【レビュー】LEZYNE「CLASSIC DRIVE XL700+」

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評価:3

LEZYNEのフロントライト。最大700lmの1LEDモデルです。

目次

購入動機

レビュー用として、LEZYNE国内代理店のダイアテックよりご提供頂きました。

LEZYNEのフロントライトを使うのは今回が初めてです。

レビュー依頼を頂く

2023年12月、サイトのメールフォームより、ライトのレビュー依頼のメールを頂きました。

2023年秋にLEZYNEのライトは4年ぶりにリニューアルされたとのことで、「一度試して感想を頂きたい」とのご依頼でした。

全ライトの充電端子がmicroUSB→Type-Cに変更されるなど、色々とブラッシュアップされたとのこと。

CLASSIC DRIVE 700+を選択

レビュー対象として、リニューアルされたラインナップの中でどれかを選んで欲しいとのことだったので、スペック的に気になった「CLASSIC DRIVE 700+(以下、CD700+)」を依頼しました。

LEZYNEのフロントライトのラインナップは以下の3カテゴリに分かれています。

  • HEAVY DUTY
  • SPORT
  • URBAN/COMMUTER

CD700+は、「URBAN/COMMUTER」に属する製品です。

序列的には一番軽い使い方を想定されているようですが、個人的にはロングライドに適したスペックだと感じました。理由を以下に述べます。

150lm/9hのモードがある

当サイトのフロントライトのレビューを読んで頂いた方は、私が何より「長時間点灯可能」を重視することをご存知であろうと思います。

ロングライドでは「超明るいけど2時間しか持たない」よりも「そこそこ明るいけど8時間持つ」方が重要です。

LEZNYE公式サイトより引用

その点、CD700+には「150ルーメンで9時間持つ」ECONOMYモードがあります。

仮にこれが暗くならずに維持されるのであれば、ロングライド用として十分戦えるスペックです。

明るさで見ると「250ルーメンで6時間持つ」エンデューロモードも中々良さそう。個人的には200-300ルーメンが一番良く使う明るさなので、この250ルーメンが大きい。最近は100ルーメンの次がいきなり400ルーメンだったり、一番欲しい明るさのモードがないことも多いので……。

バッテリー容量が大きい

CD700+のバッテリー容量は3300mAhと、今回リニューアルされた9製品の中で上から4番目の大容量です。ライトの格的には上から7番目のはずなんですが、バッテリー容量は大きい。

3300mAhというのは、18650電池の大容量カテゴリのモデルによくある数値です。Volt800(NEOじゃない方)もほぼ同じ容量。

「バッテリー容量が大きい→長時間点灯可能である可能性が高い」ということになります。

また、こちらの記事で紹介している「ダラ落ち/一定光量の簡易判定式」に当てはめてみると、係数は2.44。これは一定光量の可能性が高いであろうと思われました。

本体が細い

私のハンドル上は手狭なので、横幅が広いライトを付けるスペースがありません。CATEYEのライト大好き人間である私ですが、横幅の広いVOLT1200タイプのライトは実は買ったことがないです。それくらい細さを重視しています。

CD700+は18650バッテリー×1本なので幅も27.2mmと細くコンパクト。これなら付けることが出来ます。

LEZYNEのHEAVY DUTY/SPORTカテゴリのライトは一番細いものでも47.0mm幅です。ちょっとこれは私のハンドルには付きません。

レビューのスタンス

担当者の方からは、

「忌憚のないご意見で結構ですので、フィードバック頂けるとまたメーカーの刺激にもなりますのでぜひよろしくお願いいたします。」

というお言葉を頂いておりますので、自分で購入した製品と同様にいつものノリでレビューさせて頂きます。

製品概要

実測重量は115g(本体+ブラケット)。防水等級はIPX7。

バッテリーは恐らくリチウムイオン(18650)で、容量は3300mAh。

モードとランタイムは以下の通り。

モード明るさ点灯時間
点灯(Economy)150ルーメン9:00
点灯(Enduro)250ルーメン6:00
点灯(Blast)400ルーメン4:00
点灯(Over Drive)700ルーメン2:00
Femto20ルーメン45:00
Pulse150ルーメン32:00

充電端子はType-C。付属品は特にありません。

落下や水没などに対して、2年間の保証が付属します。

使用感

2024年1月~4月まで3ヶ月間使用。週末のロングライドと、平日の夜練で使用しました。

比較対象は、スペック的に近いVOLT800(無印)です。

パッケージ

箱や付属品はなく、ライト本体のみという割り切ったパッケージです。

構造

ライト本体にシリコンストラップの付いたマウントがネジ止めされています。

ネジを外すことでシリコンマウントは取り外し可能です。サードパーティーから出ているライトマウントを付けることも可能なはず(試してはいません)。

各部詳細

各部分の詳細を見ていきます。

充電端子

Type-C端子を採用。この世代から基本的にType-Cを採用するようになったようです。

Type-C同士のケーブルでスマホと繋いでみましたが、スマホ→CD700+の方向で充電されました。外部機器への給電機能は持っていない様子(モバイルバッテリーとしては使用不可)。

