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【レビュー】OLIGHT「RN1500 バイクライト」
評価:4
タクティカルライトで有名なメーカー「OLIGHT」による自転車用ライト。300ルーメンで12.5時間点灯可能というロングライド向きのスペックを持つライトです。
購入動機
詳しい購入動機は以下の記事に纏めています。
かいつまんで言うと、こんな感じ。
・気にはなったけれど、試すには高い値段(8800円)だったのでカートに入れて放置。
・プライムデーで3割引になっていたので購入。
製品概要
実測重量は166g(ライトのみ)。
3.6V/5000mAhの21700電池を採用しています。電池の取り外しは不可。
付属品は以下。
・ハンドルバーブラケット
・ブラケット用ストラップ(長さ3種類)
・GOPROマウント
・3mm六角レンチ
・USB Type-Cケーブル
点灯モードとランタイムは以下の通り。
・点灯(ミドル): 4時間(750ルーメン)
・点灯(ロー): 12.5時間(300ルーメン)
・低速点滅: 11.5時間(0-700ルーメン)
・高速点滅: 10時間(0-700ルーメン)
使用感
普段の夜練習で使用し、その後で600kmブルベにてメインライトとして使用しました。使用距離は約1000km程度です。
比較対象は、それまでブルベでのメインライトとして使ってきた「CATEYE Volt800」です。「5年間愛用しているVolt800のポジションを取って替われる性能があるか?」というのが、購入時の関心事でした。
装丁
無駄に豪華なパッケージ。箱に磁石が仕込まれており、最近のスマホの箱っぽさがあります。
ご開帳。
余談ですが、この箱にライトを収納する際に左右逆で入れてしまうと、スイッチが押されっぱなしになってしまう罠があります。何人か熱でパッケージを溶かしていましたので注意が必要です。
見た目
今回は6600円ほどで購入しましたが、ライト本体にはバリなどは見られず、高級感があります。ただ、ブラケットはかなり質感が安っぽいのは気になる所。
取付
このライト、本体にガーミンマウントに装着可能な爪が付いています。
写真上部に写っているブラケットを自転車のハンドルに取り付けます。この際、3mm六角レンチが必要です。着脱に工具が必要な点では、CATEYEのフレックスタイトブラケットのほうが面倒がなくて良いですね。
ブラケットにライトを取り付けた図。
勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、ガーミンマウントは取り付け時に90度回す必要があります。この配置だと、一旦eTrex30(画面中央のサイコン)を取り外さないと、ライトの着脱が出来ません。
私は出来る限りハンドル周りはシンプルにしていますが、それでも面倒。ハンドル周りが要塞のようになっているブルベ勢は、付属のブラケットでは取り付けが不可能かもしれません。その場合は下記アダプタを使うことになると思います。
恐らく使用を想定されているであろうロードバイクのハンドルってモノを取り付けられる場所が少ないので、この「90度回す」という仕組みは良くないと思うんですけどね。もっと着脱時にスペースを使わないブラケットだったら良かったのに、と思います。
重量
実測で166g。Volt800が135gだったので、31g重くなっています。
これは電池の容量が増えた分と考えれば仕方ないかなと。Volt800が3400mAhに対し、RN1500は5000mAhです。およそ1.4倍の容量を持っており、その分点灯時間が伸びています。
大きさ
持ってみると意外とズッシリとしていますが、見た目はコンパクトです。全長・太さはVotl800とほぼ同じです。
点灯モード
電源スイッチを長押で点灯します。一気にパっと光量が上がるのではなく、1秒くらいかけて目的の光量に切り替わります。moonのライトに似た挙動です。
そして、この電源スイッチ、ライト点灯時はずっと点きっぱなしです。ハンドルの上に緑色の光がずっと付いているのは違和感がありましたが、しばらくしたら慣れました。トンネルを出た後にライトの消し忘れに気づける効果はあります。ただ、その分の電力を本来のライト側に回したほうが良い気はしますが……。
シングルクリックで、300ルーメン→750ルーメン→1500ルーメンとモードが切り替わります。点滅モードへの移行はダブルクリックをする必要があります。点滅は基本的に使いませんしね。意図しないと点滅にはならない設計は好印象です。
消灯は電源スイッチを長押し。モードメモリー機能が付いており、次回点灯時には消灯時のモードで起動します。
配光
明るい範囲はVolt800より縦に狭い印象。手前が明るい感じ。
配光は、Volt800よりも横に長く、縦に狭いイメージ。イメージしやすく言えば、Volt800は縦長の楕円、RN1500は真円形状といった所。
画像で表すとこんな感じですね。RN1500は指向性よりは拡散性を重視しているとでも言いましょうか。路側帯まで照らせる横の光の広さは良いです。ただ、あまり遠くまで光が飛びません。同じ角度でハンドルに取り付けた時、その差はVolt800比で1-2mほど短い……と言ったところですが、結構この差は大きいと感じます。
