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【レビュー】MAVIC「KSYRIUM SL DISC」
評価:4
MAVICのディスクブレーキ用のアルミリムホイール。リムに切削の入った上位モデルです。
購入動機
購入までの経緯は下の記事に書いた通り。
当時使っていたHUNTのホイール(44mmハイト)が横風に煽られやすかったこともあり、ローハイトのホイールが欲しくなったのでした。
ディスクロードは40mmハイト以上のホイールが多く、30mmハイト以下のホイールの選択肢はあまり多くありません。
予算もそこまで無かったので、下記のホイールを候補に考えていました。
ブランド | 製品名 | ハイト | ニップル穴 | スポーク本数 | リム内幅 | 重量 | 価格 |
MAVIC | KSYRIUM SL DISC | 前:25mm/後:25mm | なし | 前:24本/後:24本 | 19mm | 1575g | 104500円 |
DT SWISS | PR 1400 DICUT | 前:21mm/後:21mm | あり | 前:24本/後:24本 | 18mm | 1443g | $ 1122 |
Campagnolo | ZONDA DB | 前:26mm/後:28mm | なし | 前:21本/後:21本 | 17mm | 1675g | 99000円 |
Fulcrum | Racing 3 DB | 前:28mm/後:28mm | なし | 前:21本/後:21本 | 19mm | 1660g | 101000円 |
ちょうどその時、知人がKSYRIUM SLの引き取り手を探していたということで、購入させて頂きました。
MAVICといえば黄色。私の自転車は基本的に赤を差し色にしていることもあり、そのためのカスタムデカール(メーカー公認品)を購入して使っています。
製品概要
実測重量は、前後合計1610g。内訳は、前輪720g・後輪890g。
リムハイトは前後共に25mm。リム内幅は19mm、外幅は23mmのアルミリムです。
リムに直接ニップル用の山を設けるFOREテクノロジーによって、ニップルホールレスになっています。リムテープは不要で、そのままでもチューブレスタイヤに対応します。
スポーク本数は前後共に24本。かつてのKSYRIUM SLはアルミスポークでしたが、本製品はステンレス製のエアロスポークが採用されています。
ハブはInstant Drive 360という面ラチェット方式を採用。
専用のチューブレスバルブが付属します。
使用感
クリンチャータイヤ(Panaracer AGILEST/Vittoria Corsa N.EXT)を付けて使用。一度、チューブレスタイヤの取り付けも行いました。
主な使用シーンはブルベと週末ライド。比較対象は、現在使用中のSHIMANO「WH-R8170-C36/C50」と、以前使っていたHUNT「44 AERODYNAMICIST」です。
重量
重量は以下の通り。
前輪: 720g(公称723g)
後輪: 890g(公称852g)
————————
合計: 1610g(公称1575g)
前輪は公称値よりも軽く、後輪は公称値よりも重かったです。
ディスクロード用のホイールでアルミリムのものとしては標準的な重量と言えそう。参考までに、同クラスのRacing 3 DBが1660gです。
ただし、KSYRIUM SLはリムテープが不要なので、これ以上重量は増えません。
現在メインで使っているWH-R8170はハブを交換した結果、前後の合計重量が1474gとかなり軽くなりました。やっぱりカーボンリムは軽いですね。
適用技術
前述の通り、FOREテクノロジーによってニップルホールレスを実現しています。
リムテープが要らないというのは大きな利点です。チューブレス運用の時は空気漏れの犯人からリムテープを外せますし、クリンチャーでもパンクの犯人からリムテープを外せます。
リムは波打つように切削された「ISM4D」加工となって軽量化されています。
スポークは、MAVICが特許を持っているらしい楕円形状のエアロスポーク。異音防止の為に、スポーク同士が触れないようになっているそうです。
また、「前後左右全てのスポーク(48本)が同じ長さになっている」のも大きな特徴です。
ハブはInsntat Drive 360。いわゆる爪式のラチェットではなく、40Tの面ラチェット。
ただこの方式は防水性が低く、少し雨に降られるとグリスが抜けてしまうという弱点があったようですが、最近改良版のシールが発売されたようです。
WH-R8170はフリーボディーにガタがありましたが、KSYRIUM SLのフリーボディにはガタがありません(当たり前ですが)。
