この記事は約 7分で読めます。
【レビュー】MORI MONO「Essential Bar Bag」
評価:4
富山県に住むオーストリア人の方が手作りしているガレージブランド「MORI MONO」の小型フロントバッグ。
購入動機
妻に誕生日プレゼントとしてリクエストしました。
このバッグの存在を知ったのは、サイスポの「トライ&ジャッジ」コーナー。前編集長の吉本さんが紹介していて興味を持ちました。
また、行きつけのショップにこのフロントバッグを付けていた人がいたので見せてもらった所、作りも良さそうであると感じました。
私がブルベにおいてメインで使っているのはモンベルのフロントバッグ。機能的には不満がないのですが、少し大きすぎるかな、と感じておりまして。もう少し小ぶりで使いやすそうなバッグを探していたのです。
MORI MONOのバッグは探していたスペックに近かったので誕生日プレゼントとしてリクエストすることにしたのでした。
販売は公式サイトからの直販のみ。生産個数はかなり少ないようで、月に1~2回だけ早朝6時から注文を受け付けて、数時間で締め切られてしまいます。中々手に入れるのが大変なバッグでもありますね。
製品概要
実測重量は84g。容量は1.5リットルです。
表地はDCF(ダイニーマ生地、いわゆるキューベンファイバー)で、裏地はX-Pac VX07を採用。その間にはプラスチックの補強が入っており、円筒形を維持する構造になっています。
ハンドルへの取付は、付属のベルクロストラップを使用。ストラップは着脱可能で、2種類の位置から取り付け場所を選択可能です。
左右にはミニポケットを備えており、補給食のゴミなどを入れるスペースとして利用可能。
使用感
ロングライド用のロードバイクに取り付けて200kmブルベ等で使用してみました。
比較対象は、モンベルのフロントバッグです。
外観
表の生地はDCFということで、特徴のあるシワのある見た目をしています。Oveja Negraのサドルバッグもこの生地を使っていました。
縫製も綺麗で、丁寧に作られていることが伺えます。技術力は高いと思います。受注生産で注文数を絞っているのもクオリティの向上に効いてそうですね。
重量
実測重量は84g。
さすがにDCFという軽量生地を採用しているだけあり、プラスチックの骨組みが入ってもかなりの軽さを保っています。
取付 その1
さて、早速取り付けてみたのですが……あれ、上手く付かない?
シフト&ブレーキケーブルと干渉して、上手く取り付けることが出来ません。バッグ自体にもプラスチックの骨組みが入っているため、バッグは潰れることもなく、ケーブルによってバッグが上に押し出される形になるのでした。
ハンドルよりもバッグが上に出てしまう&サイコンマウントと干渉してしまって、これでは使えなそうです。
「取り付け方が間違っているのかな?」と思って、公式サイトを見てみた所、あることに気づきました。
取り付けサンプルの写真が全てディスクロードなのです。そして変速装置はおそらくSRAM eTap(無線変速)。
通常、ロードバイクのハンドル周りには4本のケーブルがあります。前後変速用のケーブルと、前後ブレーキ用のケーブルです。eTapならば、変速用のケーブルは存在せず、ブレーキ用のケーブル(油圧ホース)2本のみです。しかも、写真を見るに短めにルーティングされています。
これならばバッグとケーブル類の干渉は少ないはず。こういった理由でサンプルの写真では上手くバッグを取り付けられていたわけです。
恐らくですが、このバッグの主なターゲットは、「ケーブルがハンドルに完全内装されたディスクロード」や「無線変速でハンドル周りにケーブルが少ないロードバイク」なんじゃないかと想像します。昨今のディスクロードは空力を重視してそうなっていることが増えています。ケーブルが内装されていれば干渉することもないわけで、バッグはハンドルの下に綺麗に吊り下がるわけですね。
「あれ、じゃあサイスポで吉本さんはどうやって付けていたんだ?」と思って確認してみると、なんとケーブルの内側(ステムの下部の空間)にバッグを付けていました。
↑この空間です。ここにバッグを取り付けるというのは、身長が高くて(185cm前後)ステムが長い吉本さんだから可能な技ですね。100mmのステムを常用している私には、残念ながら内側にバッグを付けるスペースはありませんでした。
