【レビュー】Michelin「POWER Endurance CL 25C」

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評価:4

PROシリーズに代わって設定された、ミシュランの新フラグシップロードタイヤ。Competiton/Endurance/AllSeasonの3タイプが展開されています。

今回はクリンチャーのEndurance/25Cをレビューします。耐久性・耐パンク性を重視したモデルだそうです。

目次

購入動機

本州一周TTへの決戦タイヤとして購入しました。本州一周は3000㎞を走らねばなりませんので、少なくともその程度は寿命があるタイヤが必要です。2000㎞以下なら私はPanaracerのグラベルキングを選びますが、3000㎞は持たないはず。ということで、色々なタイヤをテストしました。

・IRC ASPITE PRO (24C)
・Panaracer Race Type D (25C)
・Schwalbe ONE (25C)

ASPITEはウェットグリップに不安あり、Race Dは漕ぎ出しの重さから使用を見送りました。走行一か月前まではONEで行くつもりでしたが、そのタイミングでPOWERタイヤが発表されました。

耐パンク性に定評のあったPRO4 Enduranceに比べてさらに20%パンクしにくくなったとのこと。更に、知人のブルべ仲間が絶賛してたこともあり、POWERタイヤを使ってみることにしたのでした。

製品概要

実測重量は227g(25C)。公称より少し軽め。持った感じはかなりペラペラで「ほんとに大丈夫?」と言う印象。特にサイドは薄いです。完全なスリックではなく、パターンが入っています。

公式の説明によると、前モデルのPRO4 Enduranceに比べて以下の改善が図られているそうです。

・20%のパンク耐性向上
・-8.6Wの必要出力低下(25c、ライダー+バイクで80kg、45km/hで40kmを走行した場合)

カラーは以下の4種類。28Cのみブラックだけだそうです。

・ブラック
・レッド
・ホワイト
・ブルー

使用感

本州一周は500㎞でリタイヤ。その後、3日で800㎞ほどの平地メインツーリング、2日で240㎞ほどの山岳ツーリングで使った結果を纏めます。ライダーは80㎏、空気圧は前7.5/後8.0です。比較対象のタイヤは、先述の3種(ASPITE、Race D、ONE)です。

事前情報で、「ミシュランのタイヤは表面にワックスが付いている」との話があったので、100㎞ほど皮むきを行ってから本格使用を開始しました。

転がり抵抗

漕ぎ出しの重さは少なく、信号停止からのスタートやヒルクライムでも軽快です。重量が25Cタイヤとしては軽めに設定されているのが効いてる感じ。

平地巡航は特に軽いとも重いとも感じず。8.6Wの低減と言われれば凄い感じはしますが、時速45km時の数値。私の使い方(ロングライド)だとそこまでのスピード域になるのはダウンヒルくらいなので、比較対象のタイヤとの差は体感できるレベルにはありませんでした。

グリップ

「すごく踏ん張る」と言った感じは無いのですが、コーナーリングにおいて非常に安定感があります。狙ったラインで自然に曲がれるというか。

他に試したタイヤも総じてコーナーリングは無難にこなしてくれるのですが、POWER Enduranceはその中でも頭一つ抜けている感じがあります。

トレッド面が平らなのが効いているのでしょうか?接地面積が増えて安定感が増しているのでは……と推測しています。山岳ツーリングで走ったコースは荒れた路面でのダウンヒルもありましたが、恐怖感無く、更に早く下りきることが出来ました。

また、雨天時でも濡れた白線程度では滑ることもなく。同一グレードで雨天用のタイヤが出ている場合(POWERだとAllSeason)、他のラインナップはウェットグリップに不安があるイメージだったのですが、POWERの場合は十分なウェットグリップを持っていると評価します。

乗り心地

良いと思います。東北や長野の雪で荒れた路面でも、特別手や尻にダメージを感じませんでした。反面、路面から伝わる情報は希薄な感じ。乗り心地の良さの主観的な序列は以下です。

Schwalbe ONE > Michelin POWER = Panaracer Race D > IRC ASPITE PRO

耐パンク性

売り文句だと、「200人のテスターによる合計20万kmの走行でもパンクゼロ」とのことでした。計算してみると、一人当たり1000kmなので、大した数値ではありません。

私の場合は、使用開始から500㎞、皮むきを含めると600㎞程度で最初のパンク。ただ、これは個体差の大きさで有名なR’AIRチューブを使っていたこともあるので、何とも評価しづらいです。チューブを入れ替えてから1000㎞以上走りましたが、パンクは発生していません。

寿命

写真は、1600㎞ほど使用した後輪。結構減ってます。刻まれたパターンもほとんど消えています。

Enduranceという名前ではありますが、そこまで寿命は長くなさそう。25Cで230gという重量を考えると当然かもしれませんが、持って3000㎞程度だと思います。

見た目

MICHELINタイヤってほとんど使ったことが無いのですが、ミシュランマンことビバンダム君の主張が結構強いですね。ここまで目立たなくても。

その他

海外のテスト結果を掲載しておきます。

あわせて読みたい
Michelin Power Endurance 25 Rolling Resistance Review Rolling resistance and puncture resistance review of a Michelin Power Endurance 25 road bike tire. Also includes detailed weight and size measurements

私はPRO4 Enduranceは使ったことが無いので分かりませんが、この記事によると薄くなっているそうです。転がり抵抗も増加。各社のフラグシップに比べても転がり抵抗は高めとの数値が出ていま。体感的にはそんなことはなかったので意外な実験結果でした。

まとめ

なんでもソツなくこなせる優等生タイヤです。性格的にはSchwalbe ONEに近いですが、コーナーリングの安定性は本製品が勝ると感じました。ダウンヒルが苦手な人にオススメしたいですね。

一方、パンクには強いけれど、寿命は短めな印象。「耐久性の高いタイヤ=長く使える」と考えてしまいがちですが、このタイヤはそういった事はなさそうです。

ブルべ等のロングライドには非常に良いタイヤだと感じました。ただ、値段は高いので、気軽に使えるものではありませんが……。

評価

対象モデル:  Michelin「POWER Endurance CL 25C」
年式: 2016年
定価: 4860円
購入価格: 4320円(税込)
公称重量: 230g
実測重量: 227g

価格への満足度

6/10

普通の価格。

総合評価

8/10

性能に文句はないが、一度のパンクの分で★-1。

レビュアー情報

年齢: 31歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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