【レビュー】iGPSPORT「iGS630」

この記事は約 19分で読めます。

評価:3.5

中国のiGPSPORTによる高機能GPSサイクリングコンピューター。

※ 本レビューは、ファームウェアバージョン1.40時点のものです。

目次

購入動機

iGPSPORTよりレビュー依頼を受けて、ご提供頂いたものになります。

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詳しい経緯は↑の記事を御覧下さい。

iGS630は現時点のフラグシップモデルであり、機能的には「全部入り」のモデルとなります。

価格は税込29480円と、GPSサイコン大手の他社と比べても抑えられています。果たして性能の方はどうなのか?

約1ヶ月半ほど、じっくりテスト致しました。「短所も含めて正直にレビューを書いて良い」というご依頼でしたので、いつも通り率直な使用感をレビューします。

製品概要

実測重量は92.0g(本体のみ)。付属する保護フィルムを貼った状態で95.4gでした。

マウント方式はGarmin互換。90度回転して取り外しを行います。

スペック的に近いGarmin「Edge530」と比較する形でスペック表を作成しました。

Garmin Edge530 iGPSPORT iGS630
重量 76g 94g
解像度 246 x 322 240 x 400
バッテリー容量 1000mAh 1300mAh
拡張バッテリー 対応 非対応
充電端子 microUSB USB Type-C
最大稼働時間 20時間 35時間
防水等級 IPX7 IPX7
タッチパネル 非搭載 非搭載
内蔵地図 日本詳細道路地図 OSM
ストレージ容量 16GB 8GB
対応衛星 GPS
GLONASS
Galileo
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
みちびき
BeiDou
パワーメーター 対応 対応
Di2 対応 対応
リアレーダー 対応 対応

 

付属品は以下の通り。

・Type-C USBケーブル
・標準マウント
・O-リングバンド x 2
・iGS630専用スクリーン保護フィルム
・落下防止ストラップ
・ユーザーマニュアル
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アウトフロントマウントは付属しません(別売り)。

使用感

BontragerのBlendrシステムのマウント(Garmin互換)にiGS630を付けて使っています。

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8月下旬から10月中旬に掛けて、主に普段の練習ライドで使用。長時間使用時の特性を見るため、400kmのブルベ(制限時間27時間)でも実際に使用しました。総使用距離は1000km程度。

比較対象は、Garminの自転車用GPSである「Edge530」、Garminの山岳用GPSである「eTrex32x」です。普段の練習ではEdge530とセットで、ブルベではeTrex32xとセットで使用して比較を行いました。

あまりにも多機能すぎて全ての機能をレビューすることは難しいため、基本的な操作とよく使う機能・重視する性能に絞ってレビューします。

パッケージ

ファーストインプレッション記事のほうに詳しく書きましたが、なかなか豪華なパッケージです。

パッケージの内容物。必要十分なものは揃っています。画面保護フィルムとストラップ付きは珍しい。

重量

画面保護フィルム付きの状態で95.4g。Edge530が77g、eTrex32xが150gなので、中間よりやや軽い重量。GPSサイクルコンピューターは100g前後の製品が多いので、ボリュームゾーンの重量です。

この重量ならば、一般的なGarminマウントに付けても重量で破断することはないでしょう。

ハードウェア

ハードウェアのスペックを見ていきます。

解像度

液晶の解像度は240 x 400。Edge530(246 x 322)比較で横に少し狭く、縦に少し長い画面となっています。

表示は綺麗で文字の大きさも見やすいと感じました。昼間であればバックライトが無くても問題はないでしょう。夜間でも10%のバックライトがあれば十分です。

ストレージ

本体のストレージは8GB。Edge530は16GBなので、ここは負けてます。普通はライドデータは各種ライドログサービスにアップロードしてしまうので、そんなに多く残せなくても問題はないですが。

処理能力

CPUは何が搭載されているのか分かりませんが、Edge530に比べると少し画面切り替え時にもたつく感覚はあります。

Edge530は操作性のサクサクっぷりが際立っていたので、それに比べると少し遅いかなといった程度で、致命的なものではありません。Edge520までの世代と比べると安定してます。

