【レビュー】mont-bell「サイクルレインジャケット (#1130409)」

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評価:5

mont-bellの自転車用レインジャケット。GORE-TEX採用の最上級モデルです。

目次

購入動機

2016年、本州一周に向けて色々とレインジャケットを悩んでいました。試したのは以下。

①dhb Professional ASV eVent Waterproof Jacket
②THE NORTH FACE Strike Running Jacket
③mont-bell ストームクルーザージャケット

①は軽いけれどフードが無くてタイト&袖が絞れない。②はフードはあるけれどバタつく&袖が絞れない。③はフードもあってバタつかないけれど、重い。袖の絞りは重要です。これがないと袖から浸水し、ジャケット内が濡れてしまうからです。

色々使ううちに、私がレインジャケットに求める要件が固まってきました。

・重量
 →出来れば200g未満。300g未満なら妥協。着ていない時は荷物になるので、出来る限り軽くしたい。
・空気抵抗
 →なるべくバタつかないもの。特に腕の部分。
・フード
 →必須。一日中雨でも走り続けるためには、首から浸水しない必要がある。
・袖
 →マジックテープ等で絞れること。自転車の乗車姿勢では、袖から浸水するので。

これらの要件を満たすのが、本製品でした。

ただ本製品は「カラーが緑1色」という点だけが不満。しかし、性能の前には贅沢は言っていられない……ということで、色を妥協して本製品を購入したのでした。ちなみに、それから2年後にはオレンジレッドという赤系の色も発売されています。

製品概要

実測重量は252g(収納袋除く)。GORE-TEX採用のレインウェアとしては、かなり軽い部類に入ります。フードだけで45gなので、ジャケット単体だと207gです。

軽さの秘密は、「GORE-TEX パックライト」という構造。普通、GORE-TEXは「表地 + メンブレン + 裏地」という3層構造ですが、本製品は「表地 + メンブレン + コーティング」という2.5層構造になっています。

他、機能は以下。

・トライアクスルフード
 →着脱可能かつ、3箇所の調節が可能なフード。
・ネックアジャスター
 →襟のフィット具合を調節可能。
・アルパインカフ
 →袖口にベルクロが付いており、フィット具合を調節可能。

色は、当初はプライムグリーンのみ。その後、オレンジレッドが追加されました。

使用感

 

購入後、1000km以上の長距離ブルベにはこのジャケットを携行しています。これだけの距離があるとまず確実に雨は降りますし、防寒着としても使えることが理由です。

重量

250gという重量は、超軽量のレインウェアと比べると重めに映ります。しかし、超軽量レインウェアは概して防水性はそこまで高くないもの。かなり割り切った作りになっていることが多く、多少濡れても構わない時に使うものという認識です。

それに比べると、本製品は徹底的に防水に拘った上でこの重量。かなり評価できると思います。

収納袋に入れても、そこまで小さくはなりません。

フィット感

mont-bellの自転車用レインジャケットには、本製品のほかに、「スーパーストレッチ」「ウルトラライト」「サイクルドライシェル」というラインナップがあります。

走行時に重要となるのが、腕のフィット感。ここが一番バタつきます。店で試着してみたところ、一番フィット感が高かったのはスーパーストレッチ、緩かったのがサイクルドライシェル・ウルトラライトでした。本製品はその中間くらい。

嬉しいのは、少し袖の部分が長めに作られていること。ロードバイクの乗車姿勢だと、ラン用や山岳用のレインウェアは袖の部分が足りなくなることが多いのです。その点、本製品は自転車専用に作成されており、前傾姿勢にフィットするように作られています。背中側の裾が長いのも特徴で、前傾姿勢でも背中からジャージが出ることがありません。

防水性

表面の撥水性、生地の防水性ともに高いレベルにあります。2時間ほど強い雨に降られましたが、浸水はありませんでした。ただし、使うごとに撥水性は落ちていくはずです。後述しますが、一定期間ごとに洗濯と乾燥機による乾燥が必要です。

