【レビュー】Oture 「携帯ポンプ カーボン(300PSI・2020版)」

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評価:3.5

Otureの携帯ポンプ。2019年に販売されていた、下記ポンプのリニューアル版です。

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目次

購入動機

ある日、Twitterを見ていると下記ツイートがRTされてきました。

Oture。最近名前を聞かなくなっていましたが、かつて「例のポンプ」で一斉を風靡したブランドです。

 

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2018年にこちらのポンプを販売。内部圧縮機構により、高圧でもポンピングが重くならない特徴が受けてヒットしました。

 

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翌年、2019年1月には小型・軽量化したニューバージョンを発売。前のバージョンよりも26gもの軽量化を果たし、ツール缶にも入るサイズとなりました。

 

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しかし、2019年7月には、300PSI(20気圧)まで入るバージョンの製品を突如販売停止。代わりに売り出されたのが210PSIバージョンでしたが、性能は従来品に大きく劣るものでした。

あまりに急に販売されなくなったので、何か事情があったのかもしれません。


それから一年半。Otureの300PSI版の携帯ポンプが再度販売されるとのこと。

ちょっと引っかかったのは、その公称重量です。ツイートを見ると、「85g」と書かれています。

しかし、2019年に最初に販売された時の公称重量は「80g」でした。5g重くなっています

「なんだよ5gくらい。誤差だろ」と思われる方も多いかもしれませんが、わざわざ重くしたことを公言するのは不自然です。軽い方がアピールできるはずですからね。

買うかどうかは迷いましたが、結局好奇心に負けて購入することにしました。これで30数本目の携帯ポンプ……。

製品概要

実測重量は84.3g。全長は178mm、直径は22mm。

対応気圧は20気圧(300PSI)。2019年販売版と同様。

口金は初期状態では米式対応。ポンプヘッドを引き出すことで仏式に対応します。恐らく、ねじ切りバルブのチューブ専用です。

使用感

2019年発売のOture 「携帯ポンプ カーボン」との比較でレビューします。

梱包

なにやらキレイな箱に入って届きました。

以前は台紙とビニール袋という簡易包装でしたが、見違えましたね。RN1500と言い、いわゆる「中華ブランド」と言われる所でも梱包の大事さが見直されているんでしょうか?

左が2019年版、右が今回レビューする2020年版。見た目ではロゴが上下逆になっているくらいしか差が見い出せません。

見た目は相変わらず綺麗な3Kカーボン。「滑るのでは?」と思われるかもしれませんが、そもそも例のポンプは滑るほど力を使いません。

重量

84.3gと、確かに2019年版と比べると約5g重くなっています。

大きさ

2019年版と全く同じ、全長178mm。通常サイズのツールケースに入る大きさです。

使用法

使用方法は下記レビューと全く同じです。

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性能

Continental GP5000(25C)に対してテストを実施しました。

比較対象として、2019年版のOture 「携帯ポンプ カーボン」、同様の機構を持つTOPEAK「ROADIE TT mini」も同時にテストを実施しました。

300回ポンピングした時の空気圧は以下です。

・Oture 「携帯ポンプ カーボン(300PSI・2019版)」: 4.4気圧
・Oture 「携帯ポンプ カーボン(300PSI・2020版)」: 5.2気圧
・TOPEAK「ROADIE TT mini」: 5.6気圧
なんと、2019年版と2020年版で明確な差が出ました。同じ回数では2020年版の方が2割ほど多く空気が入るのです。
計測ミスかと思い、各ポンプでもう一回ずつ計測しましたが、結果は同じでした。高圧でも重くならないとは言え、さすがに1800回のポンピングは辛かった……。
どうやらただのリバイバル版ではなく、何らかの変化があるのは間違いないようです。
ただ、若干短いROADIE TT miniは更にそれよりも1割多く空気が入るのですが。

2019年版との差異

とりあえず中身は別物だということは分かりましたが、何が違うのかが分かりません。
外筒の太さ・内筒の太さ・ストロークは全く一緒。となると内部機構が変わっているはず。それならば分解だ!……と思ったのですが。
どうも2020年版はしっかり各部にネジロック剤が塗られているようで、分解することは出来ませんでした。ドライヤーで温めても無理。
確かにネジが緩むことによって不具合を起こすのが「例のポンプ一族」なので、この変化は正しいのですが。以前、Otureの方に「ネジをちゃんと締めてから出荷してください」と要望したことがあったので、それに対応してくれたのかもしれません。
仕方ないので分解は諦めて、他の手段で差異を確かめてみることにしました。

ロゴ

前述の通り、見た目的にはロゴの上下が異なります。

ヘッドの差

非常に微妙ですが、ヘッドに差異があります。

左が2019版、右が2020番です。ヘッドの黒いパーツと銀のパーツの間にあった隙間が2020版ではなくなっているのがお分かりでしょうか。これが性能に関係があるのかは謎ですが……。

ピストンの長さ

最も大きな差が、このピストン長の差です。

左が2019版、右が2020版です。ピストンの先端が、2020版は随分奥にあります。

これってつまり、最後まで空気を押し込めていないってことになるんですが、何故かこちらの方が性能的に2割も高いという不思議。

メンテナンス

改良版ではあるようですが、相変わらず注油は必要と書かれています。

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こちらの記事に書いてあるように、3ヶ月に一度くらいの頻度で注油をしないと性能が保てません。

この注油が不要な状態に進化していてくれたら最高だったのですが。

まとめ

一年半の時を経て、改良版として復活した「例のポンプ カーボン」。

ただ、その一年半の間に、大手2社から同様の機構を持つポンプがリリースされました。

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特に、前者のROADIE TT miniは、本製品より5g重いものの、よりコンパクト、更に同じ回数のポンピングで多くの空気が入ります。更に注油も必要なし。ほぼ上位互換品と言っても良いでしょう。ただ、値段だけはOtureのポンプの倍ですが。


2019年2月の段階ではOture 「携帯ポンプ カーボン」に★5を付けました。

確かに当時としては性能と重量と大きさのバランス的に最高だったのでこの評価でしたが、一年半の間に周りが進化しすぎていましたね。本製品も2割ほど性能を上げて来ましたが、2020年現在では値段と見た目(カーボン好きの人には受けるでしょう)以外の優位性はありません。

出来ればもう一捻り、Otureのさらなる進化に期待します。

評価

対象モデル:  Oture「携帯ポンプ カーボン(300PSI・2020版)」
年式: 2020年
定価: 2380円(税込)
購入価格: 2180円(税込)
公称重量: 85g
実測重量: 84.3g

価格への満足度

9/10

カーボン使用と性能でこの値段は安い。

総合評価

7/10

普通に使える性能だが、ライバル製品と比べるとこのくらいの評価。

レビュアー情報

年齢: 36歳 (レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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