【レビュー】INFINITY SEAT 「Infinity GO+」

評価:2.5

ドクター(医者?博士?)のVincent Marcel氏が、既存のサドルの問題点を解消するために開発したサドル。クラウドファウンディングサービス「kickstarter」で目標額を集め、実際に商品化されました。詳細は以下の記事を参照。

GIGAZINE

自転車乗りにとって良いサドルを選ぶことは重要な選択の1つです。固いサドルに長時間乗っていると当然のごとくお尻は痛み、それ…

RAAM(自転車でアメリカ大陸を横断する5000km超のウルトラロングレース)でも使用されたとのことで、日本のロングライダーからも熱い視線を集めているこの製品をレポートします。

購入動機

今回はレンタルです。Alternative Bicyclesさんから10日間の期限付きでお借りしました。実はお借りした時点では、国内にはほとんど発送されていない状態。現在は徐々に届き始めているようですが、まだ出資者全員に届いているわけではなさそうです。

なお、注文時点では以下の指定が選べました。

・Infinity GO+(プラスチック剥き出し / 赤・黒・白)
・Infinity 1/8インチ Overskin (革あり / 黒)
・Infinity 1/4インチ Overskin (革あり / 黒)
・Padded and Upholstered Seat (カーボンシート貼 /赤・黒・白)

しかし、今の所全ての出資者の手元に届いたのは「Infinity GO+ (黒)」だったとのこと。これは当然反感を買いました。目下、炎上中です。

製品概要

今回、私が試用したのは、プラスチック剥き出しの「Infinity GO+ 」です。サイズはワンサイズ、レールも金属レールのみの展開のようです。

実測重量は222g。当初発表の重量は206g(革あり)でしたが、強度問題があったので重くなったのでしょう。

手持ちのサドルとの比較。ALIANTEもかなり大き目のサドルなのですが、輪を掛けて大きいです。そしてやはり、この坐骨を避けるように開いた大きな穴は見た目に大きなインパクトを与えています。

普通の穴あきサドルでは会陰部のみに穴が空いていることが多いものですが、あえてそこに支えを付けているのがこのサドルの特徴。「普通の穴あきサドルとは違うのだよ」という主張を感じます。

使用感

普段、ロングライドで使用しているLAPIERRE XELIUSに取り付けて乗ってみました。比較対象となるのは、FIZIK ALIANTEです。

取り付け

レールの高さがあるので、シートポストを下げる必要があるかと思ったのですが。実際には座面に一切のパッドが無いので、シートポストの突き出し量はALIANTEの時と変わりませんでした。

シートポストには、FIZIK Cyranoを使用。このレールは特に滑り止めなどが付いていないため、固定力の弱いヤグラだと前後に動いてしまうことがあるとか(他の使用者の報告より)。Cyranoのヤグラはレールとの接触面積が広く、そういった不具合は起こりませんでした。

また、前後位置の決定には少し手間取りました。このサドルは座る位置が一点固定となるタイプ。しかし、かなり後ろにサドルを引いても、しっくり来ない。

どうやら、一般的なサドルよりも座面は前のほうにあるようです。もし、一般的なサドルで限界までサドルを引いている場合には、Infinity Seatではしっくりくるポジションが出ない可能性があります。場合によってはセットバックの大きいシートポストに変える必要があるかもしれません。角度はALIANTEの時とほぼ同じに調整しました。具体的には、会陰部の支えが水平になるようなセッティング。

ファーストインプレッション

まず、跨ってみて最初の感想は、「尻が包まれている」。

先に述べたように、座る位置は一点しかありません。そこに導かれるように、尻がハマる感じ。明らかに一般的なサドルとは一線を画す感覚です。あえて例えるなら「ハンモック」でしょうか。若干沈み込む感じがそれっぽい。「ハンモック構造」を提唱していたFIZIK KURVEとも違う感覚でした。

サドルの下から手を突っ込んで尻を触ってみると(ちょっと新鮮な感覚)、坐骨の位置には全く当たるものがないことが解ります。ただし、穴のフチギリギリに坐骨が来ている印象。人間の坐骨幅の個体差がどこまであるのか解りませんが、人によっては坐骨が当たってしまうのではないか?とちょっと心配。革の無い状態でコレなので、革があると私の場合には坐骨がフチに当たってしまいそうです。もちろん、その辺は織り込み済みの設計なのかもしれませんが……。

実走

100kmほど実走してみました。時期は冬、気温は10~20度くらい。全体的には平坦基調の道ですが、いくつか山を含むようなコース設定です。

とりあえず、坐骨の痛みは全くありません。触れていないのだから当然と言えば当然ですが。穴のフチの部分は若干食い込む感じはありますが、100km程度では痛みに繋がることもありませんでした。会陰部も痺れは無し。

ペダリングについて。サイドの部分がペダリングに合わせて若干撓(たわ)むため、乗り始めは違和感があります(KURVEやTIOGA SPIDERよりも撓りは大きく感じる)。ただ、これはすぐに慣れてしまいました。過度に撓むわけではないので、登りでも問題は無く。

あと、今回は晴れの条件だったので問題ありませんでしたが、ウエットの路面を走った場合には一発で尻がびしょ濡れになると思います。このサドルを使うなら泥除けは必須でしょう。そのため、私も泥除けをセットで付けたのでした。冬場はパッドに風が直撃するので、股が寒くもあります。

総評

正直、100km程度ではコレといった問題に直面することはありませんでした。ただ、私の場合どんなサドルでも大体100km程度は乗れてしまうので、ロングライドで優れているかは現時点では解りません。本来は200km続けて乗りたかったのですが、都合により乗れなかったことが悔やまれます。ただ、坐骨の痛みが出ないというアドバンテージは確実にあると思いました。

気になるのは、長時間(200km~)乗ったときのフチの影響。100km程度では「多少食い込むな~」程度でしたが、これが距離が伸びるとどうなるのか。物理法則で言えば、穴が開いた部分で逃れた荷重は他の部分に必ず掛かるはず。フチに触れる部分にしわ寄せが行くことは想像に難くありません。その部分の肌に擦れが生じないかどうかはもう少し長い距離を使ったレポートが出るのを待ちたいと思います。

個人的な意見では、このサドルは革なしで正解なんじゃないかと思います。構造でショックを吸収しているので、わざわざ革は無くても良いのではないかなと。もっとも、注文通りの品が届けられていないことをそれで正当化することは出来ませんが……。

まとめ

現時点では評価の難しいサドル。ただ、坐骨の痛みを減らすという目的については達成されていると思うし、少なくとも座り心地は一般的なサドルのそれではありません。

出資者への先行発売ですら始まったばかりの現状。日本での一般発売はまだまだ先になりそうですが、そんなに高くは無さそう(直販だと、予価は70$)。発売の暁には是非購入して試してみたいと思います。来年のPBPまでに発売されれば良いのですが……今の様子だと難しそうですね。

評価

対象モデル:  INFINITY SEAT「Infinity GO+」
年式: 2014年
定価: 不明
購入価格: (レンタル品)
公称重量: 206g
実測重量: 222g

価格への満足度

レンタル品のため評価対象外。

総合評価

5/10

独特の構造。100km以上は私には厳しかった。

レビュアー情報

年齢: 30歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。