【レビュー】IRC「FORMULA PRO TL RBCC 25C」

評価:4

IRCのロード用チューブレス(TL)タイヤ。

同ブランドでは軽量・スタンダード・耐久重視の3モデルを用意しており、本製品はスタンダードモデルになります。

購入動機

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リムブレーキのオルトレに使用していた同社の「FORMULA PRO S-LIGHT」の後輪トレッド部に穴が開いてしまい、シーラントでも塞がらない状態になってしまいました。

一見、塞がりそうなんですが中々塞がらない。シーラントを変えて試しましたがやっぱりダメで、このタイヤは廃棄することに。

リピート購入も検討しましたが、やはり重量なりの耐久性の低さということで、パンクしやすい後輪用としてのリピート購入は不安です。かといって別メーカーの製品だと前輪・後輪の見た目が揃わずに気持ち悪い。

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ということで、同じくIRCのスタンダードモデルである「FORMULA PRO TL RBCC」を買ってみることにしました。こちらはシーラント不要のピュアチューブレスタイヤです。

「TLR S-LIGHT」との違いは空気保持層の有無。「TL RBCC」は空気保持層があるため、シーラント無しでの運用が可能となっています。その分だけ重量は増えており、S-LIGHTよりも50gほど増量しています。

しかし、「TLR S-LIGHT」も「TL RBCC」も耐パンクベルトは備えていません。耐久性重視の「TL X-GUARD」というモデルにのみ耐パンクベルトが設定されるものの、こちらは「TL RBCC」よりも更に25g重くなっています。

モデル名 重量 空気保持層 耐パンクベルト
FORMULA PRO TLR S-LIGHT 215g なし なし
FORMULA PRO TL RBCC 270g あり なし
FORMULA PRO TL X-GUARD 295g あり あり

IRCの現行モデルを比較表にするとこんな感じ。2020年2月にリニューアルされています。

耐パンク性を重視して「X-GUARD」にすることも考えましたが、チューブレスタイヤの良さであるしなやかさが失われるのも嫌だったので「RBCC」を購入しました。

製品概要

実測重量は270g(25C)。

ピュアチューブレスタイヤということで、チューブレスリムと組み付ける分にはシーラント不要。ただし、リムにも「チューブレスレディ」のものがあり、そのリムに取り付ける場合にはシーラントが必要となります。

コンパウンドは新型の「RBCC2」を採用。ライス・ブラン・セラミックス・コンパウンドの略で、米ぬかを焼成して作ったセラミックスを使っているのだとか。

対応するリム内幅は15~19C。恐らく設計前提は内幅17Cのリム。今回は内幅19Cのホイールに取り付けています。

トレッドパターンは「S-LIGHT」と同じく縦溝の入ったもの。

使用感

リムブレーキのロード(OLTRE XR4)に付けて使っていました(ホイール: TOKEN KONAX PRO)。現在はGP5000S TRに交換してしまったため、使用していません。

6~6.5気圧程度で運用。後輪への組み付けから8ヶ月で1000km程度使用しました。

パッケージ

S-LIGHTの箱と同じく、コーポレートカラーの赤を基調とした箱です。

取付

S-LIGHTと同じく、取付は割とスムーズに行きました。

TLRに比べてTLの方がビードをしっかり作る必要があるはずで組み付けは苦労すると予想していましたが、そういったことは無く。最後こそ同社のチューブレス用タイヤレバーを使いましたが、苦労はしなかったです。

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フロアポンプではビードが上がらない点も同じで、CO2ボンベを使って一気に空気を送り込み、ビードを上げました。

なお、今回はリム側がチューブレスレディであるということで、シーラントを入れています。せっかくのピュアチューブレスタイヤと言えども、組付け先のリムがシーラントなし運用を認めていないと、シーラントなしで運用することは出来ません。

タイヤ幅

組み付け後のタイヤ幅は、6.5気圧で26mm。

本製品は2020年2月の発売ですが、規格的には旧ETRTO時代のものだと思われます。2020年1月に新ETRTOは発表されていますが、そこからたった1ヶ月で設計を変えることはできないでしょうからね。リリースタイミングが少し悪かったかもしれません。

ケーシング幅は63mmであり、恐らくC17(内幅17mm)を基準にしていると思われます。これは適したリム内幅が「C15-19」となっていることからも間違いないでしょう。

現在の新ETRTOに対応したタイヤメーカーも、設計前提のリム内幅から±2mmを推奨範囲と置いているようです。C15-19に対応ということは、C17が基準ということになります。

