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【レビュー】OLIGHT「BFL1800」
評価:2
タクティカルライトで有名なメーカー「OLIGHT」による自転車用ライト。
RN1500から一年経ってリリースされた、新シリーズの製品の第一号となります。
購入動機
今回はOLIGHTさんからのレビュー依頼を受けて提供されたものです。
今回も、OLIGHTさんからは「何でも感じたことを書いてくださって結構です」とのお言葉を頂いておりますので、「良い点」「悪い点」はハッキリ書かせて頂きます。
一年ぶりの新ライン
2020年に発売され、ヒット作となった「RN1500」。
そこから「RN800」「RN1200」「RN400」と兄弟機のRNシリーズは沢山発売されましたが、今作「BFL1800」は全く新しい別シリーズとなっています。
「BFL」は「Best Front Light」の略だそうです。自信の伺えるネーミングです。
OLIGHT専売製品
BFL1800も、RNシリーズに引き続いて製造はMagicshineが担当しています。
ただ、RNシリーズはMagicshineでもほぼ同じ仕様のものが販売されていました。これに対し、BFL1800はOLIGHT専売品とのことです。
スペックは……
BFL1800は、Olightの2021年クリスマスセールと同時に発表となりました。

スペックを見た段階での感想は「ちょっとブルベには向かなそうだな」ということ。
マグネット充電ってのも引っかかる。充電速度が早いのなら良いのだけど、5.5時間は長すぎる。TypeCは捨ててほしくはなかった。 pic.twitter.com/FuY9qJoVkI
— ばる (@barubaru24) December 13, 2021
最長点灯のモードが8.5時間しか無いことに加え、充電時間は5.5時間。折角RNシリーズがTypeCでの高速充電に対応し、2時間半での充電を実現していたことを考えると残念に思えました。
代わりに搭載されたのがマグネット充電。充電端子が外に露出していないため防水性は高まりますが、独自の充電ケーブルを持ち歩く必要があります。OLIGHTは昔からマグネット充電が好きなので、搭載してきてもおかしくはないのですが……自転車用ライトにマッチする方式ではないと思いました。
とりあえずレビューの依頼を頂いたので、使ってみて評価することにしました。
提案内容の反映度は?
遡ること一年前、それなりに反響を頂いたRN1500のレビューがOLIGHT側の目に止まったようで、製品のレビュー依頼を頂くようになりました。
個人的にはRN1500に90点くらいの満足度を感じていたため、それに対するマイナーチェンジをしてもらえれば更に良いものが出来ると考えました。
そこで、頼まれてもいないのに全27ページの提案資料を作成。「なぜRN1500は良いのか」「ここを改善すれば更に良いものが出来る」という内容です。メーカー側とのコネクションが出来たのをいいことに、自分の希望を直接伝えました。
それから約一年が経過して発表されたBFL1800。RNシリーズとは全く別のシリーズではあるものの、力を入れた新製品とのことでいくつかの改善提案が反映されていることを期待していたのですが……
製品概要
実測重量は162g(ライトのみ)。
3.6V/5000mAhの21700電池を採用しています。電池の取り外しは不可。
付属品は以下。
・ハンドルバーブラケット
・ブラケット用ストラップ(長さ4種類)
・3mm六角レンチ
・マグネット充電ケーブル(MCC1A)
モード | 明るさ | 点灯時間 |
点灯(ハイ) | 1800ルーメン | 1.5時間 |
点灯(ミドル) | 1000ルーメン | 3.5時間 |
点灯(ロー) | 500ルーメン | 8.5時間 |
使用感
夜練、週末のロングライド(100km程度)で使用しました。


比較対象は、同社の人気機種である「RN1500」、ブルベで人気のある「CATEYE Volt800」です。
使用シーンとしては、ブルベとロングライドを想定してレビューします。
パッケージ
RN1500も箱は豪華な印象を受けるものでしたが、その路線は更に進んでいます。