この写真を見てください。ハンドル左がVolt800、右がRN1500です。RN1500側だけハンドルが照らされているのが分かるでしょうか。つまり、ライトの真下にも光が漏れています。立ち漕ぎ時にも若干眩しく感じることがあるので、上側にも光が漏れているはずです。
こんな所を照らすならば、その分その光を遠くへ飛ばして欲しいものですが、そこはレンズの設計がまだまだということかもしれません。自転車用ライトとして一発目の製品ですし、レンズの設計は改良の余地があると感じます。
防眩機能
防眩機能、いわゆる「上側カット配光である」という記載がありますが、これは半分正解で半分間違っている印象です。
レンズ上部にスリットが入っているのがお分かりでしょうか。これは下向きのブラインドのようなもので、光を下に曲げる役割を持っています。ただ、隙間から光が直接漏れるため、完全に上側の配光をカットしているわけではありません。個人的には、漏れた光で路上の青看板や標識が照らせて便利なのですが(ほぼ完全に上側の光を拡散してしまうGVolt70では出来ない)。
ライトを正方向で取り付けた場合と、逆さ吊りで取り付けた場合の配光を比較してみました。正方向で取り付けた場合、スリットで下に曲げられた光の分、若干下に光が伸びているのが分かると思います。
明るさ
私はこのライトでローモード(300ルーメン)しか基本的に使っていないので、そこを中心にお話します。
Volt800のローモード(200ルーメン)と比べると、「RN1500のローモードの方が若干明るいかな」くらいの印象です。1.5倍の数値差は感じません。
その原因は、前述の通りレンズの設計の差にあるんじゃないかと思います。RN1500は「照らさなくて良い場所(真上や真下)」も照らしてしまっています。感触としては、50ルーメンくらいを無駄にしている感じ。やはりレンズに改良の余地があると感じます。
ただ、実用上は真っ暗な田舎道でも25~30km/hで走り続けるには十分な明るさがあり、600kmブルベはほぼRN1500のローモードのみで完走しました。サブで付けていたVolt800は、夜間のダウンヒルで少し使用したくらいです。
なお、本ライトは電池が減っても光量を保つ「一定光量」型のライトに属すると思われます。10時間以上使っても、明るさが落ちた印象はありませんでした。
(2021/12/19追記)
照度計による計測を実施した所、「開始30分で57%まで照度が落ちる」ことが判明しました。詳しくは「追記」欄を御覧ください。
持続時間
このライトの凄いところは、「Volt800と同等以上の明るさなのに12.5時間持つ」という部分。Volt800が200ルーメンで8時間なので、更に4時間半長く使えます。
12時間半使えるということは、夜の一番長い冬至の時期を除けば、「夕暮れから夜明けまでずっと点灯していることが可能」ということです。ブルベでオーバーナイトライドをする場合、これが非常に大事。
実際には仮眠が入るので、Volt800の8時間でも大体足りてしまうのですが、想定よりも走行速度が伸びないと宿に付くまでは電池残量を気にして走ることに悩んでいました。
今回、600kmブルベでは以下のように運用しました。
・1日目の夜間: 夕暮れ~ホテルまで7時間程度使用
・ホテル: 充電(1時間半ほどで満充電)
・2日目の昼間: トンネルで10分程度使用
・2日目の夜間: 夕暮れ~ゴール~自宅まで6時間程度使用
防水性
今回の600kmブルベでは雨に遭遇しなかったので、防水性は未知数です。
ただ、背面の充電端子は分厚いゴムカバーに覆われていますし、防水性はしっかりしているように見えます。雨ブルベで使った知人の話も聞きましたが、問題はなかったようでした。
安定性
いわゆる「中華ライト」だと電池の端子の出来が良くない場合が多く、振動で消灯したりモードが勝手に切り替わることがあります。
しかし、本製品はこれまで振動で異常は起こっておりません。ライトの動作の安定性は非常に高いと言えます。
充電時間
本製品は電池の取り外しができないため、カートリッジ式のVolt800ほど簡単に満充電状態にはなりません。
しかし、「製品概要」に記載したように、USB Type-Cの2A充電に対応しているため、たった2時間半で満充電することが可能です。Volt800は最大でも1A充電であり、満充電には5時間掛かります。
ホテルで充電する場合、Volt800は満充電まで持っていくことがなかなか難しかったのですが(5時間連続で滞在できることは少ない)、RN1500ならば満充電まで持っていける人は多いでしょう。
こちらのテスターで充電時間を計測しましたが、2Aで充電が行われ、きっちり2時間半で満充電状態になりました。ただ、送り込まれた電気の容量は4000mAhと公称よりやや少なめ。理由は不明。
耐候性
本製品で使われているリチウムイオンバッテリーの弱点は低温です。低温状態で使用すると、公称時間より点灯時間が減る場合があるので、そこを懸念していました。
すると、私にこのライトを教えてくれた「紙の男」さんが、冷凍庫に入れて点灯時間を計測する実験を敢行。