今回はC17基準のタイヤをC19リムに取り付けたため、1mmほど太くなりました。

気密性

本来シーラントなしでも運用出来る製品だけあって、気密性は高かったです。日に0.1気圧落ちるかどうかといった程度。クリンチャーのブチルチューブとさほど変わりません。

重量

実測は公称と同じく270g。公称よりも10g程度重かったS-LIGHTと比べると誠実な値です。

スペック上の差は空気保持層(ラテックス系のゴムシート)があるかないか。それだけで50gも違ってくるのか?とは思いますが、タイヤの裏面を全周カバーすると結構な重量になるということなのでしょう。

なお、空気保持層は「NR-TEX INNER AIR SEAL SYSTEM」という名が与えられています。

走行性能

今回は後輪のみの交換(前輪はS-LIGHTのまま)ということで、切り分けての印象を語るのが難しいのですが、交換前と後の体感の差を中心に書いていきます。

後輪のみタイヤが50g重くなったということで、漕ぎ出しは若干重くなった印象はあります。ただ、巡航の感触は特に差が感じられず。乗り心地も同様といった印象でした。

Rolling resistance and puncture resistance review of a IRC F…

タイヤの性能測定で有名な「BRR」というサイトでも「RBCC」がレビューされていますが、性能的には中々酷い結果です。

年式を見ると「2021年」となっていますが、写真を見るとこれは一つ前の世代の製品です。本ページでレビューしているのは5世代目ですが、BRRでレビューしているのは4世代目。

恐らく5世代目はもう少し性能的には良くなっているはずです。

耐パンク性

1000km程度の走行ではパンクなし。ただ、荒れた道も走っていませんし、そもそも普段から1000km程度ではパンクしないので耐パンク性能の評価は難しいです。

2021年4月号のサイクルスポーツでは「S-LIGHT」のみトレッドとサイドの厚みの計測結果が出ていますが、他社より明らかに薄く作られていました。恐らく「RBCC」はもう少し厚めに作っていると思われ、耐パンク性能的にも少しはマシになっていると推測します。

トレッドのすり減り具合はこんな感じ。ちょっと減りが早い気はします。

見た目

https://cannonball24.com/wp-content/uploads/2020/05/2020_05_21_034jpg.jpg

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まとめ

極端に攻めたスペックではないものの、チューブレスタイヤとしては十分に軽量で、走行性能も高いモデル。

精度も高く作られているようで、組み付けもそこまで苦労しませんし、空気保持能力も高かったです。

—–

2022年現在、ピュアチューブレス運用可能なロードタイヤを出している会社はごく少数。IRC以外の会社はほぼチューブレスレディタイヤのみのラインナップとなっています。

昨年12月に、稲城「クロスコーヒー」で開かれたIRC主催のイベント「目指せタイヤマスター」講座で、FORMULA PROシリーズの生みの親である山田さんとお話する機会がありました。

山田さん的にはシーラントを使わないピュアチューブレスこそ、運用の手間を下げられるものとして推して行きたかった様子。しかし、スペック上の数値を軽量に出来、タイヤもリムも精度がそれほど要求されないチューブレスレディのほうが流行ってしまったことを残念に思っている感じでした。その流れに沿って出たのが「S-LIGHT」ですが、IRC的な本命は「RBCC」のほうである様子。

この講座ではチューブレスタイヤをリムに取り付ける実習もあったのですが、ピュアチューブレスリム+FORMULA PRO TL RBCCの組み合わせでシーラント無しでの取り付けを行いました。

やっぱり周囲がシーラントでベトベトにならないし、リムもタイヤも精度高く作られているので、ビードも上がりやすい。自分的にはこちらの方が好きですね。チューブレスレディは液体という不確実なもので気密をしているのがどうも不安でならない。実際、シーラントが乾いてしまうと空気抜けも早くなったりしますし。

IRCには、これからもピュアチューブレスに拘っていってほしいです。

評価

対象モデル:  IRC「FORMULA PRO TL RBCC (25C)」
年式: 2020年
定価: 8360円 (税込) ※記事執筆時は値上げされて9240円
購入価格: 7150円 (税込)
公称重量: 270g
実測重量: 270g

価格への満足度

7/10

チューブレスタイヤとしては手に取りやすい価格。

総合評価

8/10

組付・走行性能ともに優秀。耐久性は少し不安が。

著者情報

年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。


この記事を書いた人
ばる
ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019年の2回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)