今年からOLIGHTのシリーズに搭載された「スイッチロック機能」。そちらの案内が付属するようになりました。
付属品も、紙の箱に入るようになりました。以前は外箱に直入れだったんですけども。ますますスマホっぽいパッケージングになっています。
重量
実測で本体のみ162g。
RN1500より4g軽いですが、電池も同じもの(5000mAhの21700電池)を使っているのでほぼ同程度と言って良いと思います。
大きさ
幅は31.9mm(実測)。RN1500の29.7mm(実測)に比べて2mmほど太くなっています。全長はBFL1800の方が少し短いですね。
表面の質感は、BFL1800もマット系。ただ、RN1500の方が個人的には高級感があるように感じます。
RN1500は角の丸められた四角断面でしたが、BFL1800は完全な円断面です。
取付
まずは、ブラケットをハンドルに固定。
そして、ライトのアタッチメント部を差し込めば取り付け完了です。
横から見るとこんな感じ。
このブラケット、一見新型に見えますが、製造元であるMagicshineの製品で過去に採用されていたものと同型です。色だけ変えたのでしょう。
ちょっとライトの取り付け方法としては怖い気がしています。正方向で使うならまだしも、吊り下げて使うとすぐに脱落しそうな気がします。試していませんが。
ブラケットの方式がイマイチだと感じたので、ライトに付いているアタッチメントを外して、ゆるふわーくすのアダプターを付けようと思ったのですが。
なんと、このアタッチメント部はライトに接着剤で接着されています。ネジを外しても、アタッチメントは外れませんでした。このイマイチなブラケットで使うしか無さそうです。
点灯モード
このライトは「点灯」のみで「点滅」モードはありません。潔い作りで良いと思います。デイライトで使おうという用途には向きません。
ただ、一番暗いモードで500ルーメンはちょっと使い所が難しい気はします。200~300ルーメンの明るさがあれば使いやすいと思うのですが。
配光
割と凝ったレンズ・リフレクターだったRNシリーズ(左)に比べると、BFL1800はかなりシンプル。防眩機能も省かれています。
RN1500とBFL1800を、ハンドルに同じ角度で取り付けて照射テストを行いました。
上がRN1500(ローモード/300ルーメン)、下がBFL1800(ローモード/500ルーメン)です。BFL1800は光がより前に飛ぶようになっていました。例えるならば、Volt800の配光に似ていますね。
配光に関しては、BFL1800は改善されていると感じました。
照度変化
さて、問題は照度の時間変化です。
BFL1800はスペックを見た時点で嫌な予感がしていました。「5000mAhのバッテリーで、500ルーメン/8.5時間」とされていますが、これはちょっとありえない数字なんですよね。あまりにも効率が良すぎる。
5000mAhのバッテリーで500ルーメンの明るさを保とうとしたら、5時間持てば御の字。現実的には4時間が良いところではないでしょうか。
このことから、手元に届く前に「このライトはダラ落ち(上のグラフのような照度変化をする)であろう」と予想していました。
さて、実際に照度を測定してみた結果が以下です。
点灯開始後しばらくは明るさを保ちましたが(それでも最初の30分は少しずつ暗くなる)、3時間経過した所で突如明るさが28%程度まで低下しました。ルーメンに換算すると、500→140ルーメンに急落しています。

このグラフは30秒単位で照度を自動測定しているのですが、3時間を過ぎた所で一気に暗くなっています。「ダラ落ち」というより「フリーフォール」。こんな照度の落ち方をするライトは初めて見ました。
私の測定に不備があったのかと思い、再度充電してから測定しましたが、結果は同じ。3時間経過した所で一気に暗くなります。
熱による保護回路の働きを疑って、以下の確認も行いました。
・ライトが完全に冷却されるまで待つ。
・再点灯する。
充電
BFL1800は、マグネット充電を採用。OLIGHTは以前から自転車以外のライトではマグネット充電を推進していて、それを自転車用にも導入してきた形となります。
この形式になったことで、モバイルバッテリー機能は消滅。結構便利だったと思うんですけどね、あの機能……。