GPS捕捉の速度

アクティビティを開始するとGPSを探し始めます。野外だと捕捉は早く、10秒しないうちに捕捉しました。

操作性

iGS630はタッチパネルを搭載していません。全部で6個のボタンで各種操作を行います。

ボタンの役割はこの画像の通り。Edge530とは左右が真逆の配置になっているので、両方一緒に使うと混乱します。

アクティビティの記録の開始方法は以下の通り。

① 起動後、本体下部右側の「開始」ボタンを1度押す。
 →データページに遷移する。
② もう一度「開始」ボタンを押す。
 →アクティビティを記録開始

①の時点ではアクティビティの記録は開始されず、②の時点で初めて記録が開始されます。ちょっとここは面倒なので改善をお願いしたい部分です。

その他は割りと直感的で分かりやすい操作体系になっていると思います。メニューが深すぎて設定項目がどこにあるか分からないEdge530よりも操作はしやすいです。設定はアプリからも行えますし。

地図

iGS630には、マップの表示機能が搭載されています。地図ソースはOSM(OpenStreetMap)。

道路名も日本語で表示可能。コントラストもしっかりしていて見やすい地図です。

表示情報

ただし、日本人が割りと場所の判断の材料にする鉄道路線の表示には対応していません。Edge530の地図には出るんですけどね。あれは有料の良い地図を搭載しているのでOSMと差があるのは当然ですが。OSMも鉄道路線のデータは持っているはずなので、アップデートで表示できるように対応してくれることを望みます。

縮尺

また、地図の縮尺表示も制限があります。「50m」「200m」「400m」「800m」「ルート全体表示」の5パターンしか選ぶことが出来ません。

Garminは10以上の縮尺パターンを選択可能なので、少ないですね。特に、ブルベでは少し先のルートの様子を確認するために、縮尺を5kmに切り替えて使用することもあるので、上限が800mでは見える範囲が狭すぎると感じます。

設定項目

私の地図周りの設定はこんな感じ。「北方位上向き」「曲がる指示」「道路名」はON、「標高表示」「自動縮尺」はOFFにしてます。地図の縮尺、勝手に変えられるのが好きじゃないので。

地図の中心場所移動

なお、iGS630では、地図の中心は常に現在位置となります。「少し先の道はどうなってるだろう?」と思っても地図の中心は移動できません。

ライバル機のEdge530には、地図の中心を移動させる機能は存在します。タッチパネルが非搭載ということで、ボタンのみで操作するため、非常に操作は面倒ではありますが、一応出来ます。iGS630にもこの手の機能があってもいいな、と思います。

稼働時間

さて、ランドヌール的には一番の関心事「稼働時間(ランタイム)」です。400kmブルベで実際に使用して稼働時間を実測しました。

400kmブルベでテスト

ブルベには200・300・400・600kmのカテゴリがありますが、この中で一番長い稼働時間を要求されるのが400kmブルベです。

「600kmじゃなくて400km?」と疑問に思うかもしれませんが、400kmで合っています。

600kmブルベは通常、300~350kmくらい走った所でホテルなどに宿泊するため、そこで寝ている間に電子機器を充電可能です。

一方、400kmブルベは一気に走ってしまう人も多いカテゴリです。仮眠することも出来ますが、ホテルに泊まるほどのまとまった時間は取れず、健康ランドやスーパー銭湯の仮眠室で寝ることが多くなります。充電環境があるとは限りません。実は無充電での稼働時間が一番要求されるカテゴリは400kmブルベなのです。

400kmブルベの制限時間は27時間。iGS630の最大稼働時間は35時間。それなりにバッテリーに余裕はあると思っていたのですが……。

結果

結論から言うと、400kmブルベの最後までバッテリーが持ちませんでした

稼働開始から21時間、ゴールまで残り10kmほどの地点でバッテリー切れで電源OFFとなってしまいました。0%ではなく、2%になった時点で強制的に電源がOFFになる仕様のようです。

万一を考えてeTrex32xと2台体制だったので最後までログは取れましたが、ラスト10km分のパワーデータが取れなかったのが無念ではあります(eTrex32xはパワーメーター非対応)。

稼働時間が短かった要因

iGS630のスペック表に書かれている「35時間」という数字は、「最大稼働時間」。外部環境や設定では、これよりも短い時間しか稼働しないということになります。

稼働時間が公称よりも大幅に短かった要因について考えてみます。

今回、私のiGS630の使用条件(バッテリーに関係しそうなもの)は以下の通りでした。

外部気温 16-28℃
バックライト(昼間) 10%
バックライト(夜間) 10%
バックライト消灯時間 なし(常にON)
GPSモード GPS+BD
(GPS有効の中では一番衛星数が少ないモード)
ナビゲーション ON
音声 OFF
接続機器 ・パワーメーター
・心拍センサー
・スマートフォン

 

