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【レビュー】OGK KABUTO 「ZENARD」
評価:4.5
OGK KABUTOのロード向けノーマルヘルメットのフラグシップモデル。エアフローを重視しており、「冷感ヘルメット」を名乗っています。
購入動機
以前、OGK KABUTOのエアロヘルメット「AERO-R1」を購入しました。レビューは以下の通り。
なかなか良いヘルメットですが、どうも停止時に暑いのです。走っていればそこそこの涼しさはあるのですが、止まった途端に熱が籠ります。レーサーならば問題ないのでしょうが、都市部でのロングライドが主な使い方である私にとってはイマイチ満足の行かないものでした。
ZENARDは2015年発売。当時すでにGIROのAIR ATTACKや、SPECIALIZEDのEVADEなどのエアロヘルメットがブームの兆しを見せていました。そろそろKABUTOもエアロに舵を切るか?と思っていた所にリリースされた本製品のコンセプトは「冷感ヘルメット」でした。個人的にはズッコケましたが、今の私には適したヘルメットと言えそうです。
それまで使っていた同社の「REDIMOS」は大変気に入っていたのですが、残念ながら廃版。事実上の後継モデルとしてラインナップされたのが本製品となります。REDIMOSも3年目に入り老朽化してきたので、ZENARDの購入に至りました。
製品概要
実測重量は227g(Lサイズ/ノーマルパッド装着時)。サイズはXS、S/M、L、XL/XXLの4展開。
カラーは種類がかなり多いので紹介は割愛しますが、私はブレードレッドを購入しました。
3種類のパッドが付属します。
・軽量なノーマルパッド
・冬用のWinterインナーパッド
・虫の侵入を防ぐA.I.ネット
使用感
主な用途はロングライド。市街地や山岳地帯を走るのがメインです。比較対象は、同社のREDIMOS、AERO-R1です。
重量
公称225gで、実測227g。そこそこ正確です。REDIMOSのLは218gだったので9gほどの重量増。これはヘルメット本体よりも、アジャスター及び、エアフローを整えるためのエアチャンネルプレートによるもののようです。
前後の重量バランスも悪くなく、長距離でも疲れにくくて良いです。
外観
AERO-R1に比べると横方向への張り出しはありますが、全体としてコンパクトな見た目になっています。
REDIMOS(右)と比べても若干小さく見える感じ。主に後方を絞り込んで空気抵抗を削減しているそうです。
装着感
ここは明らかにREDIMOSよりも向上しています。
アジャスターはXF-2タイプ(右)からXF-5タイプ(左)に変更。アジャスターの後頭部をホールドする部分の面積を従来の倍にしているそうです。REDIMOSのXF-2アジャスターは軽量化を意識して小さくするあまり、内部の歯車はすぐに欠けるし、ホールド感もイマイチでした。やはりその辺の苦情が多かったのでしょうね。
帽体については、形状はそのままでREDIMOSよりも若干広くなった感じ。典型的な日本人骨格である私にとってはストレスがありません。
空力性能
REDIMOS比では変化を感じられませんが、AERO-R1に比べると空気抵抗を感じます。と言っても、まっすぐの下り坂で若干頭を持って行かれる感じがするかなーといった程度ですが。
KABUTOは「空気抵抗の削減と冷感を両立」と言っていますが、残念ながらそれは難しいでしょう。「冷たく感じる」と言うことは、肌に風が当たっていると言う事であり、それは抵抗になってしまうわけですから。今期のJPTレースで、KABUTOがスポンサードしているチームの大半の選手がAERO-R1を使っている理由も納得できます。
通気性能
素晴らしいです。走行時・停止時ともに蒸れませんし、熱も籠りません。10月なのに30度を超える気温の中も走りましたが、AERO-R1とは格段の差がありました。
通気性の秘密は、エアチャンネルプレート。大層な名前が付いていますが、プラ板です。額部と頭頂部にプラ板を入れて空間を作り、そこに空気を流す設計とのこと。
見た目
昨今はマットカラーのヘルメットが増えましたが、私はグロスカラーの方が好み。グロスのレッドカラーで非常に気に入っています。
インナーパッド
ZENARDには、3種類のインナーパッドが付属します。
- A.I.ネット(写真でヘルメットに付いている)
→虫の侵入を防止するメッシュパッド - ノーマルインナーパッド(写真左下)
→分割式の最軽量パッド - ウインターインナーパッド(写真右下)
→風の侵入を防止する(穴をふさぐ)パッド
本製品を買ったのは夏場だったので、最初は②を、そして冬場は①を使っています。
元々、本製品は「史上最強のエアフロー」による涼しさが売り。②のノーマルパッドでは冬場はさすがに寒いのです。そこで①を取り付け。通気孔の前にメッシュが挟まるので、多少は温かくなります。
今回、気温3度の環境で③のウインターパッドを使って見ました。ウインドブレーク系の素材で作られているようで、通気孔を完全に塞ぎます。確かにこれは温かい。……が、しばらく走っていると、かなり頭に汗をかいてきました。そして、なかなかその汗が乾きません。
ヘルメットを外してみると、内側に汗が。強度高めの夜練で使ったからというのはあるんですが、汗の乾きが遅くなるのはちょっと辛いですね。エアフローの良さという本製品の良さをスポイルしてしまっています。汗の量が多い人にはちょっとオススメできないインナーパッドかなと。
寒さの調整はヘルメット側よりは、メッシュバンダナ等で行ったほうが蒸れも回避出来て良さそうです。少し汗で湿っても、本製品のエアフローの良さならすぐに乾きますからね。乾く瞬間は気化熱で冷たくなるでしょうが、蒸れることが無いので結果的には快適なはず。
まとめ
軽くて涼しい日本人向けヘルメット。REDIMOSからの乗り換えでは、全く不満を感じる所は無いでしょう。
昨今はエアロヘルメットがブームで、「空気抵抗の少なさ=正義」となって来ていますが、ホビーユースであれば暑さによるパフォーマンス低下は無視できないと思うのです。ヒルクライムや街乗りがメインの人であれば、エアロヘルメットよりもノーマルヘルメットの方が快適な時間が長いのではないでしょうか。特に日本は高温多湿な上に、信号も多いですし。
レース用途ならばAERO-R1、その他の用途ならばZENARDと、私は使い分けていこうと思っています。
評価
対象モデル: OGK KABUTO「ZENARD」
年式: 2017年
定価: 30240円(税込)
購入価格: 20790円(税込)
価格への満足度
非常に安く買えました。
総合評価
軽量かつ通気性が良いヘルメット。非常に満足。
レビュアー情報
年齢: 33歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。