このように、マグネット付きの専用USBケーブルを付けるだけで充電が始まります。ケーブルの赤く光っている部分はインジケーターになっていて、充電が完了すると緑色に変わります。
ただ、充電は最大1Aまでと少なく、充電時間は5.5時間掛かります。これはちょっと長すぎる。ブルベでの仮眠中に満充電は厳しいですね。
「マグネット充電だから遅い」わけではありません。マグネット充電でも、2Aで充電可能な製品はあります。OLIGHTの製品にもラインナップされています。つまり、このライトはあえて充電を1Aに絞っているということ。なにか理由はあるのでしょうが、ちょっと残念です。
なお、充電しながらの点灯も可能です。ただ、バッテリーの寿命を縮める可能性が高いので、なるべくやらないほうが良いでしょう。
防水性
BFL1800は「IPX6」という防水等級を名乗っています。

「あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない」ということで、自転車用としてはもっとも実践的な防水等級を備えていると思われます。
実際にシャワーで水を掛けるテストを行いましたが、動作に問題なし。マグネット充電は正直頂けませんが、防水性の高さには寄与していると思います。
また、スイッチが円形になったことも防水性の向上に寄与しているはず。
RNシリーズはスイッチから浸水するという事例が周囲では見られました。四角形のスイッチだとパッキンと筐体のアールが不一致になりやすいためだと思われます。円形ならば、そういったことはありません。地味に効いていると思います。
ブラケット
左がRNシリーズのブラケット、右がBFL1800のブラケット。
バンドを3mm六角レンチで締めていく方式は同じ。ただ、RNシリーズのブラケットはネジを強く締めるとベルトを引っ掛ける部分が外れてしまう不具合があったんですが、今回のブラケットはズレません。差はなんだろうと思ったら……
画像で示した部分の構造が変わっていました。以前は穴が空いていた部分ですが、その穴がなくなっています。
こんな風に、T字になっているバンドの端を引っ掛ける部分の形状が変化していたのです。
こちらがRNシリーズのブラケット。この部分の精度が悪く、締め込むとズレてきてしまいました。それによってブラケット全体がズレることに。
これに対し、BFL1800のブラケット。精度が上がり、ネジを締め込んでもズレなくなりました。
固定力は確実にアップし、走行中でもズレたりすることは無くなりました。
見た目
これまでのRNシリーズは黒基調で主張しない見た目でしたが、BFL1800はOLIGHTのコーポレートカラーであるブルーを大胆に使ってきています。
RNシリーズはMagicshineでも売られていた商品ですが、BFL1800は恐らくOLIGHT専売商品。それだけにコーポレートカラーを入れてきたのだと思いますが……。
ライトの色って出来るだけ主張しないほうが良いと思うんです。多く人に使ってもらうならば尚更、黒一色とかの方が良いと思うのですが。意外とロード乗り、パーツの色を気にしますしね。
その他
「18Wh」と、ワット時単位での容量表示がされるようになりました。
昨今、飛行機にはリチウムイオンバッテリーの持込が厳しくなっており、ワット時単位のないライトは持込を許可されない場合があります。これが描かれるようになったのは良い変化です。
まとめ
正直言って、期待とは全く違うライトでした。
OLIGHTのRN1500が多くの人に高く評価された理由は以下だったと私は考えています。
② TypeC端子を搭載し、2.5時間で完了する高速充電
③ モバイルバッテリーとしても使える多機能性
④ 高級感があり、多くの自転車にマッチするデザイン
評価
対象モデル: OLIGHT「BFL1800」
年式: 2021年
定価: 8895円(税込)
購入価格: モニター提供品
公称重量: 162g
実測重量: 162g
価格への満足度
(モニター提供品のため評価対象外)
総合評価
配光と防水性は改善。ただ、RN1500の良かった点が全てスポイルされている感じ。少なくともTypeCは残して欲しかった。
著者情報
年齢: 37歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。