「リムブレーキ」かつ「機械式変速」で、「ケーブル外装」である私のロングライド用ロードバイクには、残念ながらこのバッグが上手く付けられません。これは困った。
取付 その2
そこで思い付いたのが、「エクステンションバーを付けて、そこにバッグを付ける」という方法です。
出来上がったのがこちら。KCNCのブルベマウントをハンドルに取り付け、そこにバッグを吊り下げました。
……せっかく軽量なバッグを手に入れたのにエクステンションバーを付けたら本末転倒な気もしますが、ハンドルに直接取り付けていたライトも移設し、上ハンドルが握りやすくなったのでプラマイゼロです。たぶん。
容量
1.5リットルと、なかなかのコンパクトサイズ。
コンパートメントは一つだけなので、基本的には300km以下のブルベで補給食を入れるために使うことが多いです。
短めのポンプなら入るサイズでもありますし、ツール缶の代わりに使うことが出来そうなサイズ感。少しツール缶よりは太めですが。
両サイドにはポケットがあり、補給食のゴミ入れとして活用できます。
安定性
エクステンションバーに取り付けての運用ですが、なかなかガッチリと取り付けられて安定しています。
防水性
DCFの生地は防水ですし、止水ジッパーも採用していますが、縫い目があるので普通に浸水します。
濡れて困るものを入れる場合はジップロック等での養生が必要でしょう。
中身の取り出しやすさ
内部全面にプラスチックの骨組みが入っているため、バッグ全体が硬いです。このため、中身を取り出す時にはそれなりに止水ジッパーを大きく開ける必要があります。
ただ、止水ジッパーは持ち手が1つではなく、2つあって左右に開くことが出来るのがポイント。
この位置(止水ジッパーの上部)にはサイクルコンピューターマウントが飛び出していることも多く、1方向からしか開けられないとサイコンと手が干渉します。持ち手を2つにすることで、そういった場合でも中身を取り出しやすくする工夫がされていますね。
ただ、角度的にはサドルに座った状態で中身を視認しながら取り出すのは難しいかもしれません(あまり大きく口が開かないので)。ほぼ手探りになります。
入手性
冒頭にも書きましたが、公式サイトだけからしか購入できず、常に売り切れ状態です。
次の受注開始日がサイト上に予告されるので、欲しい人はその日を待つ必要があります。何故か毎回朝6時からの受注開始なので、その日は早起きする必要があるでしょう。
まとめ
軽量かつ品質の高い小型フロントバッグ。
近距離のライドならばコレ一つで、数百キロのライドならばサドルバッグと荷物を分類する用途で使えると思います。
気をつけなければならないのは、ハンドル周りのケーブルのルーティングによっては上手く取り付けられないという点です。ドロップハンドル+リムブレーキの場合は上手く付かないケースが多いと思います。ステムが120mm以上あれば、ステム下に取り付けることは可能ではないかと。
逆に、最近流行りのハンドル完全内装タイプの電動油圧ディスクロードならば綺麗に取り付けが可能だと思います。元々のターゲットも、そういった自転車に乗っているハイクラスな人なのかもしれません。
購入のハードルは中々高いバッグだと言えますが、条件に合う人には良いフロントバッグだと思います。
以下余談。
フロントバッグって断面形状が円であることが多いと思うんですが、これって多くのケースでケーブル干渉するはず。
ならば、D型(半円)形状のフロントバッグがあれば良いんじゃないかと思いますが……なかなかこれが存在しないんですよね。容量は確実に小さくなりますし、あまり需要がないのかもしれません。
私の手持ちのフロントバッグで、唯一その形状をしているのがOveja Negraのフロントバッグ。
ただ、これは高さがありすぎてブレーキと接触してしまうため、使っていません。この手の形状バッグが増えると良いなーと思っています。
評価
対象モデル: MORI MONO「Essential Bar Bag」
年式: 2021年
定価: 9500円(税込)
購入価格: 9500円 (税込)
公称重量: 90g
実測重量: 84g
価格への満足度
プレゼントのため評価対象外。
総合評価
縫製や造形の品質は高く、使いやすさも考えられている。自転車を選ぶ点だけ注意。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。