今回のブルベは最初から最後まで半袖で走れる程度の気温なので、低温に起因するバッテリーの劣化は無さそう。

この中で特に影響しそうな項目は「バックライト」「ナビゲーション」あたりでしょうか。

iGS630はバックライト機能が付いていますが、バックライトの昼間の明るさと夜間の明るさを自動で切り替えることが出来ます。日の出と日の入りの時間で自動的に切り替わります。これはEdge530にはない機能です。

今回は「昼間10%」「夜間10%」に設定していました。昼間でもトンネルなどの中を通ることはありますし、それに備えて最低限のバックライトを……と思ったのですが、これが原因でバッテリーを消費した可能性はあります。次にブルベで試す機会があれば、「昼間0%」「夜間10%」で試したいですね。

……というか、iGS630の10%はEdge530の10%よりも随分明るく感じるので、10%の明るさを現在よりも下げてくれたほうが省電力化には繋がりそう。

また、ナビゲーション機能を動かしたのもバッテリーに影響したかもしれません。

Edge530はルートデータを読み取った際にしばらく「計算中」という表示が出ます。「どこで曲がる指示を出すか」「ヒルクライム区間がどこにあるか」などの計算を最初に一括でやっているのだと思います。

これに対し、iGS630はルートデータを読み取った際、すぐにマップ上にルートの軌跡が表示されます。恐らくは、画面に表示している範囲+αくらいの計算を逐次やっているんじゃないかと思います。

情報処理用語で言えば「バッチ処理」「逐次処理」という処理方式の差があるわけですが、多分バッテリー的に消費量が多いのは逐次処理ではないかと想像します。

ブルベではナビゲーション機能を動かさないわけにはいかないので、ここはナビゲーション機能の省電力化バージョンアップを期待するしかありません。

別の方のバッテリーテスト

5月に、morouさんが私と同じくブルベでiGS630のテストをされています。

自転車&家つくり日記!
【レビュー】iGS630を1000kmブルべにナビとして実戦投入。ナビとしての性能やいかに。|自転車&家つくり日... iGS630のレビューの5回目となります。 2022/05/01にスタートしたブルべ『BRM501日本橋1000』を走ってきました。個人的なトピックは、新たに購入したiGS630に1000kmのナビ...

1日目:使用時間11時間で残量72%。昼間はバックライトOFF(夕方に1時間ほど点灯)、夜間は10%で点灯。衛星は2つ捕捉。
2日目:使用時間19時間で残量32%。昼/夜ともバックライト常に10%。衛星は途中から3つ捕捉。
3日目:使用時間19時間で残量28%。昼/夜ともバックライト常に10%。衛星は3つ捕捉。

自転車&家つくり日記!より引用

2日目と3日目の使用条件は私の場合とかなり近いはずですが、21時間で98%消費した私の場合と比べると随分バッテリーが残っています。ナビゲーションもONだったようですし、何故ここまで差が出たのか……。

一つ原因として考えられるのは、morouさんのテストから私のテストまでに5ヶ月の時間が経過しているということです。後述しますが、iGS630の機能追加ペースはかなり早く、5ヶ月前よりもかなり機能的には強化されています。それによって計算量などが増えてバッテリー使用量が増加した……ということも有り得ますね。

給電しながらの利用

iGS630は、ケーブルさえ繋げば給電しながらの利用も可能です。

「バッテリーが切れそうになった時点で、モバイルバッテリーから給電すればよかったのでは?」と思われるかもしれません。しかし……

私がブルベの日に使っていたサイコンマウントは、充電端子のちょうど真下にアームが来る構造でした。これでは充電しながらの走行は不可能なので諦めました。

iGPSPORTから販売されているアウトフロントマウントであれば充電端子と干渉はしません。ただ、あまり充電端子の位置が良いとは思えませんね。Edge530みたいに、画面下部の側面に充電端子があるほうが良いと思います。

充電性能

本製品の大きなトピックの一つが「Type-C端子による充電に対応」しているという点。長らくmicroUSB端子ばかりだったサイクルコンピューター業界ですが、最近はType-C端子を採用した製品も増えています。

Type-Cのメリットとしては「充電時間の速さ」があります。当然それを期待したのですが……

しかし、5V/0.5AとType-Cにしてはお粗末な充電速度でした。Edge530は5V/1.0A程度は出ることを考えると、充電速度は半分です。2%→100%まで満充電にかかった時間は約3時間でした。

