【レビュー】Oture 「携帯ポンプ カーボン(210PSI版)」

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評価:2

Otureの携帯ポンプ。独自構造を採用しており高圧でも小さな力でポンピング出来るのが特徴です。

ただし、2019年7月16日まで販売されていた同社の製品とは見た目が似ていても仕様が異なり、最大気圧が300PSI→210PSIに下がっています。

目次

購入動機

2019年7月のAmazonプライムデー終了後、Otureの携帯ポンプのページにアクセスしたところ、「売り切れ」の表示が出ていました。

何が起こったのかと思ったら翌日、製品の説明が変更されていました。どうやら製品がモデルチェンジしたようです。

製品説明を見ると、以下の点が変更されていました。

変更点
  • 重量
    80g → 65g
  • 最大気圧
    300PSI → 210PSI
  • 全長
    178mm → 165mm

デュアルチャンバー方式を使っているのは変わっていないようですが……最初にこのスペックを見て思ったのは、「これは改悪だな」ということです。より小型に、より軽量になったわけですが、デュアルチャンバー方式では小型化することは失うものの方が多いのです。

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デュアルチャンバー方式は、「ポンプの二重構造」を取っています。詳しくは同じ構造を持つ上記ポンプのレビューを読んでください。

ポンプが短くなると、当然1回あたりに入るエアボリュームが減ります。しかも「二重」なので、ポンプが1cm短くなると、2本分の2cm分のエアボリュームが減るのです。

つまり、指定空気圧まで達するまでのポンピング回数が大幅に増えることになります。今回は13mm短くなったので、26mm分の損失があるということです。

とはいえ、使ってもいないのに判断するのは早計。

十中八九駄目な予感はしていましたが、まずは1本買ってみることにしました。今回はサンプル提供ではなく自費購入です。

製品概要

実測重量は67g。全長は165mm。直径は20mmです。

対応気圧は14気圧(210PSI)。前モデルよりも最大気圧は6気圧低下しています。

口金は初期状態では米式対応。ポンプヘッドを引き出すことで仏式に対応します。恐らく、ねじ切りバルブのチューブ専用です。

使用感

以下のOtureの携帯ポンプ2製品との比較でレビューします。

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重量

65gと、Otureのポンプでは最軽量になっています。前モデル(Oture 携帯ポンプ カーボン(300PSI版))に比べて15gの軽量化。

大きさ

165mmと、前モデルに比べて13mm短くなっています。これにより、ビットリアのソフトツールケースにも格納可能に。

使用法

使用方法は下記レビューと全く同じです。

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性能

PANARACER GRAVELKING(26C)に対してテストを実施。結果は以下でした。

300回→2.2気圧
400回→3.4気圧

予想では400回で4気圧は入ると思っていたのですが、それを更に下回る性能でした

私が普段使う7気圧まで入れるには700回のポンピングが必要となるはず。それだけの回数をこなすには時間が掛かり、腕の疲労もかなりのものになります。

13mm短くなり、13g軽くなったことと引き換えに、実用に足らない仕様になってしまいました。

なお、フロアポンプで7気圧まで入れた状態から「追いポンピング」をしてみましたが、そこまで大きな腕力を使わずとも空気をいれることは出来ました。少しずつではありますが。デュアルチャンバー方式の効果は出ているようです。

構造

しかし、全長が13mm短くなっただけでここまで性能が落ちるのは腑に落ちません。「何か他にも要因があるのではないか?」と思って調べてみました。すると、以下の点が変更されていることに気づきました。

変更点
  1. ポンプの直径
    22mm → 20mm (2mm細くなった)
  2. シリンダー直径
    12mm → 15.5mm (3.5mm太くなった)

「このスペック、どこかで見たな?」と思って調べてみると、以前レビューした以下のポンプと全く同じスペックでした。

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上記ポンプも最大空気圧は210PSIです。全長は本製品より5mm長い171mmとなっています。

JG-1043も含めて、いわゆる「例のポンプ」は全てPRO STARという会社がOEM生産を手がけています。今回レビューしているOtureのポンプは、恐らくJG-1043と同じパーツを使っているのでしょう。

JG-1043のレビューに詳しく書きましたが、

 ・ポンプの直径を細くする
  → 1回あたりのポンピングで入るエアボリュームが減る
   → 希望の空気圧まで入れるためのポンピング回数が増える

 ・シリンダーの直径を太くする
  → ロッドを引いたときの内部圧縮率が下がる
   → 高圧時にロッドを押すときに必要な力が大きくなる

というデメリットがあります。

そして、今回レビューしているポンプはJG-1043より更に全長も短くなっているので、更に1回あたりのポンピングで入るエアボリュームが減ります。

結果的に、400回で3.4気圧しか入らないスペックになったものと思われます。

比較

せっかくなので、これまで私がレビューしたOtureの携帯ポンプ3本と、本製品と同等のパーツを使っていると思われる「JG-1043」の比較表を作ってみました。

残念ながら本製品が有利なのは、重量とコンパクトさのみ。「例のポンプ」が秀でていた、「指定空気圧まで入れるために必要な力の少なさ」という利点が完全にスポイルされてしまいました。

まとめ

小型化・軽量化と引き換えに、前モデルよりも大幅にスペックダウンしてしまった携帯ポンプ。

実のところ、最初に出た「Oture 携帯ポンプ」から「Oture 携帯ポンプ カーボン(300PSI版)」に変わった際も、スペックダウンはしています。ただ、そのスペックダウンの幅は小さく、小型化・軽量化の利点のほうが勝るものでした。

しかし、今回はスペックダウンの方が遥かに大きいと見ます。400回のポンピングで3.4気圧しか入らないというのは、少なくとも高圧なタイヤを使うロードバイクで使う上では実用的ではありません。

恐らく、「ポンプ径20mm」「シリンダー径12mm」というのが「例のポンプ」の性能のキモです。そこのバランスを変更してしまうと大きくスペックダウンしてしまうように見えます。今のポンプ径・シリンダー径のままで性能を戻すならば、あと3~4cmは全長を伸ばす必要があるでしょう。

評価

対象モデル:  Oture「携帯ポンプ カーボン(210PSI版)」
年式: 2019年
定価: 不明
購入価格: 1999円(税込)

価格への満足度

8/10

カーボンボディにしては安い。

総合評価

4/10

少し短くなったことで、性能が大幅にダウン。

レビュアー情報

年齢: 34歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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