さかもしれません。

各部詳細

裏面はこんな感じ。

ケーシングそのものがタンカラーですね。

光に透かしてみるとこの通り、向こう側のロゴが透けて見えるサイドの薄さ。ちょっと大丈夫かな……という印象はありました。

組付け

ちょっと硬めではありましたが、タイヤレバーは無しで取り付けることが出来ました。

太さ

内幅17mmのリムに取り付けてタイヤ幅が27.98mm。設計前提が内幅19mmなのでもう少し細くなるかと思いましたが、公称通りの太さです。

なお、内幅19mmのリムに取り付けて3ヶ月経過した現在のタイヤ幅は28.79mmでした。

パターン

完全なスリックではなく、GP5000によく似たパターンが入っています。ただ、実は写真の取付方向は間違い。

正しくはこの方向。進行方向にツノが向きます。GP5000と逆方向ですね。

漕ぎ出し・加速

タンカラーのタイヤはサイドが柔らかいことが多く、信号からの漕ぎ出しや加速時にタイヤが潰れるような感触(いわゆる腰砕け感/私はこれが嫌い)を覚悟していました。

ただ、予想に反して潰れるような感触もなく、自然に加速してくれました。ヒルクライムでも同様で、感触は悪くありません。

タイヤ重量も軽量で、停止からの漕ぎ出しも軽やか。信号の多いブルベで使用しましたが、モッサリ感もなく快適でした。

他の同世代クリンチャータイヤと体感的な加速の鋭さを比べると、AGILEST > Eagle F1R > Corsa N.EXTといった順番でしょうか。

なお、感触としては内幅17mmのリムに付けた時よりも、内幅19mmのリムに取り付けた時のほうがタイヤサイドの変形が少なく感じ、個人的には好みでした。

乗り心地

私は普段25Cのほうが多いので28Cというだけで乗り心地は少し良く感じるのですが、それを差し引いても乗り心地は良い部類です。

シクロワイヤードの記事によれば「ショートプライ構造」なる特殊な作り方をしており、よりしなやかなタイヤに仕上がっているそうです。

“R”の称号を得た新作は構造から見直されており、150tpiもしくは120ptiのケーシングをショートプライ設計により構成する。これは通常1枚のケーシングをトレッド直下で重ね合わせるところを、あえて重ね合わせない手法であり、よりしなやかで軽量なタイヤを実現するもの。

cyclowired記事より

28Cで220gと軽量に仕上がっているのはこのあたりの理由もあるわけですね。

巡航

ブルベ的な走りだと35km/hくらいまでしか出しませんが、路面に追従しつつ転がってくれる感じがあります。

跳ねにくさで言えばAGILESTのほうが上だと思いますが、F1Rは最新世代のレースタイヤらしいスムーズさがありました。

コーナーリング

これと言ったクセもなく自然に曲がれます。サイドのパターンが効いているのかは分かりません。

ウェット特性

雨では乗れていないので未評価です。今後乗ることがあれば追記します。

耐パンク性

1500kmほど走行しましたが、未だにノーパンクです。

トレッドの下には耐パンクベルトが入っており、トレッドもゴミや小石を拾いにくい性質のようで、接地面のパンク耐性は高いと思います。サイドは薄いので、ここが攻撃されるとすぐにパンクしそうですが。

一点、不安が残るのはトレッドの表面強度。

宮ヶ瀬湖までの初ライドでタイヤのトレッドに切り傷が入りました。トレッド表面が弱いのか、たまたまガラス片を踏んでしまったのかは分かりません。その後、こういった傷は増えておらず、割と綺麗なままです。

タイヤ寿命

1500km程度の使用ですが、まだスリップサインは十分に残っています。あと1500kmは行けそうです。

特別長寿命というわけではありませんが、レースタイヤとしては標準的な寿命だと思います。

価格

定価は8800円+税。税込で9680円です。

昨今のトップグレードのレースタイヤは、クリンチャーでも定価10000円を超えてくることが多いので、比較的抑えられていると言えるでしょう。

参考として、現状のレースタイヤ(クリンチャー)の価格を以下に示します。

ブランド 製品名 税込価格
Continental GP5000 11000円
Michelin Power Cup 8690円
Pirelli P ZERO RACE 11000円
Vittoria CORSA 10780円
Panaracer AGILEST  7370円
BRIDGESTONE R1X 11000円

ほんとタイヤが高くなりましたね……。

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実売価格は7400円程度のようです(2023/11/16現在)。

まとめ

ロングライド用途で使っても優秀なレースタイヤ。タイヤの挙動にはこれと言ったクセはなく、最新世代の他社レースタイヤと比較しても見劣りするところはありません。2018年に参入と歴は短いですが、十分に最新トレンドに追従しています。

逆に、「これは!」という長所もないのですが、バランス型のタイヤということですかね。

初ライドでトレッド面に傷が入ったのは少々面食らいましたが、その後は特段の問題なく快適に使えています。

PBP前の7月に1ヶ月だけEagle F1Rを試し、結局PBP本番ではGP5000 25Cを使いました。経験上、「レースタイヤでもっともトレッド面に傷が入りにくい」のがGP5000だったので選びましたが、もう少し試す時間があればEagle F1Rを選んでいた可能性はあります。28C同士で比べると、GP5000よりもEagle F1Rのほうが感触が良いので。

今度はブラックカラーを自分で買って使ってみようかと思います。あと、何気に32Cのクリンチャーが軽いのも気になりますね。

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評価

対象モデル:  GOODYEAR「EAGLE F1R CL 28C」
年式: 2023年
定価: 9680円(税込)
購入価格: 提供品
公称重量: 230g(28C)
実測重量: 221g(28C)

価格への満足度

提供品のため対象外

総合評価

8/10

バランス型のレースタイヤ。トレッド面の傷が気になったが、特にパンクには弱い印象はない。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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