【レビュー】KS ultralight gear「Saddle pack SP16」

評価:2.5

愛知県に住むフランス人の方がハンドメイドしている超軽量バッグブランド。山岳系のザックが主力商品ですが、サドルバッグも作成されています。

購入動機

2014年に失敗した本州一周TTに再挑戦予定であったため、それに向けて装備の軽量化をしたいと考えていました。そんな時、Twitterで本ブランドを教えていただいたのがキッカケです。175gというスペックに惹かれ、すぐに注文を決意しました。

Saddle pack SP16 : Ultralight saddle pack by KS, a min…

私が注文したのは、VX21という素材のモデル。カラーはYELLOWかBLACKから選べますが、「赤はありますか?」と聞いたところ、「素材を取り寄せるので納期は遅れるが可能」という回答を頂いたので、そちらで注文することにしました。素材に存在するカラーであれば対応していただけるようです。また、シートポストに取り付けるバンドが10cmとかなり長いので、7cmにしてもらうというカスタマイズをお願いしています。

最終的に、注文から3週間ほどで手元にサドルバッグが届きました。

製品概要

実測重量は170g。相当軽いです。その分、中には骨組みやプラ板等、形状を維持する仕掛けは一切入っていません。容量は最大で16リットル。素材はVX07とVX21から選べますが、私はVX21にしました。VX07の方が軽いようです。

構造はRevelate Designsや、APIDURAと同じく、ストラップをサドルレールに、マジックテープ付きのバンドをシートポストに固定する方式を採用しています。

上部にはバンジーコードが標準装備。衣服等の荷物を固定可能。

下部には、Oveja Negraと同じく、荷物(燃料缶等)を吊り下げられるベルトが付いています。

本製品オリジナルの仕掛けとして、底面に水抜き用の穴が付いています。

使用感

200kmの雨天ライド(舗装路)で使用してのファーストインプレッションを述べます。

取り付け

本製品を上手く使うためには、上手く取り付けてあげる必要があります。逆に言うと、取り付けがいい加減だと本製品はまともに使うことが出来ないはずです。私がやっている手順を以下に示します。これは他のサドルバッグでも同様のはずですが、骨組みの無い本製品では、特に丁寧に以下の作業を行う必要があります。

仮留め

サドルレールにベルトを通し、シートポストにバンドを巻きつけます。これは仮留めなので、強く取り付ける必要はありません。この状態では写真の様に垂れ下がります。理由は、中に骨組みが入っていないから。中に入れた荷物を骨組み代わりにするのが、この手の大型サドルバッグを使う際のキモとなります。

荷物を入れる

荷物を入れていきます。このとき重要なのは、最初に、「形状が崩れない硬いもの」を入れるということです。公式の説明動画でも、輪行袋かレインウェアらしきものを一番最初に入れています。これは、一番荷重の掛かるシートポストとの接点部分が潰れないようにするためです。シートポストとの接点部分が潰れてしまうと、サドルバッグの後ろの部分が垂れ下がります。バッグにタイヤが擦ってしまう人は、ここが潰れていることが多いはずです。

また、バッグ内部で荷物が型崩れしないよう、荷物は全て1つの内袋に入れることが推奨されます。本製品は防水ではないので、内袋は防水のものを選んだほうが良いでしょう。

ロールアップ

荷物を入れたらロールアップしていきます。このとき重要なのは、「なるべく力を掛けて荷物を奥に押し込むようにする」ことです。これも前述の通り、シートポストとの接点部分が潰れないようにするためです。それに加えて、バッグの内側から荷物によってバッグに圧力を掛け、形状を維持することも目的です。荷物自体を骨組みにするわけですね。

正式な用語かは解りませんが、サドルバッグ内の荷物に対してロールアップで圧力を掛けることを「コンプレッション」と呼んだりします。

ストラップを締める

左右2箇所ずつのストラップを締め上げていきます。これは、「車体に対してサドルバッグを密着させて安定させる」という目的があります。ストラップを締め上げることによって、サドルバッグがサドルの裏面及びシートポストに密着します。密着していると、サドルバッグが車体に対して動きづらくなります。