袖口の部分もベルクロでちゃんと絞ることが出来、首の部分もフードで覆われているので問題なし。

裏地のシーリングもしっかりされています。そのシーリングがかなり細く、軽量化に一役買っています。

防寒性

本州一周における東北の夜、PBPの夜間など、冷え込む時間帯には防寒具としても機能します。長袖ジャージに本製品の組み合わせは、一桁気温後半なら何とか耐えられます。GORE-TEXには防風性もあるので、そのあたりも効いていたのかなと。袖口から冷気が入ってこないのも大きいと思います。

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透湿性

気温20度以上の環境では透湿性を感じることが出来ませんが、15度以下の環境では高い透湿性があることを感じることが出来ます。

更に、袖の下にベンチレーションが設けられており、暑くなったらここを開ければ一気に湿気が出て行ってくれます。

空気抵抗

割と腕の部分はバタつきます。同じメーカーで同じようなフィット感を持つ「ストームクルーザー」がバタつかなかったのですが、本製品は2.5層で生地が柔らかめなのがバタつく理由かもしれません。とはいえ、超軽量なレインウェアと比べるとバタつきは少ない方です。

興味深かったのは、フードの部分。フードが一体化しているレインウェアの場合、フードがパラシュートのようになって空気抵抗が大きいのですが、本製品はフードが分割可能です。フードに入った空気が隙間から抜けていくので、この部分の抵抗は大きくありませんでした。

被視認性

かなり特徴のある色なので目立ちます。撮ってもらった自分の写真を見ましたが、明らかに目を引きますね。また、反射剤も豊富に使われており、視認性の向上に一役買っています。

ちなみに、緑色は夜間において被視認性が一番高い色なんだとか。

お手入れ

注意点としては、2.5層であること。肌に振れる側はコーティングされているだけなので、こまめに洗濯しないと皮脂等が詰まって性能を保てないはず。そのため、一回使ったら洗濯するようにしています。

また、撥水性が低下した場合には乾燥機に掛けると撥水性が回復します。ただ、表面の布地に施された撥水コーティングも永久に残るものではありません。乾燥機にかけても撥水性が回復しなくなったら、買い替え時だと思います。

その他

フードについて。

このフード、3点のボタンで固定されて着脱可能になっています。取る時は着たままでも可能ですが、付ける時は一度脱がないと取り付けることは出来ません。防寒着として使うときはフードは不要なのですが、雨が降ってくるとフードは必要……雨が降ったり止んだりする状況では、中々悩ましいことになります。

そこで、途中からは、フードを外さず、襟の内側に巻き込んでしまうことで問題を解決しました。必要なときは引っ張り出せばOK。

まとめ

非常に良く考えられた自転車用レインジャケットです。

ここまで自転車のレインウェアとして求められる性能を盛り込んで、僅か250gに纏めて来たmont-bellは流石と言わざるを得ません。結局、雨の中でも構わず走る人たちなら、全身をmont-bellで固めるのが一番幸せになりそうです。

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撥水性は、Shakedryを採用した「サイクルドライシェル」には敵いませんが、こちらは表面の扱いがとてもデリケート。それに比べると、割と雑に扱えるサイクルレインジャケットの方が活躍の場は多いですね。

当初は「色が気に入らない」とは思っていましたが、その後はオレンジレッドのカラーも発売されました。すでに4年ほど使ってきており、表面の撥水性が低下しているので、近いうちにオレンジレッドの本製品を追加購入予定です。

評価

対象モデル:  mont-bell「サイクルレインジャケット (#1130409)」
年式: 2016年
定価: 24840円(税込)
購入価格: 24840円(税込)
公称重量: 252g
実測重量: 252g(Lサイズ)

価格への満足度

9/10

4年間、一線で使える耐久性と機能性を評価。

総合評価

10/10

全幅の信頼を置ける自転車用レインジャケット。

レビュアー情報

年齢: 36歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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