レンズ

コリメーターレンズっぽいですが、外周部が擦りガラス状になっているのが工夫でしょうか。

中心部の光は遠くまで飛ぶように、外周部の光は拡散気味になるような狙いがありそうに思えます。

レンズサイドには若干ながら切り欠きが入っており、側方へのアピールも考慮されています。

スイッチ

外側に出っ張ったスイッチです。外してカバン等に入れた際に誤点灯する可能性があるので注意が必要かもしれません。

クリック感はやや強めですが、曖昧な感じはなくしっかり動作します。

スイッチはバッテリーインジケーターを兼ねており、残量によって以下のように色が変化します(使用中は常時スイッチが点灯)。

残量スイッチの色
100%緑の点灯
50%黄色の点灯
10%赤の点灯
5%赤の点滅

重量

マウント込で115gと軽量です。

同じく18650バッテリー1本で駆動するVOLT800はマウント込で152gなので、かなり軽量であると言えます。

取り付け

シリコンストラップをハンドルに巻いて取り付けます。

普段はCATEYEのフレックスタイトブラケットを使用しているので、シリコンストラップは「走行中に光軸が揺れないか?」が心配ではありました。

実際走ってみると、心配していたほどライトは揺れませんでした

シリコンストラップは想像よりもしっかりしており、かつ裏側に滑り止めが付いているので段差等でもライト自体がお辞儀することもなく。

もっと重いライトだったら分かりませんが、本体重量が100g前後のCD700+であれば光軸の安定性に問題はなさそうです。

実はLEZYNEにもスライドタイプのライトマウントがあるんですが、CD700+には対応していません。

大きさ

VOLT800と大きさを比べてみます。

長さはCD700+の方が一回り小さめ。マウントの取付位置からするとハンドリに取り付けた場合の後端位置はあまり変わらないので、VOLT800に膝が当たる人はCD700+でも当たる可能性はあります。

幅はVOLT800より少しだけ細め。ハンドル上で場所を取らないのは良いです。

サイコンとも干渉せずに取り付けることが出来ました。

点灯モード

常時点灯モードが4種類あり、点滅モードが2種類あります。

常時点灯モードは、150/250/400/700ルーメンと、ロングライド用には良い明るさの刻み方です。

レースモード

LEZYNEのライトの一部には「レースモード」が付いている機種があります。これはLEZYNE特有の機能です。

そして、CD700+にもレースモードがあります。

ライトをオフにした状態で点灯するまで5秒間ボタンを長押しします。
レースモードは最高照度のオーバードライブモードとエコノミーモードの2種類だけの選択になります。
このまま電源をOFFにしてもレースモードが継続します。ノーマルモードに戻る場合は上記の手順を繰り返します。

CD700+マニュアルより

「点灯4モード+点滅2モード」が、レースモード中は「点灯2モード」になるということです。

このマニュアルの日本語説明には一つ間違いがあり、「オーバードライブモードとエンデューロモードの2種類」が正しいはず。

マニュアルでフラッグが付いているモードがレースモードの対象となるはずです。

LEZYNEのライトはモードが多すぎるので、暗いモードから明るいモードに切り替えた場合、もう一度暗いモードに戻ってくるのが大変だったのです。

そういう時向けの機能がレースモード。良く使われるであろう2モードに絞れる機能は使いやすいと感じました。普段のライドで実用度が高い明るさはエンデューロモード(250ルーメン)なので、私はもっぱらレースモードで使っています。

「2つのモードに絞れる」という点を残したまま、モードを自分で指定できればなお良いですね。

外部電源接続時の点灯

LEZYNEのライトは外部電源を接続しながら点灯することが可能です。CATEYEは外部電源接続時には点灯できないので、ここはメーカーごとの考え方の差が出ていますね。

LEZYNEのサイトには外部電源接続時の動作について以下のように書かれています。

スマートフォンのように充電しながら点灯させるのではなく、
バッテリーを介さず直接LEDに給電するため、バッテリーを傷めず安全に使用することが可能です。
※給電使用時はモードが制限されます。

LEZYNEサイトより引用

「バッテリーを充電しながら、バッテリーからの給電で点灯する」とバッテリーの劣化を早めます。それを防ぐために、外部電源→LEDに直接給電するという手段を取っているとのこと。OLIGHTやMagicshineも同じことをやっています。

試してみた所、「点灯2モード」「点滅2モード」の4モードになりました。

電流も計測してみましたが、明るくなるほどに電流が増えていたので、直接LEDに給電しているのは間違いなさそうです。

配光

いつもの場所で撮影してきたCD700+の主観照射図を↓に示します(< > ボタンでモード切替可能)。

LEZYNE/CLASSIC DRIVE XL 700+/Economy/150lm
LEZYNE/CLASSIC DRIVE XL 700+/Enduro/250lm
LEZYNE/CLASSIC DRIVE XL 700+/Blast/400lm
LEZYNE/CLASSIC DRIVE XL 700+/OverDrive/700lm
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next arrow
 