中身の沢山入る大型サドルバッグですから、ここを怠ると、ダンシングやカーブでサドルバッグが車体と別に動いてしまい、車体の挙動を乱す原因となります。

バンドを締める

シートポストに仮留めしていたバンドを、しっかりと締めなおします。

完成

これで完成。


中の荷物を取り出す際には、④→③→②の手順で行い、再度梱包する際には②→③→④の順番を行います。

取り付け難易度は、他の大型サドルバッグに比べて高いです。骨組みの入ったサドルバッグは、多少いい加減に取り付けても問題は出ませんが、本製品はきちんと手順を踏んで取り付けないと問題が出る可能性があります。そういった意味で最初の大型サドルバッグに選ぶのはオススメできません。

重量

コレは競合製品よりも圧倒的に本製品が有利。大体この手の大型サドルバッグの重量は400~500gが相場で、300gだとかなり軽い部類に入ります。これまで一番軽かったのは、Revelate DesignsのErmine(公称200g, 実測216g)でした。これに対し、本製品は単品で170g。普通の製品からすると半分近くの重量となります。

大型サドルバッグを使う場合、重心が後ろへ傾くことが多いのですが、本製品の場合はそれを最大限防ぐことが可能です。

容量

最大で16リットルと、かなりの大容量です。

最低容量は明示されていませんが、他製品と同じくらいだとすると5~6リットル程度と思われます。日帰りライドでは最低容量まで荷物を詰め込むのも大変なので、一泊以上のライド用ということになるでしょう。

荷物の出し入れ

バッグの口部分は大きく取られており、荷物の出し入れもしやすくなっています。

口の部分はマジックテープで閉じられるようになっています。明けやすいように、中央部には口を開くための取っ手も設けられています。ユーザビリティへの配慮が素晴らしい。

安定性

取り付けがしっかり行われてさえいれば(←重要)、かなり安定性は高いです。シートポストのバンドを10cm→7cmに短くしたので不安定になる懸念はありましたが、杞憂に終わりました。ダンシングでも横に振られる感覚はありませんし、カーブでも慣性を感じることはありませんでした。

逆に、取り付けの手順が杜撰だった場合には、挙動が安定しないはずです。慌てて取り付けを行うと、走行時に支障が出る可能性があります。取り付けは丁寧に。

防水性

この手のサドルバッグは、素材自体は防水です。しかし、縫製部から染み込んで来るものです。このため、防水の内袋で荷物をガードするのが定石となっています。

また、本製品は水抜き穴が付いています。他の競合製品は、中に水が入ってしまうと、抜くのが割りと大変でした。その点、本製品は内部が乾きやすくなっています。嬉しい配慮です。

その他

なんと言っても色。中々赤色の大型サドルバッグは無いので、ここは特に気に入っている点です。基本的に在庫はしていないらしく、都度作っているとのこと。オーダーメイドだからこそ出来る細やかな対応がありがたいです。

まとめ

非常に軽量かつ、他の大型サドルバッグが備える機能(バンジーコード、下部のベルト等)はほとんど備えています。水抜き穴等の独自の配慮も行き届いています。取り付けをきちんと行えば、安定性も十分。後発の強みを生かした製品だと言えます。

ただし、誰にでもマッチする製品ではありません。この製品は以下のような人に向いています。

・既に他の大型サドルバッグを使ったことがある(取り付け知識がある)
・他の大型サドルバッグの重量に不満がある
・使い勝手よりも軽さを優先したい

しつこいようですが、最初の大型サドルバッグには向きません。説明書も付属しませんので、競合製品を使ったことがあることを前提にされているはず。

軽量さのために犠牲にしている部分は少なからずあります。骨組みの入った大型サドルバッグに比べると、取り付けや荷物の出し入れの手間が掛かるのは、先に述べたとおりです。それを踏まえてなお、1gでも軽さを求める人が買うべき製品だと思います。

軽さと機能性は魅力ですが、骨組みが無いことによるパッキングの難しさから、結局本州一周には使いませんでした。スペックは良いのですが、なかなか使いどころの難しいバッグです。

評価

対象モデル:  KS ultralight gear「Saddle pack SP16」
年式: 2016年
定価: 11900円(税込)
購入価格: 11900円(税込)
公称重量: 175g
実測重量: 170g

価格への満足度

8/10

スペックを考えると安いと思う。

総合評価

5/10

軽さと機能性は良いが、パッキング難易度たかし。

レビュアー情報

年齢: 31歳 (執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。