ブルベ的には携帯するケーブル(microUSBケーブル)を1本減らせる利点はありますが、利点はそれくらいですね。

防水性

本製品の防水等級はIPX7(水没しても内部に浸水することがない)。

関連記事
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こちらの記事に書いたように、自転車用の電子機器はIPX6かIPX5が適切だと思うんですが、なぜかIPX7を採用しています。

ブルベでは雨が降らなかったので、実地での防水性テストは行えていません。ただ、家でシャワーを1分間掛ける試験を行いましたが、浸水はしませんでした。

システムの安定性

使用中に勝手にシャットダウンしたり再起動したりといった挙動は今のところありません。Garminは割りとあります。

iGS630、たまに動きがカクつく(ボタンを二度押した時、1テンポ遅れて2画面分一気に進む)ようなことはありますが、システム的には安定していると思います。

「長時間使用時のシステム安定性」は、ブルベを走る上では非常に大事なので、ここは合格点を上げられると思いました。

設定の容易さ

前述の通り、iGS630は同社リリースのアプリから各種の設定を行うことが出来ます。

素晴らしいと思ったのは、データページの表示項目の配置がアプリ上で完結できること。

Garminも最新機種のEdge1040ではこのような事ができるようですが、Edge530にはこういった機能はありません。アプリとの連携という意味では、iGS630はかなり優れていると感じました。

機能 – ナビゲーション

GPXファイルをアプリから転送することで、ナビゲーション機能が使用可能になります。

ナビゲーション機能を使用中のマップ画面は上のような感じになります。

コース表示

StravaやRide with GPSで引いたルートをマップ上に軌跡として表示できます。

上の画像を見てもわかりますが、軌跡の進行方向に「>」という表示が出ているのは嬉しいです。たまに、コンビニから出る時に逆方向に出てしまいそうになるのですが、そういったミスを防ぐことが出来ます。

残り距離表示

左上に表示されているのは、「(ルートを正確に辿った場合の)残りの道のり」。ブルベだとゴールまでの残り距離が分かって便利です。

曲がり角表示

「↱13m」という部分は、ルート上で曲がり角に差し掛かった場合に表示されるナビゲーション。曲がり角の2~300m程度手前から表示されます。Edge530にもある機能ですね。

ただ、曲がり角の判定はEdge530ほど正確ではなく、長いカーブでは「曲がり角が連続している」と判定されます。GarminのGPSサイコンは地図データ内に「交差点」の情報を持っている気がして、交差点に差し掛かった時だけ曲がり角表示を出している気がするのですが、iGS630は単にルートの曲率だけで曲がり角を判定しているように見えます。

将来的には交差点に差し掛かった時だけ曲がり角表示を出せるようになると良いなーと思います。

オフコースアラート

設定したルートから外れた場合には、オフコースアラートが表示されます。

ただ、オフコースアラートが出るまでの距離は結構長いです。200mほど走ってようやく表示される感じ。

今回のブルベでも何度かミスコースはしたのですが、アラートの表示が遅すぎてミスコース表示が出る前に自分で気づく感じではありました。

あまり過敏でも困るんですが(ルートデータがそもそも正確にルートを辿っているとは限らない)、もう少しオフコース判定を厳し目にしても良いと思います。

iClimb

ロードしたコースに含まれるヒルクライム区間を自動で認識し、「坂モード」の表示になるiClimb機能も搭載しています。

画面表示はこんな感じ。Edge530に搭載されている「Climb Pro」機能そのまんまです。

ただ、ヒルクライム区間の算出基準がよく分かりません。

EdgeシリーズのClimb Proでは、下記の条件を満たすとヒルクライム区間として認識されます。

・距離: 500メートル以上
・平均勾配: 3%以上
・上昇スコア(距離×平均勾配): 3500ポイント以上
てっきりiGS630もこの条件なのかと思いましたが、500mよりも短い区間がヒルクライム区間として認識されたり、逆に500m以上の登りでも認識されなかったりしました。
イマイチ基準が分からず、残り距離などの計測も正確ではないので、私はこの機能をOFFにしています。「ライドモード」設定でOFFに出来ます。
・距離: 500メートル以上
・平均勾配: 3%以上
なので、ほぼGarminと同じです。でも、500m以下で認識されることもあった気がするんですけどね……。

機能 – ラップ機能

ファーストインプレッション記事では「不満」と書いたラップ機能ですが、たった一ヶ月でバージョンアップされ、修正されました

自動ラップ機能とは

自動ラップ機能は、サーキットを周回するエンデューロレースなどで使う機能です。

周回スタート地点で1度ラップボタンを押すと、その位置情報を記録し、以降はその位置を通過する際にラップを取る……という機能です。これにより、「今回は1周を7分で走れた」のように、リアルタイムで周回ペースを把握できるので、レース中にペース調整が可能になるわけです。