クセのない円形配光。適度に遠く(5-10m先)あたりの路面を明るく照らしてくれるので走りやすかったです。

レンズの外周部に擦りガラス的な処理が行われていると書きましたが、その分だけ光が拡散して淡く照らされる範囲が広くなっているのが特徴的。

橋の側面が照らされていることからも分かる通り上側の光カットなどはされていないため、実際に使う場合は少し光軸を下に向けて使う必要があるでしょう。

点灯時間・照度変化

いつも通り、照度計を使って明るさの時間変化を計測しました。

計測対象は一番使いそうなEnduroモード(250ルーメン)です。

明るさとバッテリー容量から「恐らく一定光量だろう」と予想しましたが、ダラ落ちタイプでした。

点灯時間は、公称: 6時間00分に対して実測: 7時間29分でした。このバッテリー容量でダラ落ちタイプならもう少し長時間点灯して欲しいところ。

恐らくですが、あまりLED素子の発光効率が高くないのではないかと推測します。もう少し高グレードのLEDを使ってくれればバッテリー容量の多さを活かせる気がします。

光の色

多少黄色さはありますが、白寄りの光です。私は白系の光のほうが好きなので、好みの色です。

充電性能

充電時の電流を計測しました。

約3時間で満充電となりました。ブルベ中のホテルでの仮眠でも十分に満充電にすることが可能な速さです。

防水性能

恒例、1分間のシャワーテストでは水没はありませんでした。実際の雨天走行は試せていません。

価格

税込9790円です。

VOLT400 NEO(税込9900円)と同価格帯。

VOLT400 NEOもダラ落ちタイプで、バッテリー容量は2200mAh。バッテリー容量で言えばCD700+の方が1.5倍です。ただ、LEDの効率はVOLT400 NEOの方が良さそうなので、性能的には同等と見ます。

軽量シンプルを求めるならばCD700+。バッテリー交換可能な点・上方向の光を軽減している点を評価すればVOLT400 NEOを選ぶことになるでしょうか。

バッテリー容量の表記

ちょっと気になるのが、本体にバッテリー容量の印字がないことです。

昨今は飛行機へのリチウムイオンバッテリー使用機器の持ち込み時にバッテリー容量を確認されるケースが増えています。モバイルバッテリーやノートPCなどが検査の対象となりますが、自転車ライトもリチウムイオンバッテリーを内蔵するので確認対象となります。

エレコムの自転車用ライト

こちらはエレコムの自転車用ライトの筐体に書かれているバッテリー容量の写真です。右上に「12.06Wh」と書かれていますが、空港の検査員の方はこの容量を見て規定未満であることを確認します。この容量が書かれていないと、飛行機への持ち込みを認められないことがあります(つまり、その場で処分)。

VOLT800 NEO

昨今の自転車用ライトはこうしたバッテリー容量の情報を本体に印字することが当たり前になってきており、CATEYEはもちろんOLIGHTの本体にも書かれています。TOWILDやROCKBROSは書かれていないモデルもありますが……。

残念ながらLEZYNEのライトにはこうしたバッテリー容量の印字がありませんでした。

是非、本体へのバッテリー容量の印字を要望したいです。

まとめ

軽量・細身・シンプルな配光のフロントライト。

クラシックな外観ですが充電端子はType-Cを採用しており、中身は最新スペックを持っています。

「シリコンバンドのフロントライトマウントは実用に耐えないのではないか」と思っていましたが、実際使ってみるとそんなことはありませんでした。本体が軽量なこともあると思いますが、十分な安定性を持っています。

配光はシンプルな円形ですが、私は一様に光が広がるほうが走りやすく感じるので好印象です。ただ、他社は防眩だったり「ハイビーム/ロービーム切替」といった配光を売りにしてきているので、ユーザーがそこをどう評価するか。


一方、ダラ落ち(明るさが徐々に落ちる)タイプだったのは意外でした。個人的には一定光量のライトが使いやすいと考えているので、実戦投入が難しいです。

「暗くなっても良いから長く点灯して欲しい」という需要もあるはずなのでダラ落ちであること自体は置いておくとしても、バッテリー容量と明るさからするともう少し長く点灯して欲しい。高効率なLEDを採用して欲しいです。

もう一つ、飛行機で運ぶことを考慮するとバッテリー容量の本体への印字は是非お願いしたい所。航空業界の事情ではありますが、使いたいライトが空港で没収……なんてことになると悲劇ですので。宜しくお願いします。

評価

対象モデル:  LEZYNE「CLASSIC DRIVE XL700+」
年式: 2023年
定価: 9790円(税込)
購入価格: 提供品
公称重量: 116g
実測重量: 115g

価格への満足度

(提供品なので評価対象外)

総合評価

6/10

シンプルな配光で軽量なライト。もう少し高効率なLEDを使って長時間点灯 or 一定光量の実現をお願いしたい。

著者情報

年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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