取付
クリンチャータイヤでは特筆すべきことはありませんが、チューブレスタイヤを取り付ける時にはリムテープレスなので楽です。
リム断面の形も良いのか、フロアポンプでもビードが上がりました。リムテープからの空気漏れを確かめる必要がないのが良いですね。
リム内幅も19mmということで、新ETRTOの基準に準拠しています。最近のタイヤは新ETRTOを前提に設計されているので、最適な形状で取り付けることが可能です。
横風耐性
元々このホイールを購入したのは「ローハイトで横風に強そう」であることが理由でした。
2022年の300kmブルベに投入しましたが、HUNTの44mmハイトに比べて明らかに横風に煽られにくかったです。
ただ、その後に購入したSHIMANO「WH-R8170」はハイトが高い割に横風耐性が高かったです。ハイトの高さもそうですが、リム断面形状の影響が大きいのかもしれません。
加速性能
内幅19mmのアルミリムということでリム重量はそれなりにあると思われます(450g前後?)。
シクロワイアードの記事によればリム単体重量は400gとのことですが、その他のパーツ構成を考えるとそこまでは軽くないと思います。
リム重量の割には漕ぎ出しは軽く、信号スタートからトップスピードに乗るまでも早いと感じました。
巡航性能
かつて使っていたレーゼロカーボンDBは40km/hを過ぎると途端に重くなるホイールで、そこが嫌で手放してしまいました。恐らくアルミの極太スポークが悪さをしていたのではないかと私は考えています。
その点、キシリウムは40km/hを過ぎてもそこまで急に加速が辛くなる感じはありませんでした。
4W削減(40km/h走行時)と謳う自慢のエアロスポークは伊達ではないのかもしれません。どのスポークに比べて4W削減なのかは不明ですが。
登坂性能
山でも気持ちよく登ってくれるホイールで、下りでも挙動が安定していて安心して峠の下りをこなすことが出来ました。
普段、ブルベではリムブレーキの車体にローハイトのホイールを使っているためか、同じローハイトのKSYRIUM SLはリズムを合わせやすいのかもしれません。
乗り心地
乗り心地に関しては、WH-R8170と比べると硬めに感じます。普通はローハイトのほうがスポークが長くなる(しなりやすい)ので乗り心地は良くなる傾向にあるんですが、KSYRIUM SLは縦方向の硬さを感じます。
恐らく、「乗り心地に不満があったらチューブレスにしてね」ということなのだと思います。明らかにチューブレスに適した構造になってますので。
見た目
黄色いラインがかろうじてMAVICであることを主張しているものの、かなり見た目は地味なホイールです。
そんな理由から、カスタムデカールを注文して少し赤色成分を増やしました。
一つ感じるイマイチな点は、表面のアルマイト加工が弱いこと。若干黒いアルマイトが剥がれ、下地の銀色が見えている部分があります。
モデル位置付け
MAVICは2021年にロード用ホイールの名前を刷新。「アルミリム=KSYRIUM」、「カーボンリム=COSMIC」と呼ぶようになりました。
こちらの「KSYRIUM SL DISC」は、旧「KSYRIUM ELITE」の後継品です。リムブレーキ時代は、KSYRIUM ELITEの上位グレードにKSYRIUM SLっていうのがあったので少々ややこしい。
価格
発売当初は定価が税抜9万円とかなりお買い得でした。その後、税抜9万5000円に変更され、現在は税抜11万円に変更されています。
以前のMavicは専用タイヤが付属することで性能の割に販売価格が割高でしたが、現在はタイヤが付かなくなりました。適正な値段で販売されるようになった気がしています。
まとめ
「ローハイトのアルミリム」という印象そのまんまのホイール。
乗り心地のみ硬めに感じますが、そこは「チューブレスタイヤを使って対処してくれ」ということなのでしょう。
気になっているのは、「ハブの防水性が弱い」という点。まだこのホイールで本格的な雨天走行は行っていませんが、ブルベで使うとそういった事態にも遭遇するはず。
近いうちに改良版のシールに入れ替えて防水性を向上させる予定です。
評価
対象モデル: MAVIC「KSYRIUM SL DISC」
年式: 2022年
定価: 104500円(税込)
購入価格: 60000円 (税込)
公称重量: 1575g
実測重量: 1610g
価格への満足度
とても安く購入できました。
総合評価
オーソドックスな性能のアルミリムホイール。乗り心地は少し硬め。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。