【レビュー】intro「Stinger 4」

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評価:4.5

日本のメーカー「craftmans-wharf」のグローブブランド「intro」のショートフィンガーグローブ。「ブルベ専用」を謳っており、極厚のパッドが取り付けられたモデルです。

目次

購入動機

PBPで酷い手の痺れが出てしまいました。

PBPは残念ながら時間外完走で認定は得られず。この時点で私はRandonneur 10000という表彰の資格を満たすまで、あと「SR600」1本という状態でした。そしてこの表彰の資格を得る期間は6年間。来年でその期限が来てしまうわけです。となると、さっさとSR600の認定を取る必要があります。帰国してすぐにSR600福島に申し込みを行いました。

スタートは9月27日。PBPから一ヶ月後です。さすがにその頃には手の痺れも取れていると思っていました。

しかし、実際にはスタート一週間前になっても完全に痺れは取れず。それなりに回復はしていましたが、小指の下の膨らみの部分に体重が掛かると手が強く痺れる状態です。このままSR600に突入するのは怖い……ということで、目を付けたのが本製品でした。


極厚グローブのブルベ専用グローブ。発売当初は「なんと安直な……」と思っていました。

手の痺れが怖いからパッドを厚くすればいい。一理あります。ただ、本来はロングライドにおいてはハンドルに体重を預けないように気をつける必要があります。体幹の筋肉で上体を支えて、手はハンドルに添えるだけ。ま、それが徹底出来なかったから私の手は痺れているわけですけども……。

ということで、本製品の分厚いパッドで手の膨らみの部分をカバーすれば、なんとか痺れを起こさずに走れるのではないか?と思い、購入に至りました。

製品概要

実測重量は54g(Lサイズ・両手)。

ご覧の通り、パッドだらけのグローブです。灰色のパッドは弾力が強め、黒色のパッドは弾力は弱めです。

汗拭き用のパイルも装備。

脱ぎやすいように指の間にはループが取り付けられています。

カラー展開は以下の通り。

・ブラック
・ピュアホワイト
・イエロー(限定版)

使用感

山岳ブルベ・SR600福島で使用しました。

サイズ感

今回購入したのはLサイズです。私は普段はMサイズのグローブを使っているので、今回もMサイズを買おうかと思ったのですが。試着したらMサイズがあまりに小さい。

パッドが大量に付いているせいで伸縮性が弱いのかもしれませんが、普段より1サイズ大きいものを買ったほうが良いと思います。出来れば試着したほうが良いです。いつものサイズを選んでしまうと、キツくて逆に手の痺れの原因になる可能性があります。

重量

片側27gと、ショートフィンガーグローブとしては重量級です。パールイズミの一般的なグローブは片側16gほどでした。やはりパッド分の重量はあります。

握り

一言で言えば「モッコモコ」です。ここまでパッドの多いグローブは経験がありません。指は動かしにくいです。

当時の私のハンドルには、PBP対策としてバーテープの下にゲルパッドを入れていました(それでも手が痺れてしまったのがお恥ずかしい)。そこにこのパッドの厚みだと、ダイレクト感とは程遠い感覚になります。

気づくのは、どのポジションで握っても、ハンドルと手が直接触れないということです。必ず、間にパッドが挟まるようになっています。偏執的なまでに皮膚へ直接圧迫を加えないような設計で驚きました。

ブレーキ操作・変速操作時には土台がグラグラする感じで最初は違和感がありましたが、すぐに慣れました。

痛み・痺れの防止性能

このグローブのメイン性能、痛みや痺れの防止性能ですが、とても高かったです

少しでも圧迫されると痺れが出る状態でSR600をスタート。立ち漕ぎやダウンヒル、荒れた道を通る過酷なコースですが、手の痺れを悪化させることなく完走できました。もちろん、ハンドルに荷重をかけすぎないように気をつけて走ってはいたのですが、痺れの悪化は覚悟していました。それが怒らなかったのはちょっと驚きです。

人間の手には大きく2つの神経が通っています。正中神経と尺骨神経です。今回、私がPBPで痛めていたのは尺骨神経でした。

ご覧の通り、尺骨神経の所に分厚いパッドが入っています。また、正中神経もカバーするようにパッドが入っているのが分かります。

また、他のグローブにはない特徴として、親指と人差し指の間のパッドがあります。長いダウンヒルでブレーキを長時間握り続けると、ここの間って結構痛くなるんですよね。アップダウンを繰り返すSR600ではこのパッドの存在は大きかったと思います。

グリップ

手のひらにはかなり滑りにくい素材が採用されています。道中、滑ったりすることはありませんでした。ただ、今回の道のりでは雨が降らなかったので、雨天時のグリップ性は不明です。

耐久性

気になるのはパッドの耐久性です。

同じようなコンセプトでパールイズミが出していた「メガグローブ」という製品がありましたが、数回洗濯したらパッドが加水分解して弾力が無くなってしまいました。

厚みのあるパッドはヘタリも早い傾向があると思います。そこが怖いので私はまだSR600一回でしか使っていません。今後も、「痺れを出したくないライド」のみに限定して使っていこうと思っています。

まとめ

ロングライド用にステータスを全振りしたようなグローブ。痛み・痺れをどうしても防ぎたい場合に重宝するグローブです。体幹の筋肉で上体を支えて痺れを出さないのが王道の考えです。しかし、距離が伸びてくると、どうしても距離が伸びると疲れてきてハンドルに体重を預け気味になることはあります。そんな時を見据えて使うものです。

ただ、レースにはやっぱり向かないと思います。力を込めようとハンドルを握るとパッドがグニャっと潰れるので力は逃げます。キャッチコピー通りロングライド専用のグローブです。

正直、使うまでは若干「使い物にならないだろう」と思っていました。しかし、買ってみると思いのほか良い製品でした。これがなければ、PBPの翌月のSR600は完走出来なかったと思います。やはり、使わずしてモノの評価は出来ませんね。

今後、1000km以上のブルベやSR600挑戦の際のみにこれを使っていこうと思っています。

評価

対象モデル:  intro「Stinger 4」
年式: 2019年
定価: 4860円(税込)
購入価格: 4860円(税込)
公称重量: 不明
実測重量: 54g(Lサイズ)

価格への満足度

6/10

ショートフィンガーにしては良いお値段。

総合評価

9/10

ロングライドとしての評価。専用品としてよく作り込まれている。

レビュアー情報

年齢: 35歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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