バージョンアップで自動ラップに対応

GarminのEdgeシリーズでは10年以上前からある機能なのですが、iGS630にはその機能がありませんでした。

9月27日、この機能に対応したというツイートを見て、ファームウェアのアップデートを実施しました。

iGS630の自動ラップ機能

ただ、iGS630に新たに搭載された自動ラップ機能は、Garminの同機能とは少し挙動が違っていました。GarminのEdgeシリーズにおける自動ラップ機能の挙動との違いは以下です。

Garmin Edgeの場合 ラップボタンを押すと、自動でラップを切るポイントが「追加」される。
iGS630の場合 ラップボタンを長押しすると、自動でラップを切るポイントが「変更」される。

 

Garminの場合、自動ラップポイントは複数持てます。レース中に複数の区間でラップタイムを計測することが可能です。

iGS630は自動ラップポイントは常に1ポイントしか持てません。バージョンアップ前も、iGS630はライドを開始したポイントで自動ラップを切る機能はありました。そのラップを切るポイントを任意の場所に変更できるようにした、ということのようです。

恐らく、複数の自動ラップポイントを持てるように修正するのは難しかったので、こういった対応にしたのだと思います(プログラマ目線)。

とはいえ、エンデューロレースで周回のラップタイムを取るだけならば、iGS630でも十分可能になったわけです。完璧ではないものの、この要望への対応の迅速さは素晴らしいですね。

レーダーとの連携

最近のバージョンアップで、「レーダー」に対応するようになりました。

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ガーミン(GARMIN)
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具体的にはGarmin Variaなどに対応しているはず。近いうちにこの手の機器を導入予定なので、その際にはペアリングをしてテストをしようと思っています。

2022/11/2 追記

リアビューレーダー(Magene L508)を手に入れたので、iGS630と接続してみました。

 

画面左に表示されているのが、レーダーの探知した車両。アニメーションで後方から車が近づいてくる様子が表現されます。

表示されるデータや挙動はGarminの機器とほぼ同じですが、ライトの点灯モード切り替えには現状対応していません(Edge530では可能)。

 

ただ、レーダーとの連携中は画像で示したアイコンが常時表示となってしまい、データ項目の表示が見にくくなってしまいます。これは表示位置の変更をして欲しいですね(画面の下隅とか)。

まとめ

廉価ながら、レース・ロングライドに必要な機能を一通り揃えたGPSサイクルコンピューター。


正直言って、事前の期待よりも実用性の高い製品に仕上がっていて驚きました。ライバルメーカーのミドル~フラグシップ機と戦えるスペックに仕上がっています。

ブルベをメインで楽しむ身としてはバッテリーの持ちに少し不満がありますが、これも設定次第でもう少し伸ばせそうではあります。出来れば、バックライトの10%は今よりも暗くなるような変更をしてもらいたいですね。今の10%は少し明るすぎて、無駄に電池を食っている気がするので。

Edge530と比較すると不満に感じる部分もある一方、Edge530よりも進んでいる点(昼間と夜間でバックライトの明るさを自動切り替え可能・アプリから各種設定を可能など)もあります。


また、ファームウェアのバージョンアップのペースの早さが印象的でした。

発売から半年しか経っていないということもあると思いますが、月に数回バージョンアップされている気がします。

今回のレビューはv1.40で書き始めたのですが、執筆中(5日間)にバージョンアップがあり、10/17現在のファームウェアバージョンはv1.42になっています。恐るべきバージョンアップの速さです。

現時点ではまだまだ作り込みが甘い部分はありますが、このペースでバージョンアップが続けば色々と解消される可能性が高いです。自動ラップ機能も改善されましたしね。


v1.40時点の評価は★3.5としますが、今後の更なるバージョンアップに期待します。

本レビューで挙げた不満点が解消された場合、評価の変更を行う可能性は高いです。

評価

対象モデル:  iGPSPORT「iGS630」
年式: 2022年
定価: 29480円(税込)
購入価格: 提供品
公称重量: 90g
実測重量: 92g

価格への満足度

提供品のため評価対象外

総合評価

7/10

一通りの機能は揃っており、操作性もハード性能も良い。実稼働時間とナビゲーション機能の精度が気になる。

著者情報

年齢: 38歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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