RN1500の冷凍庫(-20℃)稼働時間テスト
12時間経過で赤点灯(残量20〜10%)したので前回の冷蔵庫(0℃前後)実験時よりも30分程早く消耗しているが、この程度なら許容範囲だと思う pic.twitter.com/1GEac5kjgO— 紙の男 (@John_Doe_0774) October 28, 2020
ということで、点灯時間は30分ほど減ったものの、マイナス20度でも動くらしいです。
私も600kmブルベで5℃の気温で使用していましたが、特に問題は起きませんでした。
給電機能(ライト→外部機器)
モバイルバッテリーとして、外部機器を充電できる機能もあります。
USB PD対応のケーブルじゃないと使えない点に注意が必要ですが、スマホの充電は出来ることを確かめました。私のスマホが上限1Aまでしか受け付けないので上記の表示ですが、実際の給電能力は最大5V/2Aまで出すことが可能なようです。
バッテリーからの点灯機能
本製品は、モバイルバッテリーを接続しながらの点灯も可能でした。ただ、モバイルバッテリーを接続すると、一旦電源が切れます。その後で電源スイッチを押すと点灯します。
恐らくですが、
モバイルバッテリー ⇨ ライト内バッテリー ⇨ LED
ではなく、
モバイルバッテリー ⇨ LED
といった形で直接モバイルバッテリーから電力を取っているように見えます。充電と給電を一緒に行うとライト内のバッテリーの劣化を早めそうなので、後者のやり方のほうが良いですね。
ブラケット
付属のブラケットは中々安定していますが、「90度回さないとライトが外れない」「着脱に工具が必要」という点でイマイチです。
今回の600kmブルベでは、ブラケットのストラップ裏に貼り付けられた滑り止めが徐々にズレてしまい、出先で調整が必要となりました。
こんな具合です。隣に付いているフロントバッグのタイラップと引っかかってズレてしまったので、これは私の取り付け方が悪かったのですが。ただ、ライトの照射角度を変えたい場合にも、いちいち六角レンチを取り出す必要があり、そこは面倒でした。
可能であれば、工具不要なブラケットのほうが良いですね。
(追記)
最終的に、私は下記の方法でCATEYEのブラケット互換での取付方法に行き着きました。
まとめ
老舗タクティカルライトメーカーが満を持して参入した自転車用ライト。
色々と文句も書きましたが、ブルベ的に「丁度よい」スペックを持ったライトという印象で、個人的には自転車用ライトとしての世代が一歩前に進んだ気がしました。ブルベ用の装備に正式採用しようと思っています。
ローモードの「300ルーメン/12.5時間」というのは、「これが欲しかった!」というスペックのど真ん中。スリムかつ軽量な筐体で、これだけの明るさと持続時間を実現しているライトは既存の自転車ライトメーカーには存在せず、正に自転車ライト界にやってきた黒船と表現できる逸品だと思います。
充電時間の短縮に着目したことも大いに評価できます。何故か未だに自転車用ライトはほぼすべてmicroUSBのまま。世のスマホはほぼ全てTypeCに置き換わったのにも関わらず……です。2時間半での満充電はブルベ派の人間にはかなりありがたいですね。これに影響を受けて、各メーカーも充電の高速化に取り組んでほしいです(出先で充電する需要は特殊かもしれませんが……)。
ただ、ライトメーカーとしては老舗でも、自転車用ライトとしては初参入であるため、改良の余地は見られます。
自転車乗りが大抵持っているガーミンマウントに対応したのは面白い発想ですが、90度回すだけの潤沢なスペースがハンドル周りにある人は多くないはず。工具不要で、ライト着脱の際にスペースがあまり必要のないブラケットの改良を望みます。
配光も、自転車用のライトとしては成熟が不足していると感じます。真上と真下に漏れる光は、全て前方を照らすのに使ってほしいですね。恐ろしく遠くまで光が飛ばせるタクティカルライトも販売しているメーカーなので、要件さえ分かれば実現できるだけの技術を持った会社のはずです。
次回作に期待しつつ、改良版ブラケットが出ることも期待しています。このガーミンマウント部分は取り外せるので。
追記(2021/12/19)
ロガー付き照度計を購入したので、照度の時間変化の計測を実施しました。
計測対象は、Lowモード(300ルーメン)です。
グラフからは以下のことが読み取れます。
・以後は57%の明るさを維持。
・点灯開始から13時間24分で消灯(公称12.5時間)。
評価
対象モデル: OLIGHT「RN1500 バイクライト」
年式: 2020年
定価: 8895円(税込)
購入価格: 6227円(税込)
公称重量: 172g
実測重量: 166g
価格への満足度
プライムデー3割引でかなり割安。定価だと★4。
総合評価
ブラケットと配光に改良の余地はあるが、スペックと大きさがブルベ用に適す。充電時間の高速化も評価。
レビュアー情報
年齢: 36歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。
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